信号電材が、次の10年を見据えた全社インフラ整備を推進しデータ保護とBCP対策を大幅に強化
信号電材株式会社 様
所在地:福岡県大牟田市新港町1番29号
HPE SimpliVity 380 Gen10による仮想化統合基盤を構築、12時間を要していたリモートバックアップを3分に短縮
"HPE SimpliVityは、新旧混在していた既存システムを標準化できるだけでなく、今回の重要な要件である『BCP対策の強化』に最適な能力を備えていました"
―株式会社有明ねっとこむ
IT技術部
部長
田嶋 洋平 氏
革新的な信号機開発で業界をリードする信号電材が、全社システムを統合的に運用する仮想化基盤を構築した。クラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー搭載のHPE SimpliVity 380 Gen10を採用し、ラック2本を占めていた旧システムを高さ4Uに集約。最大の成果は、12時間を要していたDRサイトへのバックアップを「3分以内」に短縮したことだ。信号電材では、メインサイトとDRサイトのロケーションを見直し、HPE SimpliVityによる超高速バックアップ&リストアを利用してBCP対策を大幅に強化している。本プロジェクトを全面的にサポートしたのは、福岡を拠点にITソリューションを提供する有明ねっとこむである。
業界
製造
目的
次の10年を見据えた全社インフラ整備の一環として、新旧多様なシステム環境を仮想化基盤に統合。データ保護とBCPを強化するとともに、クライアント環境のVDI化も同時に推進。
アプローチ
システムの設置場所を見直し、本社とメインサイト(大牟田市)間を10G専用線で接続。同時に、メインサイトとDRサイト(福岡市)間で日次バックアップを実施可能な環境を整える。
ITの効果
・HPE SimpliVity 380 Gen10により仮想化統合基盤を構築し全社の多様なシステムをシンプルに集約
・12時間を要していたメインサイトとDRサイト間でのリモートバックアップを3分に短縮
・30日間/30世代のバックアップデータをDRサイトにて安全に保護
・データ圧縮および重複排除機能により6TBのファイルサーバーのデータを2TBに削減
・フルラック2本を占めていたサーバー/ストレージ機器を高さ4Uに省スペース化
ビジネスの効果
・成長戦略を支える3つの柱「IT基盤の標準化」「BCP対策の強化」「ITガバナンスの強化」を同時に実現
・変革期を迎える業界において今後10年のビジネス成長を支える体制を強化
・同一の仮想化基盤上にドキュメント管理やCAD/PDMなどの新システムを統合可能に
・同一のアーキテクチャーによりVDI/eVDI環境を構築しクライアントセキュリティを強化
ご導入製品
チャレンジ
交通システム激動の10年を見据え「第2の創業」を指向した意思決定
福岡県大牟田市に本社を置く信号電材は、交通信号灯器の技術開発におけるイノベーターとして知られる。強い西日でも視認性を低下させないランプユニット、アルミ筐体を採用し従来比30%の軽量化を達成したフラット型灯器など、同社がいち早く市場に送り出した製品は枚挙に暇がない。自社ブランド信号灯器の市場シェアは30%を超え、OEMを含めるとおよそ50%に達するという。代表取締役社長である糸永康平氏は次のように話す。
「自動運転に象徴される交通システムの一大変革が、今まさに始まっています。これまでの常識にとらわれず、スピード感と危機意識をもって新たな技術開発を進めていかなければなりません。信号電材は2022年に創業50周年を迎えます。私たちはこれを『第2の創業』の機会と捉え、全社一丸となって変革にチャレンジしています」
2019年3月には本社移転を完了し、技術研究拠点の新設や工場ラインの拡充も計画している。こうした「次の10年を見据えた戦略」の一環として、大胆なITインフラの見直しが進行中だ。
「必要に応じてその都度システムを構築してきましたが、そのやり方はムダが多くコスト増を招いていることが見えてきたのです。戦略的に重要な新システム導入の計画もありました。次の10年のビジネスを支えるしっかりとした基盤を確立するために、ITインフラの全面刷新を決断しました」(糸永氏)
