敷島製パンが、流通BMSを統合したEDI基盤を構築し、無停止運用と災害対策を実現
HPE Integrity NonStop NS2100を中核に投資対効果の高い統合EDI基盤を実現
"HPE Integrity NonStop NS2100により、投資対効果の高い統合EDI基盤を実現できました。無停止という大きな安心をベースに、流通BMSへの対応をはじめ、ビジネス環境の変化への適応力を強化することができたと考えています"
―敷島製パン株式会社
SPS推進部 SPS運用室
室長
村田 貴 氏
敷島製パンは、2020年に創業100周年を迎えるにあたり、2011年より5年にわたり全社的な業務改革を推進。およそ40年運用してきたメインフレームを撤廃し、オープンな新基幹システム「Smart Pasco System」への移行を果たした。オープン化の一環として、メインフレームなど複数のシステムが担ってきた受発注業務を集約した「統合EDI基盤」を構築。高信頼インテル® Itanium® プロセッサー 9300番台搭載の無停止型サーバー「HPE Integrity NonStop NS2100」を採用し、24時間365日の連続稼働を可能にするとともに、流通BMSにも対応した柔軟性と将来性を備えた投資対効果の高いシステムを実現している。
業界
製造
目的
40年以上運用してきたメインフレームベースの基幹業務システムの刷新。その一環として、流通企業約300社と結び1日およそ1,000件の受発注業務を担うEDI基盤を新たに構築する。
アプローチ
メインフレームを中心に複数のシステムが担ってきたEDIシステムを集約。流通BMSおよび多様なレガシープロトコルに対応し、24時間365日無停止で運用可能な統合EDI基盤を実現する。
ITの効果
・高信頼インテル® Itanium® プロセッサー 9300番台搭載の無停止型サーバー「HPE Integrity NonStop NS2100」を採用し24時間365日連続稼働が可能な統合EDI基盤を実現
・実績豊富なEDIパッケージ「iTP Messaging Model F」により流通BMSおよび多様なプロトコルに柔軟な対応
・HPE NonStop OSが提供する「AutoSYNC」を活用し遠隔地へほぼリアルタイムのデータコピーを実現
ビジネスの効果
・5年以上の運用を見通しクラウドや他のオンプレミスシステムを上回る投資対効果を実現
・シンプルなシステム構成で広域災害にも耐える高信頼な統合EDI基盤を実現
・特別なスキルを必要とすることなく統合EDI基盤の運用が可能に
・日本ヒューレット・パッカードが豊富な経験とノウハウを活かし短期間でのシステム構築と安全な移行を支援
チャレンジ
創業100周年に向けて経営・業務・IT一体の全社改革を推進
食パン市場シェアNo.1の大ヒット商品「超熟」をはじめ、Pascoブランドのパンや和洋菓子の製造・販売事業を展開する敷島製パン。「創業の原点を忘れず、明日へ大胆に挑戦していく」―敷島製パンの歴史は、変革へのチャレンジの歴史でもある。2020年に創業100周年を迎える同社は、売上重視の体質から利益重視の経営への変革を果たすべく、2011年より5年にわたり全社的な業務改革を推進。経営・業務・ITを一体に捉え、全体視点で見直したビジネスプロセスを実行する新基幹システム「Smart Pasco System(以下、SPS)」を稼働させた。
「食品業界における販売の主役は、コンビニエンスストアや大手流通チェーンへと大きくシフトし、ドラッグストアなどへの広がりもみせています。私たちは、市場の変化に適応し、それを上回るビジネススピードを獲得するために、40年来使い続けてきたメインフレームを撤廃してオープンな『新基幹システムSPS』へ移行しました。SPSは、受注から調達、製造、物流までを一気通貫で支え、独自のノウハウを投入した需要予測機能を備えています」とSPS推進部 SPS運用室 室長 村田貴氏は話す。
メインフレームは様々な役割を担ってきたが、中でも「EDI(電子データ交換)による受発注システム」は最も重要度の高いシステムのひとつである。
「メインフレームの撤廃に伴い、新たに『統合EDI基盤』を構築しました。300社を超えるお客様とのお取引、国内約55,000店舗へ商品をお届けするための“起点”となるのがEDIシステムです。流通BMSをはじめとする多様なプロトコルをこれに統合しています」(村田氏)
