ニチレイがEDIシステムを刷新、災害対策システムを構築し24時間365日の無停止運用を強化

株式会社ニチレイ 様

所在地:東京都中央区築地六丁目19番20号 ニチレイ東銀座ビル
URL:http://www.nichirei.co.jp/

新たにHPE Integrity NonStopサーバーを採用し、国内最大の低温物流を支える“投資対効果の高い無停止システム”を実現

"私たちは、“無停止サーバー”としてのHPE NonStopサーバーのテクノロジーを高く評価しています。数年前と比較してコストパフォーマンスが大きく向上しており、災害対策システムを含め投資対効果の高いシステムを構築できたと考えています"

―株式会社ニチレイ 経営企画部 副部長(情報企画担当) 廣田 一寿 氏

“食”を支える日本最大の低温物流ネットワーク

 

ニチレイがEDIシステムを刷新した。国内最大の冷凍食品の低温倉庫・物流業務を、24時間365日の無停止運用で支える社会インフラに等しいシステムである。新しいEDIシステムの設計・構築・運用を担うのは、日立フーズ & ロジスティクスシステムズ(以下日立F & L)。メインフレームを凌駕する高信頼インテル® Itanium® プロセッサー 9300番台搭載の無停止型サーバー「HPE Integrity NonStop NS2200」を採用し、新たに災害対策システムを構築することで24時間365日の無停止運用をいっそう強化することに成功した。

 

業界

製造・食品

 

業種

製造

 

目的

低温倉庫・低温物流業務において、およそ200社からの入出庫・配送指示を担うEDIシステムの刷新。24時間365日無停止で提供するEDIサービスの継続性を強化するとともに、流通BMSに代表される新たな通信プロトコルにも対応する。

 

アプローチ

最新の無停止型サーバーと、これに最適化された流通BMS対応のEDIパッケージを導入。BCP(事業継続計画)の一環として災害対策システムを新たに構築し、ミッションクリティカルな入出庫・配送指示業務を支える環境を強化する。

 

ITの効果

・メインフレームを凌駕する高信頼インテル® Itanium® プロセッサー 9300番台搭載の無停止型サーバー「HPE Integrity NonStop NS2200」とEDIパッケージ「HDC-EDI Suite」を採用し、24時間365日無停止のEDIサービスを提供しつつ投資対効果に優れたシステムを構築

・新たに災害対策(DR)システムを構築し24時間365日の無停止運用を強化

・HPE NonStop RDFによりデータベースのリアルタイムなリモートコピーを実現

・AutoSYNCによる実データ(ファイル)のDRサイトへの複製も同時に実現

・ハードウェア/アプリケーションをHPEがワンストップで提供しサポート窓口を一本化

 

ビジネスの効果

・流通BMSへの対応を含む、より多様な通信手順を利用可能にする

・国内最大級の食品流通という社会インフラサービスに高い信頼性を付与

・低温倉庫・低温物流ビジネスの海外展開の布石とする

ご導入製品

HPE Integrity NonStop NS2200


チャレンジ

冷凍食品の入出庫・配送指示を担う EDIシステム

 

冷凍食品と低温物流における国内トップ企業――ニチレイの歴史は1942年まで遡る。水産物の流通と製氷・冷蔵・凍結事業からスタートし、中核事業のひとつである低温物流ネットワーク/地域保管事業は国内最大規模にまで成長を遂げている。関連会社を合わせた拠点は国内外に計123か所、冷蔵保管能力は約190万トンに達する。

「ニチレイには、『加工食品』と『低温物流』という大きく2つの事業の軸があります。自社ブランドの加工食品を製造し、小売店を経由してお客様へお届けするビジネスがひとつ。もうひとつが、食品を扱う様々なメーカーや卸(荷主)からの依頼を受けて、低温倉庫・低温物流のサービスを提供するビジネスです」と、ニチレイ 経営企画部 副部長で情報システム企画を担当する廣田一寿氏は話す。

