IDCフロンティアが、クラウドの俊敏性を備えた「ベアメタルサーバー」を実現
株式会社IDCフロンティア 様
HPE ProLiant DL360 Gen9の管理機能を活用し構築プロセスの自動化を推進、サービス提供スピードを向上
"どれだけセットアップの自動化を進めても、物理サーバー環境の構築だけは手作業が残ります。HPEの提唱する『コンポーザブル・インフラストラクチャ』が、こうした課題の解決になるのではないかと期待しています"
―株式会社IDCフロンティア カスタマーサービス本部
プラットフォームエンジニアリング部
クラウドグループ
グループリーダー
菊石 謙介 氏
IDCフロンティアが、クラウドサービスのメニューのひとつである「ベアメタルサーバー」のプラットフォームを強化。クラス最高水準の性能を誇るインテル® Xeon® プロセッサー E5-2600 v3 製品ファミリー搭載の1Uサーバー「HPE ProLiant DL360 Gen9」を採用した。優れた管理機能を活かした構築プロセスの自動化も推進。サービス提供のスピード化を図るとともに、構築にかかる作業負荷の大幅な低減を目指している。
業界
クラウドサービス、データセンターサービス
目的
クラウドサービスのひとつ「ベアメタルサーバー」のサービス強化。高度化・多様化する顧客ニーズに応える高いパフォーマンスと信頼性、俊敏性を備えたサービスを実現する。
アプローチ
サーバー製品の管理機能を活用して運用管理工数を削減するとともに、構築プロセスの自動化によるリードタイム短縮などサービスの競争力を向上させる。
ITの効果
・ベアメタルサーバーのサービス基盤に、クラス最高水準の性能と充実した管理機能を誇るインテル® Xeon® プロセッサー E5-2600 v3 製品ファミリー搭載「HPE ProLiant DL360 Gen9」を採用
・インテリジェント・プロビジョニングによりセットアップ時間を大幅に短縮
・iLOマネジメントエンジン、独自のRAIDコントローラーなどの機能を活用し運用負荷を軽減
・HPE Scripting tool kitとスクリプトによる構築プロセスの自動化を推進
ビジネスの効果
・顧客にリモートコンソールを開放し仮想サーバー環境と同等の操作体験を提供
・構築プロセスの自動化によりサービス開始のリードタイムを1/2に短縮
・ベアメタルサーバーとIDCFクラウドの連携を強化し顧客ニーズに応えるIaaSを実現
・物理と仮想が混在する環境をシームレスに活用できるテクノロジーの検討に着手
チャレンジ
Yahoo! JAPANグループの戦略ITインフラプロバイダー
IDCフロンティアはYahoo! JAPANグループの戦略ITインフラプロバイダーとして、国内屈指の高速・大容量ネットワークを活かしたクラウドサービス、データセンターサービスを提供し成長戦略を加速させている。「未来をささえる、Your Innovative Partner」は、顧客指向のサービス提供への決意を示す新しい企業スローガンである。
「データセンターを“データの集積地”として捉えると、それらが生み出す新たな価値が見えてきます。ビッグデータの収集から分析までを、設備投資や専門知識なしで始められる『Yahoo! ビッグデータインサイト』は、IDCフロンティアならではのユニークなサービスの一例と言えるでしょう」と、カスタマーサービス本部 プラットフォームエンジニアリング部 クラウドグループ グループリーダーの菊石謙介氏は話す。
国内で最初期に提供を開始したパブリッククラウドサービスは、ライバルの多いこの分野で常に高い競争力を確保している。2014年10月、“シンプル&パワフル”を掲げて生まれ変わった「IDCFクラウド」は、2016年6月時点で1万アカウントを突破するなど急成長を遂げているという。
「パブリッククラウドと同等の使い勝手で、物理サーバーのリソースを占有できるサービス『ベアメタルサーバー』も好評をいただいています。お客様は、機器の調達や構築が不要なIaaS型クラウドサービスとして利用でき、サーバー監視や障害対応をIDCフロンティアにお任せいただけます」(菊石氏)
