コマツが、基幹業務システムのデータ保護環境を刷新し災害時の事業継続性を強化
コマツ 様
HPE StoreOnce Backupを採用しデータバックアップを自動化 重複排除技術により遠隔地でのデータ保護を適正回線容量で実現
"HPE StoreOnce Backupによって、適正回線容量による効率的なリモートコピーが可能となり、24時間以下のRPOが実現できたことが最大の効果だと思っています"
―コマツ
情報戦略本部テクノロジー部
部長
中島 輝 氏
コマツが、国内外のビジネスを支える基幹業務システムのデータバックアップ体制を全面的に刷新した。仮想テープライブラリ「HPE StoreOnce Backup」による統合的なデータバックアップ環境を構築し、リモートコピーによる確実なデータ保護を実現した。提案からシステム構築、運用支援までをワンストップで提供したのは、クオリカである。
業界
製造
目的
コマツの国内外の事業を支える情報システム運用継続対策(IT-BCP)。人事、経理、生産管理をはじめとする基幹業務システムのデータを遠隔地のバックアップサイトで確実かつ効率的に保護し、事業継続に必要なRPO(目標復旧時点)を実現すること。
アプローチ
システムごとに運用されてきたバックアップ装置を統合し、データバックアップの確実性を向上。第2コンピュータセンタを準備し、遠隔地でのデータ保護を行うことでIT-BCPを確立する。
ITの効果
・基幹業務システムのデータバックアップをHPE StoreOnce Backupに集約
・重複排除テクノロジーにより伝送データ量の削減と暗号化を実現
・HPE Data Protectorソフトウェアにより日次のバックアップとリモートコピーの手順を自動化
・24時間以下のRPOに基づくデータ復旧体制を確立
ビジネスの効果
・T-BCPの確立によりビジネス継続の確実性を向上
・バックアップ自動化により業務負荷の軽減と確実なデータ保護を実現
・基幹業務データに加えCAD設計図面情報のDR対応も推進
・豊富な運用経験に基づくクオリカの運用改善提案を実践
チャレンジ
東日本大震災をきっかけに情報システム運用継続計画を推進
コマツは、いわずと知れた建設・鉱山機械の国内トップメーカーである。売上の8割を世界市場で獲得するグローバル企業でもあり、「ダントツ商品」と呼ばれる強力な商品ラインアップと充実したサポートサービスによって、この15年でアジア圏を中心に売上げを拡大している。遠隔地の建設機械の稼働状況をリアルタイムで管理する「KOMTRAX」や、現場に関わるすべてのものをICTで結ぶ「スマートコンストラクション」など、顧客企業を支援する革新的なソリューション開発にも積極的だ。
コマツの基幹業務システムは、社内データセンターである「コマツコンピュータセンタ」で運用されている。2012年、コマツは基幹業務システムのデータバックアップ環境の全面見直しに着手した。コマツのIT戦略を指揮する執行役員情報戦略本部長の山根宏輔氏は、その背景を次のように語る。
「きっかけは東日本大震災でした。コマツコンピュータセンタの一部設備が被災したことから、『IT-BCP対策』が喫緊の課題として浮かび上がったのです。調査の結果、直下型地震の場合は多くのシステム機能がマヒし、国内はもとより海外での業務遂行とコミュニケーションに深刻な影響を及ぼすことが判明しました。グローバル企業に求められる高い事業継続性を実現するためには、災害時の迅速で確実な復旧を主眼とする新たなバックアップ体制への移行が必須だったのです」
2012年12月、山根氏を中心として情報戦略本部が起案した「IT-BCP対策」が、経営陣や社内キーマンから構成されるステアリングコミッティーの承認を受けた。対策の中心は、基幹業務システム全データの確実な保護、そしてDRサイト「第2コンピュータセンタ」を業務復旧の拠点とすることだった。
「基幹業務システムにおけるRPO(復旧ポイント目標)は24時間と設定しました。これは、第2コンピュータセンタ内に、直近24時間のバックアップデータが常に保護され、いつでもリストアできる状態にあることを意味します。高速かつ確実なデータバックアップとリモートコピー、迅速なリストアが可能な新しいバックアップシステムが不可欠でした」(山根氏)
この要求に応えたのは、ITホールディングスグループのクオリカである。クオリカの提案は、優れたバックアップ/リストア性能と、最先端の重複排除テクノロジーを備えた仮想テープライブラリー「HPE StoreOnce Backup」だった。
コマツ
執行役員
情報戦略本部長
山根 宏輔 氏
コマツ
情報戦略本部
テクノロジー部
部長
中島 輝 氏
コマツ
情報戦略本部
テクノロジー部
システム運用グループ
大橋 紘貴 氏
ソリューション
HPE StoreOnce Backupを採用し適正回線容量でのリモートコピーを実現
コマツの基幹業務システムは、Windows、Linux系、UNIX 系といった複数のプラットフォーム上に構築されている。バックアップ方式もプラットフォームやシステムごとに異なり、ディスク装置とテープ装置が混在していた。情報戦略本部テクノロジー部 部長の中島輝氏は、「複雑化したバックアップ環境の整理・統合がIT-BCP対策の大前提だった」と話す。
「特に問題だったのはテープバックアップの運用でした。手間も時間もかかる上、物理的なトラブルや人的なミスといった不確実性を排除できないテープ運用では、IT-BCP計画の要求には応えられないと考えました」(中島氏)
コマツの「IT-BCP対策」では、バックアップデータは第2コンピュータセンタへ、日次でリモートコピーされることが定められた。しかし、伝送しなければならないデータ量の多さが課題として立ちふさがった。
