ハイブリッドクラウド

ハイブリッドクラウドとは

ハイブリッドクラウドとは、異なるコンピューティング環境 (パブリッククラウドとプライベートクラウド) を組み合わせたものであり、「エッジ拠点」や「オンプレミスデータセンター」で構成されています。企業は、他のクラウドインフラストラクチャとの間でワークロードの管理と移動を行いながら、効率を高めてコストを削減し、既存の機能を向上させてデジタルトランスフォーメーションの取り組みを強化できます。

エンタープライズハイブリッド クラウドコンピューティングには、異なるクラウドインフラストラクチャのリソースとサービスが含まれます。また、統合、オーケストレーション、調整の手法を利用して、情報が共有および同期されます。複数のオンプレミスデータセンターやエッジ拠点で効率的に作業するには、ハイブリッドクラウド環境向けの信頼できるハイブリッドクラウドネットワーキングが必要となります。LAN (ローカルエリアネットワーク)、WAN (ワイドエリアネットワーク)、VPN (仮想プライベートネットワーク)、およびAPI (アプリケーションプログラミングインターフェイス) を使用して、異なる環境間の接続が確立されます。

ハイブリッドクラウドでは、仮想化、コンテナ化、ストレージツール、およびソフトウェア デファインド ネットワークによってリソースにアクセスするとともにリソースを蓄積します。企業はハイブリッドクラウドを活用することにより、アプリケーションを迅速に移行し、規制コンプライアンスを満たすことができます。

 

ハイブリッドの増加

ハイブリッドクラウドコンピューティングが登場してからその人気が大幅に高まり、従来のデータアウトソーシングが減少したのは驚くことではありません。実際、ハイブリッドクラウド市場は、2025年までに1,280億ドルの規模になると予想されており、98%の企業がハイブリッドクラウド環境を使用する計画を立てています。

ハイブリッドクラウド環境の仕組み

企業は、ローカルのオンプレミスリソースにプライベートクラウドとサードパーティのパブリッククラウドサービスを組み合わせてハイブリッドクラウドサービスを使用し、組織は、コンピューティングのニーズに変化に合わせてパブリッククラウドプラットフォームとプライベートクラウドプラットフォーム間でワークロードを移動できるよう、これら3つにインストゥルメンテーションを分割します。

ハイブリッドクラウドモデルは基本的に、オンサイトとオフサイトのプラットフォーム間で情報を共有することで機能し、プラットフォーム間の相互接続性は、データの仮想化とそれに続くAPI (アプリケーションプログラミングインターフェイス)、VPN (仮想プライベートネットワーク)、WAN (ワイドエリアネットワーク) などの接続ツールや接続プロトコルの活用によって実現されます。

ただし、ハイブリッドクラウドモデルを管理するプロセスは、単にアプリケーションをそのままクラウドに移行するだけにとどまらず、IT部門はリソースが互いにやり取りを行えるように構成する必要もあります。さらに、ユーザーのトレーニングに加え、投資を増大させる要因となる、長期間にわたる展開とメンテナンスの両方を確実に行うための時間も必要です。

ハイブリッドクラウドコンピューティングへの移行は、このように多くのリソースを必要とするプロジェクトとなるため、慎重に検討する必要があります。こうした混在環境は企業の柔軟性を大幅に向上させ、さらに多くのデータ展開オプションをもたらしますが、その一方でIT部門が複雑化への対応に苦慮することになりかねません。

 

ハイブリッドクラウドのメリット

  • 柔軟性と拡張性の向上: ハイブリッドクラウドでは、パブリッククラウドとプライベートクラウドに動的にリソースを拡張し、需要のピーク時にパフォーマンスを最適化しつつ、機密データの制御を維持できます。
  • セキュリティおよびコンプライアンス上のメリット: ハイブリッドクラウドは、機密データをセキュアなプライベートクラウドで維持してコンプライアンス要件に対応するとともに、機密性の低いワークロードをパブリッククラウドに移行してセキュリティリスクを軽減することでバランスを取ります。
  • コスト効率の最適化: ハイブリッドクラウドは、機密性の低いタスクにはコスト効率の高いパブリッククラウドサービス、ミッションクリティカルなアプリケーションには潜在的にコスト効率の高いプライベートクラウドといったように、ワークロードを戦略的に割り当てることでコストを最適化します。
  • ディザスタリカバリと事業継続性: ハイブリッドクラウドモデルは、パブリッククラウドとプライベートクラウド間で重要なデータを複製してディザスタリカバリを強化し、環境間のシームレスな切り替えを可能にすることで中断のないビジネスオペレーションを実現します。
  • パフォーマンスの向上とレイテンシの短縮: ハイブリッドクラウドアーキテクチャーは、レイテンシが許されないアプリケーションをエンドユーザーに近いプライベートクラウドに配置することでパフォーマンスを最適化する一方、機密性の低いワークロードにはパブリッククラウドプロバイダーのグローバルインフラストラクチャを活用するため、ユーザーエクスペリエンスが向上します。

