2019年10月18日

クラウドは「クラウドレス」へ

クラウドレスコンピューティングは、コンピューティングが進化するうえでの次の一歩です。ワークロード、コンピューティング、データを必要な場所に、必要な時に自由に移動し、実行できるようになります。クラウドレスコンピューティングについて、専門家の意見を聞いてみることにしましょう。
コンピューティングの発展の跡をたどる方法の1つは、ベアメタルからインターネット、Web、仮想マシン、そして最後にコンテナーへの移行を図にしてみることです。言い換えれば、コンピューティングは個々のマシンからネットワーク、仮想化へと移行してきたのです。
この移行の次の一歩: クラウドレスコンピューティング
クラウドレスコンピューティングは、ソフトウェアの開発、配信、消費方法の新しいアプローチです。開発者やユーザーによる、エンタープライズアプリケーションを支えるツール、サービス、データへのアクセスを劇的に簡素化し、一般化します。クラウドレスワークロードのエンドポイントは、従来の境界セキュリティの制御に制限されることなく、相互に、個々に認証、証明、動作します。
クラウドレスコンピューティングはプライベートクラウドとパブリッククラウドの区別を取り払い、ウォールドガーデン (隔離された庭) を造っている壁を壊します。ただし、サーバーレスがサーバーを使用しないのではなく、単にサーバーのオーケストレーションを排除するように、クラウドレスコンピューティングもクラウドを利用しないわけではありません。単にクラウド間の壁を壊し、パブリックとプライベートの間の明確な区別をなくそうというものです。

 

クラウドVSクラウドレス

Futurum Researchの首席アナリストであり、Broadsuite Media GroupのCEOであるDaniel Newman氏によれば、クラウド環境の制限には規制の要件、パブリッククラウドサービスの汎用的性質、特にデータの増殖を考えた場合のパブリックカスタマイゼーションの費用などがあります。
「企業は、ワークロードを自社に戻し始めています」。Newman氏は言います。「しかし、オンプレミスのプライベートクラウドでは、すべての問題を自社で抱えることになるか、リースしている場合は何も触ることができません」
最後にNewman氏は言いました。「選択は、一度決めてしまえば変えることができません」
ヒューレット・パッカード エンタープライズのクラウドネイティブコンピューティングの主任テクノロジストであるDave Husakによれば、クラウドレスコンピューティングは、現在のクラウドエコロジーには存在しない公平な場を提供します。これは、以下を意味します。

  • アプリケーション開発者:クラウドレスコンピューティングは、最高のインフラストラクチャ、ツール、サービスをシームレスに消費し、プロセスと製品に統合する方法を提供します。

  • ユーザー:クラウドレスコンピューティングは、最新のハードウェア、ソフトウェア、データアクセスを含む、アプリケーションに対しての最大限の選択肢、俊敏性、最小限のコストを提供します。

  • 独立型およびオープンソースのソフトウェア、ハードウェア、サービス、データプロバイダー:クラウドレスコンピューティングは公平な場と、IT消費者のインターネット規模の市場への公正なアクセスを提供します。


「クラウドレスコンピューティングはパブリックとプライベートの間の区別を排除し、アプリケーションワークロードとデータアクセスを必要な場所に、必要な時に自由に移動し、実行できるようにします」。Husakは言います。「現代のソフトウェアアプリケーション開発者の考えでは、レガシースタックおよびジェンガブロックのようなアーキテクチャ図では俊敏性とテクノロジーの選択肢が制限され、もはや好ましい方法とは言えません」
Husakは続けます。「クラウドネイティブな開発者は、相互接続型メッシュ、動的構造の観点から考えます。そのため、現代のアプリケーションアーキテクチャはクモの巣状になっています。そして、ソーシャルネットワークに似て、クラウドネイティブなアプリケーションの本質は、グラフとサービスエンドポイントのIDにキャプチャされたそのメタデータにあります。クラウドレスコンピューティングは、開発者がシームレスでオープンな方法で設計を実現するための基板を提供します」

 

クラウドレスエコロジーの構成要素

クラウドレスコンピューティングの基板は、3つの「ファブリック」で構成されています。それは信頼、接続性、価値です。

信頼のファブリック (セキュリティ)

「この信頼のファブリックは、HPEがサーバーインフラストラクチャの面でシリコンレベルの信頼におけるリーダーであるという事実を活用しています。100万台を超えるサーバーが出荷され、シリコン内の信頼の基点からアプリケーションランドスケープ全体のセキュリティを強化しています」。HPEのネットワーキングおよびセキュリティ部門責任者および主任テクノロジストのDave Larsonは言います。
「信頼のファブリックはプライバシーとデータ主権のコンプライアンスを自動化し、危険な世界で本物のセキュリティと本当の安心を提供します」。HPEのCEO、Antonio Neriは言います。「すべてのデータが暗号化され、すべてのデバイスの整合性が証明されるため、制御できない部分によっても被害を受けることがありません」

接続性のファブリック (最適化)

クラウドレスコンピューティングの接続性のファブリックにより、抽象化が実現します。そこでは、開発者はネットワークのポリシーおよび制御の些細な点に煩わされることなく、単にクラウドネイティブなツールとアプリケーションのランドスケープに現れてくる名前空間指向の接続メカニズムを利用することが可能です。「クラウドレスコンピューティングでは、アプリケーション開発者はネットワークについて心配することなく、アプリケーションのパフォーマンスを最適化するために設計されたカスタムネットワークトポロジをオーケストレーションできます」。Neriはそう言います。

価値のファブリック (オープン性)

最後に、価値のファブリックは「オープンソースのソフトウェアコミュニティに、パブリッククラウドの塀で囲まれた庭の外でもイノベーションを推進し、同様のサービス、ツール、方法論を必要な場所で使用して新しい景色を開く真にオープンな着地点を可能にする経済構造を提供します」。Neriは言います。これには、プライベートデータセンター、分散型の小売りエッジ、最新のサービスオペレーターなど、クラウドレスのフレームワークが有効なあらゆる場所が含まれます。
サーバーを買いたい人はいない。ソフトウェアを実行したいだけなのだ。
クラウドレスコンピューティングのような新しい製品またはプロセスについて考える場合、永続的なトラブルがどこにあるかを認識することが重要です。例えば、セキュリティについて考えてみましょう。独立のテクノロジストでありクラウドライターのDavid Strom氏が指摘するように、人的エラーを修正できるテクノロジーはありません。
「クラウドの最大の制限は、テクノロジーとは関係ありません。問題は、テクノロジーを使用する人間です」。Storm氏は言います。「適切なセキュリティを導入することを忘れたり、セキュリティを誤って導入したりしてしまうのです。また、適切なユーザーグループを認証しないため、ユーザーは意図せずデータから締め出されてしまいます。これらは非常によく知られたエラーです。2019年にこのようなことを話しているのは、ほとんど恥ずかしいことです」
専門家がクラウドレスコンピューティングの戦略によって避けたいと考えている人的エラーの1つは、短期間の利益のために長期間の持続可能性を犠牲にすることです。
「私たちは、塀で囲まれた庭を造り、ユーザーを閉じ込めている他の庭と競争することには興味がありません」。Husakは言います。「新しいデータの牢獄の番人になるつもりはありません。クラウドレスコンピューティングの役割は、誰もが出会って取り引きができる開かれた場を作ることです。私たちはその中で、基盤となる機能を提供する仲介人となるのです」
 

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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