方針の柱には「IT基盤の標準化」「BCP対策の強化」「ITガバナンスの強化」が掲げられた。その中核となるのは「統合的な仮想化基盤」の構築である。ITシステム課 課長の杉山誠氏は次のように話す。
「個別に運用されてきたシステムを統合し、バラバラだった運用やバックアップを一元化するとともに、遠隔地でのデータ保護・BCP対策をより確実にすることを目指しました」
本プロジェクトをリードしたのは、福岡県を中心にITソリューションとネットワークサービスを提供する有明ねっとこむである。同社は、大牟田市、福岡県等の自治体、NTT西日本をはじめとする企業の出資により第3セクター方式で設立された。提案の中心に据えたられたのは、新世代のハイパーコンバージドインフラ製品「HPE SimpliVity 380 Gen10」だった。
信号電材株式会社
代表取締役社長
糸永 康平 氏
ソリューション
HPE SimpliVity 380 Gen10を採用し既存環境の問題を一挙に解決
「HPE SimpliVity 380 Gen10」は、クラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー搭載の新世代ハイパーコンバージドインフラ製品として急速に支持を拡大している。複雑なIT環境をコンパクトに統合し、シンプルで扱いやすい仮想化基盤を実現できることが人気の理由だ。優れたデータ圧縮・重複排除機能、「秒速」を謳う超高速バックアップなど、他のHCI製品にない特長を備えている。
「HPE SimpliVityは、新旧混在していた既存システムを標準化できるだけでなく、今回の重要な要件である『BCP対策の強化』に最適な能力を備えていました。私たちは、仮想化基盤の弊社データセンターへの移設、福岡市内のデータセンターでのバックアップというプランと組み合わせてHPE SimpliVityを提案しました」と説明するのは、有明ねっとこむ IT技術部 部長の田嶋洋平氏である。
信号電材では、本社サーバールームと有明ねっとこむデータセンター間(ともに大牟田市内)を1Gの専用線で結び、主要システムのバックアップを行っていた。しかし、いくつかの問題に悩まされていたという。
「日次バックアップに最大12時間を要し、始業時間までに完了できない状況が起こっていました。また、バックアップソフトのエージェントが特定の環境で利用できない、システム単位で行っていたバックアップ手順が複雑化していたなど、抜本的な見直しを図る必要に迫られていたのです」(杉山氏)
また、基幹業務を支える生産管理システム(mcframe/Oracle DB)は、パフォーマンス不足や運用を標準化できない問題に悩まされていたという。業務系、CAD系それぞれのファイルサーバーの容量不足も深刻化していた。
「バックアップ、BCP対策、パフォーマンス不足、容量不足、運用の複雑化――私たちは、自社導入の経験から、HPE SimpliVityならこれらの問題を一挙に解決できると考えました。他のHCI製品との比較で機能的に優れていただけでなく、パブリッククラウドサービスとの総コスト比較では5年間で2倍以上有利になる見通しもありました」(田嶋氏)
「秒速バックアップ」で回線コストを抑制 中堅企業でも導入しやすいBCP対策
仮想化統合基盤の構築は2018年4月に着手され6月に稼働を開始した。HPE SimpliVity 380 Gen10を有明ねっとこむのデータセンターに設置し、およそ70km離れた福岡データセンターとの間で日次バックアップを行う仕組みが整えられた。これによりバックアップは劇的な高速化が図られたという。
「12時間を要していた日次バックアップが『3分以内』で完了できるようになったのです。データセンター間のネットワークは2Gの帯域を複数の企業が共有しており、1Gを占有していた以前の環境より条件が良いわけではありません。HPE SimpliVityによるデータ圧縮・重複排除の威力には本当に驚かされました」(杉山氏)
HPE SimpliVity 380 Gen10では、格納するデータを「部品データ」と「メタデータ」に分解して個別に管理している。メタデータにどの部品データがどこで使われているかを記録するとともに、重複する部品データを認識して新しい部品データのみを保存する。このユニークな重複排除テクノロジーを、専用のハードウェアアクセラレーターで高速処理できることがHPE SimpliVityの最大の特長である。
