IGLグループが、教育・福祉事業を支えるDRシステムを構築
社会福祉法人 IGL学園福祉会 様
HPE StoreOnce Backupを採用し、遠隔地データ保護の自動化運用を実現、ディスクバックアップ環境への移行で、データ保護の確実性も向上
業界
福祉
目的
グループ各事業体の基幹業務を支える本部業務システムのデータ保護。災害時の確実なデータ復旧のため、地理的に離れた拠点と結んだDRシステムを構築する。また、人的な運用を前提にしたテープメディア運用から脱却することで、バックアップ業務の負荷軽減と確実なデータ保護を実現する。
アプローチ
仮想サーバー、物理サーバーごとに運用されてきた複数のテープバックアップ環境を、ディスクベースの仮想テープライブラリに統合。日次のデータバックアップ作業、遠隔地のDRサイトへのレプリケーション作業を自動化することで、本部業務システムとDRシステムの効率的な運用を行なう。
ITの効果
・HPE StoreOnce Backupを採用し、仮想サーバー、物理サーバーのバックアップを統合
・バックアップソフトウェアと運用手順の変更なしにディスクバックアップ環境へ移行
・バックアップ作業時間を8時間から4時間に短縮
・優れた重複排除効果によりバックアップデータ量を最大1/40に削減
・データ量の削減により低帯域のVPNによるレプリケーションが可能に
ビジネスの効果
・テープ運用に伴うトラブルやミスを一掃しバックアップ業務の品質向上を実現
・作業手順の自動化により、運用負荷を大幅に軽減
・日次の確実なレプリケーションによりデータ復旧の確実性を担保
・低帯域のVPNの利用により回線費用を大幅に節約
・大塚商会によるワンストップサポート対応により問題解決を迅速化
チャレンジ
グループの事業継続の鍵を握る福祉系業務システムのデータ保護
IGLグループは、広島県有数の教育・福祉グループである。キリスト教精神にもとづく「隣人愛」を理念として、60もの事業体が高齢者福祉、保育教育、専門学校、医療・健康関連事業を展開している。医療福祉専門学校の運営や海外留学生の受入れなど、福祉分野の人材育成にも積極的に取り組んでいる。
IGLグループでは、介護保険や財務、人事システムなど、共通の基幹業務システムをグループ本部に置き、VPNを介して各事業体に提供している。全グループのIT運用に携わる社会福祉法人IGL学園福祉会本部長補佐加登誠一氏は、そのデータ保護が一般企業以上に大きな課題だったと語る。
「福祉関連の事業では、介護保険への請求や国または自治体の補助金制度の利用にあたり、サービス実施記録などの証跡データが欠かせません。万一、それらを失えば事業継続に関わるのです」(加登氏)
2014 年春、基幹系システムの全面リプレースにあたって、加登氏は日常のデータ保護から災害対策までを含むデータバックアップ環境の刷新を主要課題として掲げた。
社会福祉法人 IGL学園福祉会
本部長補佐
加登 誠一 氏
株式会社大塚商会
広島技術グループ
テクニカルサポ―ト課
テクニカルエンジニア
石津 拓郎 氏
ソリューション
HPE StoreOnce Backupを採用し本部のバックアップ業務を刷新
この課題をクリアしたのが、大塚商会広島支店が 提案した仮想テープライブラリ「HPE StoreOnce Backup」である。同社のテクニカルエンジニア 石津拓郎氏は提案内容を次のように紹介する。
「テープからディスクバックアップへの移行による バックアップ業務の効率化と、低帯域のネットワー クを利用してリーズナブルなコストで運用できる DRシステムが、提案のポイントでした」(石津氏)
2015年6月から稼働したディスクバックアップ 環境の成果を加登氏は次のように語る。
「作業手順を自動化したことで、テープの入れ替え などの煩雑な作業から解放され、運用負荷を大 幅に軽減できました。テープ運用につきまとって いた物理的なトラブルやヒューマンエラーも一掃 でき、作業品質も向上しています」(加登氏)
バックアップは、複数の仮想サーバー、物理サーバーに対して毎日実行しなければならない。ディスクバックアップに移行したことで、この作業を同時に行えるようになった。その成果は、作業時間の短縮となって現れている。
「毎日8時間かかっていたバックアップ作業が、わずか4時間で完了します。HPE StoreOnce Backupは、複数のバックアップジョブを同時に実行してもパフォーマンスが落ちず、このような運用に最適です」(加登氏)
重複排除によるデータのスリム化で低帯域レプリケーションを実現
DRサイトとしては、風水害の影響を受けない高台にあるIGLグループの施設が選ばれた。事業継続に必要なRPO(目標復旧時点)は24時間。日次で集約されたバックアップデータを、同日中にレプリケーションする方針で臨んだ。最大の課題は、毎日1.3~1.4TBにも達するバックアップデータをいかに確実に、そして回線コストをかけずにDRサイトに送るかということだった。
「決め手はHPE StoreOnce Backupの重複排除テクノロジーでした。バックアップデータを伝送前に圧縮することで、低帯域のVPN回線の利用が可能になったのです。重複排除率は最大1/40にも達しており、全サーバーのデータをわずか2時間程度で送ることができます」(加登氏)
事業継続の観点からは、バックアップデータの最新性を保証できるようになったことが大きいと、加登氏は語る。
「以前は職員がテープを運んでいましたが、日常の運用業務に追われ、この作業が後回しになることも少なくありませんでした。不確実な人手による運用を廃し、作業を自動化したことで、最新データに基づいたデータ復旧が可能になりました」(加登氏)
DRサイトのHPE StoreOnce Backupには常に7日分のデータが保管され、万一本部が被災した場合は、いつでも復旧できる。2015年10月には、実データを用いたリストア検証が行われ、確実なデータ復旧が確認されている。
ベネフィット
事業継続の基盤を活かした災害時の業務シナリオを策定
加登氏は、今回の成功の要因として大塚商会の活躍を掲げる。
「HPE StoreOnce Backupの実機を使った検証やヒアリングによって事前に問題点が整理されていたため、導入時のトラブルは皆無でした。技術者のレベルも高く、個別の問題にもスピーディに対応してくれました」(加登氏)
石津氏は、「大塚商会では、社内の専任チームが自社の豊富なお客様事例の中から問題解決のためのノウハウや方法論を抽出し、ナレッジとして提供している」として、この専任チームと連携することで、今回のHPE StoreOnce Backupのスムーズな導入も可能になったと語る。今後、大塚商会のサービス&サポートプログラム「たよれーる」とHPの保守サービスを連携させて、保守窓口の一本化も図っていくという。
加登氏は今後の予定を次のように述べて締めくくった。
「HPE StoreOnce Backupによって、データを安全に管理し事業を継続していく基盤ができました。今後は、災害時の業務シナリオを想定し、その基盤を100%活かし切れるようなDR運用体制を構築していきます。自動化運用による運用負荷の軽減によって、そういった戦略立案に取り組めるようになったことも大きな成果だと思います」
ご導入企業様
社会福祉法人 IGL学園福祉会 様
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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