クラウドバックアップ

クラウドバックアップとは

クラウドバックアップは、重要な情報の喪失に対する保険のようなものであり、偶発的な削除、データの破損、マルウェア攻撃、その他の災害からビジネスを迅速に復旧できるようにします。クラウドバックアップソリューションは柔軟性に優れ、実装が容易であり、オンデマンドでスケーリングできるので、ボリュームにかかわらずビジネスデータを収容できます。クラウドからのバックアップには、遠隔地にあるサードパーティクラウドサービスプロバイダーのサーバーへのデジタルデータのコピーと格納が含まれます。クラウドバックアップは安全で拡張性に優れており、この方法により、重要なデータがデバイス障害、意図しない削除、ハッカー、自然災害から保護されます。また、インターネットを使用してデータをリモートで送信および格納するため、多くのデバイスから利用可能です。

クラウドバックアップの基本事項

クラウドバックアップシステムには、データの保護と復元に役立つさまざまなキーコンポーネントや機能が含まれます。

データの格納とバックアップ

  • クラウドバックアップサービスは、お客様のデータを遠隔地にあるサーバーに頻繁にバックアップします。この手順には、ファイル、報告書、画像、動画、データベースなどが含まれます。
  • クラウドサービスプロバイダーは、データを安全なデータセンターに格納します。データセンターは、強固なセキュリティと冗長性により、データの完全性と可用性を確保します。

アクセスと復元

  • インターネット接続があれば、バックアップデータに場所を問わずアクセスできます。この柔軟性は、遠隔勤務や遠隔の共同作業に有用です。
  • データリカバリが迅速に行われることは重要です。これにより、ユーザーは消失したファイルを素早く復元して、ダウンタイムを最小化できます。

自動バックアップ

  • クラウドバックアップシステムは、手動操作なしで自動的かつ継続的にバックアップを行います。これにより、データを最新の状態に保つことができます。

バージョン付け

  • バージョン付けにより、お客様はいくつかのクラウドバックアッププロバイダーからファイルを復元することが可能になります。この機能は、変更履歴の記録とデータ破壊の防止に役立ちます。

拡張性

  • スケーラブルクラウドバックアップオプションにより、必要に応じたストレージ領域の変更が可能になります。この拡張性は、データの増加に対応する企業に有用な機能です。

冗長性と信頼性

  • 信頼できるクラウドプロバイダーにより、データがサーバーとデータセンター間で複製されます。データに冗長性をもたせることで、ハードウェアの故障や災害によるデータロスのリスクが軽減されます。

セキュリティ

  • データセキュリティは最も重要な要素です。クラウドバックアップサーバーへ転送中のデータや保存時のデータは通常、暗号化されています。 
  • データを暗号化する目的は、不正なアクセスを防ぐことにあります。また、アクセス制限と認証により、認可ユーザーのみがバックアップデータにアクセスし、処理を行うことができます。

ディザスタリカバリ

  • クラウドバックアップは、ディザスタリカバリに不可欠です。クラウドバックアップが導入されていれば、火災や洪水の際でも、オフサイトにあるデータは保護されているため、取得可能です。

コスト効率に優れたソリューション

  • クラウドバックアッププロバイダーは、従量制課金とサブスクリプションのプログラムを提供します。この柔軟性により、お客様は予算とストレージニーズに合った手頃な価格のソリューションをお選びいただけます。

クラウドバックアップにより、アクセシビリティ、自動化、セキュリティ、拡張性が備わったデータ保護が実現します。クラウドバックアップは機密データを保護し復元するため、現在のデータ管理やディザスタリカバリの計画には不可欠です。

クラウドバックアップのメリット

クラウドバックアップには次のようなメリットがあります。

  • 年中無休のデータアクセス: クラウドバックアップにより、リモートワークや、データロスおよびシステムの問題が起こった場合の迅速なデータ取得が可能になります。
  • インフラストラクチャのコスト削減: クラウドバックアップによりバックアップサーバーとストレージデバイスが不要になり、投下資本やメンテナンス費用を削減できます。
  • コスト効率: 従量制課金の価格設定戦略、使用したストレージとサービスのみがコンシューマーに請求されるため、コスト効率が最適化されます。
  • 拡張性: クラウドバックアップソリューションは、データストレージニーズの変化に合わせてオンプレミス設備なしで拡張できます。
  • セキュリティ: クラウドサービスでのデータ送信と保存は、暗号化技術によって保護されています。データセンター間のレプリケーションと強力なアクセス制限によりデータが保護されます。
  • ディザスタリカバリ: クラウドバックアップにより、火災、洪水、サイバー攻撃後のリモートデータリカバリが可能になります。迅速なデータ復元により、業務の中断を低減します。

