グループのDX戦略を牽引する新基幹業務システムを確立
ERIホールディングス株式会社 様
所在地:東京都港区赤坂八丁目10番24号 住友不動産青山ビル南館5階
URL:https://www.h-eri.co.jp/
〈グループ事業会社 8社〉
日本ERI株式会社 / 株式会社イーピーエーシステム / 株式会社住宅性能評価センター / 株式会社ERIソリューション / 株式会社東京建築検査機構 / 株式会社構造総合技術研究所 / 株式会社サッコウケン / 株式会社ERIアカデミー
HPE ProLiantサーバーを採用しシステムの処理能力向上と24×365の連続稼働を実現
ERIホールディングスを持株会社として事業会社8社で構成するERIグループの中核会社である日本ERIは、建築確認検査や住宅性能評価など、建築物に関わる多彩なサービスを提供しているが、このたび、電子申請関連システムの再構築を実施した。インフラの性能や容量を向上させることで、法改正により急増した電子申請ニーズへの確実な対応を図ることが狙いだ。新システムの中核には、クラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載する「HPE ProLiant DL380/DL360 Gen10サーバー」を採用。24時間・365日の連続稼働に耐え得る高性能・高信頼性を実現すると同時に、運用管理負荷の軽減にも成功している。
業種
サービス業
ビジョン
申請業務の電子化による行政DXへの貢献
戦略
電子申請関連システムのインフラに高性能・高信頼サーバーを採用
成果
• 電子申請関連システムのパフォーマンスを約200%向上
• iLOを用いた運用アウトソーシングにより運用管理コストを50%削減
• 今後のDX推進を下支えする先進的な情報インフラを確立
国内初の指定確認検査機関として建築確認や住宅性能評価など多彩なサービスを提供
私たちの暮らしを取り巻く戸建て住宅やマンション、ビルなどの建築物。その性能や安心・安全を担保することは、社会にとっても非常に重要だ。東京都・港区に本社を置く日本ERIは、こうした建築物の建築確認検査や住宅性能評価などのサービスを専門に手掛ける指定確認検査機関である。ERIホールディングス 執行役員 システムグループ長 坂辰三氏は「当社は1998年に実施された建築基準法改正によって民間開放された指定確認検査機関第一号である日本ERIを母体として設立されました。創業から22年を経過した現在では、傘下のグループ企業を8社まで拡大。そのビジネス領域についても、従来の既存建築物の分野に加え、インフラストック分野へと大きく拡がっています。また当社は、業界唯一の上場企業でもあります」と語る。
中でも注目されるのが、検査業務などに用いられる各種の社内業務システムを内製化している点だ。坂氏はその背景を「当社はいわば業界のパイオニアですので、事業を始めた頃には市販のパッケージ製品が存在しませんでした。どこかに開発を委託したくとも、外部ベンダーにも建築確認や住宅性能評価などの業務知識がありません。必然的に内製化するしか手が無かったのです」と振り返る。
もっとも、こうして内製化に取り組み、度重なる法改正などへの対応も着実に果たしてきたことで、高い開発技術力を社内に蓄積するに至った。そしてこのことが、社会のデジタル化に即応する上でも大きな強みとなっている。現在では、グループのソフトウェア開発会社であるイーピーエーシステムとも密接に連携しながら、社内情報インフラの整備・拡充を積極的に推進。併せて、グループ全体のDXを目指す取り組みも進めている。
電子申請件数の急増によりシステムの能力向上が急務に
このように、業界のリーディング・カンパニーとして躍進を続ける同社だが、今回一つの課題に直面することとなった。それは電子申請ニーズの急激な増加である。日本ERI 業務改革推進室 兼 確認管理部 次長 兼 BIM推進センター 日隈孝徳氏は「電子申請そのものについては、既に国主導で2014年から導入が始まっています。しかし、2021年1月に実施された押印廃止などが起爆剤となり、紙から電子に移行する動きが加速。その結果、当社でも、電子申請の受付件数が急激に増加することとなりました」と説明する。
さらに今回のコロナ禍も、こうした動きを大きく後押しする要因となった。国から出社見合わせを要請されるような状況下では、書類の作成や印刷、郵送などの作業をオフィスで行うことは難しい。しかし、電子申請であれば、テレワークでも問題なく業務を進めることができる。「数年前までは、建築確認申請は紙から離れられないだろうというのが大方の考えでした。しかし、手続きの簡素化やコロナ禍などの要因が重なったことで、予想外に電子化が前に進みだしたのです」と日隈氏は続ける。
昨今の行政デジタル化等の動きを鑑みれば、電子申請が拡がること自体は好ましいことである。しかし、ここで大きな問題となったのが、電子申請を受け付けるシステム側の能力だ。ERIホールディングス システムグループ 次長 松村健氏は「電子申請業務においては、電子申請関連システムや検査予約システム、保存図書管理システムなど、様々なシステムが利用されます。しかし、これらのシステムを構築した時点では、これほどまでに申請件数が増えるとは想定していませんでした。現状のままでは、性能・信頼性の面でも、保存容量の面でも、早晩限界に突き当たることが明らかだったため、早急にインフラ環境の改善を図る必要に迫られました」と語る。
