トヨタマップマスターが、デジタル地図制作システムを統合し、地図情報の高精度化・大容量化を加速

株式会社トヨタマップマスター 様

所在地:名古屋市中村区平池町四丁目60番地の12 グローバルゲート13階

URL:http://www.mapmaster.co.jp/

性能HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイを「月額定額費用化」のHPE GreenLakeフレックスキャパシティで導入

"およそ5時間を要していたバッチ処理が1時間で完了できるようになり、納品のための地図データ複製に要する時間も1/3程度まで短縮されました"

―株式会社トヨタマップマスター
 技術開発部 サービス開発室
 グループ長
 竹尾 浩志 氏

トヨタ純正カーナビをはじめ、道路交通システム等に利用される高度な地図データベースを構築しているトヨタマップマスターが、デジタル地図制作の中核を担う「地図制作基幹システム」「差分地図制作システム」両システムのITインフラを刷新・統合した。HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイを採用した統合ストレージ環境は、オンライン/バッチ処理の高速化を実現。地図制作の生産性向上に寄与するとともに、地図情報の高精度化・大容量化を支えている。注目すべきは、HPE GreenLakeフレックスキャパシティを利用し、ITインフラ機器の「月額定額費用化」を実現したことである。

 

業界

地図情報サービス

 

目的

デジタル地図制作の中核を担う「地図制作基幹システム」「差分地図制作システム」両システムのインフラ刷新。今後5年間で求められるシステム性能とストレージ容量を確保し投資対効果を最大化する。

 

アプローチ

高性能ストレージを中心に2システムを統合してインフラをシンプル化。機器の導入に際してコンサンプションモデル(IT消費モデル)を利用し、ライフサイクル全体でのコスト平準化を図る。

 

ITの効果

・HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイにより「地図制作基幹システム」「差分地図制作システム」を1システムに統合

・5時間を要していた高負荷のバッチ処理を1時間に、3時間の日次データベース複製を1時間に短縮

・データセンターのラックスペースおよび電力コストを大幅に削減、同時に運用負荷も低減

・年2回の「カーナビ用地図データ改定」における大規模な検査プロセス、納品データコピー等を高速化

 

ビジネスの効果

・CASE(コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化)時代に求められる地図情報の高精度化・大容量化に対応する制作体制を強化

・HPE GreenLakeフレックスキャパシティにより、今後5年間で求められる性能と容量を確保しつつIT資産のオフバランス化を実現

・高品質な保守サービスHPEデータセンターケアへの移行でシステムの不調がデジタル地図制作の生産性に与える影響を最小化

・HPE InfoSightによるAI予兆検知を導入し、ストレージから仮想マシンまで仮想化基盤全体の監視を強化する計画


チャレンジ

自動運転を支えるモビリティ情報基盤へ急速に進化する地図データベース

 

トヨタマップマスターは、トヨタ純正カーナビゲーションシステムをはじめ、道路交通システム等に利用される高度な地図データベースを構築するモビリティ情報基盤プロバイダーである。全国およそ53万箇所の交差点、建築物や施設、地形の変化を詳細に調査し、その変化をタイムリーに地図データベースに反映させながら地図情報サービスの精度・鮮度向上を追求している。同社 取締役である圦本昌之氏は次のように話す。

「CASE(コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化)というキーワードに象徴される通り、自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えています。私たちのチャレンジは、長年にわたり培ってきた高品質・高精度・高鮮度の地図データベース構築のノウハウを基盤に、AIやビッグデータ分析などの先進技術を採り入れながら新しいお客様価値を創出することにあります」

地図データベースの役割は、位置表示や経路案内にとどまらず、安全運転支援や自動運転、MaaS(Mobility as a Service)を実現するための「モビリティ情報基盤」へと拡大している。リアルタイムで様々な情報やコンテンツを収集・分析・統合してサービス提供するビジネスモデルへの進化は、トヨタマップマスターの成長戦略の根幹をなすものだ。

「静的な情報に加え、刻々と変化する動的な情報を大量に扱わなければなりません。私たちが提供する情報の精度・鮮度をより高い水準で両立させるために、地図データベースを支えるシステムの重要度はいっそう高まっていくでしょう」(圦本氏)