 

最後に、クラウドバックアップは、アクセシビリティ、コスト削減、拡張性、セキュリティ、ディザスタリカバリにより、効率的で安全なデータ管理を実現します。また、クラウドバックアップにより、データへのアクセシビリティの向上、コストの削減、ストレージ要件が実現し、デジタル資産の保全と管理に貢献します。

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クラウドバックアップの仕組み

A. クラウドバックアップの概要

クラウドバックアップは、ローカルソースからクラウドサービスプロバイダーのサーバーにデータを安全に転送します。この方法には、次のような重要なステップがあります。

  • データ選択: ユーザーまたは管理者がバックアップするデータを選択します。これにはファイル、データベース、アプリケーションなどが含まれます。
  • データ転送: クラウドプロバイダーのデータセンターは、指定されたデータをオンラインで受信します。データ転送は、直接アップロードまたはバックアッププログラムの同期によって行うことができます。
  • データストレージ: クラウドプロバイダーは、データセンターに安全にデータを格納します。データの完全性と可用性を保証するため、データセンターには冗長なハードウェアと強力なセキュリティ機能が備わっています。
  • 増分バックアップ: クラウドバックアップソリューションでは、帯域幅とストレージ費用を削減するため増分バックアップが使用されます。初回に完全なバックアップが行われた後は、新規または更新されたデータのみが配信および保存されます。
  • アクセシビリティ: Webベースまたはクライアントアプリケーションにより、ユーザーはバックアップされたデータにアクセスすることができます。このアクセシビリティにより、データリカバリやメンテナンスが容易になります。

 

B. クラウドバックアップの方法とストラテジ

クラウドバックアップサービスでは、データを保全し効率的に実行するために、次のようなさまざまな方法が使用されます。

  • フルバックアップ: 選択されたすべてのデータは、まずフルバックアップされます。これにより、バックアップセットの基本構成が得られます。
  • 増分バックアップ: 最終バックアップからの変更のみが保存されます。この方法では、帯域幅とストレージを削減できます。
  • 差分バックアップ: これらのファイルは、最後の完全なバックアップからのすべての変更を記録します。これは、増分バックアップよりも多くの容量を消費しますが、バックアップ全体と最新の差分バックアップのみを必要とすることで、データの復元が簡素化されます。
  • スナップショットベースバックアップ: 一部のクラウドバックアップシステムでは、データスナップショットが取得されます。スナップショットにより、一貫性のあるデータ管理と迅速なリカバリが可能になります。

 

C. クラウドバックアップによるデータ重複排除と圧縮

データ重複排除と圧縮により、クラウドバックアップのストレージと帯域幅が最適化されます。

  • データ重複排除: この方法により、重複したバックアップデータが削除されます。保存される同一データのコピーは1つであるため、ストレージニーズが最低限に抑えられます。
  • 圧縮: データは、クラウド送信とストレージの前に圧縮されます 圧縮方式はファイルのサイズを最低限に抑え、ストレージと帯域幅を削減します。

 

D. クラウドバックアップにおけるセキュリティと暗号化

クラウドバックアップにおけるセキュリティは、機密データの不正なアクセスからの保護に不可欠です。

  • 転送中の暗号化: ローカルソースからクラウドプロバイダーのサーバーへの送信中、データは暗号化されています。この暗号化により、転送中のデータ傍受が防止されます。
  • 保存時の暗号化: クラウドプロバイダーのサーバーに保存されているデータも暗号化されています。これにより、誰かが物理サーバーにアクセスした場合でも、暗号キーがなければデータを読み取ることができません。
  • データアクセス: クラウドバックアップサービスでは、アクセス制御と認証を使用して、データアクセスと管理が制限下に置かれます。
  • データ主権: 特定地域におけるデータストレージと処理に関する法律や規制の要件が、データセキュリティやコンプライアンスに影響する場合があります。

