室蘭市が、市内小中学校向けシンクライアント基盤を全面再構築



室蘭市 様

 

HPE SimpliVityが次世代ICT教育の発展に貢献、情報教育系システムのさらなる統合も視野に


"SimpliVityの導入によって小中学校向けのシンクライアント基盤を改善できたことは、庁内のICTインフラを担う当部門にとっても大きな成果。今後も積極的な活用を図っていきたいと考えています。"

―室蘭市役所
 企画財政部 ICT推進課
 課長
 千歩 穣 氏

北海道の主要都市の一つとして知られる室蘭市では、市内小中学校のパソコン教室向けシンクライアント基盤を再構築した。旧環境で課題になっていた性能・信頼性問題を解消し、プログラミング教育などの新たな情報教育ニーズにも即応できる環境を整備するのが狙いだ。新システムの中核には、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)の「HPE SimpliVity 380 Gen10」を導入。教員や児童・生徒に快適な環境を提供すると同時に、既存の情報教育系業務サーバーの統合など、インフラの最適化を図るための基盤としても活用していく。

 

業界

行政

 

目的

室蘭市内の小中学校に設置されたパソコン教室用シンクライアント基盤の性能・信頼性問題を解消し、教員や児童・生徒がより快適にパソコンを活用できる環境を実現すること。

 

アプローチ

クラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載する「HPE SimpliVity 380 Gen10」を新たに採用し、大量のアクセス集中にも余裕で対応できる性能を確保。運用管理の効率化や情報教育系システムのさらなる最適化も併せて推進。

 

ITの効果

・「HPE SimpliVity 380 Gen10」×2ノードによる新シンクライアント基盤を構築

・HCIコンピュートノードを活用し、システムの性能強化を低コストで実現

・圧縮・重複排除技術により、ストレージ容量を70%以上削減することに成功

・高速なバックアップ機能を活かし開発・検証業務の大幅時間短縮を実現

 

ビジネスの効果

・起動時間やシステムのレスポンスが改善され円滑に授業を行えるようになった

・ラックスペースを従来の1/2に縮小し、移設費用を削減

・室蘭市立看護専門学院のシンクライアント基盤も同一環境に集約

・別基盤で稼働中の情報教育系サーバー群を統合するためのインフラとしても活用

小中学校向けシンクライアント基盤の性能・信頼性改善が大きな課題に

 

100m級の断崖絶壁から太平洋を一望する地球岬をはじめ、白鳥大橋や工場夜景など、国内屈指の景勝地を数多く有する北海道・室蘭市。海運や製鉄などの産業で古くから栄えてきた同市だが、近年ではカレーラーメンや室蘭やきとり、クロソイといった名物グルメでも高い人気を博している。

その同市の行政運営を情報面で支えているのが、企画財政部・ICT推進課である。同課の課長を務める千歩 穣氏は「行政運営の効率化や市民サービスの向上を図っていく上では、ICTの活用が欠かせません。とはいえ、コストにも十分な目配りが必要ですので、『西いぶり定住自立権構想』に基づき周辺市町と情報システムの共同運用を行うなど、様々な取り組みを進めています」と説明する。ちなみに同市は、ICT活用でも全国屈指の先進都市であり、GIS(地図情報システム)を用いたオープンデータの活用を早くから推進している。企画財政部 ICT推進課 ICT推進係 主事 川口 陽海氏は「さらに2018年からは、岩手県・宮古市と当市を結ぶフェリーを利用した『宮蘭航路フェリーハッカソン』も開催しています。ここでは、フェリーの往復乗船時間内でアプリ開発の技を競うイベントを行っています」と語る。

このように意欲的にICT活用に取り組む同市だが、その一方で早急に解決すべき課題も抱えていた。それは市内小中学校のパソコン教室向けシンクライアント基盤の再構築である。「当市では、クライアント運用管理の効率化などを目的に、2010年頃よりパソコン教室の全面シンクライアント化に着手。現在では、市内20校に約800台の端末を展開しています。しかし、サーバーの老朽化が進んだことで、起動時間が遅くなかなかログインできない、複数の学校からアクセスが集中するとレスポンスが遅くなるなど、様々な課題を抱えていました」と川口氏は振り返る。授業が始まってから起動していたのでは間に合わないため、前の授業時間にあらかじめ起動しておくなどの対応も強いられていたとのこと。「最近では、総合学習の調べ学習や修学旅行前の現地調査など、様々な用途でパソコンが活用されるようになっています。しかも今後は、プログラミング教育なども見込まれており、システム負荷がますます高まることが予想されます。こうした新たなニーズに対応していく上でも、より高い性能・信頼性を備えた基盤を整備する必要があると考えました」(川口氏)。