ハイブリッドクラウドの導入

  • 統合とオーケストレーションの手法: ハイブリッドクラウドを実装するにあたっては、効果的なオーケストレーション手法でパブリックコンポーネントとプライベートコンポーネントをシームレスに統合する必要があります。それにより、異なるクラウド環境の管理とコミュニケーションが統一されます。
  • ワークロード管理のベストプラクティス: ハイブリッドクラウドの実装を確実に成功させるには、ワークロード管理のベストプラクティスに従う必要があります。こうしたベストプラクティスには、機密度と重要度に応じたタスクの優先順位付け、リソース稼働率の最適化、パブリック/プライベートクラウドにおける効率的な拡張の実現などが含まれます。
  • ハイブリッドネットワーキング戦略: オンプレミス インフラストラクチャがパブリック/プライベートクラウドとシームレスに統合されている場合に効果的です。最適なデータ転送とネットワークアーキテクチャーにより、シームレスなコミュニケーションを実現できます。
  • データの同期と整合性: リアルタイムアップデート、およびハイブリッド環境におけるスムーズな情報へのアクセスに不可欠です。これを実現するには、クラウドの場所にかかわらず、慎重に計画を立てて実施する必要があります。

 

ハイブリッドクラウドアーキテクチャーとは

プライベートクラウド環境とパブリッククラウド環境を統合することで、企業はこれまでにない柔軟でスケーラブルな環境を構築できます。主な構成要素は次のとおりです。
プライベートクラウド環境:
  • プライベートクラウドは、単一組織のために単独で運用され、自社またはサードパーティプロバイダーによって管理されるクラウドインフラストラクチャです。
  • パブリッククラウドを上回る制御性とセキュリティが得られ、高度なパーソナライズが可能です。
  • コンプライアンス、機密データ、高パフォーマンスまたはカスタムアプリケーションは、プライベートクラウドに最適です。

パブリッククラウドサービス:

  • サードパーティがさまざまな企業やユーザーにパブリッククラウドサービスを提供します。
  • ユーザーは、処理能力、ストレージ、アプリケーションなどのインターネットリソースを従量制課金方式で利用します。
  • スケーラブルで低コスト、かつアクセスしやすいパブリッククラウドは、さまざまなアプリケーションに適しています。

統合と相互運用性:

  • プライベートクラウド環境とパブリッククラウド環境を連携させるために統合する必要があります。
  • クラウドサービスとプラットフォームの相互運用性により、データ共有とデータ通信をサポートします。
  • 各種標準、API、ミドルウェアによって統合と相互運用性の実現をサポートします。

マルチクラウド戦略:

  • マルチクラウドソリューションでは、さまざまなクラウドプロバイダーを利用して企業ニーズに対応します。
  • 企業は、複数のクラウドプロバイダーが提供するストレージ、コンピューティング、専門サービスを利用することができます。
  • マルチクラウド手法は、ベンダーロックインを回避して信頼性を向上させ、クラウドプロバイダーの機能を明確化します。

ハイブリッドクラウド設計では、統合、相互運用性、マルチクラウドソリューションに重点を置き、プライベートクラウドシステムとパブリッククラウドシステムを統合します。制御性、セキュリティ、カスタマイズ性とクラウドコンピューティングの拡張性、適応性、コスト効率のバランスをとる手法です。

 

ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違い

要素 ハイブリッドクラウド マルチクラウド
定義 プライベートクラウドとパブリッククラウドの環境を統合して、単一の統合型インフラストラクチャを構築する 同時に複数のクラウドサービスまたはプラットフォームを利用する
統合 プライベートクラウドとパブリッククラウドのシームレスなオーケストレーションに重点を置く 異なるクラウドプロバイダーが提供するサービスの管理と最適化に重点を置く
ユースケース オンプレミスで機密データの制御性を維持しながら、パブリッククラウドの拡張性を利用する場合に選択する ベンダーロックインを回避して冗長性を向上させ、特定のプロバイダーの強みを利用する場合に導入する
管理の複雑さ 複数のクラウドプロバイダーを同時に管理する場合に比べ、複雑さは軽減される 異なるクラウドプロバイダーのサービスを管理、調整する必要があり、管理が複雑になる
データおよびワークロード移行 プライベートクラウドとパブリッククラウドの間でデータをシームレスに移動できる アプリケーションやサービスに応じて特定のクラウドプロバイダーを利用することに重点を置く
拡張性と柔軟性 クラウド環境を組み合わせることで、制御性と拡張性および柔軟性のバランスをとる さまざまな組織のニーズに合わせて異なるプロバイダーのサービスを利用することで、柔軟性を高める
最も重視する点 プライベートクラウドとパブリッククラウドを統合し、単一の統合型環境を構築する 複数のクラウドプロバイダーを利用することでベンダーロックインを回避し、さまざまな機能を活用する

ハイブリッドクラウドを構築する方法

プライベートクラウド環境とパブリッククラウド環境を統合することで、スムーズかつ効率的なハイブリッドクラウドシステムを構築します。まずは組織のニーズを確認し、各クラウドタイプに適したワークロードを見極めます。ハイブリッドクラウドを構築する方法は以下のとおりです。
  • どのワークロードでプライベートクラウドサービスまたはパブリッククラウドサービスを利用するかなど、ハイブリッドクラウド戦略を策定します。
  • ニーズに合わせて、互換性のあるセキュアなプライベート/パブリッククラウドサービスを選択します。
  • プライベートおよびパブリッククラウドの強固なネットワーク接続を確立します。データを確実に転送するために、VPNや直接相互接続が必要になる場合があります。
  • データ管理の整合性を確保します。両方のクラウド環境にわたってデータを同期、共有、保護しながら、レイテンシと帯域幅に留意します。
  • 転送中のデータと保存データを保護します。アイデンティティ管理、アクセス制限、暗号化、業界標準が含まれます。
  • 統合ツールとミドルウェアを使用してプライベートクラウドとパブリッククラウドを接続します。スムーズなデータ通信には、APIとプロトコルが必要となります。
  • 包括的な監視および管理ツールを導入してパフォーマンスを測定し、異常を特定するとともに、両クラウド環境のリソース消費量を最適化します。
  • ハイブリッドクラウドインフラストラクチャの拡張性とアジリティを向上させ、ワークロードに応じて動的にリソースを割り当てます。
  • 徹底的なテストにより、問題を特定して修正します。パフォーマンス測定結果とユーザー入力データを利用して設定を最適化します。
  • ハイブリッドクラウドアーキテクチャーをドキュメント化し、統合環境の管理とトラブルシューティングに関するトレーニングをITスタッフに実施します。

慎重なプランニングと手順の実行によってプライベートクラウドサービスとパブリッククラウドサービスのバランスをとることで、ハイブリッドクラウドにおけるさまざまなワークロードで拡張性、柔軟性、セキュリティを確保できます。

ハイブリッドクラウドを活用したHPEの最新化のサポート

HPEは、一般的なツール、プロセス、および自動化でアプリケーションとデータにアジリティをもたらして複雑性とサイロを解消し、スピードと柔軟性を向上させます。停滞を招く非クラウドネイティブアプリケーションへの対応をサポートし、最新の統合型クラウド戦略への移行を実現します。お客様は、HPEが提供する数多くのソリューションを活用して移行をスムーズに進めることができます。

HPE Transformation Program for Cloudサービスを利用すれば、全社的なクラウド トランスフォーメーションに向けて人員、プロセス、およびテクノロジーの準備を整えるためのクラウドロードマップを作成できます。

HPE Pointnext ServicesがアジャイルなITソリューションの導入をサポートし、ハイブリッドクラウド環境を変革したり、AIを活用したり、エッジでイノベーションを実現したりするためのIT戦略に関するアドバイスを提供します。

HPE Ezmeral Container Platformを活用すれば、クラウドネイティブではないアプリケーションにクラウドエクスペリエンスをもたらすとともに、モノリシックなアプリケーションをコンテナ化することで効率とアジリティを向上させてポータビリティを実現し、クラウドに移行する必要があるアプリケーションの再構築とリファクタリングを行うことが可能になります。

HPE GreenLakeで基本的なハイブリッドクラウド資産を管理すれば、ハイブリッド資産全体をより効率的に実行、管理、最適化できます。シンプルなポイントアンドクリック操作でハイブリッド資産のコスト、ガバナンス、パフォーマンス、およびセキュリティの状況を一元的に把握するだけでなく、包括的なコンプライアンス機能を使用したり、コストに関する有益な情報や分析情報を幅広く取得したりすることが可能です。