 

クラウドバックアップでは、データが安全にリモートサーバーに転送および格納されます。安全なクラウドバックアップには、バックアップ方法、重複排除や圧縮などのデータ最適化方法、そして強力な暗号化が必要です。

クラウドバックアップとクラウドディザスタリカバリのどちらも、包括的なデータ管理と保護戦略に不可欠なコンポーネントです。どちらを選択するかは、組織の具体的な目標と優先順位、および予期しない出来事に直面したときのダウンタイムとデータロスに対する組織の許容度によって判断します。

クラウドバックアップとローカルバックアップの比較

特徴

クラウドバックアップ

ローカルバックアップ

アクセシビリティ

インターネット接続があればどこからでもデータにアクセスできます。

通常、アクセスはバックアップが格納されている物理的な場所に限られています。

データセキュリティ

送信中およびリモートサーバーでの保存時、データは暗号化されています。

セキュリティは物理的対策およびネットワーク上の対策に依存しており、暗号化は任意の場合があります。

ディザスタリカバリ

オフサイトのデータ保護により、大規模な災害が発生した場合でもデータ可用性を確保します。

ローカルのインフラストラクチャに依存するため、現場で起きた災害に対してデータは脆弱になります。

拡張性

容易に拡張でき、変化するストレージニーズに物理的な制約なく対応します。

拡張性は、利用可能なローカルストレージ容量によって制限されます。

コスト

通常、従量制課金モデルに基づいているため、コストが管理でき、柔軟性を発揮します。

ハードウェアへの先行投資や継続的なメンテナンス費用が必要です。

自動化

一般的に自動かつ継続的なバックアップを提供し、手動操作を低減します。

構成や監視に、より多くの手作業が必要な場合があります。

冗長性

一般的にデータは複数のデータセンター間で複製され、これによりデータロスのリスクが低減されます。

信頼性は、ローカルハードウェアの冗長性に依存していますが、ローカルハードウェアは制限される可能性があります。

 

クラウドバックアップにもローカルバックアップにも長所と短所があり、どちらを選択するかはデータセキュリティ要件、アクセシビリティニーズ、予算の制約、ディザスタリカバリ計画などのファクターによって判断します。

 

クラウドバックアップとクラウドDRの比較

特徴

クラウドバックアップ

クラウドディザスタリカバリ (DR)

目的

DRは、データ保護とバックアップ、データロスに対する保護、データの取得を主な目的として設計されています。

包括的なディザスタリカバリに重点が置かれ、災害が発生した場合に事業継続性を確保しダウンタイムを最小化します。

データリカバリ

特定ファイル、フォルダ、またはデータセットの復元を重視したデータリカバリに使用されます。

ビジネスオペレーションが迅速に再開されるよう、フルシステムまたはアプリケーションのリカバリを主に重視します。

リカバリ時間

一般的に個々のファイルやデータをより短い時間でリカバリでき、日常的なデータロスシナリオに適しています。

大規模災害時にビジネスの停止を最小限に抑えるために重要な、システム全体またはアプリケーションのより高速なリカバリが可能となります。

精度

詳細な単位でのリカバリオプションを提供し、ユーザーは必要に応じて特定ファイルやデータポイントを復元できます。

一般的にフルシステムまたはフルアプリケーションのリカバリを提供し、詳細な単位での復元はあまり重視されません。

データ保持

データ保持ポリシーはさまざまで、一般的には最新のデータバックアップに重点が置かれます。

ディザスタリカバリを目的として履歴スナップショットとバックアップの保持に注力し、より長期間のデータ保持を提供します。

コスト構造

一般的に、費用が格納されたデータ量に比例する、コスト効率に優れた従量制課金モデルが採用されます。

ディザスタリカバリのための、より広範囲のインフラストラクチャとレプリケーション要件により、費用が高額になる場合があります。

ユースケース

偶発的な削除、ハードウェア障害、軽微なデータ破壊などのリスクを軽減し、日常的なデータ保護に最適です。

大規模な障害、自然災害、またはサイバー攻撃への対応など、事業継続性とディザスタリカバリが最優先の状況に適しています。

クラウドバックアップとクラウドディザスタリカバリのどちらも、包括的なデータ管理と保護戦略に不可欠なコンポーネントです。どちらを選択するかは、組織の具体的な目標と優先順位、および予期しない出来事に直面したときのダウンタイムとデータロスに対する組織の許容度によって判断します。

