auカブコム証券が、「MUFG×KDDIデジタル金融企業」への進化を支える次世代システム基盤の構築を推進
auカブコム証券株式会社 様
本社所在地:東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館6F
URL:https://www.kabu.com/
HPEサーバー/ストレージ製品群を全面的に採用、HPE Pointnextアドバイザリサービスが戦略の具現化に貢献
"HPE Superdome Flex上に、『発注基盤システムRAIDEN』と『勘定系システム』という、私たちにとって最重要のシステムを統合します"
―auカブコム証券株式会社
システム技術部 基盤グループ
ジュニアスペシャリスト
竹内 庸祐 氏
2019年12月1日、カブドットコム証券は「auカブコム証券」として生まれ変わった。2020年ビジョン『カブコム20』において「ネット証券からデジタル金融企業への進化」を掲げ戦略を具体化させる中、最重要と位置づけられるプロジェクトが証券取引業務を支えるシステム基盤の全面刷新だ。HPE Pointnextが1000台規模の物理サーバーで構成される本環境の設計・構築をトータルに支援し、最新のHPEインフラ製品と従量課金サービスが採用された。auカブコム証券は、MUFG×KDDIグループのデジタル金融企業として新たな成長を加速させようとしている。
業界
金融
目的
データセンター移転と証券取引業務を支えるサーバー1,000台規模のシステム基盤の刷新。より高度な「安心・安全」「ローコスト」「柔軟・迅速」の要件をクリアし、デジタル金融企業への進化を支える次世代基盤を確立する。
アプローチ
システム基盤のアーキテクチャーを全面的に再定義し、「障害復旧」「災害対策」「性能保証」の観点からシステム要件を階層(Tier)化。業務ごとに最適なTierのテクノロジーを割り当て、コストパフォーマンスを最大化する。
ITの効果
・HPE Pointnextアドバイザリサービスが、システム要件のTier化と業務・アプリケーションごとのマッピングを支援
・HPEインフラ製品のフルポートフォリオがRightMix(適材適所)でのサービス提供を実現
・HPE GreenLakeフレックスキャパシティによりインフラ機器を月額・従量制で利用可能に
・パブリッククラウド(AWS/Azure)とオンプレミスシステム基盤が連携するサービス提供を実現
ビジネスの効果
・デジタル金融企業としての多様なサービスを提供するための次世代インフラを実現
・1,000台規模のサーバーを100数十台に削減し、インフラ関連の総コストを5年間で11%削減見通し
・ハードウェアのバッファリソースを事前に確保し、必要になった時点で即時の利用を可能に
・APIを活用したシステム環境セットアップの自動化、AIを利用したインフラ運用の自動化に着手
チャレンジ
MUFG×KDDIグループのデジタル金融企業への一大変革
2019年12月1日、「すべてのひとに資産形成を。」をスローガンに掲げauカブコム証券が誕生した。同社は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とKDDIグループのデジタル金融企業として、先進的・革新的な金融サービスを提供することを表明している。auカブコム証券 システム技術部長 兼 基盤グループ長の宮本喜与士氏は次のように話す。
「auカブコム証券は、『MUFGおよびKDDIグループのデジタル金融企業』として生まれ変わりました。インターネット金融サービスの強化を目指すKDDIと、FinTech領域で成長を加速させるMUFGの戦略がまさに合致した形です」
auカブコム証券は2018年からの中期経営計画において、2020年の目指す姿を『カブコム2.0』として定義。ここでは、ネット証券からデジタル金融企業へ進化するために、商品・サービスの先進性、収益モデルの多様性、経営の効率性すべてにおいてNo.1を達成することを謳っている。
「私たちは、MUFGおよびKDDIのデジタルトランスフォーメーション戦略をリードし、『商品・サービスの先進性』において他の追従を許さないNo.1を目指します。企業理念として掲げる『リスク管理追求型』のコンセプトに立脚しながら、AIやブロックチェーンなどの先進技術を駆使したサービスの開発を推進しています」(宮本氏)
「収益モデルの多様性」を実現するための柱は、APIエコノミーの確立、異業種協業の更なる強化だ。宮本氏は「システム基盤をサービスとして提供する、B2B2Cプラットフォームビジネスへのチャレンジ」と表現する。
