BSNアイネットのクラウドを、新しいステージへ導くオールフラッシュストレージ
株式会社BSNアイネット 様
HPE 3PAR StoreServオールフラッシュを採用しOpenStackによるクラウド連携基盤の構築に着手
"ランダムでのI/O性能が高く、遅延もきわめて低い-高速化はオールフラッシュストレージの最大のメリットですが、SSDの大容量化に伴う省スペース・省電力という効果も見逃せません"
―株式会社BSNアイネット
データセンター事業部
アウトソーシング部
クラウドビジネス
マネージャー
坂田 源彦 氏
新潟を本拠にITソリューションビジネスを展開するBSNアイネットが、クラウドサービス「iNET IMAGE BANK」のサービス基盤にHPE 3PAR StoreServオールフラッシュストレージを採用した。オンライン処理や大規模なバッチ処理など、高負荷な要求に応える高性能・高品質なIaaSを実現。HPE 3PAR StoreServオールフラッシュストレージ上では、VMware VVOLによる仮想マシン単位でのボリューム管理やQoS、OpenStackによるクラウド間連携の検証作業も着実に進んでいる。
業界
IT
目的
クラウドサービス「iNET IMAGE BANK」のサービス基盤拡張。高負荷環境でのスループットを改善し顧客サービス品質を向上させる。同時に、複数のクラウド事業者によるサービス連携の実現に向けてストレージ環境を整備する。
アプローチ
パフォーマンスボトルネックとなっていたディスクI/Oを改善するためにオールフラッシュ化を検討。VMware VVOLおよびOpenStackとの連携が可能なストレージ製品を導入する。
ITの効果
・HPE 3PAR StoreServオールフラッシュストレージを採用しパフォーマンスボトルネックを解消
・ユーザーシステムにおけるバッチ処理時間を最大1/3に短縮
・データバックアップの所要時間を最大1/8に短縮
・VVOLとの連携により仮想マシン単位でのボリューム管理とQoSが可能なことを確認
ビジネスの効果
・ストレージ基盤の増強により、伸長するSCSKのクラウド事業を5年以上支え続ける体制を万全に
・機器のメンテナンスや問題解決に要する時間と工数を削減することで、より一層顧客の事業へ貢献するための業務へシフトが可能に
・インフラ機器の月額費用化とともに、オンサイトバッファによりトータルコストを20%以上削減
・HPE InfoSightのVM環境を含む高度な障害予兆検知を活用、サービス品質をさらに強化する計画へ
チャレンジ
2ケタ成長を続けるクラウドサービス「iNET IMAGE BANK」
BSNアイネットは、新潟を本拠にビジネス展開するITソリューション企業である。データセンター/クラウドサービス、コンサルティング/インテグレーションサービス、アプリケーション開発を主軸に、企業や自治体・公共団体など広範な顧客層からの支持を獲得している。データセンター事業部 アウトソーシング部 クラウドビジネス マネージャーの坂田源彦氏は、次のように紹介する。
「BSNアイネットは、新潟放送グループの計算センターとして設立され、2016年4月に創立50年を迎えました。時代の変化にいち早く適応しながら、システムインテグレーションからアウトソーシング事業、データセンター事業へとビジネスを拡大してきた歴史があります。大きな転換点となったのは、2009年に第2データセンターを竣工して『iNET IMAGE BANK』を立ち上げたことでした」
BSNアイネットのクラウドサービス「iNET IMAGE BANK」では、仮想サーバーホスティング(IaaS)、仮想デスクトップ(DaaS)、各種アプリケーションサービス(SaaS)を提供している。サービス開始以来、年率2ケタ以上の成長を続けているという。高成長を持続できる理由はどこにあるのか。
「クラウドサービスでありながら、お客様の要件をヒアリングして最適な構成を提案するビジネスモデルを採っています。お客様のクラウド導入のハードルを引き下げるとともに、お客様のニーズにきめ細やかにお応えしてきた成果ではないでしょうか」(坂田氏)
仮想サーバーホスティング環境はVMwareを中心に構築され、安定稼動の実績が高く評価されている。また、複数のデータセンター間で仮想マシンのイメージデータを定期的に複製し、VMware Site Recovery Managerにより復旧プロセスを自動化するなど、広域災害時でも顧客のビジネス継続を可能にしていることも大きな特長だ。