HPE ProLiantサーバーによる新電子申請関連システムを構築
新電子申請関連システムの構築にあたっては、大量の申請データを短時間で処理できるパフォーマンス、24時間×365日の連続稼働に耐え得る高信頼・高可用性などが要件として掲げられた。加えて、もう一つ重要なポイントが、サーバー運用管理の効率化だ。「以前は本社内にサーバーを設置していたため、法定停電によるサービス停止やネットワーク負荷の集中など、様々な課題を抱えていました。そこで、新システムでは、データセンターへの移設を行うことでこれらの点を解決したいと考えました」と坂氏は語る。とはいえ、サーバーが手元から無くなってしまうと、障害発生時の対応などもこれまで通りにはいかなくなる。このため新システムには、遠隔地からでも容易に運用管理が行えることが求められた。
このような要件を満たす製品として新たに導入されたのが、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)のクラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載する「HPE ProLiantサーバー」である。松村氏はその決め手を「HPE ProLiantサーバーには、リモートでのサーバー運用管理を可能にする『HPE integrated Lights-Out 5』(以下、iLO)が搭載されています。これを利用すれば、データセンターに設置したサーバー群の状態監視や各種の運用管理操作を本社側から行うことができます。幸い、今回の移設先データセンターでは、iLO対応の運用監視サービスも提供していましたので、アウトソーシングによる運用管理負担軽減も図れると考えました」と語る。
HPE ProLiantサーバーの性能・信頼性についても、高く評価したとのこと。グループのソフトウェア開発会社であるイーピーエーシステム 代表取締役社長 相原和義氏は「当社では、基幹業務システムをサポートする周辺システムやグループ企業向けシステムの構築・運用を手掛けていますが、そこでも多くのHPE ProLiantサーバーを活用しています。元々は他社製サーバーを利用していたのですが、障害などのトラブルに悩まされるケースも多かった。その点、HPE ProLiantサーバーは故障率が極めて低かったため、現在ではほとんどのサーバーが置き換わっています」と語る。こうしたグループ内での実績も、今回の導入を大きく後押しした。
環境変化に即応できるインフラを実現、7年長期保証でサーバー更新負担も軽減
HPE ProLiantサーバーによる新電子申請関連システムは、第一期、第二期の2回のフェーズに分けて段階的にリリース。2019年2月より、全面本稼働を開始している。「前述の通り、当社ではシステム内製化を行っているため、インフラ全体を一気に刷新するのはマンパワー的に難しい。そこで、今回はこのような手法を採用しています」と松村氏は説明する。
システム構築面での工夫としては、メッセージキューイング(MQ)によるシステム連携を取り入れた点が挙げられる。松村氏はその狙いを「旧環境では各システム間の連携を個別に作り込んでいましたが、この方法だとシステム改修の際に多くの時間と手間が必要になります。特に、今回の電子申請関連システムでは、約30の業務システムが連携/連動しているため、処理が複雑化する傾向もありました。そこで、MQを用いたシステム連携を行うことで、処理の単純化・平準化を図りたいと考えました」と語る。実はこの取り組み、今後のDXを見据えたものでもある。各システム間の関係性を疎結合にできれば、コンテナなどの新技術も取り入れやすくなる。その結果、今後の環境変化に対しても、より柔軟に対応していくことが可能だ。
なお、具体的な製品としては、「HPE ProLiant DL380」×4台、「HPE ProLiant DL360」×7台がそれぞれ採用されている。今後のさらなる需要増加を踏まえて、サイジングにも十分な余裕を持たせたとのこと。松村氏は「HPE ProLiantサーバーでは、7年間の長期保守も提供されていますので、サーバー更新作業の負担を減らせるのもありがたいですね。ストレージを追加したりする可能性はありますが、サーバーに関しては次回更新までこの構成のままで大丈夫だと考えています」と続ける。
ちなみに、HPEサーバーの調達にあたっては、取引先ベンダーと日本ヒューレット・パッカードの公式オンラインストア「HPE DirectPlus」の両方を利用している。後者ではコールセンター担当者によるきめ細かな見積支援が受けられるため、用途や目的に応じて最適なハードウェアを選択することが可能だ。またコールセンターでは、同社のようなユーザー企業だけでなく、販売パートナー向けの見積支援も行っている。「HPE DirectPlusでは、サーバーを構成するパーツについても、詳しく解説・提案してくれるので大変助かりますね。たとえばSSDの採用についても、保守条件が緩和されたことをいち早く教えてもらったことがきっかけとなりました」と松村氏は語る。
大量のトランザクションを迅速に処理、顧客サービス品質向上にも貢献