2005年には持株会社制へと移行して、ニチレイ(持株会社)およびニチレイフーズ、ニチレイフィッシュ、ニチレイロジグループ、ニチレイバイオサイエンスの基幹4社を中心にグループを構成している。ニチレイロジグループは、ニチレイブランドの加工食品の低温物流も一手に担う。

「グループ内では200社を超えるお客様とEDIを行っており、低温物流事業はその7割を占めています。」(廣田氏)

全国77拠点に展開する冷蔵倉庫における、1日あたりの入出庫・配送依頼の伝送数は1500万件を超える。この膨大な処理をリアルタイムかつ24時間365日無停止で実行するのが、ニチレイのEDIシステムである。我が国における食品流通の大動脈を支える、社会インフラに等しいシステムだ。

「EDIを最初に導入したのは1986年。現在稼働中のEDIシステムが4世代目となります。1998年に構築したシステムを2011年まで使い続けてきましたが、サーバープラットフォームの保守切れに伴い刷新を決断しました」(廣田氏)

第4世代のプラットフォームとして新たに採用されたのは、メインフレームを凌駕する高信頼インテル® Itanium® プロセッサー 9300番台を搭載した無停止型サーバー「HPE Integrity NonStop NS2200」である。

株式会社ニチレイ

経営企画部
副部長(情報企画担当)
廣田 一寿 氏

ソリューション

24時間365日無停止運用が求められる ミッションクリティカルなシステム

 

ニチレイのEDIシステムは土日・早朝深夜を含め、“24時間365日無停止”で入出庫・配送指示を処理することが求められている。日立F & L 部長の藤浪陽一郎氏は、次のように話す。

「基幹業務システムでもメンテナンス時には計画停止を実施しますが、EDIシステムだけは無停止での運用が必須です。この要求に応えるために、1990年代からフォールトトレラントサーバーを採用してきました。今回のHPE NonStopサーバーの採用に際しても、24時間365日無停止運用を大前提としました」

日立F & Lは、ニチレイと日立製作所が共同で設立したITソリューション企業である。冷凍食品・低温物流ビジネスに精通し、食の安全を支えるサプライチェーン全体に多様なITサービスとソリューションを提供している。

「HPE NonStopサーバーは、ハードウェアとソフトウェア、アプリケーションのプロセスを二重化して単一障害点のないシステムを構築可能です。EDIシステムを無停止運用するための要件をすべて備えていました。また、EDIシステムのプラットフォームとして豊富な実績があることも評価のポイントでした」(藤浪氏)

HPE NonStopサーバーは、ソフトウェアの実行プロセスを二重化する「プロセスペア技術」によって、障害が発生してもシステムを再起動することなくプロセス継続を可能にしている。完全に二重化されたシステム上でプライマリーとバックアップ2つのプロセスを実行し、プライマリープロセスに障害が発生した場合には、瞬時にバックアッププロセスが処理を引き継ぐ。

「EDIアプリケーションは当初は自社開発していましたが、1998年の第3世代EDIシステムでパッケージ製品を採用しました。今回の刷新ではこれを『HDC-EDI Suite』に切り替えました」(藤浪氏)

HDC-EDI Suiteは国内トップシェアを持つEDIソフトウェアである「ACMS E2X」のOEM製品「HDC-EDI Base」とファイル転送の「HULFT」、運用管理の「HDC-EDI Manager」のパッケージ製品である。Web-EDI、全銀、JCAなどの国内標準手順をサポートするとともに、次世代EDIメッセ-ジの標準と目される「流通BMS」にも対応している。

「HDC-EDI Suiteの採用に際しては、日本ヒューレット・パッカードがHPE NonStopサーバーとともにワンストップでサポートを提供してくれることが大きな安心材料となりました」(廣田氏)

HPE NonStopサーバーによる 災害対策システムを構築

 

