2,000ユーザーの仮想デスクトップ基盤をHPE SynergyとHPE Nimble Storageで再構築、災害対策サイトや業務サーバー基盤にも同一構成を採用し、インフラの最適化を加速
三井住友DSアセットマネジメント株式会社 様
本社所在地:東京都港区愛宕二丁目5番1号 愛宕グリーンヒルズ MORIタワー 28階
URL:https://www.smd-am.co.jp/
2,000ユーザーの仮想デスクトップ基盤を HPE SynergyとHPE Nimble Storageで再構築
"先進技術を駆使してIT環境の最適化を図り、それをさらに全社業務の最適化につなげていく。そうした期待に応えられるインフラを、Synergy+Nimble Storageで実現することができました。"
―三井住友DSアセットマネジメント株式会社
IT・事務統括部長
松島 士郎 氏
三井住友フィナンシャルグループの資産運用会社である三井住友DSアセットマネジメント株式会社では仮想デスクトップ基盤の全面刷新に踏み切った。インフラの性能・信頼性向上を図ることで、Windows 10への移行を確実に実施。また、業務効率化や働き方改革への取り組みをしっかりと下支えしていくのが狙いだ。この新システムの中核に採用されたのが、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)のコンポーザブル・インフラストラクチャ製品「HPE Synergy」と高性能ストレージ「HPE Nimble Storage」である。
業界
金融
目的
仮想デスクトップ基盤にVMware Horizon®を採用して全面刷新し、より柔軟なワークスタイルの実現を図るためWindows 10への移行や合併に伴うユーザー数増加、事業継続計画への対応を行う。
アプローチ
「HPE Synergy」と「HPE Nimble Storage」を新たに導入し、大量の仮想デスクトップクライアントを快適に動作させられる環境を実現。災害対策サイトや業務サーバー用仮想化基盤にも同一構成を採用し、運用効率化を推進。
ITの効果
・「HPE Synergy」による俊敏かつ柔軟なコンポーザブル・インフラストラクチャを実現
・「HPE Nimble Storage」を採用しコストを抑えつつストレージの性能・信頼性を向上
・「HPE OneView」「HPE InfoSight」による効率的な運用管理環境を実現
・物理環境で稼働する業務サーバーも同じ筐体内に集約することが可能に
ビジネスの効果
・重たいアプリケーションや動画などのコンテンツも軽快に活用できるようになった
・遠隔地データセンターに災害対策環境を用意し事業継続性を強化
・クライアントに物理故障が発生した場合もスピーディな環境復旧が可能に
・インライン圧縮・重複排除機能などの活用によりIT投資対効果を向上
Windows 10への移行を契機に社内VDI基盤の再構築に着手
「Quality of Lifeに貢献する最高の資産運用会社へ。」の企業理念の下、多彩な資産運用サービスを展開する三井住友DSアセットマネジメント。2019年4月に三井住友アセットマネジメント、大和住銀投資顧問の合併によって新たなスタートを切った同社では、フィデューシャリー・デューティに基づく最高品質の運用パフォーマンスとサービスの提供を通して、顧客の資産形成に貢献することを目指している。
「資産運用ビジネスにおいては、市場動向を始めとする多種多様な情報を、タイムリーに活用することが強く求められます。事業を支えるITインフラも、これに応えられるだけのスピードや柔軟さを備えていなくてはなりません。そこで信頼性・安定性確保に取り組むと共に、各種の先進テクノロジーも積極的に取り入れるよう心掛けています」と語るのは、三井住友DSアセットマネジメント IT・事務統括部長 松島 士郎氏。ファンドマネージャーをはじめとするエキスパートの力を最大限に発揮させるために、AI/ビッグデータ技術の活用にも取り組んでいるとのことだ。
その同社において、今回実施されたのが、社内業務を支える仮想デスクトップ(以下、VDI)基盤の再構築プロジェクトである。以前は人事異動に伴う端末のセットアップ作業などに多くの時間と工数を費やしており、情シス部門にも大きな負担が掛かっていた。これを『VMware Horizon』ベースでVDI化したことで、運用管理の効率化や情報セキュリティの強化など、数多くの成果を挙げることに成功している。「しかし、当時のデスクトップOSであったWindows 7のサポートがそろそろ終了となるため、当社でもWindows 10への移行が急務に。とはいえ、Windows 10はOS単体でも相当なリソースを消費する上に、年に二回の大規模アップデートも行われます。現状のままでは性能・信頼性が不足するおそれがありますし、今後は在宅勤務やテレワークなどへの対応も重要なテーマになってきます。そこで、旧VDI基盤が更新時期を迎えたことを機に、全面的に再構築することにしたのです」と三井住友DSアセットマネジメント IT・事務統括部 IT企画チーム 上席推進役 岡本 貴氏は説明する。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