「HPE SimpliVityの圧縮・重複排除が効いているおかげで、DRサイトでは30日/30世代のバックアップデータを保持しています。開発中のアプリケーションを修正するために、30日前の状態に戻すような操作も可能になりました。イメージバックアップの取得が可能になったことで、システム単位でのリストアも容易になっています」と杉山氏は評価する。
DRサイトへのデータコピー時は、HPE SimpliVityが不足分のデータを検出し「更新されたメタデータと不足分のデータのみを転送」する。これが「12時間のリモートコピーを3分以内に短縮」できる理由だ。煩わしい差分データの管理もHPE SimpliVityなら不要である。
「6TBの容量を占めていたファイルサーバーも、データ圧縮と重複排除の効果で2TBにデータ量を削減できています。また、基幹業務アプリケーションのレスポンスも大幅に改善し、15分以上を要していた集計処理も5分以内に完了できるようになりました。もうひとつ、古いシステムから順に更新作業に追われる状況から脱却できたことも大きいですね」と管理部 ITシステム課の橋本隆司氏も評価する。
信号電材株式会社
管理部
ITシステム課
課長
杉山 誠 氏
信号電材株式会社
管理部
ITシステム課
橋本 隆司 氏
株式会社有明ねっとこむ
IT技術部
部長
田嶋 洋平 氏
ベネフィット
本社・営業拠点を含むVDI環境を構築 ITガバナンスの強化を達成
信号電材は、新本社への移転に際してフリーアドレス制を導入した。これを可能にしたのが、追加導入されたHPE SimpliVity上に構築されたVMware Horizonによる仮想デスクトップ(VDI )環境である。同じタイミングで、本社とデータセンター間を結ぶ専用線も10Gに増強された。
「本社と影響拠点をカバーする150ユーザーのVDI環境を構築しました。これにより、クライアントセキュリティを強化しながら、営業やフィールドエンジニアが会社のシステムにアクセスできるようになりました。仮想マシンの展開にフルクローンを採用することで、HPE SimpliVityの重複排除の効果を最大まで高めています。オールフラッシュ構成のHPE SimpliVityは高い性能を発揮し、ネットワーク帯域増強の効果もあってエンドユーザーに快適なレスポンスを提供しています」(橋本氏)
SolidWorksによる3D CAD/PDMを使う設計開発チームには、強力なGPUリソースを割り当てられた。HPE SimpliVityは、「CPUリソースを追加したいがディスク増設は不要」といった場合に汎用的なx86サーバーをコンピュートノードとして追加できる。信号電材ではNVIDIA Tesla P40搭載のHPE ProLiant DL380 Gen10サーバーを追加することで、パワフルなエンジニアリングVDI環境を実現した。狙いは新規事業分野を含む、新製品開発の競争力強化である。糸永康平氏が次のように語って締めくくった。
「主力である交通信号分野に加え、プロジェクションマッピングや公共空間向けの屋外照明の領域にも進出しています。耐環境性能に優れた製品とそれを支える技術は、長年にわたり私たちが培ってきたものです。交通システムの市場環境が大きく変わろうとしている中、新規分野の研究開発を含め全社レベルで競争力の強化が必須です。これまでにないアイディアをいち早く製品化していくスピード感も、ますます重要になっていくと考えています。新たに構築したシステムは、次の10年に向けた変革を支える基盤となるはずです」
ご導入製品情報
世界最高レベルの効率と耐障害性を備えた、大企業から中小企業まで幅広い企業で利用されているエンタープライズグレードのハイパーコンバージド(HCI)製品であるHPE SimpliVityは、複雑なIT環境をシンプル&コンパクトに統合し、これまでにないシンプルで扱いやすい仮想化基盤を実現します。
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