室蘭市役所

企画財政部 ICT推進課
課長
千歩 穣 氏

室蘭市役所

企画財政部 ICT推進課 ICT推進係
主事
川口 陽海 氏

HPE SimpliVity+SBCによる新たなインフラを構築

 

新シンクライアント基盤用プロダクトの選定にあたっては、まずパフォーマンスの高さが要件として挙げられた。「前述の通り、複数の学校から一斉にアクセスされるケースも多いので、250台の端末から同時接続されてもレスポンスが劣化しないことを求めました」と川口氏は語る。もちろん、ただ250台分の環境が動けば良いというわけではなく、今後台数が増えたり授業での活用が広がった際にも、余裕を持って対応できるだけの能力が必要とされた。

また、旧環境ではデスクトップOSを利用するVDI方式の製品を用いていたが、この方式がサーバー負荷増大を招く要因になっていたことから方針を転換。今回からサーバーOS上に導入したソフトウェアを利用するサーバーベース・コンピューティング(SBC)方式に切り替えることとした。加えて、もう一つポイントとなったのが、省スペース性の高さである。「現在は市内のある学校内に設置した情報教育センターでシステムを運用していますが、近々この学校が閉校になるため移設を検討中です。その際のコストを最小限に抑えるためにも、コンパクトな製品であることが重要でした」と川口氏は明かす。

同市では、こうした要件を元に公開入札を実施。その結果、採用に至ったのが、クラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載するHPEのハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(以下、HCI)製品「HPE SimpliVity 380 Gen10」(以下、SimpliVity)を盛り込んだ大塚商会の提案である。同社の香川史明氏は、SimpliVityを推した理由を「SimpliVityは非常に高性能なHCI製品である上に、ハードウェア・アクセラレータを用いた高速・高効率な重複排除機能も備えています。シンクライアント環境では重複データも多いので、性能を犠牲にすることなくリソースを最大限に活用できるのは非常に大きい。さらに、汎用IAサーバーをHCIコンピュートノードとして追加できる点も魅力的でしたね。ノード単位の増設が必須となる他のHCI製品と異なり、コストを抑えつつ必要なパフォーマンスを確保できます」と語る。また、川口氏も「HCIの効率性や運用管理性の高さについては、当市でも他の庁内業務システムなどで既に体感しています。今回もHCIであればいいなとは思っていましたが、コスト的に少々難しいかも知れないという印象でした。それだけに、SimpliVityを導入できたことは、我々にとっても結果的に良かったですね」とにこやかに語る。

システムのレスポンスを劇的に改善 バックアップ機能も有効に活用

 

SimpliVityによる新シンクライアント基盤は、2019年4月より本番稼働を開始。ストレージ容量については当面問題なしとの判断から、HCIノード×2+HCIコンピュートノード×1の構成とし、コストを抑えつつパフォーマンスの向上を図っている。「もし性能や容量が不足してきた場合も、SimpliVityならその都度足りない部分だけを拡張すれば済みます。自治体では年度ごとに予算を組みますので、最初に多額の投資を行わずに済むのは大変助かりますね」と千歩氏は語る。また、ラックスペースに関しても、以前の約1/2程度に削減できたとのことだ。

これにより、最大の懸案であった性能問題も完全に解消。旧環境においては、ユーザーのプロファイルデータが大きかったりすると、ログイン完了までに10分程度の時間が掛かっていたという。しかし、現在では、遅くとも1分以内にログインを終えることが可能だ。ちなみに同市では、データ保存用の共有フォルダも別のファイルサーバに用意している。しかし、児童・生徒がこれを使いこなすのは少々ハードルが高いとの考えから、デスクトップ上やドキュメントフォルダにもそのままデータを残すことを許す運用を行っている。「これがプロファイルデータの肥大化やログインの長時間化を招く要因ともなっていたわけですが、現在もこの運用は変えていないにも関わらず、劇的にレスポンスが改善されました」と川口氏は満足げに語る。以前はシステムの性能に関する問い合わせなどもしばしば寄せられていたが、これもSimpliVityに変わってからはほぼ無くなったとのこと。各学校へのサービスレベル向上に大きく貢献しているのである。