こうして導入された新電子申請関連システムは、同社のビジネスにも大きなメリットをもたらしている。まずその一点目は、大幅なパフォーマンス向上を実現できた点だ。松村氏は「旧環境時代と比較して電子申請の件数は2倍以上に増えていますが、以前と変わらない時間で処理が行えています」と満足げに語る。ちなみに、電子申請は戸建て住宅などの小規模物件で特に採用が進んでおり、同社でも2021年12月時点で毎月8000~9000件程度の申請を受け付けている。今後も、大規模建築物や工作物、建設設備など、様々な分野で電子申請が増えると考えられるが、性能面での不安は全く感じていないとのことだ。
また、システムの処理能力を高められたことで、業務効率化や顧客サービス品質向上の面でも様々な改善効果が生まれている。「たとえば、申請頂いた内容に不備があった場合には、訂正のためのやりとりを何度かお客さまと繰り返す必要があります。現在では、こうした処理をレスポンス良く行えるため、お客様をお待たせすることなくスピーディにご対応できるようになりました」と日隈氏はにこやかに語る。
運用管理コストを約1/2に削減、セキュリティ面でも不安なし
さらに、もう一つ見逃せないのが、運用管理負荷を大きく軽減できた点だ。「以前はアラートが上がる度に、サーバーのLEDを確認しに行ったりパーツ交換を行ったりする必要がありました。しかし、iLO対応の運用監視サービスにアウトソーシングしたことで、こうした手間が一切不要になっています。その結果、社内の運用管理コストも以前の約1/2程度に削減され、より付加価値の高い業務に注力できるようになりました」と松村氏は力強く語る。
加えて、iLOの利便性を実感する場面も多いとのこと。「運用監視サービスから作業完了報告が来た際も、本社側のコンソールで簡単に確認作業が行えます。OSのインストールやセットアップ作業などがリモートで容易に行える点もありがたいですね。また、当社ではお客様の重要な業務データを取り扱いますので、ファームウェアの改ざん検知・自動修復などの機能が備わっている点も安心です」と松村氏。セキュリティ/ガバナンスの確保という点から、パブリッククラウドへの全面移行が難しい業種だけに、しっかりとしたインフラをオンプレミスで築けた意義は大きいと続ける。
グループ全体のDXを目指しインフラの進化を追求
このように多くの成果を上げることに成功した同社だが、今後も社内情報基盤の進化を目指す取り組みを推進していく考えだ。「申請関連業務については、今回でひとまず電子化の流れを確立できたと考えています。しかしこの仕組みだけでは、事務業務を支援できる環境が整ったに過ぎません。DXの実現を目指すためには、人のノウハウをデジタル化して業務に活かす取り組みも進めていく必要があります。そこで現在、当社では、申請頂いた図書の審査や検査業務などに、AI/機械学習などのテクノロジーを活用する構想を描いています。まだまだその緒に就いたばかりの段階ですが、グループ全体の業務革新に向けて、今後も力を尽くしていきたい」と展望を語る坂氏。HPE ProLiantサーバーをはじめとするHPEのソリューションも、こうした同社の取り組みをしっかりと支えていく。
第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー
今回のHPEサーバーを支える心臓部にはインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを採用。さまざまな種類のワークロードに高い性能を提供し、内蔵のAIアクセラレーションと高度なセキュリティ機能も備え、エッジからクラウドまで最高のパフォーマンスを発揮します。2021年春には第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーに進化。最大40コアを提供し、メモリーやI/O帯域幅が強化されています。また、インテル® ディープラーニング・ブースト、インテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション512(AVX512)、インテル® スピード・セレクト・テクノロジーといったワークロード・アクセラレーション機能を内蔵し、パフォーマンスやスループットが前世代製品から大きく向上しています。
※ Intel、インテル、Intel ロゴ、Intel Inside、Intel Inside ロゴ、Celeron、Celeron Inside、Intel Atom、Intel Atom Inside、Intel Core、Core Inside、Intel vPro、vPro Inside、Itanium、Itanium Inside、Pentium、Pentium Inside、Ultrabook、Xeon、XeonInside、Intel Xeon Phi は、アメリカ合衆国および /またはその他の国における Intel Corporation またはその子会社の商標です。
ERIホールディングス株式会社
執行役員
システムグループ長
坂 辰三 氏
日本ERI株式会社
業務改革推進室 兼 確認管理部
次長 兼 BIM推進センター
日隈 孝徳 氏
ERIホールディングス株式会社
システムグループ
次長
松村 健 氏
ERIホールディングス株式会社
執行役員
(株式会社イーピーエーシステム 代表取締役社長)
相原 和義 氏
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