全社システム基盤をハイブリッド化しクラウドと同等の月額費用化を実現



大陽日酸株式会社 様

 

大陽日酸がHPE GreenLakeによるas a Serviceモデルを採用、インフラ機器とデータセンターを月額・従量制で利用しMicrosoft Azureと連携するハイブリッドクラウド環境を実現

 

産業ガス分野の国内最大手である大陽日酸が、日商エレクトロニクスの支援を受けて全社システム基盤の刷新を進めている。インフラ機器、ネットワーク、クライアント環境のすべてを最新化するとともに、最新のファシリティを備えた首都圏・関西圏のデータセンターに次世代全社システム基盤を構築。Microsoft Azureとの連携も可能にしている。注目すべきは、HPE GreenLakeによるas a Serviceモデルを採用し、データセンターを含む全社システム基盤を月額・従量課金で利用する“クラウド体験”を実現していることだ。

業種

エネルギー・産業用ガス

 

ビジョン

オンプレミスとクラウド双方のメリットを享受できる次世代全社システム基盤の構築

 

戦略

インフラ機器を最新化し月額・従量制で利用するas a Serviceモデルへ移行

 

成果

・HPE GreenLakeを採用しインフラ機器とデータセンターを月額・従量制で利用可能に

・Microsoft Azure(IaaS/PaaS)と連携可能なオンプレミス環境を整備し、インフラのリソースを最適化

・日商エレクトロニクスのマネージドサービスによるトータルな運用支援で“クラウド体験”を強化

ビジネス要求に迅速に応える次世代全社システム基盤の実現

 

酸素、窒素、アルゴン、炭酸ガス、水素、ヘリウム――これらの「産業ガス」は、化学反応の活性・不活性、酸化性、支燃性といった特徴を活かして様々な用途に活用されている。大陽日酸は、ガステクノロジーの業界リーダーとして、鉄鋼、化学、エレクトロニクス、輸送機器・機械、食品、生命科学・医療、エネルギーなどあらゆる産業を支えている。同社経営企画・ICTユニットICTマネジメント統括部でプラットフォーム部長を務める渡辺俊一氏は次のように説明する。

「2020年10月、日本酸素ホールディングスによる新しいグループ経営体制への移行に伴い、大陽日酸は国内市場に特化した戦略会社としてのミッションを担うことになりました。全社共通スローガン『The Gas Professionals』のもと、グループ一丸となって成長戦略を推進しています」

渡辺氏らは、新体制への移行と歩調を合わせて「全社システム基盤」の刷新計画を練り上げてきた。2020年春にスタートした刷新プロジェクトは、インフラ機器、ネットワーク、クライアント環境の最新化に加え、データセンターの変更を伴う大規模なチャレンジとなった。

「既存システムを5年間運用する中で顕在化してきた課題を一掃するとともに、次の5年、10年を支える新しいインフラを構想しました。オンプレミス環境では、スピード感のあるITリソース増強が難しい状況に悩まされてきました。次世代全社システム基盤において、ビジネス要求にいかに迅速かつ柔軟に応えられる環境を実現するか、いかにコストを抑えながらクラウドのメリットを享受するか、慎重に検討を進めていきました」(渡辺氏)

既存環境は、インフラ機器、ネットワーク、クライアント環境で、それぞれ導入時期と担当ベンダーが異なっていたことも課題のひとつだった。渡辺氏らが導き出した「次世代全社システム基盤」の基本方針は次の通りである。

①パブリッククラウドを積極的に利用しつつ高いコストパフォーマンスを追求
②ITインフラ全体の監視・運用・保守対応ベンダーの一本化
③過剰なリソースを抑制しながらオンプレミスのビジネス適応力を強化

大陽日酸が打ち出した方針に最も優れた提案で応え、プロジェクトをトータルに支援しているのは日商エレクトロニクスである。同社の提案の軸として組み込まれていたのはHPE GreenLakeだった。

ビジネス要求に応える次世代全社システム基盤の実現

 

大陽日酸の次世代全社システム基盤の構築に向けた、日商エレクトロニクスによる提案のポイントは次の通りだ。

①オンプレミスとMicrosoft Azure(IaaS/PaaS)が連携するハイブリッドクラウド環境
②パブリッククラウドのメリットを最大化できるデータセンターへの切り替え
③マネージドサービス(NCPF)によるワンストップの監視・運用・保守体制の確立
④HPE GreenLakeによるインフラ機器とデータセンターのas a Service化

「HPE ProLiantサーバーとHPE Nimble Storageを採用し、最新のファシリティを備えた東西のデータセンターに次世代全社システム基盤を構築しました。東をプライマリーとし、Azureの東日本リージョンと高速に接続します。西のデータセンターはセカンダリーとしてワークロードを分散させ、Azureの西日本リージョンに災害対策サイトとしての役割を割り当てました」とアーキテクトとして参画した日商エレクトロニクスの佐藤格史氏は話す。

