HPE DXプラットフォーム
Data Management & AI
特集記事 リーダーが語るDXプラットフォームの取り組み ~Data Management & AI~
日本ヒューレット・パッカード合同会社
HPC&AI・MCS事業統括 営業統括本部 HPC&AI・MCS技術本部 aaSプリセールス部
藤川 智博
賢いAIを開発する新しいアプローチ
AIブームの熱狂と数多くのチャレンジを経て、AIは社会システムとして着実に根づいてきました。私たちの日常でも、スマートフォンアプリやECサイトのレコメンドなど、AIの恩恵を受けない日はないかもしれません。製造、通信、金融、医療分野まで、AI先進企業における取り組みも、いかに賢いAIモデルを開発するか、いかにAIをビジネスの競争力や収益に結びつけるかを追求する段階に入っています。
トレーニングデータの爆発的な増大
いま、AI先進企業が直面している大きな課題のひとつは、トレーニングデータの爆発的な増大です。たとえば、AIによる画像認識を品質管理に利用するために、ニューラルネットワークによるAIモデルが十分な精度を達成するためには、2,300万ものパラメーターが必要と言われています。自然言語処理を行うAIでは、その量は数倍~数100倍にも達します。データの増大に伴い、より大きな計算リソースが必要になり、データ管理や移動の難しさも急速に増していきます。
HPEでは、AIプラットフォームとHPE PointnextによるAI支援サービスの提供を通じて、お客様の課題解決をご支援するとともに、お客様のAI活用とビジネス目標の達成を強力にサポートしています。ここでは、HPEのAI領域における最新の取り組みを2つご紹介します。
AIモデル開発を劇的に効率化・高速化
音声認識や自動運転などの高度なAIモデルを開発できるのは、GAFAに代表される巨大企業に限られているのでは――そうお考えの方へ、HPEから新しいご提案があります。これらの企業に共通しているのは、AI技術者やデータサイエンティストのチームが効率的に業務を進めるための「AIプラットフォーム」を独自に開発していることです。
2022年4月にHPEがリリースした「HPE Machine Learning Development Environment」は、AIをリードする巨大企業しか持ち得なかった最先端のAIプラットフォームを、HPEから広くお客様企業にご提供するものです。賢いAIモデルを作るには、多くのAIモデルを試作・実験する必要があります。こうした試行を迅速に進められるよう、GPUを有効活用するスケジューリングやリソース共有機能を備えています。さらに、ハイパーパラメーターの値定義を自動化したり、複数モデルの最適化状況を可視化して俯瞰することで最良モデルをすばやく見つけ出せるなど、AIモデル開発のワークフローを効率化・高速化する様々な機能を備えていることが大きな特徴です。詳しい情報を順次発信していきますので、ぜひご注目いただきたいと思います。
組織や国境を越えたAIモデル開発を可能に
「Swarm Learning(群学習)」というキーワードをご存じでしょうか。賢いAIモデルを作るためには、トレーニングデータも良質である必要があります。限られた範囲から集めた狭い特徴を持つデータから学ぶのではなく、組織や国境の壁を越えて、広く多くの特徴を持つデータからAIモデルを作り出すことができるのが、このフレームワークです。各現地の生データを1ヶ所に集めることなく、匿名化された特徴のみを共有するため、効果的に分散学習を行えるアプローチとして注目されています。
医療画像診断のためのAIモデル開発の例をご紹介しましょう。X線画像から肺疾患を特定するケースでは、気胸、腫瘤、無気肺、胸水といった様々な症例を学習させる必要があります。特定のトレーニングデータ(たとえば気胸)が極端に少ないと、そのAIモデルは肺疾患全体に対して十分な予測精度を発揮することができません。この問題を解決するには、極端に少ない症例データがないよう複数の医療機関が協力して分散学習を行う方法が考えられます。しかし、秘匿性の高い医療画像そのものを共有することは、プライバシー保護と法制度の観点から現実的ではありません。
Hewlett Packard Labsが開発したSwarm Learningは、複数のエッジ環境(たとえば米国、欧州、アジア)にあるデータに対して、エッジ単位で学習を行い、ブロックチェーンを活用してセキュアにAIモデルを構築するためのフレームワークです。エッジで学習し、単一の万能AIモデルを構築し、エッジ単位で推論を実行させることにご注目ください。エッジ間ではパラメーター情報のみが共有されるため、プライバシー保護やコンプライアンス上の課題を解決することができます。
HPE Japanでは、Data Management & AI領域でのソリューションデリバリとサービス体制を強化しています。中でも、お客様のAI導入支援、コンテナプラットフォームを活用した学習環境やデータパイプラインの整備、統合データプラットフォーム構築、並列分散学習とシミュレーションの4つの領域に力を注いでいます。
HPEの強みは、エッジからクラウドまでお客様のあらゆる要求にお応えできる業界随一の「AIプラットフォーム」のポートフォリオと、お客様のやりたいことを具現化する経験豊富な人材を整えていることにあります。
お客様のご支援例として東日本電信電話株式会社がコンテナ集約基盤で「映像AI解析プラットフォーム」を構築された事例をご紹介させてください。こちらは、上記の4つの注力領域の中で、導入支援を目的としたHPE AI BUNDLE というパッケージをご活用いただいた事例となります。
お客様のAIへのチャレンジをビジネスの競争力と収益向上につなげるために、ぜひHPE Japanのテクノロジーとリソースをご活用ください。
エッジからクラウドまでを一貫させたAIのデータパイプライン最適化を実現します
