HPE DXプラットフォーム
Hybrid Cloud
特集記事 リーダーが語るDXプラットフォームの取り組み ~Hybrid Cloud~
日本ヒューレット・パッカード合同会社
プリセールスエンジニアリング統括本部コンピュート技術部
小川 大地
「クラウドファースト」は次のステージへ
2010年代半ばから「クラウドファースト」の機運が高まり、多くの企業がパブリッククラウドの活用・移行を進めてきました。掲げられた目標は、ビジネスアジリティの向上、運用負荷の軽減、IT資産のオフバランス化など様々です。2022年となった今、その成果を振り返りながら「クラウドの新しい変化」について考えてみたいと思います。
強引過ぎたかもしれない2010年代のクラウドファースト
多くのお客様にとって最も好ましい、誰もが実感できたクラウド体験は、セルフサービスでITリソースを使えるようになったことではないでしょうか。SaaSの活用やDevOpsの推進と合わせて、ビジネスアジリティの向上を評価する声は少なくありません。
一方で、一部のお客様からは、「無理し過ぎた」「強引過ぎたかもしれない」との声があることも事実です。“クラウドファースト”の言葉のもとに、あらゆる全てをパブリッククラウドへ移行してしまった結果、コストに対して性能が見合わない、設定ミスで情報漏えいを起こしてしまった、突然のメンテナンスでサービスレベルが落ちてしまった、などの課題が見えてきています。大手調査会社の2021年のレポートでは「パブリッククラウドからプライベートクラウドに戻したことがある、または戻す予定がある企業」の割合は80%を超え、インフラ最適化に向けた調整はまだ続く見通しです。
HPE Japanはクラウドの会社なのか
多くのお客様は「HPEはハードウェアの会社」と思っていらっしゃるでしょうが、「クラウドの会社」としてのHPEをご評価いただける機会も増えてきました。ひとつは、HPE GreenLakeクラウドサービスによる「好きな場所」でのクラウド導入です。クラウドの特長である「使った分だけ後払い」の従量課金・オフバランス化はもちろんのこと、「インフラのお守りからの脱却」も実現できます。自社占有型のインフラでセキュリティ面でも安心です。
加えてご注目いただきたいのは、HPE Pointnextテクノロジーサービスによる本格的なクラウド提案です。HPE Japanでは大規模なコンサル・デリバリサービス部隊を編成しており、AWS、Azure、GCPなどの有資格者が多数在籍しています。さらに、営業担当者についても、これらの有資格者が昨年250名を超えました。プライベートとパブリックの両方に精通したクラウド人材が、お客様のビジネス目標とシステム戦略を正しく捉え、パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッド型など、最適な環境をご提案できることがHPE Japanの新しい強みになっています。
ユニークなクラウド事例も増えています。日本たばこ産業(JT)様では、情報発信の基地としても、ステークホルダーとの接点としても重要度が高まっているコーポレートサイトの全面リニューアルに際し、プライベートクラウドからMicrosoft Azureへ移行しました。企業コミュニケーションにおけるDXの先進事例のひとつであり、HPE Pointnextはこのインフラ刷新をトータルに支援しています。
JCB様では、国内外会員数1億4千万以上というJCBカード会員が利用する「MyJCBサービス基盤」の最新化を、HPE PointnextのエキスパートをはじめとするHPE Japanがトータルに支援しています。ミッションクリティカルな要求に応える信頼性・可用性をいっそう強化しながら、クラウドネイティブテクノロジーを積極的に採用して、新サービスをいち早くリリースするための俊敏性、アプリケーション開発の柔軟性と高速化を追求しています。オンプレミスとパブリッククラウドが連携し、ミッションクリティカルシステムとクラウドネイティブテクノロジーが融合した、HPE Japanならではのハイブリッドクラウド先進事例です。
拡充し続けるHPEのクラウドポートフォリオ
HPE Japanのもうひとつの強みがクラウドに欠かせない“ネットワーク”です。「HPE Aruba」ブランドでエンタープライズ向けWi-Fiソリューションに豊富な実績がありますが、お客様の最適なクラウド活用を実現する「SD-WAN」のソリューションにもご注目ください。Aruba EdgeConnect(旧Silver Peak)では、クラウド接続における柔軟なネットワーク構成とトラフィックコントロール、エッジからクラウドまでの一貫したセキュリティを実現する先進的なSD-WAN技術をご利用いただけます。
広く採用されているHPEのサーバー・ストレージに加えて、HPE GreenLakeクラウドサービス、HPE Pointnextによるクラウド提案、HPE Arubaによる快適なクラウドアクセス――これらは、ぜひお客様に知っていただきたいHPEのクラウドポートフォリオです。
