国内最大級SSPを運用するfluctが、広告配信プラットフォームのサービス基盤を大幅に強化
株式会社fluct 様
所在地:東京都渋谷区神泉町8-16 渋谷ファーストプレイス 8F(VOYAGE GROUP内)
URL:https://corp.fluct.jp/
HPE ProLiant DL20 Gen9を採用し、投資対効果に優れたスケールアウト基盤を構築
"HPE ProLiant DL20 Gen9を選択したことで、従来サーバー比1.5倍という十分な性能を6割程度のコストで調達できました"
―株式会社fluct 開発本部 SRE 本部長 粟飯島 勝明 氏
純国産・国内最大級のSSP(Supply-Side Platform)としてアドテクノロジー業界で存在感を示すfluctが、広告配信プラットフォームのサーバー環境を刷新。幅広いビジネスニーズに対応するインテル® Xeon® プロセッサー E3-1200 v5 製品ファミリーを搭載する「HPE ProLiant DL20 Gen9」を採用し、サービス基盤全体の処理能力を大幅に強化した。従来サーバー比1.5倍の性能を6割程度のコストで実現するなど、サービス基盤のフロントエンドに求められる十分な性能が、圧倒的なコストパフォーマンスで手に入ることを実証した。
業界
アドテクノロジー
目的
インターネット広告のリアルタイム取引(RTB:Real-Time Bidding)の一翼を担う、fluctのSSP(Supply-Side Platform)事業を支えるサービス基盤の刷新。
アプローチ
SSP fluct独自の取引アルゴリズムを実装した配信サーバー群を最新機種に置き換え、サービス基盤全体の処理能力を拡大。秒間3万件以上の処理能力をさらに引き上げる。
ITの効果
・幅広いビジネスニーズに対応するインテル® Xeon® プロセッサー E3-1200 v5 製品ファミリー搭載「HPE ProLiant DL20 Gen9(1CPU/4コア/3.5GHz)」を採用しフロントエンドサーバーとして必要十分な性能を確保
・HPE ProLiant DL20 Gen9内蔵の「HPE iLO4マネジメントエンジン」により、HDDの故障予兆検知や遠隔監視・操作を実現し運用負荷を低減
ビジネスの効果
・従来サーバー比1.5倍の性能を6割程度のコストで実現
・SSPビジネスの急成長に適応できるサービス基盤のスケーラビリティを確保
・商用クラウドサービスとの連携により突発的な要求にも柔軟に対応可能に
・サービス提供を支えるオンプレミス環境の安定性と信頼性を向上
ご導入製品
HPE ProLiant DL20 Gen9
チャレンジ
国内最大規模のSSPを支える「配信サーバー」の刷新
株式会社fluctは、株式会社VOYAGE GROUPの100%子会社であり、国内最大規模のSSP「fluct」を開発・運営するアドテクノロジー企業である。SSP(Supply-Side Platform)とは、インターネット広告のリアルタイムの売買を通じて、広告枠を販売する媒体社(メディア)側の収益の最大化を支援する仕組みだ。2010年にサービスを開始した「fluct」は、今や1万以上のメディアと接続し、月間インプレッション数は330億超という急成長を遂げている。マーケティング本部 広報/マーケティングディレクターの中谷阿以氏は次のように話す。
「SSP fluctの最大の特徴は、SSPアプリケーションとサービス基盤を100%自社開発している点にあります。自社開発だからこそ、お客様のきめ細かな要望をいち早くサービスに反映させ、お客様の収益向上に寄与することができるのです」
fluctは、動画広告への対応やプライベートマーケットプレイスへの取り組みなど、アドテク業界のトレンドリーダーとしての存在感も際立っている。2015年にはSSP運営大手を子会社化するなど、国内SSP市場におけるトップ企業としての地位を磐石なものとした。
「SSPとしてのfluctの競合優位性は、国内外の多くのアドネットワーク・DSPとの接続数やトレンドに合わせた機能拡張だけではありません。独自のアルゴリズムを実装した自社開発のSSPアプリケーション、24時間365日無停止で1秒間に3万件のリクエストに応えるサービス基盤――これらトータルでお客様に価値をご提供しています」(中谷氏)
