良品計画が、店舗・本部で利用する モバイルデバイス2,650台の管理を統合し、セキュリティ強化と利便性向上を両立
株式会社良品計画 様
デバイスやアプリケーションごとの緻密なアクセス制御と快適なユーザー体験をHPE Pointnextがトータルに支援
"Workspace ONEにより、要 件の異なる2つの環境を統 合的に管理できるようになり ました"
―株式会社良品計画
情報システム担当
インフラストラクチャー課
小野塚 昌樹 氏
良品計画が、店舗端末( iPod Touch / iPad 2,000台)と、本部で利用する個人所有端末(スマートフォン650台)の管理を統合した。ユーザーの利便性を高めて生産性向上に寄与し、全社で取り組む「働き方リノベーション」を加速させることが大きな狙いだ。デバイスごと、接続場所ごと、アプリケーションごとの緻密なアクセス制御を実装してエンドポイントセキュリティを強化し、快適なユーザー体験との両立をトータルに支援したのは、HPE Pointnextのコンサルティングチームである。
業界
流通
目的
全社で推進する「働き方リノベーション」の一環としてのインフラ整備。全社で利用するモバイルデバイス2,650台のセキュリティ強化とユーザーの利便性向上を図る。
アプローチ
会社支給の店舗端末と個人所有端末の管理を一本化し、セキュリティ強化とユーザーの利便性向上を同時に実現する。さらに、運用負荷の低減とTCOの削減を追求する。
ITの効果
・VMware Workspace ONEにより、会社支給・個人所有端末2,650台の統合的な管理と情報漏洩対策を実現
・Workspace ONEとIceWall SSO認証基盤のアドオン開発により、デバイスごと、接続場所ごと、アプリケーションごとの緻密なアクセス制御を実現
・モバイルデバイスから多様なアプリケーションへのシングルサインオンが可能に
・既存ツールとの差異の洗い出しや機能の実効性をPoCにより確認しスムーズな導入を実現
ビジネスの効果
・全社で推進する「働き方リノベーション」の一翼を担うインフラ整備を完遂
・各種端末からOffice 365と業務アプリケーションをセキュアに利用可能になりユーザー体験を大きく改善
・MDMツールとセキュアブラウザーによる個別管理からWorkspace ONEによる統合管理へ移行し、運用負荷低減とコスト削減を実現
・複雑な実現方式の検討が不可欠なアクセス制御の設計から実装までをHPE Pointnextがトータ ルに支援
・Windows 10 / Mac OS X環境の統合管理およびグローバル展開を見据えた計画に着手
チャレンジ
モバイルデバイスの統合管理により 「働き方リノベーション」をさらに推進
生活の基本となる本当に必要なものを、本当に必要なかたちでつくる――衣料品、生活用品、家具やインテリアなど、「無印良品」ブランドのシンプルで美しい商品は、長年にわたり多くの人々を魅了し支持を拡大させている。良品計画が提案する「感じ良いくらし」は、働く場としての「感じ良いオフィス」、従業員が実感する「感じ良い働き方」に支えられているという。良品計画で情報システム担当インフラストラクチャー課長を務める安田俊治氏は次のように話す。
「良品計画では、国内419店舗*にタブレット端末を導入し、本部では個人所有のスマートフォンを業務に利用できるようにしています。モバイルデバイスの活用は、お客様サービスの向上と業務効率化に大きく寄与してきました。現在、全社で取り組んでいる『働き方リノベーション』では、社内外のコミュニケーションとコラボレーションをより円滑にし、より生産性の高い働き方につなげることを目指しています」*2018年2月期
「働き方リノベーション」を支えるインフラとして、2017年6月にMicrosoft Office 365による全社コミュニケーション / コラボレーション基盤が整備された。これにより、全社に展開するPCや各種端末からExchange Onlineによるメールやス ケジュール、Skype for Business Onlineの利用が可能となっている。だが安田氏は、まだいくつかの課題を解決する必要があると考えていた。
「約2,000台の店舗端末、本部で使う650台の個人端末を統合的に管理しつつ、情報漏洩対策を徹底させること。デバイスや接続場所、アプリケーションごとに、適切にアクセスをコントロールすること。すべての課題を解決して初めて、 Office 365の本格的な利用を推進できると考えました」と安田氏は話す。
2017年9月、Office 365を快適に利用するための 「モバイルデバイス統合管理基盤」の検討が始まった。このプロジェクトを全面的に支援したのが、HPE Pointnextのコンサルティングチームである。HPE Pointnextは、企業のデジタルトランスフォーメーションをトータルに支援するサービス組織。世界80カ国で2万5,000人を超えるITプロフェッショナルが、豊富な実績とナレッジに基づくコンサルティング、構築サービス、運用保守サービスをトータルに提供している。