「基幹業務システムからは、毎日膨大な更新データが発生しています。必要最小限の通信回線を利用して、確実にバックアップデータを伝送する方法が必要でした」(中島氏)
「バックアップ環境のシンプル化」「確実なリモートコピー」―この課題を解決したのがHPEStoreOnce Backupである。クオリカ 産業事業本部 第一事業部 基盤ビジネス部 主幹の安田勝氏は、提案のポイントを次のように語る。
「第1のポイントは、HPE StoreOnce Backupによるディスクバックアップ環境への移行と統合化です。煩雑なテープ装置の運用を一掃してバックアップ手順を自動化し、データバックアップにかかる時間の短縮と確実なデータ保護が可能になります」(安田氏)
第2のポイントは、リモートコピー時の伝送量の問題の解決である。安田氏は次のように続ける。「HPE StoreOnce Backupの重複排除テクノロジーを高く評価しました。重複排除によってバックアップデータをスリム化しておけば、第2コンピュータセンタへの伝送量を大幅に削減できます。基幹業務の膨大なデータを遠隔地で保護することが可能になったのです」
24時間と設定されたRPOを確実に実行可能で、最も投資対効果に優れたソリューションが、HPE StoreOnce Backupをベースにしたクオリカの提案だった。2014年2月からシステム構築がスタートした。
重複排除によってDRサイトへの伝送データを1/7に削減
既存のテープ装置からHPE StoreOnce Backupへの切り替えはスムーズに進んだ。システム移行を担当したクオリカ クラウドサービスセンター クラウドビジネス推進室 主任の荒木一匡氏は、「サーバーのバックアップ先をテープ装置からHPE StoreOnce Backupに切り替えるだけでした。他社製品では接続時の稼働確認が必須ですが、HPE StoreOnce Backupは様々なメーカーのサーバーとも親和性が高く、検証はかなり容易に進めることができました」と振り返る。
日次のバックアップとリモートコピーは、HPE Data Protectorソフトウェアによってスケジューリングされた。HPE Data Protectorは、HPE StoreOnceBackup Systemと連携しネットワーク負荷を抑えながら効率的にバックアップを実行。複数のサーバーを対象に、統合的かつ自動化されたバックアップ環境を実現している。
第2コンピュータセンタではすべてのプラットフォームを対象にリストアの検証が重ねられた。すべてのデータが正しく復元され、業務復旧が確実に行えることを確認した上で、2015年2月にHPE StoreOnce Backupによるリモートコピーの実運用が始まった。情報戦略本部 システム運用グループの大橋紘貴氏は、重複排除の効果に注目する。
「一般に、頻繁に更新される基幹業務システムのデータは重複排除の効果が出にくいものですが、HPE StoreOnce Backupの場合は約1/7という重複排除率を達成しています。リモートコピー時には重複排除後のデータだけを送るため、実際の伝送量を大幅に削減することができました。当初の想定よりも回線容量を消費しないことがわかりましたので、今後対象となるシステムやデータが増えても安心して対応できます」(大橋氏)
クオリカ株式会社
産業事業本部
事業部
基盤ビジネス部
主幹
安田 勝 氏
クオリカ株式会社
クラウドサービスセンター
クラウドビジネス推進室
主任
荒木 一匡 氏
ベネフィット
設計図面情報もバックアップとDRの対象に
現在、コマツのIT-BCPシステムは、順調にバックアップとDRサイトでのデータ保護を実行している。万一、メインのコンピュータセンタに何らかの問題が発生した際には、HPE StoreOnce Backupに保護されている24時間以内の基幹業務データを元に、第2コンピュータセンタのバックアップシステムが立ち上がり、国内外の事業所からのアクセスが切り替わる仕組みが構築されている。DRサイトである第2コンピュータセンタは、メインのコンピュータセンタから300km以上離れた他の電力会社の管内に構築されている。これにより、東日本大震災後に発生したような広域に渡る電力不足のリスクを排除している。
今回のプロジェクトを振り返って、中島氏は成果を次のように評価する。
「遠隔地でのデータ保護のために莫大な回線費用をかけることを躊躇していました。HPE StoreOnce Backupによって、適正回線容量による効率的なリモートコピーが可能となり、24時間以下のRPOが実現できたことが最大の成果だと思っています。現在は生産管理、人事といった基幹業務システムが対象ですが、今後はCADシステムの設計図面情報にも適用を拡大していく考えです」(中島)
最後に、山根氏が次のように締めくくった。
「ユーザーに対して、安心安全なITサービスを提供することは私たちの不変のミッションです。今後は、複雑に連携しているコマツ情報システム全体の運用の最適化とともに、全体視点でのIT-BCPの確立も必要になってくるでしょう。クオリカと日本ヒューレット・パッカードには、技術力と製品力をフルに発揮して今後もコマツのIT-BCPを支援していただきたいと思っています」
ご導入企業様
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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導入製品
HPE StoreOnce 4500 24TB Backup
HPE Data Protector