業務支援サービスのジェットが、ソフトウェアコストを削減しながらサーバー環境を高密度に集約
第2世代AMD EPYC™ プロセッサー搭載、 オールSSD構成のHPE ProLiant DL385 Gen10サーバーに 物理サーバー5台を統合
全国に2,000名規模の在宅スタッフをネットワークし、企業向け業務支援サービスを提供する株式会社ジェット。同社では、第2世代AMD EPYC™プロセッサー搭載HPE ProLiant DL385 Gen10サーバーを採用し、サービス系・業務系・情報系の物理サーバー計5台をコンパクトに集約した。注目すべきは、32コア搭載サーバーに約20TBのSSDを内蔵させて集約率を高めるとともに、敢えて「1CPU構成」を採用することでソケット課金のソフトウェアライセンスを抑制したことである。
業界
業務支援サービス
目的
計画更新に伴う物理サーバー5台の仮想化統合。最新サーバー1台に集約することで、ソフトウェアライセンスや運用・保守を含むコスト全体を削減する。
アプローチ
高密度に集約したワークロードを安定稼働させるために、より多くのコア数・メモリを搭載でき、大容量のSSD構成が可能な2Uサーバーを検討する。
ITの効果
• 第2世代AMD EPYC™ プロセッサー(1CPU/32コア)搭載のHPE ProLiant DL385Gen10サーバーを採用し5台の物理サーバーを1台に統合
• 512GBメモリ、24本のSSD(約20TB)を搭載し複数のワークロードを安定的に稼働
• HPE Insight Online ダイレクトコネクトとHPEプロアクティブケアを採用し、事前予防と24時間365日・4時間以内のオンサイト保守で手間のない運用を実現
ビジネスの効果
• インフラおよびアプリケーションの最新化により、ビジネスを支える安定的かつ高信頼のシステムを実現
• 2ソケットサーバー機で1CPU構成を採用することでソケット課金のソフトウェアライセンスを抑制
• 将来的なHPE InfoSight for servers の採用により、より高度な予防保守・自律的なサーバー運用が可能に
• オンプレミス環境を軸にした理想的なハイブリッドIT環境の実現に着手
ご導入製品
HPE ProLiant DL385 Gen10
チャレンジ
国内に2,000名規模の在宅スタッフをネットワーク
株式会社ジェットは、データ入力や模試採点などの受託サービス、キャンペーン事務局運営などの業務支援サービスでビジネスを拡大している。独自開発のシステムと全国2,000名の在宅スタッフを連携させた、低価格・短納期・高品質のアウトソーシングサービスが成長の原動力だ。同社システム・ネットワーク担当の岩田篤士氏は次のように紹介する。
「イメージエントリーシステムや答案採点システムを自社開発し、全国の在宅スタッフと原票やデータを安全かつスムーズに受け渡しできる業務プロセスを構築しています。また、企業様が実施するプレゼントキャンペーンなどの事務局運営を代行し、応募受付・抽選・賞品発送・問合せ対応・レポーティングまでを丸ごとお引受けするサービスもご好評をいただいています」
ジェットの強みは、日本全国にネットワークした在宅スタッフ2,000名の機動力と、業務経験から得たノウハウを注ぎ込んだ独自アプリケーション/システム群にある。
「たとえば答案採点システムでは、手書きの答案用紙をスキャナーでデジタル化し、問題単位で分割して採点者に配信することで匿名性を確保しています。また、同じ問題を2名が採点し、判定が異なる場合は上位の採点者に自動エスカレーションすることで採点精度を高めています」(岩田氏)
ジェットでは10台の物理サーバーを自社運用してきたが、2020年1月のWindows Server 2008サポート終了を機にシステム環境を大胆に見直した。
「主力サービスを支えるサーバー、業務系サーバー、ファイルサーバーの計5台を、新たに構築した仮想サーバー環境に統合しました。狙いは、省コスト化、高性能化、運用効率化です。OSとアプリケーションも最新化し、これからのビジネス成長を支える基盤としてしっかりと作り込みました」
採用されたのは、第2世代AMD EPYC™ プロセッサー搭載のHPE ProLiant DL385 Gen10サーバーである。ジェットでは、2Uで最大2ソケット搭載可能なサーバーであるにもかかわらず、敢えて「1CPU構成」を選択した。そこには、第2世代AMD EPYC™ プロセッサー搭載サーバーならではの「省コスト化の秘策」があった。
株式会社ジェット
