HPE Nimble Storageを新たに導入し市役所業務を支える高性能仮想化基盤を確立
小千谷市役所 様
所在地:新潟県小千谷市城内2-7-5
システム負荷増大への対応と運用効率化を実現
"市の業務を支える仮想化基盤には、性能・容量・信頼性などあらゆる面で高いレベルの能力が求められます。HPE Nimble Storageは、こうした厳しい要求にもしっかりと応えてくれています"
―小千谷市役所
総務課 情報統計係
係長
大渕 和美 氏
新潟県・小千谷市では、市役所業務の中核を担う仮想化基盤の全面刷新を実施した。政府が推進するセキュリティ強靱化に伴って生じた性能問題を解消し、効率的に業務が行える環境を実現するのが狙いだ。新仮想化基盤用ストレージには、「HPE Nimble Storage」のハイブリッドモデルを採用。高い性能・信頼性を最適なコストで実現すると同時に、「HPE InfoSight」による運用効率化/安定稼働維持にも成功している。
業界
行政
目的
グループウェアや文書管理システム、部門業務システムなどを収容する仮想化基盤の性能/容量不足を解消し、今後の市役所業務をしっかりと下支えする高性能・高信頼インフラを実現する。
アプローチ
新仮想化基盤用ストレージに「HPE Nimble Storage」を採用し、大量の業務システム群を余裕で収容できる環境を構築。「HPE InfoSight」のリモート監視や予兆分析機能を活用し、運用管理の効率化も推進。
ITの効果
・仮想化基盤用ストレージを「HPE Nimble Storage」で新たに構築
・AI/ビッグデータによる予測分析機能を備えた運用管理ツール「HPE InfoSight」でストレージ運用を効率化
・高い効率と性能を誇るインライン圧縮機能により、ストレージリソースの有効活用を実現
・ハイブリッドモデルを採用することで、最適なコストで性能要件を満たすことに成功
ビジネスの効果
・仮想化基盤の性能・信頼性を大幅に改善することができた
・市職員の運用管理負担が軽減され他の業務に力を注げるようになった
・年々加速するデータ容量増加にも余裕で対応できるようになった
・データ容量を約3割削減するなど、IT投資対効果の向上を実現
セキュリティ強靱化への対応で仮想化基盤の負荷が増大
新潟県のほぼ中央部に位置し、約4万人弱の人口を擁する小千谷市。ユネスコ無形文化遺産に登録された麻織物「小千谷縮」や布海苔をつなぎに利用した「へぎそば」など、各種の伝統工芸品/名産品の産地としても広く知られている。また、同市では、地域の伝統に根ざした様々なまつり・イベントも開催。夏の「おぢやまつり」や、世界最大の四尺玉花火を打ち上げる「片貝まつり」には、毎年数多くの観光客が訪れる。加えて、新潟県中越地震の際に錦鯉の生産地である東山地区が大きな被害を受けたことから、2014年に錦鯉を復興のシンボルとなる市の魚として制定。現在では生産量も回復し、国内外で高い評価を獲得している。
その同市の行政活動をITの側面から支えているのが、情報システム部門の役割を担う総務課 情報統計係だ。同市 総務課 情報統計係 係長 大渕 和美氏は「当部門では、庁内システム/ネットワークの企画・運用や文書に関する事務、国・県が実施する統計調査への対応など、様々な業務を担当しています。現在では、ITを抜きに市の業務は成り立たなくなっていますので、インフラの信頼性・安定性確保には細心の注意を払っています」と説明する。ちなみに同部門では、地域情報化にも積極的に取り組んでおり、これまでブロードバンドサービスが提供されていなかった前述の東山地区に対し、東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)との公設民営によるFTTH網整備を実施している。これにより「海外のバイヤーに動画で錦鯉の情報を届けたい」といった生産者の要望にも応えられるようになったという。
ただし、こうした取り組みを進める一方で、解決すべき課題もまた存在していた。それは、グループウェアや文書管理システム、ネットワーク管理系システム、各種部門システムなどの業務システムを収容する仮想化基盤の環境改善だ。大渕氏は「当市は、政府が推進した自治体情報セキュリティ強靭化により、庁内のシステムをインターネット接続系、LGWAN接続系、個人番号利用事務系の3つに分割しました。これに伴って、Active DirectoryやDNS、DHCP、Windows Server Update Services、ウイルス対策用サーバーといった、ネットワーク管理系サーバーの台数も3倍に増加しました。さらに、二要素認証やログ取得などの新システムも追加されたため、仮想化基盤の負荷が大幅に増大。性能・容量の両面で、そろそろ限界に達していたのです」と振り返る。
