セゾン情報システムズが、金融業界向けクラウドサービスを支えるストレージ環境の自律運用を推進
株式会社セゾン情報システムズ 様
所在地:東京都港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティAIR 19F
URL:https://home.saison.co.jp/
HPE Nimble StorageとHPE InfoSightを採用し、高度な障害予兆検知によりプロアクティブな保守体制を確立
"HPE Nimble Storage/HPE InfoSightが、パブリッククラウドに比肩する『手間のかからない運用』を実現したことは注目すべき事実と言えます"
―株式会社セゾン情報システムズ Fintechプラットフォーム事業部 Fintechインフラサービス部 クラウドインテグレーショングループ 菅原 潤二 氏
セゾン情報システムズが、金融・クレジットカード業界向けに提供するクラウドサービス「SAISOS」のストレージ環境を増強した。新たに採用された「HPE Nimble Storage」は、ハードウェアレベルでの優れた耐障害性を備え、業界最先端の予測分析テクノロジー「HPE InfoSight」を実装した新世代ストレージである。セゾン情報システムズでは、20台規模の既存ストレージを段階的にHPE Nimble Storageに置き換えていく計画だ。本プロジェクトを全面的に支援したのは兼松エレクトロニクス(KEL)である。
業界
IT
目的
クラウドサービス「SAISOS」のストレージ基盤更新。顧客サービスの品質を向上させるとともに、ストレージシステムの運用にかかる負荷を軽減する。
アプローチ
優れた耐障害性と障害予兆検知機能を備えたストレージ製品を採用し、ストレージ環境の自律運用と問題発生前に対処可能な保守フローを確立する。
ITの効果
・HPE Nimble Storageを採用し「トリプルパリティRAID」による耐障害性に優れたストレージ基盤を構築
・予測分析テクノロジー「HPE InfoSight」を活用し、サービス影響を及ぼす問題が発生する前に対処可能に
・問題の予兆検知を起点に、自動通報、HPEサポートチームからのアドバイス、保守対応に至るフローを整備
・使い慣れたVMware vCenterからストレージ環境の統合的な運用が可能に
ビジネスの効果
・ストレージ運用にかかる工数を低減しながら、クラウドサービスSAISOSのサービス品質を向上
・ストレージおよびITインフラ全体の運用自動化・パフォーマンス最適化を推進
チャレンジ
クラウドサービス「SAISOS」のストレージ基盤を更新
Fintechプラットフォーム、流通ITサービス分野で強みを持つセゾン情報システムズが、新領域へのチャレンジを加速させている。ブロックチェーンを活用した取り組みでは、様々な企業と協力しながら革新的なサービスを創出。国内シェアNo. 1を誇るデータ連携プラットフォーム「HULFT」は、IoTデータ連携機能の強化により新市場を開拓している。Fintechプラットフォーム事業部の取り組みについて、Fintechインフラサービス部 部長の日野洋氏は次のように話す。
「クラウド型ホスティングサービスとして2011年にサービス提供を開始した『SAISOS』は、お客様固有の要件に応え続ける中で、プライベートクラウドとしての性格を強めながら進化してきました。多様な要求に対し最適なサービス品質と価格でお応えするために、SAISOSのサービス基盤には長年培ってきたマルチベンダー環境の最適化技術とノウハウを投入しています」
SAISOSは、クレジットカード事業者をはじめ金融業界向けのサービス系システムを多数収容している。ミッションクリティカルな決済基盤、これと連携するサブシステム、ユーザー企業の業務系システムまで、サービス基盤に求められるSLAおよびコスト要件は実に幅広い。
「2019年初頭から、サポート終了が近づくおよそ20台のストレージ環境の更新を進めています。目指したのは、お客様に提供するサービス品質の向上と運用負荷軽減の両立です。これを実現するにはストレージ運用の自律化・自動化を進めることが不可欠と考えました。私たちが着目したのは、最新のストレージ製品が備える『AIベースの予兆検知機能』です」(日野氏)