システム・ネットワーク担当
岩田 篤士 氏
日本ビジネスシステムズ株式会社
クラウド&ソリューション営業本部
ハイブリッドクラウド営業部
営業2課
井上 博之 氏
日本AMD株式会社
コマーシャル営業本部
セールスエンジニアリングマネージャー
関根 正人 氏
ソリューション
32コアのAMD EPYC™プロセッサーを1CPU搭載する構成を敢えて選択
7nmプロセスルールで製造される「第2世代AMD EPYC™ プロセッサー(コード名Rome)」は、1ソケットあたり最大64コア/128スレッドを実現した高性能CPUである。新たにサポートしたPCIe Gen4のI/O 帯域はPCIe Gen3の2倍(ソケットあたり256GB/s)に達し、DDR4-3200のサポートと8チャネルでのアクセス、最大256MBの大容量L3キャッシュ搭載と合わせてサーバーシステムの高性能化に大きく寄与している。
「採用したHPE ProLiant DL385 Gen10サーバーは、32コアのAMD EPYC™ 7502を1CPU搭載する構成です。敢えて1CPU構成を選んだ理由は大きく2つ。ひとつは、32コアあれば既存サーバー5台分のコア数の合計に余力を持たせたサイジングが可能なこと。もうひとつは、1CPU構成ならばソケット課金のソフトウェアのライセンスコストを抑えられることです」と岩田氏は説明する。
メニーコアテクノロジーで優位性のある第2世代AMD EPYC™ プロセッサーでは、他のCPUでは2CPU構成でなければ使えないコア数(32・48・64コア)を、1CPU構成で手に入れることができる。サーバー構成をサポートした日本ビジネスシステムズ(JBS)の井上博之氏は次のように話す。
「1CPUで十分なコア数が手に入るなら2CPU構成でなくていい、という合理的なご判断です。ジェット様が使うデータベースソフトウェアは、CPUソケット単位で課金されるライセンス体系を採用しています。つまり、1CPU構成なら『1ソケットライセンス』の課金となり、ソフトウェアのコストも抑制できます」
日本AMDの関根正人氏も次のように続ける。
「ご採用いただいたAMD EPYC™ 7502は、コアあたりのコスト競争力で大きな優位性があり、メモリバンド幅とのバランスにも優れたコストパフォーマンスの高いCPUとして完成されています。実際に、第2世代AMD EPYC™ プロセッサーの中で売れ筋のひとつとしてご好評をいただいています」
第2世代AMD EPYC™ プロセッサーを搭載するHPE ProLiant DL385 Gen10サーバーのコストパフォーマンスは、岩田氏の想定を大きく上回った。その結果、「メモリを512GBに増量し、内蔵ストレージもオールSSD構成にできた」(岩田氏)というメリットをもたらした。
20本のSSD(計20TB)を内蔵しアプリケーションの高速化を実現
岩田氏は、「内蔵ストレージでより多くの容量を確保」「高速で安定性に優れたSSD構成は必須」という方針でサーバーの構成に臨んだ。第2世代AMD EPYC™ プロセッサー搭載HPE ProLiant DL385 Gen10サーバーは、この期待に応えるソリューションとなった。
「統合対象としたサーバーのうち3台はファイルサーバーです。大量の案件データを格納するために、余裕をもったストレージ容量を確保したかったのです。また、既存システムで顕在化していたHDDアクセスのボトルネックを解消することも必須でした」と岩田氏は話す。
2U サーバーであるHPE ProLiant DL385 Gen10サーバーは、最大24本のスモールフォームファクター(SFF)SSDをメンテナンスの容易なフロント側に搭載可能だ。岩田氏は3つのアレイコントローラーをフルに活用し、24本のSSDに対してデータ領域を細かく区分することで多重アクセスが最小になるよう工夫した。
「十分なコア数とメモリ量を確保し、SSDによるI/O性能の向上も加わって、アプリケーションとファイルサーバーのレスポンスを大きく改善することができました。仮想化統合で省コスト化しながら、同時に高性能化を実現できたことは大きいですね」と岩田氏は手応えを示す。
HPE Insight Online ダイレクトコネクトとHPEプロアクティブケアを採用
省コスト化と高性能化に続く目標は、運用の効率化である。システム・ネットワーク担当である岩田氏の担当業務は、サーバー構築と運用、ネットワーク管理、PCやコピー機のメンテナンスなど幅広い。予期しないトラブル対応が突然飛び込むこともある。「自分がすべてに対応しなくてもいい環境」を整備することは長年の懸案だったという。