fluctでは数百台規模のサーバー群を稼働させてきたが、急伸する処理要求に備えてサービス基盤全体の能力拡大の検討を始めた。2015年末のことである。開発本部 SRE 本部長の粟飯島勝明氏は、サーバー選定の重要性を次のように説明する。
「fluctのサービス基盤を構成するサーバーのうち、もっとも多くを占めるのが『配信サーバー』群です。数百台のサーバー1台1台がそれぞれ独立して、1秒間に3万件の広告配信リクエストを処理しています。配信サーバーの処理が遅延するとインターネット広告は正しく配信されず、お客様であるメディア様の収益に悪影響を及ぼします。新しいサーバー製品には、私たちが定めた基準どおりの性能と信頼性を求めました」
慎重な検討を経てfluctが選定したのは、幅広いビジネスニーズに対応するインテル® Xeon® プロセッサー E3-1200 v5 製品ファミリー搭載の「HPE ProLiant DL20 Gen9」。Webフロント/スケールアウトに最適な1Uラックマウント型サーバーである。
株式会社fluct
開発本部 SRE
本部長
粟飯島 勝明 氏
株式会社fluct
マーケティング本部
広報/マーケティングディレクター
中谷 阿以 氏
株式会社fluct
マーケティング本部
広報/マーケティングディレクター
能城 綾香 氏
インテル® Xeon® プロセッサー
E3-1200 v5 製品ファミリー搭載
ソリューション
投資対効果に優れたHPE ProLiant DL20 Gen9を採用
インターネットの広告枠は、RTB(Real-Time Bidding)と呼ばれるオークションによってリアルタイムで自動売買される。ユーザーがWebサイトを訪れてから、売買が成立し広告が配信されるまでの時間は0.1秒程度と言われる。こうした要求に対し、SSP fluctのサービス基盤は1秒間3万件の同時リクエスト処理で応える能力を備えている。
「SSP fluctの配信サーバー群は数百台の物理サーバーで構成され、ロードバランサーによる分散処理を行っています。物理サーバー1台で同時処理するリクエスト数の上限を設定し、これに基づいてサーバーの仕様を決めています。小規模なサーバーを多数並べることで、サーバー障害による影響を極小化しているのです。また、物理サーバーの増設によって処理能力を容易にスケールできることも大きな特長です」(粟飯島氏)
このアーキテクチャーに適したサーバー製品として粟飯島氏が注目したのが、インテル® Xeon® プロセッサー E3-1200 v5 製品ファミリーを搭載する「HPE ProLiant DL20 Gen9」だった。
ラックマウント型サーバー「HPE ProLiant DLライン」の中でエントリーモデルとして位置付けられる製品である。fluctの配信サーバー群はHPE ProLiant DL360(G7/Gen8)を中心に構築されてきたが、あえて下位モデルを採用した理由はどこにあるのか。
「現行のHPE ProLiant DL360 Gen9は、CPUのメニーコア化・メモリの大容量化が進んで、仮想化基盤としての用途を強く意識したものに進化しています。これに対してfluctの配信サーバーでは、処理の特性からCPUクロック数を重視しています。Skylake世代のインテル® Xeon® プロセッサー E3-1200 v5(4コア/8スレッド)を搭載する『HPE ProLiant DL20 Gen9』がジャストフィットだったのです」(粟飯島氏)
HPE ProLiant DL20 Gen9はコストを抑えたエントリーモデルでありながら、fluctの求める仕様・性能要件に応え、定評ある管理ツールHPE iLO Management Engineを利用できることが評価された。奥行き40センチに満たないコンパクトな筐体は、設置スペースや重量が膨らむ大規模サーバー環境に最適だ。