株式会社良品計画
情報システム担当
インフラストラクチャー課長
安田 俊治 氏
株式会社良品計画
情報システム担当
インフラストラクチャー課
小野塚 昌樹 氏
ソリューション
Workspace ONEによる統合管理基盤の 構築をHPE Pointnextがトータルに支援
良品計画では、全国に配置した店舗端末(iPod Touch / iPad )をMDM(Mobile Device Management)ツールで管理してきた。これに対して、本部の個人所有端末(スマートフォン)はセキュアブラウザーを利用して端末にデータを残さない仕組みを採用していたという。情報システム担当インフラストラクチャー課の小野塚昌樹氏は次のように話す。
「個人所有のスマートフォンからでも、モバイルアプリで快適にOffice 365を利用できるようにしたいと考えました。セキュアブラウザーとモバイルアプリでは使用感に大きな差があるからです。セキュアブラウザーを廃しても、しっかりと情 報漏洩対策が可能な仕組みが不可欠でした」
良品計画における「モバイルデバイス統合管理基盤」の要件を整理すると次のようになる。
①店舗端末と個人所有端末、計2,650台の統合管理
②各端末にモバイルアプリを採用しOffice 365 の使用感を改善
③情報漏洩対策、端末の紛失対応などエンドポイントセキュリティの強化
④モバイルデバイス管理の統合化による運用負荷低減とTCO削減
⑤デバイスごと、接続場所ごと、アプリケーションごとのアクセス制御
プリセールスとして本プロジェクトに参画したHPE Pointnextの渡辺基子氏は、次のように話す。
「私たちの提案のひとつが『VMware Workspace ONE』による統合エンドポイント管理でした。既存のMDMとセキュアブラウザーが担ってきた機能をすべてこれに集約します。Office 365のメールとスケジュール管理機能をモバイルアプリで 利用できるとともに、Skype for Businessによる在席確認やチャット・電話会議も使えます。また、Workspace ONEに統合されたメーラーとブラ ウザーでは、情報漏洩防止機能によりきめ細やかなデバイス制御を行えますので、業務系システムも安全にご利用いただけます」
HPE Pointnextの提案のポイントは次の通りである。
①個別の管理システムをWorkspace ONEに統合し全体最適化を推進
②Proof of Concept(概念実証)を実施して既存ツールとの機能比較、適合性を確認
③既存環境からのスムーズな移行手順を構築
④IceWall SSOと連携した緻密なアクセス制御を実装
既存MDMとセキュアブラウザーの機能をすべてWorkspace ONEで置き換え可能か、実際の使用感はどうか、HPE PointnextのチームはPoCを実施して慎重に確認していった。これを担当したHPE Pointnextの付思宇氏は次のように話す。
「店舗端末と個人所有端末それぞれをWorkspace ONEの管理下に置いて検証した結果、すべての機能要件をクリアし、良品計画様のセキュリティ基準も満たすことが確認できました。また、使用感に関しては複数部門の20人に実機テストへ参加いただき、全員から『操作性が大きく向上した』という評価が得られました。『メールアプリの使い勝手が向上した』『プッシュ通知機能が便利』という声も多かったですね」
IceWall SSOへの機能アドオンにより緻密なアクセスコントロールを実現
タブレット端末やスマートフォンなど、IPアドレスで管理できないデバイスを導入している企業は、いずれも「アクセス制御」の実装に苦慮している。デバイスが会社支給か個人所有か、接続は社内ネットワークかインターネット経由か、ID・パスワード以外の認証情報を持っているか、デバイス側のアプリケーションはどのような挙動をするか――複数の条件が混在する環境では、アクセス制御の仕組みは複雑にならざるを得ない。すべての要件を網羅することができず、社内規則やルールを制定してリスクを回避している企業は多い。
「良品計画として譲れない要件がありました。しかし、すべてを満たすアクセス制御製品やクラウドサービスは存在しなかったのです」と小野塚氏は振り返る。解決が求められた主な要件は次の通りだ。
①会社支給PCは社内からのアクセスのみ許可し、外出先や個人所有PCからのアクセスは許可しない
②Workspace ONEに登録されたモバイルデバイスだけが、Office 365(クラウド)や業務アプリケーション(オンプレミス)にアクセスできる