「物理サーバーの台数が減ったことでサーバー管理の負荷は軽減されましたが、今回はもう一歩踏み込んで、サーバーの安定運用がしっかりと継続できる体制を整えました。具体的には『HPE Insight Online ダイレクトコネクト』と『HPEプロアクティブケア』を採用し、24時間365日・4時間以内のオンサイト保守を受けられるようにしました。サーバー不調の予兆をHPEのセンターが早期に把握し、サービス影響のあるような問題が発生する前にHPEによる保守対応が可能になったことがポイントです」(岩田氏)
岩田氏は、AI ベースのクラウド型運用支援サービス「HPE InfoSight for servers」にも興味を示す。2019年7月に提供が始まった本サービスでは、HPE ProLiant Gen10/Gen9/Gen8サーバーが内蔵するActive Health System(AHS)とHPE Integrated Lights-Out(iLO)が連携し、AIによるサーバー監視・管理を実現している。2010年からHPE Nimble Storage向けに提供されてきた実績あるサービスをサーバー向けに拡張したもので、AIの学習とともに高度な自律的サーバー運用が可能になる。
「より精度の高い予兆検知が可能になること、専任のIT管理者がいなくても安定稼働が継続できることに大きな魅力を感じています。私はいわゆる『ひとり情シス』ではありませんが、私が不在のときでもHPE InfoSight が対処してくれるなら、理想の運用環境に大きく近づきます」と岩田氏は笑顔を見せる。
ベネフィット
オンプレミスを起点に最適なハイブリッド化を目指す
主要なサーバーが新しい仮想化環境に統合されたことで、ジェットのビジネス基盤はより強固なものとなった。今後は「オンプレミスを起点に最適なハイブリッド化を目指したい」と岩田氏は言う。
「HPE ProLiant DL385 Gen10サーバーを中心に据えて、必要になった時点でストレージやデータベースなどのクラウドリソースを活用していく考えです。業務で扱うデータの性格上、現状ではパブリッククラウドに置けないものもありますが、ハイブリッド環境への移行は段階的に進んでいくものと考えています」(岩田氏)
岩田氏は今回のサーバー導入で、HPE独自開発のシリコンチップHPE Integrated Lights-Out 5(iLO 5)か大きく進化していることに驚いたという。
「iLOに関してはリモート管理ツールとしての知識しかありませんでしたが、最新のiLO 5ではマネジメント機能が大きく拡充されていることを知りました。サーバーパフォーマンスの最適化機能や、サーバーセキュリティ機能も先進的です。ボタンひとつでディスク内の情報を完全に消去できる機能は、将来必ず役に立つでしょう」(岩田氏)
iLO 5は、HPE ProLiant Gen10サーバーを特徴づける重要なコンポーネントである。サーバーセキュリティの中核を担うとともに、セットアップ、運用監視、性能最適化、メンテナンスに至るサーバーのライフサイクル全体を網羅する先進的なマネジメント機能を備えている。
「ジェット様のシステムをご支援していく過程で、第2世代AMD EPYC™ プロセッサー搭載サーバーの優位性を改めて認識しました。そのメリットをより多くのお客様に体感していただくために、幅広く提案活動を進めていきたいと思っています」とJBSの井上氏は話す。
最後に、岩田氏は次のように語って締めくくった。
「AMD EPYC™ プロセッサーのコストパフォーマンスの高さは期待以上でした。HPE ProLiant DL385 Gen10サーバーのiLO 5と合わせて、セキュリティ面でも安心感があります。AMD EPYC ™ プロセッサー搭載サーバーを使うメリットをもっと多くの方に知って欲しいですね。食わず嫌いは損をするとも言います。サーバーの選択肢が広がり適正な競争が生まれることで、テクノロジーの進化はさらに加速するはずです。HPEには、AMD EPYC™ プロセッサー搭載サーバーのラインアップ拡充を期待しています」
ソリューションパートナー
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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導入ハードウェア
HPE ProLiant DL385 Gen10