粟飯島氏は、「HPE ProLiant DL20 Gen9を選択したことで、従来サーバー比1.5倍という十分な性能を6割程度のコストで調達できました。ネットワークポートの増設など、オプションを追加しても上位モデルより大幅に導入コストを抑えることができたのです」と評価する。
責任の重さがオンプレミスへのこだわりに
2016年7月、HPE ProLiant DL20 Gen9およそ90台が稼働を開始し、旧世代サーバーの一部を置き換えるとともにサービス基盤全体の処理能力を大幅に向上させた。粟飯島氏は導入後の使用感を次のように話す。
「HPE ProLiant DL20 Gen9ではUEFIが採用されており、これまで活用してきたBIOSベースのセットアップを見直す良いきっかけになりました。私たちにとっては、HPE iLO Management Engineによる共通の管理インタフェースで、既存のサーバー環境と同様に扱えることが大きなメリットですね。HPE iLOが提供するサーバーコンポーネントの診断機能によってハードウェアの不調を検知し、問題が起こる前に対処することももちろん可能です」
SSPのサービス基盤では、処理能力とともに「いかにサービスを停止させないか」が重視されている。数百台の物理サーバーで構成されるSSP fluctの配信サーバー群は、ロードバランサー配下の物理サーバーが1台ごとに同じ役割を担っているため切り替えが容易だ。
「ロードバランサーがトラフィックを常にチェックしており、リクエストへの反応が遅いと判断した時点で別のサーバーに処理を振り分けます。私たちは、監視システムでアラートをチェックし、必要に応じてメンテナンスを行い、再びロードバランサーから見えるよう対処するだけです。システムのアーキテクチャーのシンプルさが、迅速な問題解決を可能にし、サービスの信頼性も高めているわけです」(粟飯島氏)
またSSP fluctの配信サーバーは、想定外の処理要求に備えてパブリッククラウドサービスへ負荷分散が可能な仕組みを整えている。一時は処理量全体の20%近くをクラウドサービスが占めていたというが、現在は1パーセント未満に抑えられているという。
「DSPサービス基盤の不調はDSP事業者自身の収益に影響しますが、SSPサービス基盤の不調が原因で広告が配信できなかった場合、それはお客様であるメディアの収益機会を損なうことになります。この責任の重さが、私たちが独自のサービス基盤にこだわり、サーバーを選び抜いた最大の理由です」と粟飯島氏は力を込める。
SSP fluctのサービス基盤において、HPE ProLiant DL20 Gen9は標準機として位置づけられ、今後の更新に際して優先的に採用されていくことになるという。
ベネフィット
新たなビジネスチャレンジを支えるサービス基盤
アドテクノロジーの世界は、驚くべきスピードで進化を遂げている。アドテク業界のプレーヤーであるDSP(Demand-Side Platform)は広告主、SSP(Supply-Side Platform)はメディア側の成果をそれぞれ追求している。「広告効果を最大化したい広告主」と「広告収入を最大化したいメディア」という、相反する要求に応えるサービスはさらに多様化・高度化していくだろう。
「2015年末に開始したfluct Direct Reachでは、fluctが接続するメディアに対して広告主がDSPを介さずに直接配信できる革新的なサービスです。また、動画広告を含む新しい広告フォーマットの開発も積極的に進め、アドテク業界のトレンドをリードしていく考えです」とマーケティング本部 広報/マーケティングディレクターの能城綾香氏は言う。
革新的なサービス、それを支える独自開発のSSPアプリケーションとオンプレミスのサービス基盤は、アドテク企業としてのfluctのアイデンティティそのものと言えるだろう。粟飯島氏は次のように語って締めくくった。
「HPE ProLiant DL20 Gen9は、私たちがサーバーシステムに求める性能と信頼性を、圧倒的なコストパフォーマンスで実現してくれました。そして、この進化するサービス基盤は、SSPビジネスの急成長に適応するとともに、私たちの新しいビジネスチャレンジも支えていくことになります」
導入ハードウェア
HPE ProLiant DL20 Gen9