2014年5月にリリースされ、11月には高速フラッシュストレージを利用可能にした「ベアメタルサーバー」は、高い性能を求めるユーザー企業の支持を急速に拡大している。Webフロント/アプリケーションを「IDCFクラウド」で、高負荷のデータベースを「ベアメタルサーバー」に割り当てるのが典型的な構成だ。これらはIDCフロンティアのデータセンター内で高速に接続されるため、高性能かつ安定性に優れたハイブリッド環境を構築できる。
「ベアメタルサーバー」は、オンラインゲームやECサイトなどオンラインサービス系企業の支持を集めるヒットとなった。その一方で、IDCフロンティアにとっては物理サーバー環境の構築・運用面での課題が浮上してきたという。カスタマーサービス本部 オペレーションサービス部 プロビジョニンググループの吉永勇太郎氏は次のように話す。
「ベアメタルサーバーの第1世代のインフラには、運用管理性に優れたHPE ProLiant DL360 Gen8を活用してきました。第2世代では、もう一歩進めて構築プロセスの自動化にチャレンジしています。物理環境の構築にかかる作業負荷を低減するとともに、お客様へのサービス提供のスピード化を図ります」
IDCフロンティアのチャレンジに応えたのは、クラス最高水準の性能と充実した管理機能を誇るインテル® Xeon® プロセッサー E5-2600 v3 製品ファミリー搭載「HPE ProLiant DL360 Gen9」である。
株式会社IDCフロンティア
カスタマーサービス本部
プラットフォームエンジニアリング部
クラウドグループ
グループリーダー
菊石 謙介 氏
株式会社IDCフロンティア
カスタマーサービス本部
オペレーションサービス部
プロビジョニンググループ
吉永 勇太郎 氏
ソリューション
第2世代ベアメタルサーバーにHPE ProLiant DL360 Gen9を採用
「HPE ProLiant DL360 Gen9」は、クラウドサービス基盤をはじめ広範な用途に対応するベストセラーの1Uラックマウント型サーバー。インテル® Xeon® プロセッサー E5-2600 v3 製品ファミリーを最大2基、最大1.5TBメモリ、最大10台の2.5型SAS/SATA/SSDドライブを搭載可能だ。導入は2015年末に始まった。
「HPE ProLiant DL360 Gen9は、優れた運用管理性がさらに進化した印象です。サーバー環境の構築から運用・保守まで、ライフサイクル全体にわたって運用負荷やTCOを低減するとともに、構築プロセスの自動化を推進するための基盤となると期待しました」と吉永氏は話す。
メディアレスのセットアップやファームウェア/ドライバーの自動更新を可能にする「インテリジェント・プロビジョニング」、サーバーOSに依存しないハードウェア監視を実現する「エージェントレスマネジメント」、稼働中のサーバーログを自動収集する「アクティブヘルスシステム」など、他の追随を許さない優れた管理機能はHPE ProLiant DL360 Gen9が内蔵する「HPE iLOマネジメントエンジン」から提供される。“クラウドライクに使えるベアメタルサーバー”を支えているのも、これらHPE独自のテクノロジーである。
「『ベアメタルサーバー』では、お客様にHPE ProLiant DL360 Gen9のリモートコンソールを開放し、サーバーの電源ON/OFFや各種設定、OSの再インストールなどを自由に行っていただけます。HPE ProLiant DL360 Gen9のリモートメンテナンス機能は、クラウドで仮想マシンを扱うかのような使い勝手を提供しています。システム不調に際しても確実にメンテナンスが行える安心も大きいですね」(吉永氏)
これを実現しているのは、HPE ProLiant DL360 Gen9が標準で備える「HPE Integrated Lights-Out 4(以下、HPE iLO4)」である。
ベネフィット
HPE Integrated Lights-Out 4のリモート管理機能を積極活用
では、「ベアメタルサーバー」の構築・運用手順を俯瞰しつつ、HPE iLO4がどのような役割を担っているか詳しく追っていこう。
