医療法人 崇徳会 田宮病院が、電子カルテシステムを導入し情報共有の精度とスピードを向上



医療法人崇徳会 田宮病院 様

 

富士ゼロックスの診療記録統合管理ソリューションとHPE MSAストレージを採用し診療品質で県内トップをめざす


"HPE MSA 2040のような信頼性の高いストレージ製品を、目的と事業規模に見合ったコストで導入できたことは有難いですね"

―医療法人 崇徳会
 法人事務局 情報システム課
 課長
 杉野 晃 氏

先進的な精神医療に取り組む田宮病院が電子カルテシステムを構築し、2015年11月から運用を開始した。その一環として、診療に不可欠な手書き文書の電子化と集中管理、電子カルテシステムとのシームレスな連携を可能にする富士ゼロックスの「Apeos PEMaster ProRecord Medical」を導入。システム基盤には、優れたコストパフォーマンスと高い信頼性を備えた「HPE MSAストレージ」を採用した。本システムの設計と構築をトータルに支援したのは富士ゼロックス新潟である。

 

業界

医療

 

目的

診療記録、同意書、紹介状など、病院内で扱う多様なドキュメント類を電子化し、集中的かつ永続的な管理を実現するとともに、必要なときに必要なドキュメントが即座に手に入る環境を実現する。

 

アプローチ

電子カルテシステムとドキュメント管理システムを統合したシームレスな利用環境を構築。導入から5年間の運用を見通した容量を確保しつつ、高信頼なデータ管理・活用・保護が可能なシステムを構築する。

 

ITの効果

・電子カルテシステム導入により医師・職員による診療記録の即時の参照を実現

・富士ゼロックスの診療記録統合管理ソリューション「Apeos PEMaster ProRecord Medical」を採用し、手書き文書も電子化して電子

・カルテシステムとシームレスな活用を可能に

・高信頼の「HPE MSA 2040/1040ストレージ」を採用しデータの安全な管理とバックアップを実現

 

ビジネスの効果

・電子カルテおよび多様な手書き書類の即時の参照が可能になり業務の効率化に貢献

・物理ドキュメントの管理や検索にかかる業務負荷を軽減し、患者を待たせないスムーズな診療が可能に

・病院全体でのドキュメントの共有が容易になり、救急診療時等の情報共有の精度とスピードが向上

・診療記録の提供・照会を起点に、将来の地域医療連携を視野に入れた電子化を推進

チャレンジ

電子カルテ導入と同時に、手書き文書の電子化に着手

 

田宮病院は1967年に開設され、新潟県長岡市を基盤に先進的な精神医療に取り組んでいる。精神病床419床、療養病床60床という県内トップクラスの規模を持つ。2015年11月に電子カルテシステムの運用を開始した。法人事務局 情報システム課 課長の杉野晃氏は、次のように紹介する。

「社会におけるストレスが原因のうつ病や、高齢化に伴う認知症などが増加傾向にあり、精神医療への要求はますます高度化・複雑化しています。田宮病院では、統合失調症、認知症、うつ病・神経症の3分野を軸に、診療の質で県内トップの病院を目指しています。この取り組みを推進するために、電子カルテシステムは大きな役割を担っていくものと期待しています」

田宮病院では、2016年2月に精神科救急病棟を設置し、24時間体制で救急入院を受け入れる準備を整えた。医師・看護師・介護福祉士をはじめ、精神保健福祉士・臨床心理士など多くの専門職員が関わる現場では、従来よりも迅速かつ効果的に情報を共有できる仕組みが求められていた。

「電子カルテシステムの検討段階で、医師や職員が必要なときに必要な診療情報を即座に入手可能になるとの期待がありました。しかし、ひとつ大きな課題があったのです。精神医療特有の紙ベースのドキュメントをどう扱うか、という難題です」とコメディカル部 診療情報管理室 医療ソーシャルワーカーの栗城孝次氏は話す。

インフォームドコンセント(十分な説明を受けた上での同意)が特に重視される精神医療の現場では、同意書に代表される多様な手書き文書が存在している。また、精神医療においては文章や図形・絵を利用した心理検査が行われることがあるが、こうした数値で表現できない検査情報は長年にわたり紙ベースで管理・参照されてきたという。

電子カルテ導入に際して、「紙の文書をいかに電子化するか」という課題に最適な解決策を示したのは富士ゼロックス新潟だった。同社営業統括部 大手営業部 大手NM営業課 課長の藤井學氏は次のように話す。

「『診療の質を向上させたい』という目的で電子カルテを導入する田宮病院様にとって、電子ファイルと紙文書を同時に扱うことはマイナス要素でしかありません。私たちは、多様な紙文書を発生時点で、発生した部署において電子化し、電子カルテ上の診療記録とシームレスに扱えるソリューションを提案しました」

富士ゼロックス新潟の提案は、診療記録統合管理ソリューション「Apeos PEMaster ProRecord Medical(以下、ProRecord Medical)」である。本システムの基盤の中核には、仮想ストレージプールを利用できる高信頼なストレージ製品「HPE MSA 2040 / 1040」が組み込まれていた。

医療法人 崇徳会

法人事務局
情報システム課
課長
杉野 晃 氏

医療法人 崇徳会 田宮病院

コメディカル部
診療情報管理室
医療ソーシャルワーカー
栗城 孝次 氏

富士ゼロックス新潟株式会社

営業統括部
大手営業部
大手NM営業課
課長
藤井 學 氏

ソリューション

ProRecord Medicalが電子ファイル/紙文書の一元管理を実現

 

富士ゼロックスが開発・提供する「ProRecord Medical」は、電子ファイル/紙文書の一元管理を実現するソリューションとして豊富な実績がある。電子カルテシステムとシームレスに連携し、院内の電子カルテ端末から即時に多様なドキュメントの参照・共有が可能になる。

