デジタルイノベーションを加速させるクラウドネイティブ開発・検証環境の最新化



株式会社ジェーシービー 様

 

ジェーシービーのKubernetesクラスター導入を、OSSテクノロジーに精通したHPE Pointnextのアドバイザリ&プロフェッショナルサービスがトータルにサポート

 

ジェーシービー(JCB)がデジタル変革への取り組みを加速させている。2020年4月、コンテナアプリケーションの開発・検証に特化した「JCB Innovative Platform(JIP)」のリニューアルを完了。既存のコンテナオーケストレーション環境をKubernetesに刷新し、より柔軟で俊敏性に優れた環境へ進化させるとともに、開発・検証・デプロイに至るプロセスの自動化に着手した。HPE Pointnextのアドバイザリ&プロフェッショナルサービスが、本プロジェクトを全面的にサポートした。

業種

クレジットカード事業

 

ビジョン

クラウドネイティブテクノロジーを活用したビジネスイノベーションの加速

 

戦略

Kubernetesを採用しクラウドネイティブ開発・検証環境を刷新

 

成果

・コンテナオーケストレーション機能の拡充により柔軟性・俊敏性が向上

・開発・検証・デプロイに至るプロセスの自動化に向けて大きく前進

・Kubernetesを共通基盤とする将来のハイブリッドクラウドおよびマルチクラウド化が可能に

革新的なサービス開発を支えるJCB Innovation Platformの進化

 

“サムライカード”とも呼ばれるJCBカードは、日本で唯一の国際カードブランドを運営する企業として世界中で支持を拡大している。2020年9月時点でJCBカード会員は1億4千万に達し、年間取扱高は16兆円を超えた。アジア圏を中心とするグローバルビジネスの伸長、スマートフォン決済サービス「QUICPay」などが近年の成長の原動力だ。システム本部システム企画部戦略グループ次長の門田 亮 氏は次のように話す。

「キャッシュレスは私たちの暮らしにすっかり定着し、カード決済、モバイルペイメントなど、利用シーンに応じて決済方法を使い分けるようになりました。JCBでは、前払い・即時払い・後払いの全方位で決済サービスを提供しており、お客様やステークホルダーの皆様に向けた新しい価値創造にスピード感をもって取り組んでいます」

決済市場の変革を見通したJCBの動きは速かった。戦略的なビジネス施策をいち早く具現化するために「イノベーション統括部」を新設。これをテクノロジーの側面から支援するチームとして、システム企画部内に「戦略グループ」を編成したのは2017年のことだ。

「この年、日本ヒューレット・パッカード(HPE)の支援を受けて、コンテナアプリケーションの開発・検証に特化したシステム『JCB Innovation Platform(JIP)』を構築しました。ここでモバイルペイメント、AI・予測分析、OpenAPIといった新しいチャレンジを進めながら、私たちはクラウドネイティブ技術とコンテナオーケストレーションの有用性に確かな手応えを得ることができました」とシステム本部システム企画部戦略グループ部長代理の松谷 兼孝 氏は話す。

2017年に構築されたJIP(第1世代)では、コンテナオーケストレーターにMesosphere DC/OS、プラットフォームにはコード制御が可能なコンポーザブルインフラHPE Synergyが採用され、期待通りの成果をもたらした。

「JIPでは、コンテナ化されたアプリケーションを素早く展開しながら、インフラ側のリソースも同等のスピード感で割り当てを実現しました。セキュアなオンプレミス環境でパブリッククラウドに近い使い勝手が可能になったことで、開発スタイルもDevOpsを意識したものに大きく変わりました」(松谷氏)

JCBは、2020年にJIPのリニューアルを実施。コンテナオーケストレーターにKubernetesを採用し、JIPをより柔軟で俊敏性に優れた環境へ進化させるとともに、開発・検証・デプロイに至るプロセスの自動化に着手した。

急速に進化するKubernetesのメリットをいち早く手に入れる

 

JCBが、新たにKubernetesを採用してJIPをリニューアルした動機は何か。松谷氏は「オープンソースソフトウェア(OSS)としての進化のスピード」を第1に挙げて次のように話す。

「JIPでは様々なOSSを活用していますが、それぞれ驚くべきスピードで進化を遂げています。2014年に登場したKubernetesはその代表格のようなもので、大手クラウド事業者が次々と採用したことで、コンテナオーケストレーターの業界標準としての地位が決定的になりました。進化し続けるOSSをいち早く活用し、ビジネス変革に結びつくアプリケーション開発を加速させるためにはKubernetesが不可欠、と私たちは考えたのです」

Kubernetesは、数多くのソフトウェア/クラウドベンダーが参加するCloud Native Computing Foundation(CNCF)で開発されており、3か月ごとにアップデートが行われる。OpenShiftに代表される商用ディストリビューションやマネージドサービスを含め、Kubernetes導入には様々な選択肢があるが、松谷氏らはどのような基準で選択したのか。本プロジェクトにPMとして参画したHPE Pointnextの副島 翔悟 氏は次のように説明する。

「第2世代JIPに最適なKubernetesディストリビューションとして私たちが提案したのはCanonicalのCharmed Kubernetesでした。第1世代JIPで作り込んだシステム監視などの機能を活かせること、シンプルかつ軽量でコストを抑えられることがCanonicalをご利用いただくメリットです。また、第2世代JIP上での開発・検証を経て、実証実験や本番稼働のためのシステムやハイブリッド/マルチクラウド化の準備をすることも視野に入れたご提案でした」