日野氏らが注目した製品は、業界最先端の予測分析テクノロジー「HPE InfoSight」を実装したHPE Nimble Storageである。兼松エレクトロニクス(KEL)が本製品の導入プロジェクトを全面的に支援。2019年4月、第1期として4システムのHPE Nimble Storageが導入された。
株式会社セゾン情報システムズ
Fintechプラットフォーム事業部
Fintechインフラサービス部
部長
日野 洋 氏
ソリューション
予測分析テクノロジー「HPE InfoSight」がストレージの保守フローを変革
セゾン情報システムズが採用したHPE Nimble Storageの優位性は、99.9999%以上(年間停止時間約23秒)という驚異的な稼働率にあらわれている。これを支えているのが「HPE InfoSight」ある。このAIベースのグローバルインテリジェンスは、世界中で稼働するHPE製品の1,250兆というデータポイントからセンサー情報や稼動情報等を収集しながら学習し続けている。KELの関口忠宏氏が次のように説明する。
「HPE Nimble Storage最大の特長は、『HPE InfoSight』が問題の予兆を高精度で自動検知し、適切な対処方法を示してくれることです。これにより、障害が発生して稼働に影響が及ぶ前に確実な保守対応が可能になります」
実際の手順はおおよそ次のようになる。HPE InfoSightによる検知を起点に、まずユーザー企業へアラートメールが自動送付される。ここでの連絡内容はパッチ適用の推奨から障害予兆の通知まで幅広い。速やかな対応が求められるアラートに関しては、HPEサポートチームから具体的な対処方法が案内される。続いて、部品交換など必要に応じてHPEのフィールドエンジニアが対応し、問題が顕在化する前に解決する。
「HPE InfoSightの実効性を確認するために、テスト段階で意図的にケーブルを抜き挿ししたところ、直後にHPEサポートチームから具体的な対処方法について連絡があり驚かされました」とクレジットインフラグループの菅原潤二氏は振り返る。
HPE InfoSightはHPE Nimble Storageの稼働情報やログを自動収集・分析しており、HPEサポートチームは常にセゾン情報システムズの環境を正しく把握している。従来の保守サービスのように、ログの提供や症状を説明するような手間は不要だ。HPEでは、HPE InfoSightにより「解決策の提供によって86%のケースが自動的にクローズされている」としている。
「HPE InfoSightの予兆検知を起点に、自動通報、HPEサポートチームからのアドバイス、保守対応に至るフローが確立され、問題解決までのスピードと確実性が大きく向上しました。問題が顕在化する前に解決できる安心感は、何物にも代え難いものです」と菅原氏は評価する。
クロススタック分析によりパフォーマンスボトルネックを特定
セゾン情報システムズは、サービス基盤のプライマリーストレージとして「HPE Nimble Storage HF40」を採用し、旧環境からの移行を進めている。同モデルは、SSD/HDDのハイブリッド構成によってコストを抑えながら100,000 IOPSという高い性能を発揮する。また、開発・検証機としては、22,500 IOPSのHPE Nimble Storage HF20を採用している。
「HPE Nimble Storageは、ディスク3本で同時に障害が発生してもデータロストしない『トリプルパリティRAID』を備え、コントローラー障害時の交換やファームウェア更新もほぼ無停止で行えます。ハードウェアレベルでの優れた耐障害性と、予測分析テクノロジー『HPE InfoSight』が組み合わせ、99.9999%という稼働率を達成しているのです」とKEL 関口氏は話す。
また、無償で提供される「HPE InfoSight VMVision」によるクロススタック分析では、HPE Nimble Storageと仮想マシン間に発生するパフォーマンスボトルネックを特定し、迅速に解決の手段を講じることができる。
「仮想化環境では、たとえばシステムのレスポンスが悪化したとき、その原因がストレージやサーバーの不調によるものか、特定の仮想マシンが高負荷なのかを即座に見極めるのは容易ではありません。クロススタック分析を利用すれば、遅延の発生している箇所やその原因をひと目で確認できます」(KEL 関口氏)