企業がハイブリッドクラウドを利用する理由

企業は次のような理由でハイブリッドクラウドを利用しています。

  • ワークロードの最適化: ハイブリッドクラウドは柔軟性に優れており、重要なワークロードを専用のインフラストラクチャで実行することでセキュリティとコンプライアンスを確保します。
  • リソースのスケーラビリティ: 企業は、ニーズに応じてリソースを拡張/縮小できます。ワークロードが増大したときも、追加費用を支払って新しいリソースを購入することなく、既存のリソースを活用することで、平常時の低使用率を回避できます。
  • 事業継続性: ハイブリッドクラウドは、プライベートクラウドとパブリッククラウドの間でデータとアプリケーションを複製することで、システム障害が発生した際の事業継続性を確保します。
  • 低コスト: 企業は、さまざまなワークロードに合わせて低コストのインフラストラクチャを選択できます。従量制課金モデルは、コスト最適化の手法としても優れています。

ハイブリッドクラウドの構成要素

企業は、ハイブリッドクラウドの主な構成要素を把握することにより、その堅牢なアーキテクチャーと利用可能な機能を最大限に活用してクラウド戦略を強化し、デジタルトランスフォーメーションを実現することが可能になります。

  • オンプレミスデータセンター: オンプレミスデータセンターとは、組織の敷地内にあるデータセンターのことです。オンプレミスデータセンターは、組織のデータとアプリケーションの管理をサポートするストレージシステム、サーバー、ネットワークインフラストラクチャ、およびハードウェアで構成されています。コンピュートリソースを仮想化することで、プライベートクラウドをオンプレミス インフラストラクチャで運用することが可能になります。
  • パブリッククラウド: パブリッククラウドは、サードパーティのサービスプロバイダーのサポートにより、コンピューティングリソースとサービスがインターネット上で提供されるクラウドコンピューティングモデルです。仮想マシン、ストレージ、アプリケーション、および開発/展開環境で構成されており、同じインフラストラクチャを利用してさまざまな企業に提供されます。企業は、従量制課金モデルでパブリッククラウドサービスを利用でき、必要に応じて自由にリソースを追加または削除できます。
  • プライベートクラウド: プライベートクラウドは、1つの企業専用のクラウドコンピューティング環境であり、パブリッククラウドに比べて高度なセキュリティとカスタマイズ性を備えています。また、アクセス制御、柔軟性、スケーラビリティ、簡単なサービスデリバリなどのメリットも得られます。企業は、機密書類、個人情報、知的財産などのリスクの高いデータのプライバシーと完全性を維持する目的で、プライベートクラウドを選択しています。プライベートクラウドはシングルテナント環境でもあり、すべてのリソースが1つのクライアント専用となります。
  • ハイブリッドクラウド管理プラットフォーム: ハイブリッドクラウド管理プラットフォームは、プライベートクラウド環境とパブリッククラウド環境を組み合わせたものであり、両クラウドインフラストラクチャのワークロードを制御、プロビジョニング、自動化できます。ハイブリッドクラウド環境全体にわたってリソースの有効活用、迅速な統合、一元管理が可能になります。ユーザーは、セキュリティおよびガバナンスポリシーに従うとともに、ワークロードのインベントリを把握し、SLAに同意する必要があります。ハイブリッドクラウド管理は、セルフサービス、サービスアグリゲーション、ワークロード管理、コスト分析、管理、リリース、および展開オーケストレーション機能を提供します。
  • ハイブリッドクラウドの自動化とオーケストレーション: クラウドオーケストレーションでは、複数のクラウドシステムにおける自動化タスクの管理を単一のプラットフォームに集約します。オーケストレーションレイヤーによって管理を一元化することで、マルチクラウド環境全体で相互接続ワークフローの作成が可能になります。ワークロード自動化では、すべてのハイブリッド環境 (ハイブリッド/マルチクラウド) がオーケストレーションされます。自動化により、クラウド業務や重要なタスクワークロードの管理に必要な時間が大幅に短縮され、ビジネスの効率と生産性が向上します。

ハイブリッドクラウドの課題

企業は、ハイブリッドクラウド環境がもたらすさまざまな課題に対処し、データ漏洩や重大な悪影響を回避する必要があります。そのための適切な措置を戦略的に計画して実施することが重要となります。

