ダイハツ工業が、オールフラッシュストレージを採用し、新たな成長戦略を加速
ダイハツ工業株式会社 様
HPE 3PAR StoreServとHPE StoreOnceを結ぶフラットバックアップでデータ保護も強化
"実機検証でトップスコアを獲得したHPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイの採用を決めました。シンプル - スリム - コンパクトのコンセプトにまさに合致した選択でした"
―ダイハツ工業株式会社
管理センター 経理室 ICTグループ
主任 山﨑 真也 氏
ダイハツ工業とダイハツビジネスサポートセンターが、オールフラッシュストレージを採用し仮想化基盤の強化を進めている。全社システムのおよそ8割を集約するビジネスクリティカルな環境に採用されたのは、大容量SSDを搭載したHPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイ。狙いは、SSC(シンプル - スリム - コンパクト)のコンセプトに基づく省電力性と省スペース性を兼ね備えた仮想化基盤の実現である。ダイハツ工業は、トヨタ自動車との協業を軸にした新たな成長戦略を見据えている。
業界
自動車
目的
全社仮想化基盤のストレージ環境の更新。SSC(シンプル - スリム - コンパクト)のコンセプトに基づく省電力化・省スペース化を追求し、成長戦略を支える高い性能と信頼性を実現する。
アプローチ
オールフラッシュストレージを採用し、既存のクラスター型ストレージを段階的に置き換える。同時に、事業継続計画(BCP)の具現化に向けてデータ保護環境も見直す。
ITの効果
・HPE 3PAR StoreServオールフラッシュストレージを採用し消費電力を1/4、占有スペースを1/8に
・アプリケーションの改変なしに夜間バッチの処理時間を1/5に
・プライマリストレージとバックアップアプライアンスをダイレクトに結ぶ「フラットバックアップ」を実現
・スナップショットを保護するシンプルな運用によりバックアップの所要時間を1/2に
ビジネスの効果
・新たな成長戦略を支えるITインフラとして高い性能と信頼性を実現
・省電力化と省スペース化によりSSC(シンプル - スリム - コンパクト)のコンセプトを実現
・性能チューニング工数を削減し新規アプリケーション開発の短期化に寄与
・バックアップサーバーと専用ソフトウェアを不要にして関連コストを80%削減見込み
チャレンジ
全社システムの8割を集約する仮想化基盤のストレージ刷新
2016年1月、ダイハツ工業はトヨタ自動車と共同記者会見を行い新たな協力関係と戦略を明らかにした。両社の連携をいっそう強化し、共通の戦略のもとで「もっといいスモールカーづくり」に取り組んでいくというのがその主旨である。ダイハツ工業は、自らの成長戦略と「ダイハツブランドの世界基準への進化」をこの新たな協力関係に託した。ダイハツ工業 管理センター 経理室 ICTグループ 主任の山﨑真也氏は次のように説明する。
「ダイハツ工業は、2016年8月よりトヨタ自動車の100%子会社になりました。今後、小型車・軽自動車での協業をさらに加速させていきます。新興国小型車事業の強化に向けて、これを担うカンパニーの設置にも着手しました。今後はヒトや組織の協力を進めるだけでなく、ICT環境の接続や連携も視野に入れていかなければなりません」
ダイハツ工業は、全社で活用する仮想化基盤を2008年に構築した。現在、全社システムのおよそ8割をこの仮想化基盤上で稼働させており、ビジネスを支える役割はいっそう高まっているという。
「インフラ機器を5年単位で大きく見直しながら、段階的に仮想化基盤の増強を図ってきました。インフラ整備の基本方針は『SSC(シンプル - スリム - コンパクト)』。これは、最新鋭の自社工場をはじめ全社で一貫されているコンセプトです」(山﨑氏)
ダイハツ工業では、生産設備やICT機器の新規導入に際して厳格な省エネルギーのガイドラインを定めている。仮想化基盤にはHPEのサーバー、ストレージ、バックアップ製品が採用されてきたが、2016年の更新に際しては「ゼロベースで見直す方針で臨んだ」(山﨑氏)という。
本プロジェクトの現場をリードしたのは、ダイハツ工業のICT環境の構築・運用を支援するダイハツビジネスサポートセンターである。同社 IT事業部の西山功一氏は次のように話す。
「ディスクベースのストレージ製品は、大量の電力を消費し発生する熱量も膨大です。ダイハツのスモールカーのように、もっとSSC(シンプル - スリム - コンパクト)でなければなりません。省電力・低発熱を実現するために私たちが着目したのは、ストレージのオールフラッシュ化でした」
大容量化・低価格化が急速に進むSSDは、高速化のメリットと合わせてストレージデバイスの主流になりつつある。ダイハツ工業は、4社4製品の実機検証を経て「HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイ」を選定した。
ダイハツ工業株式会社
管理センター
経理室
ICTグループ
主任 山﨑 真也 氏
株式会社ダイハツビジネスサポートセンター
IT事業部
理事 事業部長
大島 昌彦 氏
株式会社ダイハツビジネスサポートセンター
IT事業部
システム運用室
基盤構築・運用G
GL 西山 功一 氏
株式会社ダイハツビジネスサポートセンター
IT事業部
システム運用室
VMオープン運用T
TL 中川 裕斗 氏
ソリューション
オールフラッシュ4製品の実機検証を経てHPE 3PAR StoreServを選定
HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイは、HPEが提唱する「オールフラッシュデータセンター」を実現するための戦略製品と位置づけられている。ダイハツ工業の仮想化基盤で採用されたモデルは、4つのコントローラーをアクティブで稼働させ、オールフラッシュ製品ならではの高いパフォーマンスと低レイテンシを実現する。ダイハツビジネスサポートセンター IT事業部の中川裕斗氏は次のように話す。
「『消費電力と占有スペースを半減させる』という要件を起点に、性能、運用性、耐障害性、コストなどをトータルに評価し、大手・新興ベンダーを含む4製品に絞り込みました。候補のひとつHPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイは、既存のクラスター型ストレージとの比較で消費電力を1/4、占有スペースを1/8に削減することができ、しかも10数倍というランダムアクセス性能を発揮することがわかりました」
