2019年7月19日

従量制課金の流れで勢いを増すAI主導のストレージ

クラウドのような優れた経済性を備える新しいインテリジェントストレージが、ハイブリッドクラウド環境で飛躍します。

今では思い出すことも難しいですが、ストレージのテクノロジーがいくらか旧式で、データセンターのイノベーションで課題となる領域だと受け取られていたのは、そんなに昔の話ではありません。しかし、今は違います。過去10年間に、クラウドストレージサービスからエンタープライズのオールフラッシュアレイにいたるまで、ストレージは次々とブレークスルーを成し遂げてきました。企業が求めていたのはネットワークとコンピュートに緊密に接続されたストレージであり、ベンダーはその需要にハイパーコンバージドインフラストラクチャで応えました。製造業者はメモリチップ上のスペースを使い果たしたことに気付き、垂直に層を重ねた3D NANDメモリを提供しています。
ストレージ市場の様相は、過去数年間に起こったハイブリッドクラウドインフラストラクチャへの動きとAIの波を通じて再び変化を遂げ、そのトレンドは、インテリジェントストレージの普及を押し進めました。このストレージは、ストレージハードウェアと、リモートデータ収集やAIを活用するサービスを組み合わせたもので、ストレージ環境をオンプレミスとクラウドの双方でアクティブに管理します。
インテリジェントストレージは、もう1つの止められないトレンドである従量制のIT環境によってさらに勢いを増しています。

 

よりスマートなストレージ

インテリジェントストレージは、単なる情報のリポジトリではなく、有益な情報をプロアクティブに提供し、会社が求める時と場所でデータが確実に利用できるようにします。たとえば、環境全体のパフォーマンスのボトルネックを見つけ出し、セキュリティ脅威や季節的な使用量の急増のような変化を検出し、アラートを発行することができるため、組織はそれらの問題にタイムリーに対応できます。
インテリジェントストレージには、次のような特徴があります。

  • AI主導。スタック全体でAPIと管理インターフェースから得られるデータ、さらにストレージデバイス自体から得られるデータをテレメトリで監視します。高度な分析と機械学習を活用することで、システムは環境内の正常な状態をモデル化でき、異常な状態を検出して解決できるようになります。インテリジェントストレージでは、予測分析を利用して、管理者が気付く前に多数の潜在的な問題を解決できます。その他の問題についても、分析およびレコメンデーションエンジンが提供する自動化されたガイダンスによって、問題の詳細が提示され、解決方法が提案されます。問題の原因がストレージデバイスの外部にあっても対応可能です。

  • クラウド対応。ネイティブのクラウド統合を備えたインテリジェントストレージは、マルチクラウドの管理、オーケストレーション、自動化を簡素化し、パブリッククラウドとプライベートクラウドをシームレスに接続します。本番環境のデータベース、セカンダリデータ、またはバックアップデータからクラウドへワークロードを移動したり、必要に応じてパブリッククラウドからデータを引き上げたりできます。オープンでクラウドネイティブのAPIを使用すると、クラウドの自動化やDevOpsエコシステムに取り組むさまざまなベンダーの製品と統合できるため、企業は新しいサービスをすばやく開発できます。インテリジェントストレージに組み込まれたアドバイザリの専門知識とクラウド管理ツールを活用すると、企業はパブリッククラウドの取り組みでしばしば生じる見えないコストと浪費を避けることができます。 

  • As-a-Serviceでの提供。ブロックストレージ、ファイルストレージ、オブジェクトストレージ向けに、フラッシュ型やハイブリッド型など、ビジネスニーズに最適なストレージを選択できます。ハードウェアは社内に設置されますが、その所有権はプロバイダーにあります。予測された需要に基づいて容量のローカルバッファーを得られます。また、ストレージのサポート、管理、(オプションで) 運用に必要なサービスも受けられます。さらに容量が必要になったらオンデマンドで追加でき、不要になったら再度スケールダウンできます。使用したぶんだけ支払えばよく、ハードウェア、ソフトウェア、サービスの使用料はすべて1つの月額請求書にまとめられます。

 