クラウドバックアップとクラウドストレージの比較

 

特徴

クラウドバックアップ

クラウドストレージ

目的

主にデータ保護とリカバリを目的として設計されており、データロスや災害が発生した場合、データの安全なコピーと復元が確実に行われるようにします。

アクティブなデータを対象とした拡張性が高く一元化されたストレージに重点を置き、ファイルやデータに容易にアクセスおよび共有できるようにします。

データのアクセシビリティ

必要に応じたデータの復元に重点を置き、データリカバリを重視します。データアクセスは通常、リカバリを目的とします。

日々のデータアクセスや連携のために設計され、ユーザーがさまざまなデバイスからファイルにアクセスし、操作することを可能にします。

データのバージョン付け

一般的に、堅牢なバージョン付け機能を含み、データ破壊や誤って変更した場合にユーザーが前のバージョンのファイルをリストアできるようにします。

バージョン付けはあるとしても、基本的な機能にとどまり、ファイルの包括的な履歴バージョンは提供されません。

データ保持

通常、データ保持ポリシーは、リカバリを目的とした最新のコピーの保持に重点を置き、最新のバックアップを優先します。

フレキシブルなデータ保持ポリシーを提供し、短期と長期のストレージニーズの両方をサポートします。

コスト構造

通常、ストレージ容量とバックアップしたデータ量、さらにデータ保護とリカバリに関連する費用に基づいています。

一般的に、使用したストレージ領域の量に基づいた課金モデルを採用し、アクティブなデータストレージとアクセスに関連する費用がかかります。

ユースケース

データロス、ハードウェア障害、偶発的な削除などのリスクを軽減し、重要なデータの保護に最適です。

日々のファイル ストレージ、共有、連携、コンテンツ配信に適しており、アクティブなデータへのニーズをサポートします。

データセキュリティ

送信中や保存時のデータ暗号化に重点を置き、データの安全性を確保して保護されるようにします。

転送中や保存時のデータの暗号化を実現し、ストレージやアクセス中のデータセキュリティに重点を置きます。

 

クラウドバックアップとクラウドストレージのどちらも明確な目的を果たし、現在のデータ管理に不可欠なコンポーネントです。どちらを選択するかは、データ保護、データアクセス、連携、費用に関する留意事項など、特定のデータ管理ニーズによって判断します。

クラウドバックアップのセットアップ

安全で効率的なデータバックアップを保証するため、クラウドバックアップのセットアップには次のような重要なステップがあります。

A. クラウドバックアップのためのデータの準備:

  • データインベントリ: 重要度に基づいて優先順位をつけ、データを識別、分類します。
  • データの削除: 必要ないデータを削除してストレージニーズを低減します。
  • データ編成: 管理を容易にするため、データを論理的に整理します。
  • データ圧縮と重複排除: ストレージ領域を最適化します。

 

B. 適切なバックアップツールとソフトウェアの選択:

  • クラウドバックアッププロバイダーの選択: 信頼できるプロバイダーを選択します。
  • バックアップソフトウェア: データソースと必要な機能をサポートするソフトウェアを選択します。

 

C. バックアップスケジュールと保持ポリシーの構成:

  • バックアップスケジュール: 適したバックアップの頻度を決定します。
  • 保持ポリシー: 規制やデータのライフサイクルを考慮してデータ保持期間を設定します。
  • バージョン付け: ファイル履歴のバージョン付けを構成します。

 

D. ネットワーク接続と帯域幅の確立:

  • ネットワーク接続: 信頼性の高い、高速インターネット接続を確保します。
  • 帯域幅管理: 障害を防止するためスロットル調整を実装します。
  • データ転送セキュリティ: 安全なプロトコルを使用し、機密データを暗号化します。

 

E. ローカルバックアップの考慮:

  • 迅速なデータリカバリと追加の保護措置として、ローカルバックアップをセットアップします。

 

F. テストバックアップ:

  • テストバックアップを行い、復元して設定を確認します。

 