  • セキュリティ: クラウドに保管されているすべての情報のプライバシーを維持することが求められます。クラウドサービス企業がデータの完全性を保証している場合でも、厳格なセキュリティ対策を導入し、データ暗号化技術やアクセス制御監視を利用しながらデータ漏洩を防止し、アクセス管理を監視しつつ法令を遵守する必要があります。主な攻撃の例として、マルウェア攻撃や個人情報の盗用などがあり、経済的損失や信用低下を招く可能性があります。
  • ネットワーキング: ハイブリッドクラウド環境では、複雑なネットワーク構成、帯域幅の制限、ネットワークの遅延などの課題に直面します。VPN接続やリース回線では、オンクラウド環境とオンプレミスクラウド環境との間で効率的な接続を確立できない場合があります。また、暗号化、侵入検知システム、ファイアウォールといったセキュリティ技術の導入が困難になることもあります。必要な帯域幅を確保してレイテンシを低減することで、クラウド環境間のデータ転送をサポートする必要があります。
  • コスト: 企業が複数のクラウド環境間で大量のデータを転送していると、追加コスト (サービスプロバイダーから請求される費用など) の負担や、データ移行戦略の最適化によるコスト低減が求められる場合があります。また、企業ではさまざまなソフトウェアソリューションとライセンスが必要になりますが、適切に管理されていないと、余分なコストが発生する場合があります。その他にも、運用コスト (監視、管理、サポート)、ベンダーロックインのコスト (異なるクラウドサービスプロバイダーとの連携)、ハイブリッドクラウドインフラストラクチャのコスト (ソフトウェア、ハードウェア、ネットワーク機器) などが発生します。
  • オブザーバビリティ: システムが生成するデータに基づいて、システムの現状を測定する機能を提供します。利用できるすべての入力データを検証することで、分散型システムを完全に把握することができます。ダッシュボードでパフォーマンス指標を提示することでITチームによる問題の特定と修正をサポートするクラウド監視ソリューションとは異なり、オブザーバビリティプラットフォームは、インフラストラクチャ全体から収集されたログ、トレース、評価基準を利用して、問題が顕在化する前に通知します。  オブザーバビリティは、クラウドネイティブアーキテクチャーに有効なツールですが、制約もあります。動的なマルチクラウド環境は複雑さを増しており、多くの従来型オブザーバビリティプラットフォームでは、原因との関連付けや、ビジネス成果の向上につながるアクション、機能、アプリケーション、エクスペリエンスの識別が困難になっています。インフラストラクチャ、開発、運用、およびビジネスチームのサイロ化も、多くの重要なインサイトが見落とされる要因となっています。
  • 負荷分散: クラウドワークロード分散では、ワークロードを複数のコンピューティング環境に分散させ、各環境にアクセスするネットワークトラフィックのバランスを調整します。入ってくるトラフィックを複数のサーバー、ネットワーク、またはその他のリソースに転送することで、組織全体のワークロードのニーズに対応できます。また、負荷分散によってパフォーマンスを向上させ、サービスプロビジョニング時の障害を回避できます。ワークロードまたは負荷分散によってサービスの需要をプラットフォーム間で分散させるだけでなく、複数の地域に分散させることも可能です。クラウドベースの負荷分散では、ハイブリッドクラウドベースのスケーラビリティ、可用性、アジリティを活用して分散したワークロードのニーズに対応することで、パフォーマンスを向上させてコストを削減できます。
  • データのアクセシビリティ: クラウド、そしてハイブリッドクラウド環境には、データ保護機能が求められます。データが複数のクラウドプラットフォームや拠点に分散している場合は特に、適切なユーザーがデータにアクセスできることが、セキュリティおよび保護ポリシーの要点となります。ハイブリッドクラウドでは、エコシステム内で重大なデータ漏洩が発生するリスクが増大しますが、その一方で、生産性を確保して組織を成長させるには、ユーザーグループにアクセス権を付与することが必要となります。堅牢なセキュリティ、プライバシー、およびコンプライアンスを維持しつつ、可能な限り広範なユーザーにアクセス権を付与することは、セキュリティチーム、CloudOpsチーム、DevSecOpsチームにとって大きな課題となっています。
  • マルチクラウドITOps: マルチクラウド環境におけるITOpsの役割は、従来型オンプレミス環境での従来の技術や手法と同じではありません。ハイブリッドクラウドでは、管理タスクの効率化と自動化に重点を置く必要があります。ITOpsの目的は、パフォーマンスに優れた共通のIT環境を提供することにあるため、クラウドプラットフォームに移行されたワークロードの増加に対処する必要がありますが、クラウドプラットフォームはさらに複雑で、レガシーオンプレミス環境と関連付けられています。ITOps部門は、主要なアプリケーションのワークロードパフォーマンス、コアシステムの機能と信頼性、構成変更の自動化によるパフォーマンス全体の管理に注力しています。多くの組織では、ハイブリッドクラウドの導入レベルに応じて、ITOpsチームが、DevOps部門とセキュリティ部門を統合したCloudOpsチームへと進化しつつあります。