2018年、トヨタマップマスターは、地図データベースを支える2システム「地図制作基幹システム」と「差分地図制作システム」のインフラを最新化した。掲げた目標は、今後5年間で求められるシステム性能とストレージ容量の確保、そして投資対効果の最大化である。

株式会社トヨタマップマスター

取締役
圦本 昌之 氏

株式会社トヨタマップマスター

技術開発部 サービス開発室
室長
加藤 友明 氏

株式会社トヨタマップマスター

技術開発部 サービス開発室
グループ長
竹尾 浩志 氏

株式会社トヨタマップマスター

技術開発部 サービス開発室
担当員
粕谷 哲平 氏

ソリューション

地図データ編集と更新サービスを支えるミッションクリティカルなシステム

 

トヨタマップマスターの地図データベースは、100万km以上の道路データ、数百万件の規制データ、数千万件の施設データなど、数百種類にわたる膨大な情報を管理している。「地図制作基幹システム」は、現地調査により収集された道路や周辺施設(ランドマーク、建物、テナントなど)情報を位置情報と関連付けるなど、地図データベースの制作・更新プロセス全体を担う。一方、「差分地図制作システム」は、トヨタ純正カーナビの地図データのオンライン更新サービスを支えている。

「世界初のカーナビ用地図更新サービスとして、2007年にトヨタ自動車様向けの『マップオンデマンド』用差分地図の提供を開始しました。常に最新の経路探索・案内を利用できるためお客様よりご好評をいただいています。少し前の話になりますが、2018年3月に新名神高速道路の川西IC~神戸JCTが開通した際には、即日で配信された地図データを弊社から提供しました」と技術開発部 サービス開発室 室長の加藤友明氏は話す。

「地図制作基幹システム」と「差分地図制作システム」両システムの構築・運用を長年にわたり支援している日本ヒューレット・パッカード(HPE)は、インフラ最新化に際して次のようなテーマを掲げプロジェクトに臨んだ。

①高性能のオールフラッシュアレイを採用し両システムのストレージを統合
②コンサンプションモデルによるインフラコスト平準化とオフバランス化
③システム環境を熟知したHPE Pointnextによる安全・確実な新システム移行

「地図制作基幹システムと差分地図制作システムのストレージ環境を統合し、システム全体をシンプルかつコンパクトにすることが大きなチャレンジでした。デジタル地図ビジネスの中心を支えるミッションクリティカルな環境を安定的に稼働させ、データ保護をより強固にすることを目指しました」と技術開発部 サービス開発室 運用保守G グループ長の竹尾浩志氏は話す。

新たなプライマリーストレージとして採用されたのは、4コントローラーを搭載し99.9999%の連続稼働を実現する「HPE 3PAR StoreServ 8400オールフラッシュアレイ」である。HPE Pointnextのエンジニアチームがインフラ構築および移行作業を万全にサポートした。

高性能HPE 3PAR StoreServ 8400オールフラッシュアレイを採用

 

HPE 3PAR StoreServ 8400オールフラッシュアレイは、HPEミッドレンジストレージの最上位に位置づけられる製品だ。高性能インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載。4コントローラーをメッシュ状に接続して全てをアクティブで稼働させ、オールフラッシュならではの高いIOPS性能と低レイテンシを実現する。竹尾氏は次のように話す。

「日本ヒューレット・パッカードの検証センターを利用し、実データによる性能テスト、負荷テストを実施しました。2週間に及ぶ検証で確認されたHPE 3PAR StoreServの性能は、そのまま本番環境での成果として手に入りました。およそ5時間を要していたバッチ処理が1時間で完了できるようになり、納品のための地図データ複製に要する時間も1/3程度まで短縮されました」

地図制作基幹システムには、日本全国の地図調査情報、地図編集データ、地図納品データをはじめ、外部から提供されたコンテンツ管理用、納品データ管理用など多様なデータベースが統合されている。日々更新を繰り返すこれらの環境では、複製や削除などの時間短縮が業務効率の向上・業務負荷の軽減に直結する。