IT・事務統括部長
松島 士郎 氏
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
IT・事務統括部 副部長
IT企画チーム長
布川 文毅 氏
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
IT・事務統括部
IT企画チーム
上席推進役
岡本 貴 氏
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
IT・事務統括部
IT企画チーム 兼 IT開発チーム
シニアマネージャー
井上 義久 氏
Synergy+Nimble Storageでインフラをリニューアル
近年ではVDI環境をクラウドで提供する「DaaS」(Desktop as a Service)のようなサービスも提供されているが、「コストが高額になってしまう上に、運用管理面でもそれほどのメリットが期待できない」(岡本氏)ことから、今回もオンプレミスでの構築を決断。市場に提供されている様々な製品を候補に挙げ、綿密な比較・検討を行った。その結果、新たに採用されたのが、HPEのコンポーザブル・インフラストラクチャ製品「HPE Synergy」(以下、Synergy)である。
岡本氏はSynergyを採用したポイントを「他社製ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(以下、HCI)製品なども候補に挙がりましたが、よく調べてみると当社のような大規模環境には少々力不足です。その点、Synergyは高い性能と信頼性を備えている上に、『コンポーザブル』という設計思想も非常に先進的です。様々なモジュールを自由に組み合わせて利用できることに加え、物理サーバーまで統合できるのは魅力的でしたね。外部の情報提供ベンダーからは当社社内にサーバーを置くことを求められるケースもありますが、それが物理環境であった場合も問題なく対応できます」と語る。
また、もう一つ見逃せないのが、VDI基盤用ストレージに「HPE Nimble Storage」(以下、Nimble Storage)を新たに採用した点だ。実は、同社では、以前からNimble Storageに関心を抱いていたとのこと。「特に注目したのが、Nimble Storage独自の『CASL』(Cache Accelerated Sequential Layout)アーキテクチャです」と岡本氏。この技術は、ランダムな書き込みデータをシーケンシャルな書き込みに変換することで、書き込み処理の高速化を図るというもの。これにより、ハイブリッド・ストレージでも、オールフラッシュ・ストレージ並みの性能を確保することができる。このため、今回のプロジェクトでも、ハイブリッドモデルの「HPE Nimble Storage HF40/HF20」を選択している。さらに、インライン圧縮・重複排除機能を標準で備えており、リソースをより有効に活用できる点も決め手となった。ちなみに、今回の二社合併が発表されたのは、Synergy+Nimbleの採用を決定した後のこと。しかし、両製品とも十分な拡張性を備えているため、合併に伴うユーザー数増加にも容易に対応できたとのことだ。
業務サーバー用仮想化基盤にもVDI基盤と同一構成を採用
こうして、Synergy+Nimble Storageの採用に踏み切った同社だが、その後業務サーバー用の仮想化基盤についても、VDI基盤と同じ構成で再構築することを決定している。岡本氏はその経緯を「今回の合併に伴って、新会社用の業務システムやファイルサーバーを動かす環境についても新たに整備する必要が生じました。しかし、旧二社のインフラにもうそんな余裕は残っていない上に、今さらそこに追加投資を行うのもあまり望ましいこととは言えません。それなら、こちらもSynergy+Nimble Storageで新たに作り直した方が、今後のシステム統合も円滑に実施できますし、インフラ運用管理業務の改善も図れます」と説明する。Synergyには、サーバー/ストレージ/ネットワークの統合管理を行う専用管理ツール「HPE OneView」が、またNimble Storageには、AIによる予測分析機能を備えたクラウドベースの運用監視ツール「HPE InfoSight」がそれぞれ実装されている。これらを活用することで、VDI基盤/業務サーバー基盤の運用統一化や効率化が図れると考えたのだ。
