モンテールが、新商品開発を支える商品企画情報システムを刷新しサーバーセキュリティを大幅に強化
株式会社モンテール 様
所在地:〒340-0822 埼玉県八潮市大瀬3-1-8
URL:https://www.monteur.co.jp
HPE ProLiant DL360 Gen10サーバーを採用し、オフコンによる基幹システムの刷新に向けた技術評価に着手
"サーバー選定に際して重視したのはセキュリティと信頼性です。私たちは、HPE ProLiant DL360 Gen10サーバーのマネージメントプロセッサー『iLO 5』が提供するセキュリティ機能に注目しました"
―株式会社モンテール 総務部情報システム課 マネージャー 大山 英治 氏
チルドデザート市場で成長を続けるモンテールが、「商品情報管理システム」のアプリケーションとITインフラを刷新した。商品の原材料規格とその配合計算、栄養分析値などを管理する仕組みを強化し、新商品開発における一部のプロセスをスピード化することが狙いだ。さらに、オフコンで運用している基幹システムの刷新を見据えた「技術評価」も目標に掲げられた。本システムに採用されたのは、インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載し、セキュリティ機能を大幅に強化した「HPE ProLiant DL360 Gen10サーバー」である。
業界
製造
目的
新商品開発を支える「商品情報管理システム」の刷新。開発要求の多様化・スピード化に応えるシステム強化とともに、セキュリティと信頼性を向上させる。
アプローチ
オープンテクノロジーのセキュリティと信頼性を本番環境で検証し、オフコンで運用中の基幹システム刷新に向けた技術評価・製品評価を行う。
ITの効果
・最新の高性能インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載するHPE ProLiant DL360 Gen10サーバーを採用し、競争力の高い独自アプリケーションを稼働させるITインフラを構築
・「Silicon Root of Trust(シリコンレベルの信頼性)」を起点としたハードウェア主導型のセキュリティを実装
・Windows Server 2016とSQL Server 2016に移行し、C#と.NET Frameworkによる汎用性の高いアプリケーション開発体制を構築
ビジネスの効果
・アプリケーション刷新により2020年3月に移行期間が終了する食品表示法の施行に対応
・オフコンベースの基幹システム刷新に向けオープンテクノロジーの評価に着手
・COBOLから脱却し情報システム部門の技術力向上を図るロードマップを策定
・インフラとアプリケーションを分離しベンダーロックインの解消を目指す
ご導入製品
チャレンジ
受注当日の生産・出荷が求められるチルドデザート=日配食品の世界
スーパーやコンビニの人気商品「小さな洋菓子店」ブランドで知られるモンテール。同社のシュークリームやエクレア、ロールケーキなどは、10℃以下の低温で輸送・販売されるチルドデザートに分類される。モンテールは、「手軽に楽しめる本格スイーツ」でチルドデザート市場を切り拓いた先駆者である。同社総務部情報システム課 マネージャーの大山英治氏は次のように話す。
「私たちは、素材の鮮度にこだわり、産地直結型の生産工場をつくり、食品の安全・安心のため業界最高水準の衛生管理を導入しています。毎日店舗に納品される日配食品であるチルドデザートは、鮮度が命。日々、商品を受注し生産・出荷までを行うサイクルを、年間365日休みなく行っています」
モンテールでは、およそ50~60品目の自社ブランド商品を提供している。月に多い時で約20アイテムが新商品に入れ替わる。新商品の投入、季節商品や限定商品の入れ替え、さらに定番商品のリニューアルも加わって、商品開発のスピードは年々加速しているという。
「商品開発のシステム化に着手したのは、自社ブランド商品が40品目を超えた2006年頃です。それまで担当者の手作業に頼っていた商品ごとの原材料管理と配合計算(レシピ)を、セキュアかつ統合的に管理する仕組みを整えました」(大山氏)
この「商品情報管理システム」は、重要な企業資産である商品概要やレシピを管理するだけでなく、栄養成分値の管理やアレルギー情報の管理、量産計画に不可欠な配合計算も担う。「基幹システムと同様にモンテールの根幹を支えるシステムのひとつであり、停止の許されないシステム」(大山氏)である。
2018年3月、モンテールは「商品企画情報システム」のアプリケーションとITインフラを全面的に刷新した。新たに採用されたのは、ハードウェアレベルでセキュリティ機能を大幅に強化し「世界標準の安心サーバー」を掲げるHPE ProLiant DL360 Gen10サーバーである。
ソリューション
「世界標準の安心サーバー」を掲げるHPE ProLiant DL360 Gen10サーバーを採用
最新の高性能インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載するHPE ProLiant DL360 Gen10サーバーは、HPE独自開発のシリコンチップ(ASIC)「Integrated Lights-Out 5(iLO 5)」を信頼の起点(Silicon Root of Trust)として、ハードウェアレベルでシステムの完全性を保証している。世界に先駆けて「シリコンレベルの信頼性(Silicon Root of Trust )」を備えた、最新のx86サーバープラットフォームである。
「サーバー選定に際して重視したのはセキュリティと信頼性です。私たちは、HPE ProLiant DL360 Gen10サーバーのマネージメントプロセッサー『iLO 5』が提供するセキュリティ機能に注目しました。『商品情報管理システム』の不調が及ぼすビジネスインパクトは重大です。ランサムウェアや標的型攻撃は対岸の火事ではありません。いつどんな脅威が降りかかるか予測できない状況で、セキュリティリスクへの備えを強化できることは大きな意義があると考えました」(大山氏)