G. モニタリングとメンテナンス:

  • モニタリング、アラート、定期的なストラテジ更新を行います。
  • クラウドからのバックアップのセットアップには、計画、データ管理、データの重要度の把握が必要であり、データ保護の信頼できるソリューションを保証します。

クラウドバックアップのベストプラクティス

データを保護し、データロスや災害時にデータのリカバリ性を確保するためには、堅牢なバックアップ戦略が不可欠です。クラウドバックアップのベストプラクティスをご紹介します。

 

A. バックアップ戦略とディザスタリカバリ計画の実行

  • データの重要度の評価: ビジネスにおいての重要度に基づいてデータを優先度判定します。重要データとシステムにバックアップの重点を置きます。
  • バックアップ目標の定義: 復旧ポイント目標 (RPO) 復旧時間目標 (RTO) を含むバックアップ目標を定義します。これは、データリカバリの目標設定に役立ちます。
  • ディザスタリカバリ計画の作成: あらゆる組織にとって明確なディザスタリカバリ計画は重要です。計画には、災害時のデータ復元の詳細な手順を含める必要があります。
  • バックアップ頻度: データ変更率に合ったバックアップスケジュールを確立します。重要なデータはバックアップの頻度を上げる必要がある一方で、重要性の低いデータはバックアップの頻度を下げることができます。
  • バージョン付け: バージョン付けを行い、ファイルの複数のコピーを保持し、データ破壊が起きた場合、特定のポイントインタイムにロールバックできるようにします。

 

B. クラウドバックアップのモニタリングと管理

  • バックアップの定期的な監視: 正常に実行されるように、バックアッププロセスを継続的にモニタリングします。バックアップの障害や異常のアラートを実装します。
  • バックアッププロセスの自動化: 自動バックアップツールとスクリプトを利用し、バックアッププロセスを合理化し、ヒューマンエラーによるリスクを軽減します。
  • 監査証跡: バックアップアクティビティの詳細なログと監査証跡を保持し、変更の追跡、データの完全性の検証、問題の調査を行います。
  • バックアップの検証: データが正常にリカバリできることを確認するためにテスト復元を行い、定期的にバックアップを検証します。検証プロセスを文書化します。

 

C. クラウドバックアップのデータの完全性と信頼性の保証

  • データ暗号化: 送信中 (転送中) やリモートサーバーでの格納時 (保存時) にデータを暗号化します。これにより、データを未許可アクセスから保護します。
  • 冗長性: データ可用性と柔軟性を強化するため、冗長なデータセンターとストレージを持つクラウドバックアッププロバイダーを選択します。
  • データ重複排除: バックアップ全体の重複データを削除してストレージ コストを低減するためデータ重複排除を実装します。
  • コンプライアンス: クラウドバックアップ戦略が組織に関連する業界規制やデータ保護に関する法律を遵守していることを確認します。

 

D. 正常なリカバリのためのバックアップのテストと検証

  • 定期的なテスト: 定期的なディザスタリカバリ訓練とバックアップテストを行い、データとシステムをリストアする機能を検証します。テスト結果を文書化し、必要な改善を行います。
  • リカバリ手順: バックアップからデータやシステムをリカバリする手順を説明した、明確で適切に文書化されたリカバリ手順を確立します。
  • トレーニング: IT担当者やバックアップ/リカバリ手順関係者のトレーニングを行い、データロスインシデントに効果的に対応できるようにします。
  • オフサイトのコピー: 重要なバックアップのオフサイトのコピーを保持し、オンプレミスデータやバックアップに影響する可能性のあるローカルの災害から保護します。
  • 見直しと更新: テクノロジー、データ量、ビジネスニーズの変化を処理するため、定期的にバックアップとディザスタリカバリ計画を更新します。

 

これらのベストプラクティスを通じ、組織は、データの保護、事業継続性の維持、データロスからの効率的なリカバリに役立つ信頼性と柔軟性のあるクラウドバックアップ戦略を確立することができます。