クラウドの経済性を備えたオンプレミスストレージ

上記の3つ目の特徴は、ハイブリッドクラウド環境におけるインテリジェントストレージへの移行を加速します。IDC社の調査によると、データセンターでの従量制によるストレージ調達は、2020年までに企業のITインフラストラクチャ支出の40%を占める見込みです。インテリジェントストレージは、オンプレミスストレージで企業にクラウドのような体験を提供する真の従量制モデルです。
企業がパブリッククラウドから得た1つの大きな教訓があるとすれば、それは、シンプルであることの強みであり、その大部分は財務上のシンプルさです。もちろん、クラウドの経済モデルを活用することがクレジットカードをスライドするように簡単だというわけではありません。しかし、企業は大きな先行コストが不要で毎月の請求書で済むやり方を好みます。クラウドは、ITの予算編成と資金調達について、いくつかの新しいアプローチを生み出し、使用量によってITリソースをこれまで以上に簡単に測定できるようにしました。
しかしその後、オンプレミスインフラストラクチャでも基本的に同じことができるテクノロジーが登場しました。新しいメータリングシステムを利用すると、オンプレミスでのハードウェアリソースの使用状況を追跡、記録、レポートできます。インフラストラクチャを配信、監視、サポートする一連の包括的なサービスと組み合わせると、このようなテクノロジーから物理データセンターにおける真のオンデマンドソリューションが実現します。従量制のIT環境が到来すると、企業は自らのオンプレミスのIT資産をまったく新しい視点で捉えることができるようになりました。
ストレージに対するオンプレミスの従量制アプローチについて調べる場合は、以下の条件を検討して、お使いの環境とビジネスニーズに適しているかを判断してください。
データ主権とプライバシー。コンプライアンスの要件は拡大し続けており、会社のストレージ戦略に影響を与えています。EUの一般データ保護規則は1つの例に過ぎません。多くの企業は顧客情報をオンプレミスに保存することを好み、業界全体は機密データを特別に取り扱うように求めています。たとえば、ヘルスケア分野では患者の情報を保護しなければなりません。
レイテンシ。演算リソースはエッジに移行し続けています。エッジとはデータセンターの外部にあるITゾーンで、データが取得される場所の近くにあります。たとえば、工場で製品を管理するために重要な計算を実行している場合や、化学プラントで安全状況を監視している場合、リアルタイムやリアルタイムに近い頻度で対処できる必要があります。情報をクラウドに転送したりクラウドから取得したりするときの遅延は許容されません。
場所とコネクティビティ。エッジへの移行は、演算リソースをリモート環境や苛酷な環境に追い込むことにもなります。たとえば、コネクティビティが信頼できない石油掘削装置などです。しかし、どのような場所であれ、重要な顧客データをクラウドから取得しなければならない場合、ネットワークの問題が生じると顧客サービスの問題につながる可能性があります。多くの企業にとって、このことはバックアップシステムを設計する際に考慮すべき重要な点です。予想外のダウンタイムが発生した場合は、できる限り早くすべてを稼働状態に戻したいと考えるでしょう。しかし、そのような復旧機能がクラウドへの安定した接続に依存するような状況は望まないかもしれません。
先行コスト。ビジネスリーダーは、従来のCAPEXモデルの元ではオンプレミスストレージへの支出をためらうかもしれませんが、一定期間における使用量にコストを対応させるアプローチは多くの場合、会社の財政面から見ると、より魅力的な選択肢になります。
容量管理。ストレージへの投資は十分に活用されないことが少なくありません。つまり、会社は通常、需要のピーク期間で作業負荷に対応できるように、また、パフォーマンスの問題が発生しないように、前もって必要以上に容量を購入します。オーバープロビジョニングは無駄が多く、電気代、冷却費用、メンテナンス費用に不要なコストが上乗せされます。
アジリティ。オンプレミスのリソースを新しいビジネス要件に対応させるプロセスは迅速に進まない場合があります。調達サイクルは長く、新しいハードウェアの導入には時間がかかります。会社が容量を使い果たすと、必要な容量をデータセンターに追加するのに数か月かかる場合があります。このような状況は、内部顧客に良い印象を与えません。必要な環境を手に入れるため、個々のチームや事業部門はパブリッククラウドを使用するために社内のITポリシーをかいくぐるかもしれず、その結果、会社にとって不名誉なシャドーITが発生するかもしれません。
オンプレミスの従量制アプローチでは、このように複雑で対立しやすい条件をうまく調整して、よりスマートなストレージセットアップにすばやく移行することができます。

 