実機検証では、プライマリストレージとしての運用性、信頼性・耐障害性を重視したテストが繰り返された。製品の完成度や運用管理ツールの扱いやすさは、仕様書からその差を読み取ることは難しい。また、何らかの問題が発生したときの挙動や復旧のしやすさも見極める必要がある。
「私たちがHPE 3PAR StoreServを最も高く評価したのは、SSDやコントローラーなどに問題が発生しても運用を継続できること。原因の特定と解決、復旧までを迅速かつ確実に行えることでした。オールフラッシュ環境で高い性能が出るのは、ある意味わかりきっていました。私たちにとって重要なことは、重複排除機能を利用しても性能が劣化しないか、縮退運転でも安定的にサービスを継続可能かどうかです」(西山氏)
運用管理ツール「HPE 3PAR StoreServ Management Console(SSMC)」も高く評価された。SSMCのダッシュボードでは、最大32台のHPE 3PAR StoreServの稼働状況、パフォーマンス、容量などを直感的なGUIにより一目で確認できる。
「SSMCの洗練された使いやすさは魅力的でした。HPE 3PAR StoreServは自律運用性にも優れており、ストレージ運用にかかる負荷を軽減できると確信しました」と中川氏は話す。
ダイハツビジネスサポートセンターから提示された検証結果を受けて、ダイハツ工業の意思決定は早かった。
「実機検証でトップスコアを獲得したHPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイの採用を決めました。機器構成と運用をシンプルに、コストをスリムに、スペースをコンパクトにできるなど、SSCのコンセプトにまさに合致した選択でした」(山﨑氏)
バックアップの高速化・低コスト化を実現するHPE独自の「フラットバックアップ」
ダイハツ工業では、重複排除機能を利用できるバックアップアプライアンス「HPE StoreOnce」を2015年から利用してきたが、HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイの導入に合わせてバックアップ環境の見直しにも着手した。
「データ量の増加に伴うバックアップ時間の伸張が課題になっていたのです。バックアップソフトウェアを使う従来の方法では、ハイパーバイザー経由の処理がボトルネックになります。私たちは、所要時間とコストを削減するために、新しいバックアップ手順への移行を決断しました」(西山氏)
西山氏らが着目したのは、プライマリストレージHPE 3PAR StoreServとバックアップアプライアンスHPE StoreOnceをダイレクトに結ぶ、「フラットバックアップ」と呼ばれるソリューションである。専用のバックアップサーバーとバックアップソフトウェアを使わず、「Recovery Manager Central for VMware (RMC-V) 」と呼ばれるストレージソフトウェア機能だけでこれを実現する。
「HPE 3PAR StoreServでスナップショットを取得し、HPE StoreOnceに重複排除コピーして保護するシンプルな仕組みは、バックアップの高速化とコスト削減に寄与すると直感しました。すでに一部で運用を始めていますが、週次バックアップの所要時間を半減させるなど、その効果はかなり大きなものです。移行を完了すれば、バックアップソフトのライセンス費・保守費をはじめ、バックアップ環境全体を維持するためのコストを80%削減できる見通しです」(中川氏)
HPE独自の「フラットバックアップ」は、データの管理・活用・保護・復旧というプロセス全体をシンプル化するとともに、高速化・低コスト化に大きく寄与する。全体最適化のメリットは、ストレージ&バックアップ製品を評価・選定する上で重要な指標となるに違いない。
「今後、VMware vSphere Virtual Volumes(VVols)の導入を計画しています。HPE 3PAR StoreServとHPE StoreOnceの環境にVVolsを組み合わせ、仮想マシン単位での高速リストアを実現することが狙いです。本社・滋賀・九州の3拠点を結ぶデータ保護を一歩進めて、ビジネス継続計画(BCP)の具現化につなげていく考えです」(西山氏)
ベネフィット
ダイハツ工業の新たな成長戦略を支えるインフラストラクチャーの実現
SSC(シンプル - スリム - コンパクト)のコンセプトに基づき導入されたHPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイは、「もうひとつのS(スピード)」というメリットももたらした。
「アプリケーションを改修することなく夜間バッチ処理の時間を1/5に削減し、ユーザー部門から驚きの声があがりました。ストレージ高速化の効果は、今後も様々な場面で実感してもらえるはずです」(西山氏)
山﨑氏は「新規システムの立ち上げにも好影響を与えるだろう」と指摘する。HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイは、アプリケーション/データベースのパフォーマンスチューニングの工数を大きく削減できるからだ。
「HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイ導入後は、ほとんど性能の心配をしなくていい状況が生まれています。実際に、新規で立ち上げた『補給部品システム』では、バッチ処理時間を当初見込みの半分程度に抑えることができました」(中川氏)
最後に、山﨑氏が次のように語って締めくくった。
「私たちの基本方針はSSC(シンプル - スリム - コンパクト)であり、性能を上げるためだけにHPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイを採用したわけではありません。しかし、今後5年を見通したとき、新しいビジネス要求に応える高い性能を提供し、次世代のシステムを安定的に支えていく基盤が整備されたことは、やはり大きな成果と言えるでしょう」
HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイが支えるダイハツ工業の仮想化基盤は、新たな成長戦略を加速させるビジネス基盤となるに違いない。
ご導入企業様
ダイハツ工業株式会社 様
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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