小千谷市役所
総務課 情報統計係
係長
大渕 和美 氏
Nimble Storageを採用しストレージ環境を刷新
幸い、まだ現場部門の業務にまで影響が生じるような事態には至っていなかったが、仮想化基盤は市役所の全職員が利用する重要なインフラである。万一トラブルが起きてからでは遅いため、同市としても改善に乗り出した。「新仮想化基盤の構築にあたっては、『性能要求を満たせる高いパフォーマンス』『自治体システムに欠かせない信頼性・可用性の確保』『障害対応や運用管理の効率化が図れること』『コストをできるだけ抑えること』の4点を要件として掲げました」と大渕氏は説明する。中でも運用管理については、ストレージの障害時に通知されるアラートメールへの対応が課題となっていたとのこと。通知が送られてくるのはいいのだが、その後の原因調査や対応作業などは結局人手で行う必要があり、工数が増える原因になっていたのだ。「粛々と対応はしていましたが、こうした作業をしなくて済むのなら、それに超したことはありません」と大渕氏は続ける。
このような要件を満たす製品として新たに導入されたのが、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)のシンプル&高性能ハイブリッドストレージ「HPE Nimble Storage CS1000」(以下、Nimble Storage)である。今回のソリューション提供を担当したNTT東日本 新潟支店SE担当 山本 英行氏は、NimbleStorageを提案した理由を「仮想化基盤の環境改善を図る上では、ストレージの機能が重要なポイントとなります。特に、Nimble Storageには、クラウドベースの監視機能や予兆分析などの機能を備えた運用管理ツール『InfoSight』が用意されており、障害が起きる前に先んじて手を打つことができます。このように適切な初動対応が行えるということは、システムの安定稼働を維持する上でも非常に大事です」と語る。また、同 新潟支店営業担当 皆川 幸夫氏も「行政機関のシステムに問題が起きるようなことがあると、市民サービスにも大きな影響が出てしまいます。その点、Nimble Storageは、高い性能と信頼性も兼ね備えていますから、小千谷市様の課題を解消する上でベストな製品と考えました」と続ける。
NTT東日本新潟支店
営業担当
皆川 幸夫 氏
NTT東日本新潟支店
SE担当
山本 英行 氏
事前検証で高い処理能力を実証 InfoSightの特定通信も許可
今回のプロジェクトにハイブリッドモデルを選択した大きな理由として、Nimble Storageの独自ファイルシステム「CASL」が挙げられる。ここではストレージに内蔵されたSSD/HDDへのアクセスを最適化することで、オールフラッシュ・ストレージ並のパフォーマンスを実現。コストを抑えつつ、性能要件を満たすことができるのだ。「初期には別のストレージも検討しましたが、お客様の要望を満たそうとすると費用が高額になってしまう点がネックでした。その点、Nimble Storageなら、性能・容量・コストのバランスがうまく取れた形で、高性能・高信頼ストレージ基盤を実現できます。当社としても、非常に良い製品と出会えたと感じていますね」と山本氏は語る。今回同市では、他社提案との比較も行っているが、そこでもNimble Storageの評価が一番高かったとのことだ。
ただしNTT東日本新潟支店としても、今回が初のNimble Storage案件となるだけに、徹底的な情報収集や検証・テストを事前に実施している。そこでの結果も、非常に良好だったとのこと。山本氏は「当社ではシステム構築用の検証環境を保有していますので、そこにNimble Storageと別のストレージ2台を用意して、ベンチマークテストを行ってみました。すると、Nimble Storageは、他の製品より2倍くらい処理能力が高かった。いままでも同様の検証をしばしば行っていますが、これほど明確な差が付いたケースはあまりない。最初は何かの間違いではと思ったほどです」と語る。
