沖縄クロス・ヘッドが、HPE Moonshot Systemによるデスクトップ向けクラウドサービス「Reemo(リーモ)」を開始

沖縄クロス・ヘッド株式会社 様

HPE Moonshot System / HPE ProLiant m700サーバーカートリッジを採用しHDI(Hosted Desktop Infrastructure)による高品質なDaaSサービスを実現

"「沖縄県を中心に、日本とアジアに様々なサービスを提供していこうという私たちの戦略は、いよいよ新しいステージに立つことになります。これからも、HPE Moonshot Systemのような革新的なテクノロジーを積極的に採用して、お客様にとって快適なサービス、価値の高いサービスを追求して行きたいと思っています」"

―沖縄クロス・ヘッド株式会社 技術部 部長 今井 良 氏

HPE Moonshot Systemをクラウドサービス基盤に採用
 

2015年9月、沖縄クロス・ヘッドがユニークなクラウドサービス「Reemo(リーモ)」の提供を開始した。HPE Moonshot System / HPE ProLiant m700サーバーカートリッジを採用し、HDI(Hosted Desktop Infrastructure)による高品質なリモートデスクトップサービスを実現。これに自社開発のファイル共有サービス、データバックアップサービスを統合し、働き場所を選ばない「Workspace as a Service」を提案している。リモートオフィスの概念を一歩進めたクラウドサービスが、沖縄発の台風の目になるかもしれない。

 

業界

IT・クラウドサービス

 

目的

クラウドサービス「Reemo(リーモ)」の新規ビジネス立ち上げ。いつでも、どこからでも、デバイスを選ばず必要な情報にアクセス可能なリモートデスクトップサービスを起点に、顧客企業のワークスタイル変革を支援する「Workspace as a Service」の実現を目指す。

アプローチ

リモートデスクトップサービスに、自社開発のファイル共有サービス、データバックアップサービスを統合。ユーザーを会社のデスクから解放し、リモートで快適に業務を遂行できるワークスペースをクラウドで実現する。また、高性能なサービス基盤を採用しサービス品質においても差別化を図る。

 

ITの効果

HPE Moonshot Systemを採用しHDI(Hosted Desktop Infrastructure)ベースの「Reemoサービス基盤」を構築、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)によるDaaSを上回るパフォーマンスと快適な操作性を実現

・HPE ProLiant m700サーバーカートリッジ(45サーバーノード)を採用し180ユーザーのリモートデスクトップ環境を4.3Uのスペースに超高密度に集約

・リモートデスクトップソフトウェア「Splashtop Business」を採用し高速な画面表示や快適な動画再生を実現

 

ビジネスの効果

・HDIの採用により高品質かつ競争力の高いリモートデスクトップサービスを実現

・企業およびエンドユーザーに柔軟なワークスペース(バーチャルオフィス)を提供可能に

・仮想化レイヤーのないシンプルで運用・保守の容易なサービス基盤を実現

・HDIシステムの自社導入が難しいSMBでも手軽に採用できる4ユーザーからのクラウドサービスを実現

ご導入製品

HPE ProLiant m700サーバーカートリッジ

HPE Moonshot System


チャレンジ

日本とアジアを結ぶ沖縄クロス・ヘッドのビジネス戦略

 

沖縄クロス・ヘッドは、沖縄県ならではの強みを活かした「グローバルに通用する高品質なITサービス」の提供を目指して2006年に設立された。自社の持つ高度なネットワーク技術を核に、ユニークな製品群を組み合わせたプロダクトサービス、日本とアジア圏を結ぶネットワークサービス、24時間365日・有人によるマネージドサービス、顧客ごとの要求にきめ細やかに応えるシステムインテグレーションまで、急速にビジネス領域を拡大させている。

「私たちは、自らを『クラウドサービスプロバイダー』と位置づけていますが、来年には変わっているかもしれません」と技術部 部長の今井良氏が言うほど、その成長スピードは速い。

「沖縄県を中心に円を描くと、日本の本土とアジア圏がすっぽり収まることに気付かれるはずです。沖縄県内にITインフラを整備し、私たちの強みであるネットワーク技術を活かして、日本とアジアに様々なサービスを提供していこうというのが私たちの大きな戦略です」(今井氏)

沖縄県は、税制の優遇措置や人材育成制度の整備など、県を挙げてIT関連産業の振興に力を入れている。2015年1月時点でIT関連企業346社が県内に立地し、およそ2万6千人の雇用創出を達成した。現在、沖縄県は「クラウドコンピューティング拠点形成」に向けた取り組みにも注力している。

「私たちは、県が整備した『沖縄県クラウドネットワーク』の運営も担当しています。これは、県内のデータセンターや大学、IT津梁パークなどの主要拠点を光ファイバーで結ぶ高速かつ高信頼なリングネットワークです。沖縄県がIT企業とITサービスの一大集積地になるための、戦略的なインフラのひとつに位置づけられています」(今井氏)