従量制のインテリジェントストレージで実現できること

従量制課金の戦略では、次に示すように刺激的で新しい可能性が 広がります。
クリエイティブになる。新しいプロジェクトをすばやく簡単にセットアップでき、従来の高額な先行コストは必要ありません。As-a-Serviceのアプローチにより、試験的な取り組みが容易になり、イノベーションの障壁を下げることができます。この点は、製品やビジネスモデルが目まぐるしく変化する今日のビジネス環境で魅力的なメリットです。
新しいデータベース管理システム、ビッグデータと分析、セカンダリストレージなど、会社のビジネスニーズに対応できる幅広いインテリジェントストレージのテクノロジーを提供できるベンダーを見つけましょう。一部のプロバイダーでは、データ可用性やバックアップソリューションなどのソフトウェアをハードウェアと組み合わせて互いの欠点を補っています。これにより、必要なストレージを展開して管理する方法がさらに簡素化され、創造力をすばやく発揮できるようになります。
ITの予算編成と計画を単純化。従量制のストレージでは、これまでの「使わなければ失われる」予算編成の原則が時代遅れになり、支出がビジネスの目的と一致するようになります。インテリジェントストレージのリソースを、日、週、月単位で実際にどのように消費しているかを、わかりやすく可視化して管理できるようになります。
管理されていないあらゆるリソースと同様に、予定された量よりも多くのリソースを消費するのは簡単です。古いデータは必ずしも計画的に消去されるとは限らず、増え続ける傾向があり、ここから無駄が生じてパフォーマンスに悪影響が生じます。従量制のソリューションには、セルフサービス型の使用状況ダッシュボードと予算編成機能があり、事前設定された使用量や支出のしきい値に到達すると通知してくれます。
容量の需要変動にスムーズに対応 従量制課金モデルでは、年末のレポート作成、市場の需要による予想外の使用量の急増、新しいビジネスモデルなど、断続的なデータ集約型タスクに対処するためのリソースを用意しやすくなります。不要になった容量の料金を払い続ける必要もありません。ただし、ベンダーによる容量の管理方法を把握しておくことが重要です。たとえば、追加の容量が提供されるまでのリードタイムや、共同でキャパシティプランニングに取り組むことができるかといった点です。
管理者を些細な作業から解放。ストレージの管理作業には、たくさんの人手が必要です。インテリジェントストレージのAI機能があれば、ITスタッフの時間を奪う問題の多くが解消されます。従量制のIT環境に組み込まれた管理サービスとサポートサービスは、さらに多くの問題を処理してくれます。些細なストレージ管理に時間を取られなくなった管理者は、価値あるプロジェクトに取り組んで組織のイノベーションへの取り組みを支援できます。

 

導入の最適なタイミング

従量制ストレージが提供するクラウドのような優れた経済性とアジリティは、現代のハイブリッドクラウド環境に最適です。このようなストレージが組織に適しているかどうかを判断するには、バックアップ、データ移行、可用性、セキュリティ、コンプライアンスなど、すべての要件を評価し、どのように役立つかを検討します。

  • ハイブリッドクラウド環境の全体にわたって、あるべき場所にデータを保持する

  • マルチベンダーのソリューションを含め、コアからクラウドやエッジまでの複雑なインフラストラクチャを管理する

  • 新しい規制や既存の規制、コンプライアンス、データ主権に関わる課題に対処する

  • ハイブリッド環境を使いこなし、イノベーションに向けてリソースを解放する

  • 設備投資と運用コストに負担をかける時代遅れのビジネスモデルから脱却する
     

従量制のAI主導型ストレージは、業界全体にとって最適なタイミングで登場しつつあります。私たちは皆、企業データが急増し、ゼタバイト単位のデータが利用されるようになり、IoTの影響が拡大していることを統計から把握しています。
しかし、考えてみてください。企業がデータエコノミーの中で成功するには、単にストレージを増やすだけでは不十分です。さらにスマートかつ柔軟で、金銭的により合理的なストレージが必要になります。それこそが、従量制のインテリジェントストレージが提供するものであり、その将来は明るいように思えます。

 

従量制のインテリジェントストレージ: リーダーのためのアドバイス

  • クラウド向けに構築され、As-a-Serviceで提供されるAI主導のインテリジェントストレージは、パフォーマンスボトルネックからセキュリティ脅威、季節的な使用率の急増、その他の変動にいたるまで、あらゆる事柄に関するリアルタイムの洞察をプロアクティブに提供します。

  • ストレージに対するオンプレミスの従量制アプローチを評価する企業は、データプライバシー、レイテンシ、コネクティビティ、先行コスト、キャパシティ管理、アジリティといった条件を考慮する必要があります。

  • 従量制課金のインテリジェントストレージは新しい可能性を切り開きます。大規模な先行投資がなくても新しいプロジェクトを立ち上げ、ITの予算編成と計画を単純化し、容量の需要変動に効率的に対処することができるようになります。
     

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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