HPE InfoSightは、ストレージの範疇を超えてVMware環境を可視化し、パケットロスやサーバールームの温度上昇まで検知できる。特定の仮想マシンの高負荷が他の仮想マシンの性能に悪影響を及ぼす「ノイジーネイバー問題」を未然に防ぐことも可能だ。
「有償のVM監視ツールを使わずに、仮想マシンの状況まで可視化できることに大きなメリットを感じています。また、使い慣れたVMware vCenterからHPE InfoSightの機能を使えること、仮想マシンとストレージのセットアップを一貫して行えることも嬉しいですね」とクラウドインテグレーショングループの吉田慧氏は話す。
旧環境からHPE Nimble Storageへの移行作業は順調に進展しており、今年度中には第1期の移行を完了する予定だ。
株式会社セゾン情報システムズ
Fintechプラットフォーム事業部
Fintechインフラサービス部
クラウドインテグレーショングループ
菅原 潤二 氏
株式会社セゾン情報システムズ
Fintechプラットフォーム事業部
Fintechインフラサービス部
クラウドインテグレーショングループ
吉田 慧 氏
兼松エレクトロニクス株式会社
ビジネス開発本部
ビジネス戦略室
エンタープライズセールスグループ
シニアスペシャリスト
関口 忠宏 氏
ベネフィット
AIを活用したデータセンター自動化と最適なハイブリッドクラウドの実現
セゾン情報システムズでは、様々な先進テクノロジーを活用して顧客に提供するソリューションの価値を高めている。AI/ディープラーニングへの取り組みもそのひとつだ。日野氏は次のように話す。
「Fintechプラットフォーム事業部では、人に依存している業務の自動化にAI/ディープラーニングを適用する取り組みを始めています。また、全社の大きな方針としては、データセンターの運用自動化や、SAISOSに最適なハイブリッドクラウドの実現も重要なテーマとなってます」
高精度の障害予兆検知とパフォーマンス自動最適化に威力を発揮するHPE InfoSightは、AI/IoTの先進事例として紹介される機会が多い。HPE Nimble StorageやHPE 3PAR StoreServでその威力は実証済みだ。2019年7月には、HPE InfoSightの適用範囲をHPE SynergyやHPE ProLiant Gen10サーバーにも拡大している。
「HPE InfoSightは、AIを活用した運用自動化に向けて私たちに大きなヒントを示してくれました。高精度の予兆検知が真にプロアクティブな保守対応を可能にし、お客様サービスの品質向上と運用負荷の軽減に寄与することを期待しております。将来に向けてシステム運用の自動化は不可欠であり、インフラ機器選定時の評価基準のひとつとなるべきものと考えています」(日野氏)
キャッシュレス化の潮流の中で、金融・クレジットカード業界は大きな変革期を迎えている。ミッションクリティカルなカード決済サービスと、これを補完しつつライバルと差別化する新サービスの開発競争はさらに激しさを増すだろう。
「高いサービス品質の求められるシステムをプライベートクラウドで、スピードが優先されるシステムをパブリッククラウドで、というのがこれまでの基本方針でしたが、テクノロジーの進化とともに『何が最適か』は常に変化しています。そうした中、HPE Nimble Storage/HPE InfoSightが、パブリッククラウドに比肩する『手間のかからない運用』を実現したことは注目すべき事実と言えます」(菅原氏)
日野氏が次のように語って締めくくった。
「お客様の要求に、様々なテクノロジーを適材適所で組み合わせてお応えできることが私たちの強みであり、この強みを活かしたハイブリッドクラウドの実現を目指していきます。兼松エレクトロニクスと日本ヒューレット・パッカードには、優れた問題解決力と最先端のテクノロジーで、お客様と私たちにとって最適なハイブリッド環境の実現を支えてくれることを期待しています」
ご導入製品情報
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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導入ハードウェア
HPE Nimble Storage