沖縄クロス・ヘッドは、強力な追い風に乗って新たなサービス戦略を次々と打ち出している。IaaS / PaaS / SaaSのメニューを充実させたクラウドサービス「CUMO(キューモ)」、クラウドで共有可能なファイルサーバーに2重のバックアップを組み合わせた「nas2cloud(ナスツークラウド)」など、いずれも中堅・中小規模の企業ユーザーの使い勝手に考慮したサービスが特長だ。

「2015年9月、満を持してリモートデスクトップサービス『Reemo(リーモ)』の提供を開始しました。いつでも、どこでも、デバイスを選ばず必要な情報にアクセス可能なクライアント環境を提供し、お客様のワークスタイル変革を支える『Workspace as a Service』の実現を目指すものです」と事業企画室 リーダーの澤幡知美氏は話す。

Reemoの中核システムには超高密度サーバー「HPE Moonshot System」が採用された。仮想化技術を使わないリモートデスクトップ環境「HDI(Hosted Desktop Infrastructure)」によるサービス基盤である。

沖縄クロス・ヘッド株式会社

技術部
部長
今井 良 氏

沖縄クロス・ヘッド株式会社

事業企画室
リーダー
澤幡 知美 氏

沖縄クロス・ヘッド株式会社

技術部
プロダクトグループ
開発チーム
赤嶺 一馬 氏

ソリューション

Workspace as a Serviceの実現を目指す「Reemo(リーモ)」のサービス基盤

 

リモートデスクトップサービスのクラウド提供、いわゆるDaaS(Desktop as a Service)で先行するサービス事業者は少なくない。後発ともいえる沖縄クロス・ヘッドは、どのような戦略で差別化を図ろうとしたのか。

「まず、いかに『お客様にとって快適なサービス』を提供するか、技術的な見地からサービス基盤を徹底的に検討しました。たとえば、企業のクライアント環境は始業時間にアクセスが集中することは明らかです。複数のユーザーがシステムのリソースを奪い合う仮想デスクトップ(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)では、高いサービス品質を維持することは難しいと考えていました」(今井氏)

そこで今井氏が着目したのが、超高密度サーバーHPE Moonshot Systemを利用するリモートデスクトップソリューション「HDI(Hosted Desktop Infrastructure)」だった。

HPE Moonshot Systemとの出会いがReemoのプロジェクトを大きく前進させました。1シャーシ内に180ノードの物理環境を収容するHPE Moonshot Systemが、HDIという革新的なソリューションを実現します。HDIでは、1ユーザーに1つの物理環境が割り当てられそのリソースを占有でき、常に高速で快適な使用体験を提供できます。サイジングミスやユーザー増に伴うリソース不足の心配もなく、VDIで起こりうる様々な課題を解消できると直感しました」(今井氏)

HPE Moonshot Systemは、 4つの独立したPCリソースを搭載したリモートデスクトップ専用の「HPE ProLiant m700サーバーカートリッジ」を1シャーシ内に45枚収容することで、180ユーザーのデスクトップ環境をわずか4.3Uのスペースに「物理的に集約」可能だ。ハイパーバイザーの知識を持たない管理者が扱えるメリットも見逃せない。

「仮想化レイヤーを持たず、180台の物理PCに相当するサーバーカートリッジをデータセンターに集約するHPE Moonshot Systemは、私たちにとって理想的なプラットフォームでした」(今井氏)

Reemoの「サービス基盤による差別化」を可能にした、もうひとつのテクノロジーがある。スプラッシュトップのリモートデスクトップソフトウェア「Splashtop Business」である。

「タブレットを会社のPCにつないで画面転送で動画を再生したのですが、圧倒的なスピードに感動すら覚えました。『これをリモートデスクトップに使えたらすごい』と考えましたが、VDI環境では期待したほどのパフォーマンスが出せませんでした。画像のエンコード処理で著しくCPUのパワーを消費してしまうことが原因でした」(今井氏)

この課題を解消したのもHDI環境だった。HPE Moonshot Systemに収容する「HPE ProLiant m700サーバーカートリッジ」には、GPUを統合したAMD Opteron X2150 APUが搭載されている。スプラッシュトップ日本法人で代表取締役を務める水野良昭氏は次のように話す。

HPE Moonshot Systemでは、強力なGPUリソースを使ったエンコードの高速処理が可能です。AMD社の協力を得てドライバーをチューニングした結果、Splashtop Business ならではの高いパフォーマンスを引き出すことができました」

Splashtopは、モバイルルータを使って外出先から自宅PC を操作する、PC 上のゲームをタブレットから楽しむ、といったコンシューマー用途で世界1,800 万ユーザーを誇るベストセラーのアプリとして知られる。SplashtopBusiness は、これを法人向けクラウドサービスに最適化した製品である。

HPE Moonshot SystemとSplashtop Businessにより、お客様にとって快適なReemoのサービスを実現するインフラ側の準備は着実に進んでいきました。まず、『サービス基盤による差別化』の確証を得ることができたのです」(今井氏)

オフィスのIT 環境をまるごとクラウド化するReemo

 