大陽日酸は、全社システム基盤の刷新に際して2010年から利用し続けてきたデータセンターの変更を決断した。その理由を、ICTインフラ企画課長の富岡謙蔵氏は次のように話す。

「パブリッククラウドを利用するメリットを最大化するためには、クラウドと高速に接続できるモダンなデータセンターへの切り替えが不可欠と考えました。まず、データバックアップと災害対策用途からAzureの利用を開始します。段階的にAzureのPaaS機能とアプリケーションの活用を開始し、将来的には、データやアプリケーションの所在がオンプレミスなのかクラウドなのか、ユーザーに意識させないシームレスな環境を実現したいと思っています」

日商エレクトロニクスは、独自のマネージドサービスNCPF(Nissho Cross Platform)により、大陽日酸のハイブリッドクラウド環境の監視・運用・保守サービスをワンストップで提供する。日商エレクトロニクスの沖裕士氏は次のように紹介する。

「システムやアプリケーションの稼働監視、問題の特定と解決、エンドユーザーの問合せ対応を含め、日々の運用関連業務を丸ごとお任せいただきます。大陽日酸様を運用関連の業務からすべて解放し、運用面でも“クラウド体験”を実感していただけるはずです」

そして4つ目のポイントは、HPE GreenLakeによるas a Service化である。

すべてをas a ServiceにするHPE GreenLake

 

HPE GreenLakeは、オンプレミス環境に”パブリッククラウドと同等の体験”をもたらすサービスとして世界中で急速に支持を伸ばしている。インフラ機器、ソフトウェア、各種サービスを「月額・従量制」で利用可能にし、自社に最適なオンプレミス環境を「クラウドと同等のスピード感で」「使った分だけ後払い」できるメリットが人気の理由だ。沖氏は次のように説明する。

「既存環境で仮想デスクトップ環境のリソース不足が顕在化したとき、タイムリーに増強できなかった経緯があるとお聞きしていました。こうしたケースでも、HPE GreenLakeではあらかじめ設置した予備リソースをオンにするだけで即座に予備のサーバー/ストレージが活用可能になります。予備リソースは使用開始するまで費用は発生しませんので、オーバープロビジョニングによる過剰投資も解消できます」

HPE GreenLakeによってオンプレミス環境に俊敏性と柔軟性がもたらされる。加えて、次世代全社システム基盤ではAzureとの連携によりビジネス要求への適応力をさらに強化している。佐藤氏は次のように話す。

「突発的なビジネス要求にオンプレミス環境が応えきれない場合に、ワークロードをAzureへ速やかに移行できるような仕組みを準備しています。オンデマンドで使えるオンプレミスの予備リソースとクラウドのリソースを上手に利用することで、コストを抑えながらビジネスアジリティを高めます」

大陽日酸株式会社

経営企画・ICTユニット
ICTマネジメント統括部
プラットフォーム部長
渡辺 俊一 氏

大陽日酸株式会社

経営企画・ICTユニット
ICTマネジメント統括部
プラットフォーム部
ICTインフラ企画課長
富岡 謙蔵 氏

日商エレクトロニクス株式会社

エンタープライズ事業本部
第二営業部
一課
主任
沖 裕士 氏

日商エレクトロニクス株式会社

プラットフォーム本部
カスタマーサクセス部
三課
シニアアカウントSE
佐藤 格史 氏

安定性と利便性の高いインフラを経済的なコストで実現

 

次世代全社システム基盤では、最新化されたインフラ機器に加え、データセンターもHPE GreenLakeに包括される形でas a Service化された。日商エレクトロニクスがすべての窓口となる「ワンストップのサービス体制」も万全に整えられた。

「経営陣よりクラウド移行を進めるよう指示を受けていましたが、クラウド移行そのものが真意ではありません。安定性と利便性の高いインフラを経済的なコストで実現することこそが重要です。私たちが次世代全社システム基盤で目指したのは、コストを抑えた自社に最適なハイブリッドクラウド環境であり、いわば“クラウドとオンプレミスのいいとこ取り”です」と富岡氏は話す。

2021年秋の全面稼働に向けてプロジェクトは佳境に入っている。「テクノロジーへの精通とプロジェクト管理における日商エレクトロ二クスのスキルの高さには感心させられた」と話しつつ渡辺氏は次のように締めくくった。

「HPE GreenLakeによりクラウドと同等の俊敏性と柔軟性を備えたインフラを実現し、運用を日商エレクトロニクスに任せることで、すべてを月額・従量制で利用できる――これはまさに“クラウド体験”であり、安定性と利便性の高いインフラ環境を経済的なコストで享受することができる、最も理想に近い姿ではないかと考えています。日本ヒューレット・パッカードと日商エレクトロニクスには、これからも強い推進力となって私たちのプロジェクトを支えてもらえることを期待しています」

ご導入企業様

大陽日酸株式会社 様

 

所在地:東京都品川区小山1-3-26

URL:https://www.tn-sanso.co.jp/jp/