クラウドバックアップからのデータリカバリ

A. データリカバリプロセスの概要

クラウドバックアップからのデータリカバリは、データの完全性の確保の重要な側面です。ここでは、データリカバリプロセスの概要をご紹介します。

  • 評価: データロスまたはリカバリの量を確認します。復元を必要とするファイル、フォルダ、システム、またはデータセットを決定します。
  • アクセス認証情報: クラウドバックアップレポジトリからデータを取得する許可があることを確認します。許可と認証が必要な場合があります。
  • データの場所: クラウドバックアップデータをフォルダ、バックアップセット、またはスナップショットに配置します。
  • 復元ポイント: 復元ポイントを選択します。これには、最新のバックアップ、タイムスタンプ、データバージョンなどがあります。

 

B. クラウドバックアップデータ復元

  • リカバリ開始: 選択されたバックアップツールやソフトウェアを使用してデータをリカバリします。リカバリするデータやシステムを選択し、コピー先の場所を設定します。
  • データ転送: バックアッププログラムは選択されたデータをクラウドバックアップレポジトリからコピー先の場所まで移行します。 
  • 妥当性確認: 復元されたデータの正確性を確認します。バックアップデータと一致し、破損がないことを確認します。
  • テスト: リカバリされたデータやシステムが機能し、ニーズに対応するかをテストします。主要なシステムやアプリケーションでは、このフェーズは重要です。

 

C. ポイントインタイムリカバリとバージョン付け機能

  • ポイントインタイムリカバリ: 多くのクラウドバックアップシステムには、特定のポイントインタイムにデータを復元できるポイントインタイムリカバリが含まれます。この機能は、データ破壊や意図しない変更からのリカバリに役立ちます。
  • バージョン付け: 古いファイルやデータにアクセスするためにバージョン付けを使用します。これは、意図しない削除やウイルス攻撃からのリカバリに不可欠です。

 

D. 復旧時間目標と復旧ポイント目標

  • 復旧時間目標 (RTO): システムやデータの許容される最長ダウンタイムを決定します。これによりデータ復元スピードが決定します。
  • RPO定義: 復旧ポイント目標 (RPO) を定めて、データリカバリ時に許容されるデータロスを決定します。これにより、データリカバリ期限が設定されます。
  • 整合: データリカバリ方法がRTOとRPOの目標に一致することを確認します。この目標を達成するバックアップ手順とテクノロジーを選択します。
  • 継続的改善: データリカバリ方法を評価、改善し、ダウンタイム、データロス、リカバリ効率を低減します。

 

このプロセスと留意事項に従うことにより、企業はクラウドバックアップからデータを復元し、データロスインシデントを最小限に抑え、事業継続性とデータの信頼性を提供します。

クラウドバックアップに関する課題

クラウドバックアップサービスの人気が高まっているため、潜在的なデメリットが見落とされやすくなっています。

データはパブリックネットワークまたはプライベートネットワーク経由でバックアップされるため、十分な帯域幅と接続が必要になります。データの量およびネットワーク自体の制限によっては、ネットワークのパフォーマンスやレイテンシの問題が発生することがあります。

クラウドバックアップは、ビジネスクリティカルなデータをサードパーティプロバイダーに預けることになるため、特にデータプライバシー規制に関するセキュリティ上の懸念を伴う可能性があります。プロバイダーと協力してすべてのポリシー要件が順守されるようにします。

すべてのクラウドバックアッププロバイダーが同じサービスレベルとコスト構造を提供している訳ではありません。プロバイダーを選ぶ前に、適合しないプラットフォーム、独自のソフトウェア、セキュリティ、暗号化規格、管理手数料についてソリューションを必ず評価します。

クラウドバックアップとクラウドデータ保護の関係

クラウドデータ保護は、一連の複雑な組み込みバックアップ/リカバリシステムとセキュリティプロトコルを通じて、クラウドに格納されている情報の完全性と信頼性を確保するのに役立ちます。クラウドにある情報は、クラウドストレージプロバイダーが維持している物理サーバー上に置かれているので、複数の場所で独自の冗長バックアップを保持するのに最適です。ある災害によって1か所のデータセンターが影響を受けたとしても、そこでホスティングされているクラウドベースのデータのコピーがすべて破壊されることはありません。

クラウドバックアップでは、クラウドベースのストレージシステムに本来備わっている保護によるメリットだけでなく、バックアップソフトウェアやサービスプロバイダーによって異なる独自の多層のセキュリティも提供されます。クラウドバックアップは自動的かつ継続的に更新され、暗号化され、偶発的なデータ喪失、改ざん、破損を避けるために複製されています。