「年に2回大規模な改修を行う『トヨタ純正ナビ地図ソフト』の完成直前の工程でも大きな成果がありました。納品データの完成に向けて、検査やフォーマット変換のためのバッチ処理が複数の部門で同時に走ります。これらの工程が高速化されることで、ナビ地図ソフト制作プロセス全体のスピード化に結びつきました」(加藤氏)

地図制作基幹システムと差分地図制作システムのインフラ環境が統合されたことで、機器構成は大幅にシンプル化・コンパクト化が進んだ。

「新環境ではサーバー、ストレージ、バックアップ装置等を含め、かなり余裕をもって4ラックに収容されています。ラック本数の削減、電力消費量の削減効果を含め、データセンターコストを2/3程度にすることができました」(竹尾氏)

データ保護環境も大きく見直された。技術開発部 サービス開発室 担当員の粕谷哲平氏は次のように説明する。

「プライマリ機であるHPE 3PAR StoreServ 8400の筐体内でスナップショットを取得し、リモートコピー機能を利用してセカンダリのHPE 3PAR StoreServ 8200にバックアップします。さらに、HPE StoreOnceへ二次バックアップを行う環境を整備しました。テープメディアから解放されてバックアップ運用の負荷が大幅に軽減されました」

ベネフィット

コンサンプションモデルを採用しコスト平準化とオフバランス化を実現

 

トヨタマップマスターは、コンサンプションモデル(IT消費モデル)を利用して今回のインフラ刷新を実施した。「HPE GreenLakeフレックスキャパシティ」の採用である。

「ITインフラ機器の月額費用化は、初期導入コストの抑制とコストの平準化を可能にしました。オフバランス化を前進できたことも大きいですね。自社データセンターでセキュリティを確保しながら、ビジネスの成長に合わせてインフラ投資を最適化できるメリットは、パブリッククラウドと同等と言えるでしょう」と加藤氏は評価する。

HPE GreenLakeフレックスキャパシティでは、ストレージやサーバーなどのハードウェア資産をHPEが保有し、ユーザー企業は自社のセキュリティポリシーを適用したデータセンターに設置して利用できる。従量制を利用すれば、数年後にどの程度のリソースが必要になるか予測が難しい環境でも、IT投資リスクやTCOを低減することが可能だ。

「固定資産の廃棄手続きに過大な時間をかけたくありません。HPE GreenLakeに移行したことで、その手間も解消されるでしょう」(竹尾氏)

HPE GreenLakeフレックスキャパシティには「HPEデータセンターケア」が統合されており、システム環境を熟知したHPEのアカウントサポートマネージャーが、プロアクティブ/リアクティブの両面から保守サービスを指揮・提供する。

「システムの構成情報や稼働状況を共有し、障害時のログ解析に時間を要することなく必要なサポートを受けられるようになりました。問題解決の迅速化が図られただけでなく、問題が発生する前に対処できるようになったことも大きいですね。今後はHPE InfoSightによるHPE 3PAR StoreServやサーバー、VM環境の高度な予兆検知に期待しています」(粕谷氏)

HPE 3PARで利用できるHPE InfoSightは、ITインフラ環境のセンサーデータや稼働データを収集し、AI・機械学習ベースの高度な予測分析と対処方法のアドバイスを提供するクラウドサービスだ。あらゆる障害予兆を自動検知して稼働に影響を及ぼす前に対策でき、ITインフラの運用を高度に自律化できる。

圦本氏が次のように語って締めくくった。

「私たちは、地図データベースにおける強みを活かしながら、CASE時代における真のモビリティ情報基盤プロバイダーへの進化を目指しています。自動運転技術の進化には目を見張るものがありますが、ITインフラも自律運用に向けて大きく進化していると実感します。HPEには、HPE InfoSightに代表される最先端テクノロジーと高品質なサービスで、私たちのITインフラ領域をしっかりとサポートしていただきたいと思っています」


ご導入製品情報

HPE 3PAR StoreServストレージ

耐障害性、データサービスおよびデータ移動性を犠牲にすることなく、フラッシュ向けに最適化された専用アーキテクチャーならではのパフォーマンスを提供する業界唯一のストレージアレイです。


本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

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導入ハードウェア

HPE BladeSystem