「お客様からの申し込みを受けて、IDCフロンティアのデータセンターでサーバーの構築とセットアップを開始します。物理構築からOSインストール、BIOSやRAIDの設定、HPE iLO4の初期設定などを行い、お客様がすぐに使い始められる状態にまで仕上げます」(菊石氏)
「東京・新宿にある本社から白河データセンターの実機をリモート操作する機会も多い」という吉永氏は、インテリジェント・プロビジョニングとHPE iLO4によるリモートコンソールの操作性を高く評価する。
「HPE ProLiant DL360 Gen9のインテリジェント・プロビジョニングは、DVDなどのメディアが不要、クリック操作だけで設定を行うことができます。また、HPE iLO4のリモートコンソールはシンプルな画面デザインで直感的に使えるうえ、『気が利いているな』と思わせる機能を備えています。たとえば、仮想メディア機能は、ドライバーインストールなど個別対応が求められるケースに威力を発揮します」(吉永氏)
菊石氏が高く評価するのはHPE iLO4とRAIDコントローラーの連携だ。
「HPE ProLiant DL360 Gen9は独自のRAIDコントローラーを搭載しており、HPE iLO4がディスクエラーなど障害の予兆を検知すると自動的にディスクを切り離す機能が実装されています。障害に至る前に対処できるため、サービスに影響を及ぼすことがありません。HPEの技術力の高さとサーバー運用に対する知見を感じます」
予兆検知のアラートは即座にHPEのサポートチームに共有され、白河データセンターに至近の拠点からサービススタッフが出動し、4時間以内のディスク交換が実施される体制が組まれている。
「このスピード感と保守サービスの確かさも、HPE製品を高く評価するポイントです」(菊石氏)
自動化でサービス提供までのリードタイムを1/2に
現在、菊石氏・吉永氏が積極的に取り組んでいる「構築プロセスの自動化」についても聞こう。
「まず、『HPE Scripting Tool Kit』でスクリプトを作成し、サーバー設定のプロセスで欠かせなかった手作業の多くを自動化しました。BIOSやRAIDの設定、HPE iLO4の初期設定、これらを複数のサーバーに展開する作業の自動化を進めています。通常およそ4時間を要するセットアップが、ベアメタルサーバーでは2時間程度で可能になりました。これを1時間以内に短縮することが目の前の目標です」(吉永氏)
この「開通自動化」の仕組みが確立されれば、顧客への「ベアメタルサーバー」の提供スピードもさらに迅速化されるだろう。菊石氏が見据えているのは、その先にある姿だ。
「どれだけセットアップの自動化を進めても、物理サーバー環境の構築だけは手作業が残ります。HPEの提唱する『コンポーザブル・インフラストラクチャ』が、こうした課題の解決になるのではないかと期待しています。将来的には、お客様はIDCFクラウドとまったく同じ手続きで、数クリックで要求仕様の物理サーバー環境をセットアップできるようになることが理想なのです」(菊石氏)
HPEが提唱する「コンポーザブル・インフラストラクチャ」は、仮想と物理、クラウドとオンプレミスが混在するインフラ環境において、ワークロードに最適なITリソースをオンデマンドで自動構成して利用可能にする。2016年1月には、世界初のコンポーザブル・インフラ製品「HPE Synergy」が発表された。
IDCフロンティアは「ベアメタルサーバーのクラウド化」を追求すると同時に、「IDCFクラウドの高性能化」を進め、両者のシームレスな運用を実現しようとしている。最後に、菊石氏が次のように締めくくった。
「お客様に提供するサービスの品質を高め、使い勝手や提供スピードを向上させていくチャレンジを持続させています。最先端のHPEのテクノロジーやサービスを積極的に活用し、クラウド事業者としてのミッションを遂行していきたいと考えています」
ご導入企業様
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
本ページの導入事例は、PDFで閲覧頂けます。PDF (657KB)
本ページに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。