クラウドバックアップにおける今後の動向とイノベーション

A. クラウドバックアップテクノロジーの進歩

  • 継続的データ保護 (CDP): 精度が向上したリアルタイムのバックアップは、データロスをほぼゼロ基準に低減します。
  • 変更不能なバックアップ: 変更不能なバックアップにより、データがバックアップされると、攻撃者でさえも変更や削除ができないことを保証します。
  • スマートバックアップスケジュール: データ変更率やビジネス活動パターンに基づいたスマートバックアップスケジュールは、ますます一般的になりつつあり、バックアップリソースの最適化と費用の低減を実現しています。

 

B. 人工知能と機械学習との融合

  • 予測分析: AIおよびMLは、データロスリスクを予測し、バックアップ手順を最適化します。また、不規則性を検知し、積極的な処理を実行します。
  • データ分類: AI搭載のテクノロジーにより、コンテンツ、機密性、関連度に基づいてデータが分類され、よりスマートなバックアップと保存が実現します。
  • 自動リカバリ: AI搭載のシステムは、最適なリカバリポイントと方法を予測することでデータリカバリプロセスの自動化を可能にします。

 

C. マルチクラウドとハイブリッドバックアップ

  • マルチクラウド戦略: 組織は、数々のクラウドプロバイダーにまたがるデータをシームレスに保護するバックアップソリューションを必要とし、マルチクラウド設計を採用しています。
  • ハイブリッドバックアップ: オンプレミスとクラウドソリューションによるバックアップを組み合わせることで、さまざまなシチュエーションでのデータの可用性を確保します。
  • クラウドからクラウドへのバックアップ: Microsoft 365やGoogle Workspaceなどのクラウドベースのアプリケーションを使用する企業が増えるにつれ、バックアップソリューションの需要が増加しています。

 

D. 新しい業界標準とベストプラクティス

  • ゼロトラストバックアップ: 信頼を決して前提としない、ゼロトラストバックアップ/リカバリがセキュリティのベストプラクティスになりつつあります。
  • データガバナンス: 法律や基準に従って、バックアップデータを管理、保護、破棄するためのより優れたデータガバナンス手順が進化しています。
  • バックアップ検証のためのブロックチェーン: ブロックチェーンテクノロジーにより変更不能なバックアップ記録が提供され、これによりデータの完全性の検証が改善される可能性があります。
  • クラウドネイティブソリューション: クラウドネイティブアプリケーションが普及するにつれ、この設定のためのバックアップソリューションが発達しています。
  • ランサムウェア回復力: バックアップ技術には、ランサムウェア攻撃を回避または最小限に抑えるための、個別のバックアップと早期検出が含まれます。
  • 環境に配慮したバックアップ: 新たなバックアップ戦略はエネルギー利用とカーボンフットプリントを低減します。

 

ITインフラストラクチャとビジネス目標の調和を図りつつデータの保護、リカバリ、セキュリティを向上させるイノベーションは、クラウドバックアップを形成します。こうした動向を監視することは、企業が新しいデータ管理テクノロジーやベストプラクティスを採用する助けになります。

HPEとクラウドバックアップ

情報は今日のあらゆるビジネスの原動力ですが、ビジネスクリティカルなデータを喪失するリスクは絶えず付きまとう脅威です。この極めて重要な資産を守るには、堅固なバックアップ計画が不可欠です。HPEはデータの喪失や破損の可能性を軽減することに役立つデータバックアップとデータセキュリティのソリューションを提供しています。

HPEバックアップ/リカバリサービスは、迅速なリカバリおよびコスト効率に優れたクラウドでの長期保持により、データ保護を簡素化します。効率的な組み込みデータ削減によってストレージのボリュームとコストが制御され、暗号化と自動化によってバックアップボリュームの安全性が保たれます。

HPE GreenLake for Storageは、クラウド用のアジリティと柔軟性を従量制のデータサービスと結び付けるシームレスなクラウドエクスペリエンスを実現します。そして、HPE GreenLake for Data Protectionは、データ喪失、ランサムウェア、他の潜在的脅威からビジネスを保護するのに役立ちます。