「ここ数年の傾向として、稼働させるアプリケーションの大型化と、それに伴うリソース要求の増大が顕著でした。高負荷のオンライン処理、長時間の夜間バッチなど、サービス基盤の負荷が急速に高まっていたのです。データベースサーバーを増強しましたが問題解決には至りませんでした。ストレージI/Oがボトルネックになっていたからです」とデータセンター事業部 アウトソーシング部 クラウドビジネス シニアチーフの天木聡氏は話す。
大型の業務系システム、SNSやEC系のシステム、SaaS事業者によるアプリケーションサービスなどの増加が、iNET IMAGE BANKのサービス基盤に大きな負荷をかけていたのだ。
「従来のiSCSIストレージ、NFSベースのファイルストレージでは明らかに性能不足でした。抜本的に問題を解決するために、私たちは『HPE 3PAR StoreServオールフラッシュストレージ』の導入を決断しました」(坂田氏)
株式会社BSNアイネット
データセンター事業部
アウトソーシング部
クラウドビジネス
マネージャー
坂田 源彦 氏
株式会社BSNアイネット
データセンター事業部
アウトソーシング部
クラウドビジネス
シニアチーフ
天木 聡 氏
ソリューション
高性能なHPE 3PAR StoreServ オールフラッシュストレージを採用
「HPE 3PAR StoreServオールフラッシュストレージ」は、HPEが提唱する「オールフラッシュデータセンターへの移行」を推進する戦略製品として位置づけられている。iNET IMAGE BANKで採用されたモデルは、複数のコントローラーをアクティブで稼働させ、オールフラッシュ製品ならではの高いストレージI/O性能と低レイテンシを実現している。その効果はどれほどのものだろうか。
「オールフラッシュならではの優れたI/O性能が、サービス品質の向上に目に見える効果をもたらしました。実際に、あるお客様ではバッチ処理の所要時間を1/3にまで短縮できました。また、SaaSアプリケーションなどのオンライン系でも体感できるレスポンス向上が見られました。アクセスが集中する時間帯でも高いレスポンスを維持することができます」と天木氏は評価する。
また、HPE 3PAR StoreServオールフラッシュストレージの導入に合わせて、バックアップ環境のストレージも高性能化が図られた。これらの相乗効果により、データバックアップの所要時間を最大1/8に短縮できたという。
「ランダムでのI/O性能が高く、遅延もきわめて低い―高速化はオールフラッシュストレージの最大のメリットですが、SSDの大容量化に伴う省スペース・省電力という効果も見逃せません。今後の更なる大容量化にも大きく期待しています」と坂田氏は話す。
今回採用されたHPE 3PAR StoreServには2TB SSDが搭載されているが、4TB SSDも選択可能だ。SSDは今後、より大容量化していくことが予想されており、性能だけでなく今後は容量でもHDDを大きく上回ることは間違いない。コスト(容量単価)でもフラッシュが有利になる日は目前だ。
「HPE 3PAR StoreServオールフラッシュストレージでは、SSDが『5年保証』であることも安心材料です。5年間使い続ける中で、SSDが書込み回数の上限に達しても製品保守の中で無償交換してくれる制度です。実運用上では、問題の予兆を自動検知して日本ヒューレット・パッカードの監視センターに通知され、即座に保守サービスを受けられることに大きなメリットを感じています」(天木氏)
不必要な書き込みを解消する「ゼロ検出機能」や、SSDへの書き込みをシステム全体で均一化してホットスポットをつくらない「システムワイドストライピング」など、HPE 3PAR StoreServオールフラッシュストレージは独自のテクノロジーでSSDの長寿命化を図っている。これにより、他社の追従できない「5年保証」を可能にしているのだ。
「ASICによるハードウェアベースのシンプロビジョニングや、パフォーマンスの自動チューニング、オンラインでのRAID変更など、HPE 3PAR StoreServのユニークな能力には以前から注目していました。ストレージ環境は、DASから始めて、iSCSIストレージ、NASストレージと使い続けてきましたが、HPE 3PAR StoreServオールフラッシュストレージによって新しいステージに立ったことになります」(坂田氏)
VMware vSphere Virtual Volumesの採用に向けた検証