実際の導入作業もスムーズに進んだとのこと。三井住友DSアセットマネジメント IT・事務統括部 副部長 IT企画チーム長 布川 文毅氏は「まずVDI基盤については、既に1,100名分のクライアント環境を準備し終わっています。後は各ユーザーに個人持ちのデータやアプリケーションなどを移してもらう流れになりますが、Office 365などの利用がメインであれば、すぐにでもWindows 10環境で業務が行えます」と語る。ちなみに、同社のVDI基盤では、一般ユーザー向け/ヘビーユーザー向けの2種類のデスクトップを提供している点も注目される。「ファンドマネージャーは業務で重たいアプリケーションを利用する上に、ウィンドウをいくつも開いて情報収集を行ったりします。一般ユーザーと同じ環境では業務に支障が生じるため、ハイスペックな環境を別途用意しているのです」と布川氏は続ける。
また、業務サーバー用仮想化基盤についても、旧インフラからの移行や新規システムの構築が着々と進行中だ。三井住友DSアセットマネジメント株式会社 IT・事務統括部 IT企画チーム 兼 IT開発チーム シニアマネージャー 井上 義久氏は「旧大和住銀投資顧問では物理環境で構築していた業務サーバーも多く、可用性を担保するために個別にクラスタを組んだりするケースもありました。その点Synergyは、エンタープライズ向けの信頼性・可用性が基本的な設計思想としてカバーされていますので、こうした部分に気を遣わずに済むのがありがたいですね。インフラ全体の安定性が高まることで、障害対応などの運用管理負荷も軽減できることと期待しています」と語る。
より快適なクライアント環境を実現、BCP強化やIT投資の最適化にも貢献
Synergy+Nimble Storageの実力が発揮されるのは、まだまだこれからが本番となる。しかし、現時点でも、既に様々な導入メリットが見え始めているとのこと。「まずVDI基盤については、Windows10環境でも十分なレスポンスを確保できています。これまで物理PCを利用していたユーザーからも、遅いといった不満が出るようなことはありません。端末に故障が発生した場合なども、すぐに代替機を用意して業務を再開できるので大変便利ですね」と井上氏は語る。また、今後移行が本格化する業務サーバー用仮想化基盤についても、性能・信頼性や拡張性の面で特に不安を感じるような点はないとのことだ。
ちなみに、最近では、同社の業務においてもアニメーションや動画映像などのマルチメディアコンテンツが広く活用されるようになっている。たとえば公式Webサイトの情報発信力を高めたり、資産運用セミナー用の素材として利用したりといった具合だ。しかし旧VDI基盤においては、こうしたものの閲覧を円滑に行うことが難しかった。そこで同社では、HPEの支援を得て事前検証を実施。Synergy+Nimble Storageなら、動画再生もスムーズに行えることを確認した上で導入を行っている。
「遠隔地の災害対策サイトにSynergy+Nimble Storageをもう1セット設置することで、BCP(事業継続計画)対策の強化が図れたことも大きいですね。最近では、大規模な自然災害がしばしば発生していますので、万一の事態にもしっかりと備えておくことは非常に重要です」と布川氏は語る。なお、メインサイト・災害対策サイト間のレプリケーションについては、追加コストなしで利用できるNimble Storageの標準レプリケーション機能を活用。Nimble Storageは、この他にもスナップショットやインライン圧縮・重複排除などのソフトウェア群のライセンスも込みで提供されるため、ストレージコストの削減を図ることも可能だ。「今後新しいインフラへの移行が本格的に進めば、圧縮・重複排除機能の効果も高まってくるはず。また、ストレージ単体のコストも以前使っていた製品より格段にリーズナブルですので、IT投資の最適化という面でも役立ってくれています」と岡本氏は語る。
「会社やビジネスの成長に貢献できる環境を創り上げることが、我々IT部門に課せられた使命です。その点、今回のVDI/業務サーバー基盤については、十分に期待に応えられるものができたと感じています」と松島氏は手応えを語る。しかし、インフラのさらなる最適化を目指す取り組みは、今後も止まることなく続いていく。「当社では今回のVDI/業務サーバー用基盤だけでなく、AI/ビッグデータ活用基盤など、様々な分野でHPEのソリューションを活用しています。これまでの支援にも十分満足していますが、今後のインフラ最適化に向けても、引き続き先進的な提案をお願いしたいですね」と松島氏は述べた。
ご導入製品情報
強力なソフトウェア デファインド ソリューションであるHPE Synergyを活用すれば、物理/仮想コンピュート、ストレージ、およびファブリックリソースの可変的プールをあらゆるワークロードの構成に組み込むことができます。
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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導入製品
VMware Horizon