さらに、もう一つ見逃せないのが、バックアップ/リストア作業の迅速化だ。毎月配信されるWidows Updateや授業で利用するアプリケーション、業務システム用ゲストOSなどの動作検証を行うために、同市では毎月数多くのテスト業務を行っている。以前はそのための環境準備などに多くの工数が掛かっていたが、SimpliVityの標準バックアップ機能を活用することで、大幅な効率化・省力化を実現している。「シンクライアント基盤と開発・検証用基盤を同一環境上で動かしても全く問題はありません。バックアップからテスト用の環境を作ったり戻したりといった作業が数秒で行えるため、業務負担が大幅に軽減されました。検証で失敗を何度も繰り返せるということは、システムの安定稼働を維持する上でも非常に重要です。また、こうした作業がVMware vCenterだけで一元的に行えるのも、SimpliVityの良さですね。複数のツールを組み合わせて用いたりする必要がありませんので、運用管理の属人化を解消する上でも役立っています」と川口氏は語る。なお、プロファイルデータやユーザーデータなどは別のバックアップ・アプライアンス上に保存しているが、ここから誤消去したデータなどを戻す作業も1分程度で行えるとのこと。以前は同じ作業に約2時間を費やしていただけに、ユーザーからのリストア要求にも格段にスピーディに対応できるようになった。

看護学院向けシンクライアント基盤も集約 情報教育系サーバーの統合を今後も推進

 

今回導入されたSimpliVityは、当初の目的であった小中学校向けシンクライアント基盤以外の用途でも有効に活用されている。たとえば、その一つが、市立室蘭看護専門学院向けのシンクライアント基盤だ。元々こちらにおいてもSBC方式のシンクライアント環境が稼働していたが、小中学校と同様に性能問題を抱えており早急な改善が求められていた。「幸い、重複排除機能のおかげでストレージ容量を70%以上も削減できましたので、まだまだ他のシステムを収容できるだけの余裕があります。そこで、看護学院向けのシンクライアント基盤についても、SimpliVity上に新たに再構築することにしました」と川口氏は語る。その結果、小中学校向け、看護学院向けのシンクライアント基盤を一括で管理できるようになった上に、旧看護学院向け基盤で利用していたサーバーなども廃止することができた。

また、現在は他の基盤上で稼働中のデジタル教科書やDNSサーバー、WSUSサーバー、運用管理サーバーといった管理系のサーバーについても、今後段階的にSimpliVityへの移行を進めていく考えだ。「リソースの空き具合を確認しながらの作業となりますが、基本的に情報教育系のサーバー群については、すべてSimpliVityへの統合を進めていきたい。それにより、インフラの最適化をさらに促進できればと考えています」と川口氏は語る。ちなみに、室蘭市・登別市・伊達市・壮瞥町の三市一町では、情報教育系システムの共同運用を行っており、室蘭市がその中心的な役割を担っている。その一環として、ユーザー認証用Active Directoryサーバーの提供などを行っている。「運用管理の効率化やヘルプデスクの負担軽減など、多くの効果が見込めるのでは」と川口氏は語る。

今回のプロジェクトを支援した大塚商会の布目 剛史氏も「お客様の課題解決に貢献できたことは、我々にとっても大きな成果。当社としては、シンクライアント基盤用に導入した『Citrix VirtualApps(旧名称:Citrix XenApp)』のノウハウなども十分に活かせたと考えています。SimpliVityは非常に優れた製品なので、お客様のニーズにフィットする案件があれば積極的にご提案していきたいですね」と手応えを語る。さらに室蘭市でも、情報教育の高度化に向けた取り組みを引き続き推進していく構えだ。千歩氏は今後の展望を「技術的な部分をすべて庁内でカバーするのは難しいので、HPEと大塚商会の支援にも引き続き期待しています。SimpliVityの性能・信頼性やこれまでのサポートには十分満足していますが、システムはいつか更新時期を迎えます。その際にも、是非また良い製品やソリューションを提案して欲しいですね」と述べた。

株式会社大塚商会

札幌支店 技術グループ
テクニカルソリューション課
テクニカルスペシャリスト
香川 史明 氏

株式会社大塚商会

札幌支店 LA販売課
布目 剛史 氏

インテル® Xeon®
スケーラブル・プロセッサー搭載

ご導入企業様

室蘭市 様

 

所在地:北海道室蘭市幸町1番2号

URL:http://www.city.muroran.lg.jp/