「富士ゼロックス新潟のアドバイスを受けて、病院内に計30数台のスキャナーを設置し、病棟や医事会計など、紙文書が発生した各部署の職員が電子化を行う方法を採用しました。スキャナーを通して電子化されたファイルは、簡単なフォルダ操作で電子カルテシステム上の診療記録と紐づけることができます」(杉野氏)

田宮病院では、1967年の開設以来すべての診療記録を保存してきたが、2015年11月1日の電子カルテシステムとProRecord Medicalの運用開始によって、以降の診療記録はすべて電子化されることになった。

「広大な敷地に9つの病棟があるのですが、医師や職員がどこにいても、必要なときに必要な診療情報を参照できるようになりました。ある病棟で診療にあたりながら、他の病棟の職員に指示を出すようなことも可能です。また、救急入院された患者様の紹介状などを複数の職員が共有でき、診療の引継ぎが正確かつスムーズに行えるようになりました」と栗城氏は話す。

「救急医療への対応によって受診数は大きな伸びを示しましたが、職員の増員なく対応できています。これも、電子カルテとProRecord Medicalの導入効果と言えると思います」と杉野氏も評価する。

停止の許されない診療サービスを支えるHPE MSAストレージ

 

富士ゼロックス新潟がProRecord Medicalを稼働させる仮想化基盤の主要機器として選んだのは、日本ヒューレット・パッカードのストレージ&サーバー製品である。営業統括部 ソリューション営業推進部の丸山寛志氏は次のように話す。

「診療業務の質を向上させる目的で導入されたシステムです。24時間365日、休むことのない診療業務を支えるには高信頼のシステム基盤が不可欠と考えました。仮想化基盤を設計する上で工夫したのは、サービスを安定的に提供し続けると同時に、安全にデータを保護するための仕組みです。機器の選定においてはストレージ製品の信頼性を特に重視しました」

統合ストレージには、仮想ストレージプールを利用できるFC-SANストレージ「HPE MSA 2040」を採用。本システムでは、コントローラーや電源・ファンを冗長化して耐障害性を強化している。また、HPE MSA 2040は標準でコントローラーあたり 4GB のキャッシュメモリを搭載しており、停電時にはキャッシュされたデータをコンパクトフラッシュに退避させて電源不要で保護できることも注目すべきポイントだ。

「高信頼のHPE MSA 2040ストレージを採用し、これと組み合わせるサーバー側はVMware HAとvMotionで可用性を確保しています。また、HPE MSA 2040で統合的に管理するデータは、日次で自動的にバックアップされる構成としました」(丸山氏)

本システムでは、ストレージ、サーバー、ネットワーク製品を“オールHPE”とすることで、運用管理の統合化やワンストップでの保守サービスも利用可能にしている。富士ゼロックス新潟はHPE製品の取り扱い実績が豊富で、各製品に精通した技術者が多いことも田宮病院にとって大きな安心材料となった。

「HPE MSA 2040のような信頼性の高いストレージ製品を、目的と事業規模に見合ったコストで導入できたことは有難いですね。問題が発生したときは迅速に対応してもらえますので、そうした意味でも、富士ゼロックス新潟からHPE製品を導入する安心感は大きいと言えるでしょう」(杉野氏)

「日本ヒューレット・パッカードと富士ゼロックス新潟は、ProRecord Medicalを起点とするソリューション提供で緊密に連携しています。500床規模に最適なHPE MSA ストレージ、より大規模な環境にもご利用いただけるHPE 3PAR StoreServストレージなど、お客様のご要求や規模に合わせて最適なストレージ製品をご提案することができます」と藤井氏は話す。

富士ゼロックス新潟株式会社

営業統括部
ソリューション営業推進部
SE課 SE2係
係長
丸山 寛志 氏

富士ゼロックス関東株式会社

ソリューション・サービス営業部
ヘルスケアソリューショングループ
グループ長
小林 裕昌 氏

ベネフィット

地域の医療連携を視野に、診療情報のより効果的な共有へ

 

電子カルテシステムとProRecord Medicalの稼働開始からおよそ8ヶ月が経過し、田宮病院では新しい取り組みも始まっている。杉野氏は次のように話す。

「救急医療への対応を起点に、地域の医療機関との連携がかなり増加しました。電子化によって、診療情報の照会や問い合わせへの対応は飛躍的に迅速化されたと実感しています。同時に、診療情報を迅速に共有することの重要性が改めてクローズアップされました。完全にオープンな医療連携を実現するには、超えなければならないハードルがいくつかありますが、まずは医療法人 崇徳会内での情報連携を視野に入れています」

また、栗城氏は現在の取り組みを次のように紹介する。

「私たちは、患者様の自宅を訪問して支援するアウトリーチに積極的に取り組んでいます。当院の職員が訪問先でモバイル端末から診療情報を参照できるような仕組みを、ぜひ実現したいですね。これからも、地域社会に貢献しながら、地域の方々と共に歩む病院でありたいと考えています」

最後に、杉野氏は次のように語って締めくくった。

「私たちにとっては、ProRecord Medicalを含め『ひとつの電子カルテシステム』です。実際に電子カルテを利用する上で、システムの違いを意識することはありません。富士ゼロックス新潟には、ユーザーインターフェースの作り込みなどを含めきめ細やかに対応してもらえました。今後も、ドキュメントソリューションのエキスパートとして、またITのアドバイザーとしてご支援を期待しています」

ご導入企業様

医療法人 崇徳会 田宮病院 様

 

所在地:新潟県長岡市深沢町2300番地

URL:http://www.sutokukai.or.jp/tamiya-hp/