沖縄クロス・ヘッドは、日本ヒューレット・パッカードとスプラッシュトップの支援を受けて、Reemoサービス基盤の構築と検証を進めた。これと平行してReemoのサービス設計とビジネス戦略も練られていった。澤幡氏は次のように話す。

「Reemo には、HDI による高品質なリモートデスクトップサービスを中心に、自社開発のファイル共有サービス、データバックアップサービスを統合しました。お客様のオフィスにはPCとネットワークとファイルサーバーがあって、ファイルを共有しながら様々な共同作業を進めていらっしゃることと思います。私たちがReemoで目指したのは単なるDaaS ではなく、オフィスのIT 環境をまるごとクラウド化する『Workspace as a Service』なのです」

ターゲットは大きく2つ設定された。まず中堅・中小規模の企業(SMB)、もうひとつはVDI環境を自社導入済みの企業である。沖縄県の強力なITインフラを活用し、首都圏や関西圏、九州を中心に広範な顧客獲得を狙う。

「お客様には、自社でのシステム導入や運用が不要で、使い勝手の良いリモートデスクトップとファイル共有環境を即座にご利用いただけます。データバックアップサービス、24時間365日の有人監視もセットで、4ユーザー/月額4万円(台数限定のキャンペーン価格)からのご提供です」(澤幡氏)

Reemoは、ユーザーを会社のデスクから解放し、いつでも、どこからでも、多様なデバイスから快適に業務を遂行できる「ワークスペース」をクラウド上に実現する。VDIベースのDaaSの対抗馬としても、スペック・品質・価格それぞれで優位性がある。

「お客様側で用意していただくのは、ふだん利用しているPCやタブレットとインターネットへの接続環境だけです。VPNもファイアウォールも不要で、セキュアな画面転送型リモートデスクトップサービスを即座に利用できます。ファイル共有やバックアップのために他のクラウドサービスを併用する必要もありません」(今井氏)

HDIサーバーであるHPE Moonshot Systemとファイルサーバーは、沖縄クロス・ヘッドのデータセンター内で高速に結ばれている。ファイルサーバーは定期的にクラウドへフルバックアップされるのでデータ保護も安心だ。

「すでにVDIを導入している企業の中には、レスポンスの低さに不満を持っている方も数多くいらっしゃいます。実際に、県外のお客様にReemoのデモ環境をお使いいただいたのですが、『同じオフィスアプリケーションの動作がここまで速くなるとは』と驚かれています」と澤幡氏は手応えを示す。

スプラッシュトップ株式会社

代表取締役
水野 良昭 氏

ベネフィット

海底ケーブルの陸揚げで沖縄は「アジア情報通信ハブ」へ

 

ワークスタイル変革サービス「Reemo」のビジネスは立ち上がったばかりだが、今井氏、澤幡氏はすでに勝機を感じ取っている様子だ。

「お客様のReemoへのご評価は上々で、すでに複数の検証が始まっています。OA系の販売・サービスネットワークを持つパートナー様には『売りやすい商材』として捉えていただけました。お客様目線で様々な課題やニーズをフィードバックいただけますので、Reemoの改善につなげていきたいと思っています」(澤幡氏)

HDIシステムの自社構築や運用が難しいSMB企業でも、クラウドなら手軽に導入できる。HDIの使用感をReemoで試してみる方法もあるだろう。

インフラ構築を含む開発全般を担当した技術部 プロダクトグループ 開発チームの赤嶺一馬氏は、Reemoプロジェクトを振り返って次のように話す。

「私自身初めての経験となる大規模なプロジェクトでしたが、日本ヒューレット・パッカードとスプラッシュトップ両社の支援もあり無事に完遂させることができました。HPE Moonshot Systemは、様々な仕様のサーバーカートリッジを組み合わせて収容し、業務アプリケーションとクライアント環境を1ボックスで構築するような構成も考えられます。このユニークなサーバーのポテンシャルには興味が尽きません」

現在、沖縄県が進めている「アジア情報通信ハブ形成促進事業」では、シンガポールから香港を経由して首都圏を結ぶ通信回線(海底ケーブル)の沖縄県への陸揚げが計画されている。2015年度中には実現する見通しだ。今井氏は、今後の展望を含め次のように語って締めくくった。

「沖縄の主要拠点を高速で結ぶネットワークに、この大容量の通信回線が接続されることで、沖縄という地のメリットはさらに高まります。沖縄県を中心に、日本とアジアに様々なサービスを提供していこうという私たちの戦略は、いよいよ新しいステージに立つことになります。これからも、HPE Moonshot Systemのような革新的なテクノロジーを積極的に採用して、お客様にとって快適なサービス、価値の高いサービスを追求して行きたいと思っています」


ご導入製品情報

HPE Moonshot

仮想化デスクトップアプリケーションに最適な、パフォーマンスとエネルギー効率の高いワークロードに最適化されたインフラストラクチャ。


本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

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導入ハードウェア

HPE ProLiant m700サーバーカートリッジ

HPE Moonshot System