サイバー攻撃の矛先がハードウェア/ファームウェアへと向けられ、永続的なサービス拒否を引き起こすPDoS(Permanent Denial of Service )攻撃は現実のものとなっている。モンテールの意思決定は、新たに台頭するセキュリティリスクがビジネスを脅かしている現実にいち早く備えるものだ。
「今回の導入では、iLO 5を徹底的に使いこなすことを前提にHPE ProLiant DL360 Gen10サーバーを選定しました。ハードウェア/ファームウェアへのセキュリティ対策に必要な機能がサーバー自身に備わっており、追加投資が必要ないことがポイントでした。iLO 5によってハードウェアベースで強化されたセキュリティを基盤に、ネットワーク境界防御、認証とアクセス制御、アンチウイルスなど多層的にセキュリティ対策を強化しました」
モンテールでは複数のHPE ProLiantサーバーを運用してきた。だが、「従来は、iLOをサーバーの付属機能としか捉えていなかった」と大山氏は振り返る。その考えは大きく変わった。
「iLO 5のコンソールからデータセンターに設置したHPE ProLiant DL360 Gen10サーバーの稼働状況を参照し、必要に応じてリモートで操作を行えます。エージェントレスなので、サーバーOSが不調をきたしても操作できる安心感は大きいですね。また、今回初めて『HPE InsightOnlineダイレクトコネクト』を採用しました」
iLO 5は、CPU、ファン、パワーサプライ、メモリ、温度、ディスク、RAIDコントローラーなどサーバー内蔵コンポーネントの監視を完全なエージェントレスで実現している。これらの不調を検知すると、iLO 5が日本ヒューレット・パッカードのサポートセンターに自動通報。サポートセンターのエキスパートが問題を解析し、サービスに影響する前に適切な処置を案内する仕組みが「HPE Insight Onlineダイレクトコネクト」である。
「商品情報管理システムのサービスを安定的に提供し続けるために、限られた人員でも事前予防的に問題に対処できるようになりました。サーバーセキュリティを強化しつつ、同時にシステム全体の信頼性も高めることができたと思っています。その先に見据えているのは基幹システムの刷新です」(大山氏)
オフコンによる基幹システムの刷新に向け 技術と製品の有効性を評価
モンテールでは、2002年より現在のオフコンベースの基幹システムを運用している。ハードウェアを更新しながら、長年にわたりCOBOLベースのアプリケーションを継承してきたが、ビジネス環境の変化が基幹システムにも変革を迫っているという。
「アイテム数の増加をはじめ、お客様や市場環境の変化に柔軟に対応できる新しい基幹システムの計画を進めています。開発生産性を高め、機能の追加や改修を容易にするアーキテクチャーの実現が大きな目標です。商品情報管理システムの刷新には、次期基幹システムを具体化していくための技術評価という狙いもあるのです」と大山氏は力を込める。
商品情報管理システムでは、Linux OSとPostgreSQLに代わり、Windows Server 2016とSQL Server 2016が採用されている。「OSSから商用製品へ移行した狙いは2つある」と大山氏は言う。
「ひとつは、優秀なエンジニアを確保しやすいこと。C#と.NET Frameworkによる汎用性の高いアプリケーション開発体制を強化していく考えです。もうひとつ、ハードウェアとソフトウェアそれぞれのメーカーが持っている最新技術をいち早く採用し、新しい競争力につなげたいという思いがあります」
商品企画情報システムを稼働させるHPE ProLiant DL360 Gen10サーバーでは、サーバーセキュリティや信頼性、運用管理性を中心に評価し、次期基幹システムのITインフラに求められる要件を精査する予定だ。
「オフコンからの脱却によってベンダーロックインから解放される一方で、ITインフラ設計や運用、アプリケーション開発における私たち自身の技術力が問われることになります。開発体制強化の道筋は作りました。次は、本当に有用なテクノロジーやITインフラ製品を見極めていく考えです」(大山氏)
株式会社モンテール
総務部情報システム課
マネージャー
大山 英治 氏
インテル® Xeon® プロセッサー・スケーラブル・ファミリー搭載
ベネフィット
ディザスタリカバリへの適用を視野に理想的なハイブリッドITを模索
モンテールでは、受注から出荷・売上管理までビジネスの根幹を支える「基幹システム」に加え、「生産管理システム」や「商品情報管理システム」などの自社開発アプリケーションをオンプレミスで稼働させることを基本方針としている。一方、情報系システムや営業支援系システムなど適材適所でSaaSも採用している。
「セキュリティと信頼性への要求が高いシステムは、これからもオンプレミスでの運用が基本になるでしょう。社内の体制やノウハウを活かした無停止運用が可能で、コスト面でも優位性があるからです。事業継続に寄与するデータ保護やディザスタリカバリについては、パブリッククラウドサービスとの連携も考えていきたいと思っています」
モンテールでは、商品情報管理システムの刷新により、2020年に予定されている食品表示法施行に伴う移行期間の終了に対応した。そして基幹システム刷新も視野に入ってきた。大山氏は次のように語って締めくくった。
「次期基幹システムの構築においては、ITインフラとアプリケーションの分離調達は必須です。私たちは、次期インフラ構築を視野にHPE ProLiant DL360 Gen10サーバーを選択し、実際に運用しながら厳しい目で評価しています。何かあったら困るシステムだからこそ、確かな裏付けのある安心感が欲しい。『世界標準の安心サーバー』が、私たちの期待に応えてくれるものと確信しています」