「MUFGの一員である三菱UFJモルガン・スタンレー証券向けに、超高速の発注基盤システム『RAIDEN』の提供を始めました。また、地方銀行や異業種の企業が証券ビジネスに進出する際に、私たちの証券基幹システムをスムーズに利用いただけるよう『kabu.com API』を拡充させています」
KDDIの膨大な顧客層に対して“スマートフォンファースト”の革新的な商品・サービスを提供する準備も進めているという。さらに、デジタルイノベーションの積極的な活用で「経営の効率性」を高める。
「auカブコム証券は、創業20年にして第2の創業とも言える重要な転換点を迎えています。ビジネスのスケールも、サービスの品質も、経営のガバナンスも、まったく新しい次元へ進化しなければなりません。2018年初頭、私たちはデータセンター移転とシステム基盤の全面刷新を決断しました。新たな20年を支える『次世代システム基盤』の構築です」(宮本氏)
auカブコム証券株式会社
システム技術部長
兼 基盤グループ長
宮本 喜与士 氏
auカブコム証券株式会社
システム技術部
基盤グループ
ジュニアスペシャリスト
竹内 庸祐 氏
auカブコム証券株式会社
システム技術部
基盤グループ
ジュニアスペシャリスト
新貝 興 氏
ソリューション
物理サーバー1,000台規模のシステムをRight Mixのアプローチで最適化
auカブコム証券の「次世代システム基盤構築」はまさに時宜を得た決断だった。目指すは、新たなビジネス成長を加速させるインフラストラクチャーの実現である。宮本氏は次のように振り返る。
「システム基盤の刷新に先立って、東西で運用しているデータセンターの見直しから着手しました。最新のデータセンターファシリティを活用してセキュリティ・災害対策を強化し、より強固なビジネス継続性を実現することが狙いです。首都圏に新設するデータセンターに、まったく新しい『次世代システム基盤』を構築する方法を採りました」
宮本氏らが「次世代システム基盤」の構想を具体化する過程で定義した要件は3つ。①安心・安全 ②ローコスト ③柔軟・迅速 である。「コストを抑えながらシステムの信頼性と迅速性、ミッションクリティカルな要求とビジネスアジリティをいかに両立させるかが難題」(宮本氏)だった。このテーマに明快な答えを示したのが、HPE Pointnextのアドバイザリサービスだ。
「HPE Pointnextによる『業務要件に応じて適材適所のインフラ機器を割り当てる』という提案は、非常に合理性の高いアプローチでした。中でも、アセスメントに基づき、障害復旧、災害対策、性能保証の視点からシステムを『Tier(階層)』で分類する手法は、構想を具体化していくうえで極めて有効でした」(宮本氏)
HPE Pointnextアドバイザリサービスチームは、業務要件をきめ細やかに分析しながら、インフラに求められる要件を4階層7段階のTierに落とし込んでいった。
「ミッションクリティカルなシステムにTier1構成の機器、ビジネスアジリティを重視するシステムには自動化技術を組み込んだTier2構成の機器、汎用的なシステムにはコストを抑えたTier3構成の機器をそれぞれ適用しました。HPEが提唱する『Right Mix』のアプローチにより、インフラ全体のシンプル化を大胆に進めると同時に、コストパフォーマンスを追求しながら全体最適化が可能になったのです」(宮本氏)
パブリッククラウドサービスはTier4に位置づけられた。auカブコム証券の「次世代システム基盤」にRight Mix(適材適所)でのサービス提供を実現したのは、フルポートフォリオのHPEインフラ製品である。
プロビジョニングの自動化とインフラ運用の自律化
Tier1構成機器として採用されたのは、業界トップクラスとなる最大32ソケット/48TBメモリまで拡張可能なハイエンドサーバー「HPE Superdome Flex」である。シングルシステムで99.999%の可用性を備え、一般的なx86サーバーのはるか上を行く高信頼性・耐障害性を実現。メモリ/プロセッサーのエラーリカバリ機能、メモリの耐障害性機能、PCIeエラーのリカバリ機能は、ハードウェア/ファームウェア/OSを高度に連携させるHPE独自のものだ。
「HPE Superdome Flex上に、『発注基盤システムRAIDEN』と『勘定系システム』という、私たちにとって最重要のシステムを統合します。可用性・耐障害性要件を大きくクリアするとともに、最も負荷の高いデータベース環境において従来比で最大1.8倍の高速化を実現しています」と話すのは、基盤グループ ジュニアスペシャリストの竹内庸祐氏である。