「iNET IMAGE BANK」のサービス基盤の多くにVMware vSphereが採用されている。坂田氏は、VMwareのテクノロジーの利用を広げていく考えを持っている。VMware vSphere Virtual Volumes(VVOL)はそのひとつだ。VVOLが適用されたSANストレージ環境では、仮想マシン単位でボリュームを用意したりサービスレベルを設定することが可能になる。
「すでに一部のストレージ環境にVVOLを適用し、仮想マシン単位、つまりお客様サービス単位でI/O制御によるQoSを実現しています。このVVOLをHPE 3PAR StoreServの環境にも適用していく考えです。HPE 3PAR StoreServでは、vCenterから起動させるだけでVVOLを利用可能になります。作成するボリューム数の上限を気にする必要なく、安心して活用できることもHPE 3PAR StoreServならではですね」(天木氏)
HPEは、VVOLの開発段階からVMware社と緊密に協力を続けており、VASAプロバイダーをHPE 3PAR StoreServ内部に実装しているだけでなく、最新バージョンのVVOLが提供する機能をすべてサポートしている。一部のストレージ製品では、VVOLを利用するためにVASAプロバイダー用のサーバーを用意しなければならなかったり、ボリューム作成数の上限が低いことがあるので注意が必要だ。
「HPE 3PAR StoreServのQoS機能を、VVOLのボリュームに対して個別に設定することができるので、きめ細かなQoS設定ができて便利ですね。また、vCenterからの操作でHPE 3PAR StoreServ側の機能を使ってスナップショットを取得できますので、仮想マシン単位でのイメージバックアップが非常に容易になると考えています」(天木氏)
HPE 3PAR StoreServでは、QoSによって「I/O性能の上限値」を設定することで、特定のサービスがI/Oを大量に消費して他のサービスに影響を及ぼすような状況を回避できる。また、ひとつのストレージシステムに「何IOPSのサービスを、いくつ収容できるか」というように、サイジングを明確化できるメリットももたらす。
ベネフィット
単一のクラウドプラットフォームを実現するためのストレージ基盤
BSNアイネットでは、県内2拠点で自社データセンターを運営するとともに、2012年からは北海道・富山・沖縄のデータセンター事業者と連携した「災害対策ソリューション」を提供している。2015年には、導入済みの「HPE Helion OpenStack」(HPEが提供する商用版OpenStack)を最新版にアップデートした。
「電力供給の管轄の異なる複数のデータセンター事業者と、災害対策・BCPにおいて協力しています。データセンター間で複製データを保有し、災害発生時にはセンター間のマイグレーションによりサービス継続を可能にします。お客様は、いつもどおり『iNET IMAGE BANK』のURLに接続してもらえれば、いずれかのデータセンターからサービスが継続されるわけです。従来はVMware製品でこれを実現していましたが、今後はOpenStackによる連携も視野に入れています」(天木氏)
「複数のクラウドサービスを結ぶ環境においては、私たち自身のストレージ基盤はできるだけシンプルな方がいい。これまではNFS/iSCSI/FCを使い分ける形を採ってきましたが、FCストレージにまとめていきたい。そして、HDDとSSDを混在させる環境にこだわらず、オールフラッシュのFCストレージに統合したいというのが本心です」(坂田氏)
HPE 3PAR StoreServオールフラッシュストレージの圧倒的ともいえるパフォーマンスは実証済みだ。VMwareやOpenStackが提供する先進機能との連携も、どのベンダーよりも早く確実に実装される。これにSSDの更なる大容量化・低価格化が加わることで、HPE 3PAR StoreServの優位性はいっそう高まっている。
坂田氏は次のように話して締めくくった。
「VMwareとOpenStackの環境をまたぐような、単一のクラウドプラットフォームを実現したいと考えています。そのためには、様々なテクノロジーと即座に接続できる単一のストレージ基盤が不可欠です。HPE 3PAR StoreServオールフラッシュストレージは、私たちのビジョンと戦略を実現するための理想的な選択となるはずです」
ご導入企業様
株式会社BSNアイネット 様
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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