産業用IoT (IIoT)
産業用IoT (IIoT) とは
IIoTは、インターネットに接続された機械、および機械で生成されるデータを処理する高度な分析プラットフォームで構成されています。小型の環境センサーから複雑な産業ロボットに至るまで、IIoTデバイスの種類は多岐にわたります。「産業用」という言葉が倉庫、造船所、工場を想起させるかもしれませんが、IIoTテクノロジーは、農業、医療、金融サービス、小売、広告など、さまざまな業界に多くのメリットをもたらす可能性を秘めています。
IoTとIIoTの違い
IoTの下位カテゴリである産業用IoTには、ウェアラブルデバイス、スマートホームテクノロジー、自動運転車などのコンシューマー向けアプリケーションも含まれます。インターネット経由でデータを送信し、ソフトウェアを通じて管理される、センサー内蔵のデバイス、機械、およびインフラストラクチャは、IoTとIIoTの両方に見られる特徴です。
IIoTが重要となる理由
物品を生産および/または輸送する企業では、IIoTによってこれまでにないレベルの運用効率を実現し、まったく新しいビジネスモデルを創出できます。各業界では、次のような方法でIIoTテクノロジーを活用することが可能です。
- 製造 – 現在、IIoTテクノロジーの大部分は製造業で導入されています。IIoT対応のマシンは潜在的な問題を自己監視し、予測できます。結果としてダウンタイムを短縮し、全体的な効率を高められます。
- サプライチェーン – IIoTテクノロジーでは、在庫をセンサーで管理しているため、在庫が切れる直前にサプライ品を発注することができます。このため、必要な在庫を確保しつつ、廃棄物の発生数を抑えることが可能になり、従業員を他の業務に注力させることができます。
- ビル管理 – IIoTテクノロジーにより、ビル管理の簡素化とセキュリティ強化が可能になります。センサーによって空調を管理することで、ビルの空調を手動で調整する際の推測やストレスがなくなります。また、各デバイスがビルの入り口を監視し、潜在的な脅威に迅速に対応するため、ビルのセキュリティが向上します。
- 医療 – 患者をリモートで監視し、容態が変化すると即座に医療提供者に通知するIIoTデバイスを利用して、医療の正確性と応答性を向上させることができます。いずれは、AIに患者の診断を任せることも可能になり、医師がより迅速かつ効率的に患者を治療できるようになります。
- 小売 – IIoTテクノロジーにより、個々の店舗がマーケティングに関する意思決定を迅速かつインテリジェントに行えるようになります。コンシューマーの関心に応じて自動アップデートされるオンライン店舗に加えて、IIoTテクノロジーを実装したスマートプロモーションや小売店の統合機能により、競合他社を圧倒する競争力を獲得できます。
IIoTのテクノロジーとコンセプト
企業は現在、IIoTをどのように活用しているでしょうか。現在利用可能、または今後登場予定のIIoTのテクノロジーとコンセプトには、次のようなものがあります。
- デジタルツイン – 機械、人間の臓器などの対象物、または気象などのプロセスのコンピューターモデルを作成することをいいます。デジタルツインの挙動を分析することにより、実際の対象物の挙動を把握および予測して、問題が発生する前に対処することが可能になります。
- 電子ログ記録装置 (ELD) – 搭載されたセンサーが速度、走行時間、各ドライバーのブレーキの使用頻度を監視し、燃料の節約、ドライバーの安全性向上、待機リソースの削減をサポートします。ドライバーが危険な運転を行ったり、長時間運転し続けたりすると、ドライバーに警告が発せられ、管理者に通知されます。このテクノロジーを利用すれば、これまでドライバーが毎日記入する必要のあった紙の運転記録が不要になります。
- インテリジェントエッジ – データが生成、分析、解釈、処理される場所のことです。インテリジェントエッジを使用すれば、分析を迅速に行うことが可能になり、データの傍受またはその他のセキュリティ侵害が発生する可能性を大幅に低減することができます。
- 予測メンテナンス – センサーを搭載したマシンまたはコンポーネントを含むシステムが、データの収集と送信、およびそのデータの分析とデータベースへの保管を行います。このデータベースはその後、イベントが発生した場合に比較するポイントとなります。システムによって不要なメンテナンスをなくし、障害を回避する可能性を高めることができます。
- RFID (Radio Frequency Identification) – バーコード技術をより高度にしたような、タグとリーダーで構成されるシステムです。リーダーは電波を使ってRFIDタグを認識します。タグは複数のリーダーで同時に、従来のUPCよりも離れた距離で読み取ることができます。RFIDタグを取り付けることで、製品の追跡や監視が簡単に行えます。
HPEのIIoT製品およびサービス
HPEのハイブリッドクラウドとエッジコンピューティングソリューションを組み合わせることで、強力なIIoTソリューションを構築できます。このソリューションを活用すれば、オンサイトのデータをリアルタイムで処理し、インテリジェントなデバイスとプライベートおよびパブリッククラウドの間でデータをシームレスにやり取りすることが可能になります。
Edgeline IoTサーバー: エッジコンピューティングとIIoT向けに設計されたサーバーの詳細をご覧ください。
モバイルおよびIoTソリューション: インテリジェントエッジでデータを収集して分析し、その情報に基づいて対応できます。
ハイブリッドクラウドソリューション: 最適なハイブリッドクラウドソリューションでIIoTを強化できます。