24時間365日無停止での稼働が求められる「統合EDI基盤」のプラットフォームとして採用されたのは、高信頼インテル® Itanium® プロセッサー 9300番台搭載の無停止型サーバー「HPE Integrity NonStop NS2100」である。
敷島製パン株式会社
SPS推進部
SPS運用室
室長
村田 貴 氏
敷島製パン株式会社
SPS推進部
SPS運用室 営業グループ
マネージャー
水谷 治 氏
ソリューション
統合EDI基盤を無停止で支えるHPE NonStopサーバー
敷島製パンが扱う商品はおよそ800アイテム。HPE Integrity NonStop NS2100が支える統合EDI基盤は、朝8時から夜11時まで、1日およそ1,000件の受発注をリアルタイムで処理している。
「パンは鮮度が重要です。私たちは、午前11時までに受注した商品を午後4時までに出荷できる体制を整えています。最短5時間というリードタイムを順守するためにも、EDIシステムの安定稼働は不可欠です」とSPS推進部 SPS運用室 営業グループ マネージャーの水谷治氏は話す。
統合EDI基盤の構築に際して、敷島製パンが最も重視したのが「サービス無停止」という要件である。「メインフレームと同等以上の高い信頼性を求めた」(水谷氏)という。HPE Integrity NonStop NS2100は、これにどのように応えたのか。
「HPE Integrity NonStop NS2100には以前から関心を持っていましたが、ハードウェアとソフトウェア、アプリケーションのプロセスを二重化して単一障害点のないシステムを実現していることを高く評価しました。また、EDIシステムのプラットフォームとして豊富な実績があることも大きな安心材料でした」(水谷氏)
HPE Integrity NonStop NS2100は、ソフトウェアの実行プロセスを二重化する「プロセスペア技術」によって、障害が発生してもシステムを再起動することなくサービスの継続を可能にしている。完全に二重化されたシステム上でプライマリーとバックアップ2つのプロセスを実行し、プライマリープロセスに障害が発生した場合には、瞬時にバックアッププロセスが処理を引き継ぐ。
プロジェクトでは、メインフレームのサービスレベルを基準値として、システムの可用性、保守サービスの対応時間、5年間の総コストなどを慎重に比較検討した。その結果、「トータルのスコアでHPE Integrity NonStop NS2100が他を圧倒した」(村田氏)という。
「クラウド型EDIサービスとオンプレミスの両面から検討しましたが、DR対応ではHPE Integrity NonStop NS2100がデータ保全を含め、EDIシステムを無停止運用するための要件をすべて備えていました」と村田氏は評価する。
オンプレミスでは、x86サーバーと仮想化テクノロジーを利用したHA構成が比較対象となったが、「プラットフォーム単体で無停止を実現するHPE Integrity NonStop NS2100の優位性は明らかだった」(村田氏)という。
「サービス無停止を実現するためには、遠隔地でのデータ保護とサービス引継ぎが不可欠です。HPE Integrity NonStop NS2100は、災害対策システムを実現するための機能を備えており、オプションを組み込むことなくこれを構築できたのです」(村田氏)
災害対策サイトをシンプルかつ容易に実現
HPE Integrity NonStop NS2100では、HPE NonStop OSの標準機能「AutoSYNC」が災害対策システムの構築をシンプルに実現する。敷島製パンでは、数100km離れた自社拠点をDRサイトとして活用している。
「本番サイトとDRサイトそれぞれに設置されたHPE Integrity NonStop NS2100間で、『AutoSYNC』によるほぼリアルタイムのデータコピーを行っています。災害発生時には、直前に保護したデータを使ってDRサイトでEDIサービスを継続できる仕組みです。システム構成がシンプルで運用が容易というメリットが大きいですね。年2回、本番サイトからDRサイトへの切り替え試験を行っていますが、30分ほどの手続きで安全に切り替えできることを確認しています」と水谷氏は話す。
AutoSYNCは、データファイル、プログラムのソースファイル、オブジェクトファイル、構成ファイルなど、アプリケーション稼働環境に必要なファイルを、複数のHPE Integrity NonStopNS2100間で自動的に同期させることができる。敷島製パンでは、これを災害対策システムに活用して即時かつ完全なサービス継続を実現している。