こうしてNimble Storageの実力を確信した同社では、早速本番システムの構築作業に着手。2018年10月より、無事本番稼働を開始している。具体的な構成としては、前述の通りストレージにCS 1000を採用。また、サーバーにも「HPE ProLiant DL380 Gen10」×2台が採用されている。システム構築面での工夫としては、まずInfoSightのリモート監視を特定通信として認めた点が注目される。「自治体の情報インフラに関しては、庁内システムが外部と通信を行うことを一部認めていません。当市は、InfoSightへの通信について、県の関係部門へ確認の上、Nimble Storage管理ポートとInfoSightの通信をLGWAN接続系、個人番号利用事務系のネットワークとは分離することで、問題なしと判断しました。機器の稼働情報のみの送受信であり、可用性を確保する上でも必要な通信です」と大渕氏は語る。また、旧基盤で利用していた「HPE ProLiant DL385p Gen8」を消防本部に移設し、新仮想化基盤との間で遠隔レプリケーションを実施。既存資産の有効活用を図りつつ、災害対策や事業継続性の強化を実現している。「新潟県中越地震を経験した当市では、災害への備えを非常に重要なテーマとしています。当時は庁内システムが大きな被害を受けるようなことは無かったものの、だからといって油断はできません。その点、今回は、既存サーバーをうまく活用して災害対策環境を実現することができました」と大渕氏は語る。ちなみに、市役所庁舎や消防署のネットワークを支えるスイッチなどにも、「HPE Networking」製品が多数活用されているとのことだ。
大幅に向上したレスポンス 新たなニーズへの即応も実現
Nimble Storageを導入したことで、同市の業務にも様々なメリットが生まれている。まず、懸案であった仮想化基盤の性能問題が完全に解消。大渕氏は「たとえばシステムの保守/メンテナンス作業などを行う際に、サーバーへのリモート接続を行うのですが、そのレスポンスが劇的に向上しました。旧環境では、いつまで経っても画面が開かず、長時間待ち続けなければいけないようなことも多かった。しかし、Nimble Storageを導入してからは、全くストレスなく日常業務をこなせるようになっています」とにこやかに語る。前述の通り、同市ではセキュリティ強靱化対策でサーバー台数が3倍以上に増えており、Windowsなどの更新ファイルが引き起こす不具合対応などの作業量もこれに比例して増加している。もし以前のようにレスポンスが遅いままだと、とてもカバーし切れない事態に陥っていたことは間違いない。しかし、Nimble Storageの高いパフォーマンスを活かすことで、こうした状況を脱することができたのだ。
これと同時に、容量面の問題もクリアすることに成功。「以前はストレージの容量がギリギリだったため、現場部門からの要望にもなかなか応えることができませんでした。しかし、現在では十分な余裕がありますので、新たなニーズにも柔軟に対応できます」と大渕氏は力強く語る。もちろん、自治体システムに欠かせない信頼性・可用性についても、期待通りの能力を発揮。本稼働開始以来、障害やトラブルは全く生じていないとのことだ。「製品そのものの信頼性に加えて、Nimble StorageにはInfoSightによる予兆分析などの仕組みも備わっています。おかげで安心感は大幅に向上しましたね」と大渕氏は続ける。
さらに、Nimble Storageの多彩な機能も、最適なシステム運用の実現に貢献。シンプロビジョニング機能を利用してストレージ領域割り当ての工数を削減しているほか、システムの構成変更を行う際にはスナップショットで変更前の環境を残し、問題があればすぐ元の環境に戻せるようにしている。加えて、もう一つ見逃せないのが、インライン圧縮によるデータ容量削減効果だ。現時点で約3割程度のデータ量を削減できており、ストレージリソースの有効活用に大きく寄与している。「Nimble Storageは、こうしたソフトウェア機能のライセンスも込みで提供されますから、投資対効果も非常に高いですね」と山本氏。また、皆川氏も「性能・容量・信頼性の三拍子を兼ね備えたNimble Storageは、自治体や民間企業の課題を解消する上でピッタリの製品です。当社でも今回の成功を踏まえて、積極的な提案を行っていきたい」と続ける。
小千谷市としても、新たなインフラを市役所業務の効率化や市民サービスの向上に役立てていく考えだ。大渕氏は「HPEとNTT東日本のサポートには大変満足していますので、今後も引き続き同様の対応をお願いしたい。また、InfoSightの活用もさらに進めたいと考えていますので、その支援も提供してもらえるとありがたいですね」と期待を述べた。
ご導入製品情報
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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導入ハードウェア
HPE Nimble Storage CS1000