HPE Superdome Flexにはハイエンドストレージ「HPE XP7」が組み合わされ、ハードウェアレベルで最高クラスの可用性・耐障害性の確保されたシステムが構築された。「Active-Activeクラスター、ストレージのQoS機能、データ保護機能をフルに活用して、ミッションクリティカルなアプリケーションを安心・安全に稼働させる磐石の環境を実現した」(竹内氏)という。
Tier2については、基盤グループ ジュニアスペシャリストの新貝興氏が次のように説明する。
「Tier2のキーワードは『プロビジョニングの自動化』と『インフラ運用の自律化』です。オンプレミス環境のビジネスアジリティを最大まで高めることを目指しています。これを実現するために、インフラレベルでコード制御が可能なHPE Synergyと、AIベースの高度な障害予兆検知機能を備えたHPE 3PAR StoreServストレージを採用しました」
新貝氏は、ハードウェア設定から仮想マシン起動に至るプロセスを、Ansibleで自動化するチャレンジを始めている。コンポーザブルインフラ製品「HPE Synergy」が、Ansible Playbookを利用したハードウェア/ソフトウェアの統合的なコード制御を容易に実装できることに注目した。
「また、HPE 3PARで利用できる予測分析テクノロジー『HPE InfoSight』への期待は大きいですね。インフラの障害予兆を高い精度で検知し、問題が顕在化する前に保守対応できるようになります。『インフラ運用の自律化』に向けた大きな一歩になると確信しています」(新貝氏)
HPE InfoSightの威力は、99.9999%に達するHPE Nimble Storageの稼働実績で実証済みだ。HPE 3PAR StoreServでの利用も2017年後半から可能になっており、そのメリットを多くの導入企業が評価している。HPE InfoSightの適用範囲は、すでにHPE SynergyやHPE ProLiant Gen10サーバーにまで拡張されている。
ベネフィット
次世代システム基盤のすべてを月額・従量制で利用しながらコストを削減
auカブコム証券は、次世代システム基盤を構成するインフラ機器を「月額・従量制」で導入した。これを可能にしたのが「HPE GreenLakeフレックスキャパシティ」である。ハードウェア/ソフトウェア資産をHPEが保有し、ユーザー企業は自社のセキュリティポリシーを適用したデータセンターに設置して利用できるサービスだ。サーバーやストレージの予備リソースを事前に用意しておき、必要になった時点で利用開始できる「バッファキャパシティ」オプションも採用された。
「オンプレミス環境でありながら、パブリッククラウドと同様に『使った分だけ支払う』費用処理が可能になりました。コスト削減に大きく寄与したのが『バッファキャパシティ』です。インフラ機器の先行投資を抑えながら、『必要になった時点で使える』というメリットは大きなものです。5年間のインフラコストを11%削減できる見通しです」と宮本氏は話す。
HPE GreenLakeフレックスキャパシティの効果はビジネスアジリティにも及ぶ。
「インフラ機器の調達リードタイムがゼロになりましたので、想定外のリソース要求にも即座に対応できます。プロビジョニング自動化と合わせて、パブリッククラウドに匹敵する柔軟性と俊敏性が手に入りました」と新貝氏も評価する。
auカブコム証券は20年にわたりネット証券として熾烈な競争を勝ち抜いてきたが、「MUFG×KDDIグループのデジタル金融企業」へと生まれ変わったことで、競争の軸はさらに多様化していくことになるだろう。宮本氏が次のように語って締めくくった。
「私たちの競争力を支える商品・サービスをより安心・安全に提供するために。そして、新しいお客様層に向けて拡充を急ぐ商品・サービスを柔軟・迅速にお届けするために、次世代システム基盤には現時点で考え得る最高水準のテクノロジーを投入しました。『auカブコム証券』として生まれ変わった私たちのビジネスを、さらに加速させてくれるものと確信しています。日本ヒューレット・パッカードには、これからもインフラ製品からサービスまでフルポートフォリオでの支援を期待します」
ご導入製品情報
あらゆる規模のビジネスにおいて、重要なデータをリアルタイムのビジネスインサイトに変えることができる、独自のモジュール方式を採用し、かつ高い柔軟性と信頼性を備えた、シームレスに拡張するプラットフォーム。
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
本ページに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。