ニチレイ第4世代EDIシステムの要件を整理すると次のようになる。

①24時間365日の無停止運用を実現しメンテナンスも無停止で行えること
②システムの拡張性と長期保守により長期間の利用に耐えること
③流通BMSなど国際標準への対応を含め将来の変化に適応できること

第4世代EDIシステムの検討は2009年から始まっていたが、2011年5月、これに「災害対策システムの構築」という要件が加えられた。

「東日本大震災ではニチレイグループの拠点も大きな被害を受け、災害対策システムの構築が重要テーマとなっていました。事業継続の観点から優先順位を検討した結果、EDIシステムはいち早くこの対象に加えられました」と廣田氏は振り返る。

ニチレイのEDIシステムは大手小売・卸・メーカーなど200社を超える取引先と接続され、食品流通の大動脈を支えている。自然災害を含むいかなる不測の事態が発生しようと、影響は最小限にしなければならない。データ同期については、伝送ステータスをデータベースで管理し、 実データをファイルベースで格納する方式をとっている。

災害対策システムを構築するにあたっては、データベースとファイルベースの実データの両方を遠隔地に複製する必要があった。

「データベースはリアルタイム、実ファイルは非同期でのレプリケーション機能を実装しました。本番サイトからの切り替え時には、DRサイトでそれぞれのデータを付け合せて、不足した実ファイルを明らかにすることでデータの整合性を確保する仕組みとしています」(藤浪氏)

具体的には、データレプリケーションツール「HPE NonStop RDF」が、首都圏と九州圏に設置されたHPE NonStopサーバー間のトランザクションの複製をリアルタイムで実行する。さらに、「HPE NonStop AutoSYNCソフトウェア」が実ファイルの複製を行っている。2つのデータを突き合わせて整合性をチェックする仕組みは、HPEが独自に作り込んだ。

「災害対策システムの構築により、24時間365日の無停止運用を継続するシステム環境はより強固になりました」(藤浪氏)

株式会社日立フーズ & ロジスティクスシステムズ

ITインフラソリューション事業部
ITインフラシステム部
部長
藤浪 陽一郎 氏

株式会社日立フーズ & ロジスティクスシステムズ

ITインフラソリューション事業部
ITインフラシステム部
青木 健斗 氏

ベネフィット

無停止型サーバーとして唯一の選択肢 「HPE NonStopサーバー」

 

ニチレイEDIシステムは“24時間365日無停止”というミッションを担う。第3次から第4次EDIシステムへの移行に際しては、“移行作業中も無停止”が必須条件だった。

「EDIの接続先はおよそ200社、移行作業は1,000件以上に達します。新旧システムを並行稼働させ、1社ずつ連絡をとってスケジュールを調整しながら新システムへ切り替えていきました」と、移行を担当した日立F & Lの青木健斗氏は話す。

前回の切り替えでは、全社の移行が完了するまで2年を要したが、今回は緻密なスケジュール調整と顧客企業のご協力により2/3の工期に短縮したという。

 

ニチレイでは1990年代から“無停止型サーバー”のメリットに着目し、ミッションクリティカルなEDIシステムで利用し続けてきた。無停止型サーバーが担う期待と使命は、これからも変わることはないだろう。廣田氏は次のように語って締めくくった。

「私たちは、“無停止サーバー”としてのHPE NonStopサーバーのテクノロジーを高く評価しています。数年前と比較してコストパフォーマンスが大きく向上しており、災害対策システムを含め投資対効果の高いシステムを構築できたと考えています」―廣田氏


ご導入製品情報

HPE NonStop family of systems

ビジネス継続性と100%のフォールトトレランスが求められる、ミッションクリティカルな環境に合わせて新規設計されたHPE NonStopシステムは、大規模なビジネスニーズやオンライントランザクション処理およびデータベースの要件に対応すると同時に、ダウンタイムのリスクを排除します。


本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

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導入ハードウェア

HPE Integrity NonStop NS2200