HPE Pointnextは、企業や組織のデジタルトランスフォーメーションをトータルに支援するサービス組織である。世界80カ国、2万2,000人を超えるITプロフェッショナルが、豊富な実績とナレッジに基づくアドバイザリ、構築サービス、運用保守サービスをトータルに提供している。ベンダーニュートラルの立場から、OpenShift、Tanzu、Canonicalなど様々なディストリビューションによるエンタープライズ向けKubernetesクラスター構築を担ってきた経験も豊富だ。

「お客様へ新しい価値を提供していく、そのために最新のテクノロジーを活用したサービス開発を行うことが私たちの目標です。不確実なものを検証しなければならない、試行錯誤を繰り返さなければならない、という観点では、クラウドネイティブ技術を活用したプラットフォームをオンプレミスに構築するメリットは大きいと考えています。そして、PoCを経て合格となったとき、本番環境に移して即座に稼働させるにはKubernetesが共通で用意されていることが重要です」と松谷氏は話す。

資産やノウハウを活かせるよう第1世代JIPから第2世代へ移行

 

第1世代のJIPからは、マイクロサービス化された様々なコンテナアプリケーションとユニークなサービスが生み出された。LINEを使った顧客とのコミュニケーション環境はその一例で、現在も複数の実証実験が続けられているという。

「データ活用はデジタル変革における重要なテーマのひとつです。この分野で実用化されたアプリケーションとして、AIによる予測分析機能を備えたデータアナリティクス環境があり、すでに、クレジットカードの不正使用検知や回収リスクの分析に成果をあげています」(松谷氏)

コンテナアプリケーションは、主要なOSS群とともにすべて第2世代JIP上に移行された。既存のHPE Synergyプラットフォームがそのまま流用されたことも特徴的だ。HPE Pointnextのチームは、およそ50マイクロサービス/4システムの移行を6週間で完了させた。

「事前準備に多くの時間を割いたので実質的な作業は2週間程度です。クラウドネイティブ技術は、プログラムや設定ファイル、ライブラリなどをイメージファイルとして管理し優れた可搬性と再現性を実現しますが、KubernetesとMesosphere DC/OSでは同じコンテナイメージであってもワークロードを管理する方法が異なるため、第2世代JIPへの移行に際してその差分を吸収したソリューションをHPE側から提供しています」とクラウドネイティブ環境のエキスパートであるHPE Pointnextの小池 友岳 氏は話す。

さらに、デプロイ、リソース管理、スケーリング、自己修復といった「Kubernetesならではの特長を最大限活かせる環境を目指した」と小池氏は言う。そのために、HPE Pointnextのチームは、仮想マシン(VM)と併用することでコンテナの実用性を高める工夫も施した。VM単位でのKubernetesホスト増強やバックアップ&リストアの容易さなど、VM上でコンテナを扱うことによるメリットは多い。

「VM環境は、Mesosphere DC/OSとKubernetesを並行運用させながら、開発を止めずに移行するためにも有効です。また、AI開発のためにKubernetesからGPUリソースを最適に割り当てる仕組みも新たに実装しています。こうして私たちは、開発パイプラインや将来のデプロイメントの進化にも対応するクラウドネイティブなプラットフォームを目指し、アプリケーション開発チームの要望をヒアリングしながら実運用でもより使いやすい形に仕上げていきました」(小池氏)

株式会社ジェーシービー

システム本部
システム企画部
戦略グループ
次長
門田 亮 氏

株式会社ジェーシービー

システム本部
システム企画部
戦略グループ
部長代理
松谷 兼孝 氏

日本ヒューレット・パッカード株式会社

Pointnext事業統括
Pointnextデリバリー統括本部
金融・公共サービスデリバリー本部
第二部
副島 翔悟 氏

日本ヒューレット・パッカード株式会社

Pointnext Hybrid IT COE Lead Architect
小池 友岳 氏

クラウドネイティブならではのスピード感を武器に変革を推進

 

2020年4月、第2世代JIPは計画通り運用を開始した。インフラリソースの自動管理などパブリッククラウドに近い使い勝手はさらに進化し、アプリケーション開発者主導での利用が加速していくことが期待されている。HPE Pointnextのチームは、本プロジェクトにおいて、アドバイザリから設計・構築・移行・運用支援まで一貫してサービスを提供した。松谷氏は次のように振り返る。

「初期段階でのワークショップが非常に効果的でした。プロジェクトメンバーの大半がKubernetesの知識がないところからのスタートでしたので、Kubernetesは何が優れているのか、運用はどう変わるのか、といった疑問を最初に解消できたことは大きかったですね。HPE Pointnextの技術者が、アプリケーション開発チームと緊密にコミュニケーションしてくれたことも、プロジェクト全体がスムーズに運んだ大きな要因だったと思ってます」

ダッシュボードの使いやすさ、リソース管理の容易さ、自動化されたアップデートなど、第2世代JIPを活用するアプリケーション開発チームからの評価も上々だ。第2世代JIP上での開発・検証を経て、実証実験や本番稼働のためのシステムやクラウドにデプロイするための準備も整った。門田氏は「ビジネス領域まで視野を広げると、さらに大きな成果が見えてくる」と話しつつ次のように締めくくった。

「第2世代JIP上の“イノベーション案件”は、従来型のプロジェクトとは次元が違うスピード感で開発が進みます。私たちはこのスピードを武器に、戦略的なビジネス施策をいち早く具現化していくことができます。今後JCBでは、イノベーション統括部とシステム企画部戦略グループを起点にスタートしたデジタル変革の推進を、全社レベルの活動に発展させていく考えです。HPE Pointnextには、私たちのチャレンジを支えてくれる継続的なアドバイスと技術支援を期待しています」

ご導入企業様

株式会社ジェーシービー 様

 

所在地:東京都港区南青山5-1-22 青山ライズスクエア

URL:https://www.global.jcb/ja/

本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

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