HPEは、AIを迅速に、賢く、フルに活用するための「Edge to Cloudデータパイプライン」の設計・構築・運用をトータルにご支援します。データの発生、収集、集約、蓄積、分析のプロセスを精緻化し、お客様のニーズに最適なITリソースを組み合わせて、コストパフォーマンスに優れたAI開発・運用環境を実現。さらに、統合化・自動化されたワークフローにより、学習モデルの開発と推論環境の運用にかかる工数を最小化し、お客様のAIのビジネス活用を加速させます。
【Data Management & AIカタログ】
HPE AI Bundleは、AI開発のフェーズや用途に合わせた環境を簡単に導入できるパッケージ製品ラインナップです。
OS、ドライバ・ライブラリ、フレームワークのセットアップからコンテナやデータ基盤の導入まで、HPE Pointnextでは実験・検証フェーズからプロダクションレベルでの構築・サポート・段階的拡張をワンストップでご提供します。
HPEはお客様のDX・AI推進を支援するソリューションを、大きく分けた“AIスターター・教育”、“コンテナプラットフォーム・MLOps、”データ蓄積・活用“、そして”大規模学習・シミュレーション“の4つの領域を軸として、導入から拡張までトータルにサポートします。
コンサルティング
HPEは「AI・データ分析基盤コンサルティング」により、データの発生から収集・蓄積・分析に至る「データパイプライン」、AI学習・推論やリアルタイムでのストリーミングアナリティクスの「分析パイプライン」を、エンドツーエンドでサポートするプラットフォームを実現します。
生産現場でのデータ収集(IoT)、社内基幹系・情報系システムや社外データとの連携、データレイク/データマートを統合した「データパイプライン」の構築。そして、BI/ダッシュボード、ディープラーニングモデルの開発・適用、エッジでの推論処理、ストリーミングアナリティクスによる「分析パイプライン」の構築へ――お客様のAI戦略の具現化に、HPEの「AI・データ分析基盤コンサルティング」をご活用ください。
AI統合開発・運用基盤
HPE Ezmeral Container Platformコンテナオーケストレーション、HPE Ezmeral MLOps学習モデルライフサイクル管理、HPE Ezmeral Data Fabricデータプラットフォーム―― HPE Ezmeralによる統合的なAI開発・運用基盤が、お客様のデータ主導のビジネス変革を実現します。
「HPE Ezmeral」ソフトウェアスタックは、データサイエンスチームに快適なデータアクセス環境を提供するとともに、ML/DLフレームワークを使用したサンドボックス実験、コンテナ化された分散クラスタ上でのAIモデルのトレーニング、学習済みAIモデルの本番環境での展開と追跡まで、AI開発と運用のライフサイクル全体をサポートします。HPE Ezmeralソリューションは、お客様のAIワークフローにDevOpsのようなスピードと俊敏性をもたらします。
データストア最適化
HPEは、トランザクションデータ、ファイル、IoTデータなど、様々な要求に応じて最適なデータストアを実現。オンプレミスとクラウドを柔軟に使い分け、RDB/DWH/オブジェクトストレージ等のデータ管理手法を適材適所で組み合わせてお客様のデータストアを最適化します。
AIで活用するデータは、目的や規模に応じて格納場所とマネジメントソフトウェアを最適化することが重要です。IoTデータの収集と一次格納をパブリッククラウド、データ成形と分析をオンプレミスで行うアプローチもあれば、オンプレミスのRDBで管理するデータをクラウドで分析する方法もあります。クラウド上にエンタープライズグレードのストレージを構築することも可能です。お客様のビジネスの成果を高めるデータストアをHPEがご提案します。
AIプラットフォーム
HPEは、AI開発・運用に最適化されたプラットフォームとして、エッジでの推論に特化した HPE Edgeline、最新の高性能CPUとGPUを高密度に搭載した学習で優れたパフォーマンスを発揮するHPE Apollo Systemなどをラインナップしています。
AIプラットフォームでは、データ収集~活用・蓄積~分析のワークフローにおいて、それぞれ適切な処理能力を備えたリソース配置が重要になります。HPEは、お客様のAIデータパイプラインと処理能力のニーズに応える幅広いプラットフォーム製品をラインアップ。エッジでのデータ収集・処理に特化したHPE Edgeline、高速ストレージHPE CRAY ClusterStor、AI学習に最適化されたHPE Apollo Systemなどを組み合わせ、お客様に最適な環境を実現します。

自治体DXの推進基盤となる、「ニューノーマルPC」を整備
上越市職員1,600名の業務のデジタル化と機動力の高い執務環境を実現するVDI環境を、HPE GreenLakeによるas a Serviceモデルで導入
課題
「上越市ICTによる情報化推進基本方針」に基づき、デジタル技術を活用したより良い市民サービス、効率的でスピード感のある業務の実現を目指す
解決方法
オンラインでの業務推進、タイムリーな情報共有と意思決定、場所を選ばない柔軟な働き方を支えるインフラとして仮想デスクトップ(VDI)環境を整備
結果
- HPE GreenLakeを採用し「自治体DXの推進基盤」としてのVDI環境を上越市の年度計画に合わせて整備
- HPE ProLiant DL385 Gen10 Plusサーバー/HPE NimbleストレージによりVDI基盤を構築し、「従量制課金」ならではのシンプルな費用処理と投資の最適化を実現
- 「as a Serviceモデル」によりハードウェア/ソフトウェアなどのライフサイクル管理から解放
- システムリソースの使用量を定期的に計測・評価し、リソース不足や過剰投資を回避