③特定のユーザーは外出先や自宅からのアクセスを許可するが、それ以外のユーザーは社内からのアクセスのみに限定する。
「この条件下では、会社支給PC(Outlook 2010)とモバイルデバイス(情報漏洩防止機能 対応メーラー)からOffice 365のメール環境を利用したいと思っても、いずれかのアクセスができなくなることがわかりました。ID・パスワード認証とネットワークレイヤでアクセス制御する、という従来の常識を超えて『デバイスやアプリケーションまでを考慮したアクセス制御』が求められたのです」(小野塚氏)
HPE Pointnextチームは、きめ細やかにアクセス制御要件を整理していった。そして、ユニークな解決方法を導き出した。
「すでに導入されていたIceWa l l SSOとWorkspace ONEを連携させて、デバイスごと、ネットワークごと、アプリケーションごとのアクセス制御を実現しました。ポイントは、まずデバイス認証をWorkspace ONEで行い、その認証データを引き継いで追加のアクセス制御をIceWall SSOで行う構成としたこと。そのために、IceWall SSO上にネットワークとアプリケーションレイ ヤーでの制御機能をアドオンで実装したことです」とHPE Pointnextの渡辺氏は話す。
IceWall SSOは、日本ヒューレット・パッカードが開発・提供するシングルサインオン製品だ。1997 年の登場以来4,000万以上のユーザーライセンスを販売し、国内シェアは半数以上*と他を圧倒している。良品計画では、Office 365の全社導入 に合わせてIceWall SSOを構築していた。本プロジェクトでIceWall SSOのアドオンプログラムを開発したのは、認証システムとデバイス管理の双方に精通したHPE Pointnextの技術陣である。
「このアドオンのおかげで、IceWall SSOの認証機能を利用した緻密なアクセス制御が可能になったのです。もちろん、モバイルデバイスからOffice 365をはじめとする複数の業務アプリケーションへのシングルサインオンも利用できるようになり、ユーザーの使い勝手を向上させています」(小野塚氏)
*Webシングルサインオンパッケージ市場シェア 2016 年度(実績/出荷金額ベース) No1 日本ヒューレット・パッカード:52.5% 出典:ミック経済研究所「個人認証・アクセス管理型セキュリティソリューション市場の現状と将来展望2017年度版」
日本ヒューレット・パッカード株式会社
Pointnext事業統括
Pointnext営業統括本部
ソリューション開発本部
渡辺 基子 氏
日本ヒューレット・パッカード株式会社
Pointnext事業統括
製造・流通サービス事業本部
第二サービス本部 第三部
プロジェクトマネージャー
付 思宇 氏
ベネフィット
Windows 10やMac OS X環境の統合管理ID管理の統合化プロジェクトを推進
2018年1月、Workspace ONEによるデバイス統合管理基盤の運用が始まった。HPE Pointnextでは付氏が中心となって、全国に展開する2,650台の端末を、店舗や本部スタッフによる簡単な操作でWorkspace ONE管理へ移行できる仕組みを用意した。
「Workspace ONEにより、要件の異なる2つの環境を統合的に管理できるようになりました。様々な管理情報を収集可能になり、ポリシーの適用やデバイス紛失時の対応も容易になったことも嬉しいですね。デバイス管理にかかる負荷を大幅に軽減できるものと期待しています」と小野塚氏は評価する。
運用負荷の低減はそのままTCO削減に結びつく。さらに、ソフトウェアのライセンスコストの削減効果も加わる。その先にはデバイス統合管理のグローバル展開、さらにはWindows 10 / Mac OS X環境を含めた統合管理も視野に入っているという。最後に安田氏が次のように語って締めくくった。
「HPE Pointnextのチームには、Office 365とIceWall SSOによる認証連携システムの導入を支援してもらった経緯があります。私たちが『働き方リノベーション』で掲げた目標を、IT要件へと具体化しながら、様々な課題解決にプロジェクトチーム一体となって取り組むことができました。今回のデバイス統合管理基盤プロジェクトでは、複雑な要件をきめ細やかに整理し、妥協することなくセキュリティと利便性をバランスよく両立させてもらえたと思っています。現在進行中のID管理システム統合化プロジェクトでも、高い技術力を発揮してもらえることを期待しています」
ご導入企業様
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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