メインフレームと同等以上の高い信頼性を備えたHPE Integrity NonStop NS2100は、遠隔地でのデータ保護とサービス継続までをシンプルに実現した。次に、「統合EDI基盤」を支えるプラットフォームとしての評価はどうか。
「レガシープロトコルを含め、メインフレーム上では多様なプロトコルを扱っていました。また、これとは別に『流通BMS』に対応したEDIシステムを平行運用してきました。今回の統合EDI基盤構築においては、京信システムサービスのEDIパッケージ『iTP Messaging Model F』を採用して、流通BMSおよび全銀TCP/IP、JCAなど多様なプロトコルをすべて統合しました。HPE Integrity NonStop NS2100が、iTPMessaging Model Fのプラットフォームとして食品業界での実績が豊富なことも、私たちにとってメリットとなりました」(村田氏)
本プロジェクトでは、経験豊富なHPEのエンジニアチームが短期間での構築と安全な移行という成果をもたらした。着手からおよそ2ヵ月で統合EDI基盤システムの構築を完了し、続いてデータ移行を安全に実施。プロジェクトは、メインフレームとHPE Integrity NonStop NS2100による新旧システムを並行稼働させながら、取引先とのデータ交換が確実に行われることを確認しつつ、順次接続先を新システムに切り替えていった。
「HPEのエンジニアチームは、プロジェクトをスムーズに進めてくれただけでなく、何らかの課題に際しても豊富な経験とノウハウを活かして迅速に解決してくれました。短期間での構築により、導入コストの大幅な削減が図られたことは期待以上の成果と言えるでしょう」とSPS推進部企画グループ マネージャーの中村典生氏は評価する。
敷島製パン株式会社
SPS推進部
企画グループ
マネージャー
中村 典生 氏
インテル® Itanium® プロセッサー
9300番台搭載
ベネフィット
プロトコルの一元管理により運用を効率化
敷島製パンのビジネスの起点となる統合EDI基盤は、新基幹システムSPSに先立って稼働を開始した。日々の受発注業務を担うHPE Integrity NonStop NS2100は安定的に稼働を続けている。
「大手流通チェーンの採用をきっかけに流通BMSへのシフトが加速しています。現在、流通BMSが7割を超え、それ以外のプロトコルは減少傾向にあります。複数のシステムで行っていた受発注業務をHPE Integrity NonStop NS2100に統合したことで、サービスの信頼性を大幅に向上させることができました」と中村氏は話す。
「ミッションクリティカルな業務を支える高信頼なシステムでありながら、HPE Integrity NonStop NS2100の運用は非常に容易です。メインフレームでは、わずかな変更作業ですら専任の技術者なしでは行えませんでした。HPE Integrity NonStop NS2100は特殊なスキルを必要としないため、属人的な運用体制から脱却することができました」と水谷氏も評価する。
Pascoブランドの変わらない美味しさのために、敷島製パンは変革へのチャレンジを続ける。村田氏は、今後の展望を次のように語って締めくくった。
「HPE Integrity NonStop NS2100により、投資対効果の高い統合EDI基盤を実現できました。無停止という大きな安心をベースに、流通BMSへの対応をはじめ、ビジネス環境の変化への適応力を強化することができたと考えています。次のチャレンジは、統合EDI基盤を起点とする需要予測の精度を高め、ビジネスのスピードとともに収益力の向上に貢献することです。HPEには、最新のテクノロジーと経験に裏付けられた技術力による支援を期待しています」
ご導入製品情報
HPE NonStop family of systems
ビジネス継続性と100%のフォールトトレランスが求められる、ミッションクリティカルな環境に合わせて新規設計されたHPE NonStopシステムは、大規模なビジネスニーズやオンライントランザクション処理およびデータベースの要件に対応すると同時に、ダウンタイムのリスクを排除します。
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
本ページに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。
導入製品
HPE Integrity NonStop NS2100
HPE NonStop AutoSYNC