先にご紹介したJT様ではAzureを全面的に採用し、次世代MyJCBサービス基盤ではAWSとオンプレミスが連携しています。また、Google社との協業による金融機関様でのAnthosの採用事例もあります。AWS、Azure、GCPとともに、HPE GreenLakeを「クラウドの選択肢」として検討いただけるお客様が増えていることも嬉しい限りです。クラウドをお考えでしたら、ぜひHPEにお声がけください。お客様の期待を超えるアイディアをご提示できるはずです。
お客様のビジネス戦略に合致したHybrid Cloudを実現します
オンプレミスかクラウドかという議論を超えて、「クラウドとは場所ではなく“体験”である」ことに多くの企業が気づいています。そしていま「Hybrid Cloud」は、ITインフラの最適解として大多数の企業に支持されています。HPEは、クラウドネイティブテクノロジーにHPE独自のソリューションを融合させ、場所にとらわれない「クラウド体験」をもたらします。そして、お客様のビジネス戦略に合致した最適なHybrid Cloudを実現します。
モダナイゼーション
HPEは、オンプレミス環境をクラウドネイティブテクノロジーにより最新化し、パブリッククラウドと同等の使用体験を実現します。お客様は、アプリケーションの特性に合わせて、仮想化・コンテナ・サーバーレスを適材適所で使い分けることができます。
AS-A-SERVICE
HPEなら、お客様のセキュリティポリシーに合致したオンプレミス環境を、パブリッククラウドと同様の「月額・従量課金」でお使いいただけます。さらに、監視・運用・保守をHPEにお任せいただくことで、理想的な「クラウド体験」を実現します。
コンサルティング
オンプレミスとパブリッククラウドの利用比率の“黄金比”はお客様それぞれです。HPEの掲げる“Right Mix”戦略は、これらの適材適所での活用をお客様ごとにご提案するものです。DX戦略の推進基盤として、お客様にとって最もビジネス価値の高いハイブリッドクラウド化をご支援します。
ネットワークと運用簡素化
ハイブリッドクラウドで忘れてはならないのは「つなぐ」ということ、つまりネットワークです。HPEは買収したSliver Peak SD-WANを始め、クラウドとクラウドをつなぐWAN回線や、複雑で工数のかさむマルチクラウド運用について、解をご提供する準備が整っています。
Step.1 クラウドによるシステム管理
「クラウド体験」のメリットを、最も手軽に手に入れる方法として「システム管理のクラウド化」をお勧めします。HPEのインフラ製品は、クラウドと連携した障害の予兆検知や、システムの稼働状況を確認できるクラウド上のダッシュボードなど、優れたクラウド連携機能を標準で備えています。いわばハイブリッドクラウド活用の入門編です。
Step.2 データ保護と利活用
実用性の高い「ハイブリッドクラウド化」の例として、データバックアップや災害対策(BCP/DR)への応用をお勧めします。オンプレミス環境のデータ保護にパブリッククラウドのオブジェクトストレージを利用する、災害発生時にアプリケーションサービスをクラウド上に継続させるなど――HPEなら、データの“利活用”まで視野に入れたご提案が可能です。
Step.3 適材適所のクラウド体験
HPEが提案する「ハイブリッドクラウド環境」は、ユーザーにオンプレミスとクラウドを意識させることのないシームレスな「クラウド体験」です。HPEは、プラットフォーム製品を起点に、オンプレミス環境のAS-A-SERVICE化、プロフェッショナルサービスによる的確なアドバイスと設計・実装まで、HPE日本法人の“総合力”と”実行力”を結集してお客様を成功に導きます。
Step.4 マルチクラウドの最適化
先進的なお客様では、オンプレミスと複数のパブリッククラウドの使い分けが始まっています。こうした「マルチクラウド環境」では、クラウドのサイロ化や運用の煩わしさが課題です。HPEでは横断的なダッシュボードによるコスト分析や一元管理をはじめ、HPEと幅広いパートナーソリューションを組み合わせ、お客様のビジネス戦略に合致したマルチクラウド環境の運用をご提案いたします。
自治体DXの推進基盤となる、「ニューノーマルPC」を整備
上越市職員1,600名の業務のデジタル化と機動力の高い執務環境を実現するVDI環境を、HPE GreenLakeによるas a Serviceモデルで導入
課題
「上越市ICTによる情報化推進基本方針」に基づき、デジタル技術を活用したより良い市民サービス、効率的でスピード感のある業務の実現を目指す
解決方法
オンラインでの業務推進、タイムリーな情報共有と意思決定、場所を選ばない柔軟な働き方を支えるインフラとして仮想デスクトップ(VDI)環境を整備
結果
- HPE GreenLakeを採用し「自治体DXの推進基盤」としてのVDI環境を上越市の年度計画に合わせて整備
- HPE ProLiant DL385 Gen10 Plusサーバー/HPE NimbleストレージによりVDI基盤を構築し、「従量制課金」ならではのシンプルな費用処理と投資の最適化を実現
- 「as a Serviceモデル」によりハードウェア/ソフトウェアなどのライフサイクル管理から解放
- システムリソースの使用量を定期的に計測・評価し、リソース不足や過剰投資を回避