HPEとハイブリッドクラウド

ヒューレット・パッカード エンタープライズ (HPE) は、ハイブリッドクラウド戦略に合わせてさまざまなソリューションおよびサービスを提供しており、組織に柔軟性と拡張性をもたらすとともに、効率的なITインフラストラクチャ管理を実現します。主なソリューションの概要は次のとおりです。

  • HPE GreenLake: HPE GreenLakeは、組織がオンプレミス インフラストラクチャの制御を維持しつつ、ITリソースを従量制課金モデルで利用できるようにするクラウドサービススイートです。さまざまなソリューションが含まれており、柔軟かつスケーラブルなアプローチでハイブリッドクラウドを導入できます。
  • OpsRamp: HPEが買収したOpsRamp社は、デジタル運用管理を専門とする企業です。統合型インフラストラクチャおよびアプリケーション監視、自動化、サービス管理プラットフォームを提供することで、組織におけるハイブリッドITインフラストラクチャの監視、管理、最適化をサポートします。
  • HPE Edge-to-Cloud Adoption Framework: このフレームワークは、ハイブリッドクラウドへの移行の状況を把握するための仕組みと共通言語を提供するものであり、ベストプラクティスに基づいたベンチマークを行って組織が実行すべき次のステップの優先順位を決定するのに役立ちます。
  • HPE Right Mix Advisor: アプリケーションモダナイゼーションプログラムの戦略を策定するとともに、組織の目標、レイテンシ、セキュリティ、主権、コストなどに応じて、ハイブリッドクラウドプラットフォームの最適な組み合わせを特定するためのアプローチです。
  • HPE GreenLake for Private Cloud Business Edition: 企業にシンプルなプライベートクラウドソリューションを提供します。従量制課金モデルでInfrastructure as a service (IaaS) を提供するため、組織はオーバープロビジョニングすることなく、ニーズに応じてリソースを拡張できます。
  • HPE GreenLake for Private Cloud Enterprise: 大企業向けにカスタマイズされたこのソリューションは、HPE GreenLakeのメリットを拡充し、包括的なプライベートクラウド環境を提供します。複雑なワークロードの管理や大規模なパフォーマンス向上に必要となる、高度な機能が含まれています。
  • HPE Accelerated Migration: Accelerated Migrationは、ハイブリッドクラウド環境へのワークロードのスムーズな移行をサポートするサービスです。専門知識、自動化、ベストプラクティスを組み合わせて移行をサポートすることで、ダウンタイムとリスクを最小限に抑えます。
  • HPE Edge-to-Cloud Transformation Program: このプログラムは、組織がエッジコンピューティングとクラウドサービスを組み合わせて活用できるようにすることに重点を置いています。エッジデバイスおよびデータとクラウドインフラストラクチャをシームレスに接続するためのフレームワークとなり、処理と分析を強化します。
  • HPE Ezmeral Data Fabric: HPE Ezmeral Container Platformの一部であるData Fabricは、スケーラブルな分散型ファイル/オブジェクトストレージソリューションを提供します。データを多用するアプリケーションをサポートしており、ハイブリッドマルチクラウド環境におけるデータモビリティを向上させます。
  • HPE GreenLake for Backup and Recovery: このソリューションは、柔軟性とコスト効率に優れたデータ保護のアプローチを提供します。組織はバックアップ/リカバリサービスを従量制課金モデルで利用できるため、インフラストラクチャをオーバープロビジョニングすることなく、データの耐障害性を確保できます。
  • HPE GreenLake for Disaster Recovery: 事業継続性の確保を目的とするこのソリューションにより、組織はコスト効率の高い方法でディザスタリカバリソリューションを実装できます。従量制課金モデルでは、障害発生時も重要なアプリケーションとデータの可用性が維持されます。

HPEのハイブリッドクラウドソリューションのポートフォリオはさまざまなビジネスニーズに対応しており、組織のデジタルトランスフォーメーションジャーニーをサポートするインフラストラクチャ、サービス、管理ツールを組み合わせて提供します。