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コンポーザブルインフラストラクチャとハイパーコンバージドシステム

コンポーザブルアーキテクチャーとハイパーコンバージドアーキテクチャーは、必ずしも二者択一の選択肢ではありません。まずは個々のアプリケーションを固有のユーザーニーズと併せて考慮する必要があります。以下ではより適切な判断を下すために把握しておくべき事項を紹介します。

 

ソフトウェア・デファインド・アーキテクチャーのコンセプトがデータセンター全体に広がるなか、固有のビジネス要件に最適なハードウェア基盤を選択することの重要性が増しています。サーバーから始まったハードウェアの仮想化は、今やコンピューティングリソースだけにとどまらず、ネットワークリソースやストレージリソースにまで拡大しています。

以下の解説において「ハイパーコンバージド」とは、直接接続ストレージ (DAS) とローカルコンピュートに加えて、処理およびデータの耐障害性を高めるためにクラスタリングを使用する、あらゆる種類のハードウェアソリューションを指します。またコンピューティングワークロードを1つのホストプラットフォームから別のホストプラットフォームに移動する主な手段として、仮想化の使用が想定されています。

X86サーバー仮想化インフラストラクチャに関する最新のGartnerマジッククアドラントレポートによると、拡大する仮想化環境は主としてMicrosoft社とVMware社の2社によって支えられており、なかでもVMware社が余裕のリードを保っています。事実、この2つのリーダーと同一の象限に位置付けられている企業は他にありません。VMware社は、Windows Serverに組み込まれているMicrosoft Hyper-V製品の猛攻に屈することなく、市場リーダーの地位および大規模な顧客ベースのマインドシェアを維持しています。

ワークロードの仮想化が進んでいる一方で、大多数の企業では、単一インスタンスのオペレーティングシステム (ベアメタルシステムとも呼ばれる) 上で運用されているアプリケーションが依然として一定数存在しています。「弊社の調査によると、エンタープライズレベルでは、仮想化されたOSイメージが全体の50~80%を占めています」とForrester社のバイスプレジデント兼主席アナリストのRich Fichera氏は述べています。「これは1,000個のOSイメージを保有している企業の場合であれば、仮想化率が高めで80%近くであるとしても、ミッションクリティカルなアプリケーションを支えている物理サーバーが約200台残っていることを意味します」。

 

明らかにすべき要件

ハイパーコンバージド市場やソフトウェア・デファインド市場に詳しいアナリストの誰もが同意するであろうとおり、最適なハードウェアアーキテクチャーの選択は個々の組織が何を目指しているかに大きく依存します。アプリケーションは市場を牽引しており、あらゆる購買意思決定に大きな影響を及ぼします。HPEによるSimpliVityの買収に伴ってHPEの一員となり、現在はハイパーコンバージド製品のチーフテクノロジストを務めているJesse D. St. Laurentは次のように述べています。

「お客様が利用しているアプリケーションを調べると、Microsoft SQL Serverが圧倒的な第1位であることがわかります。それに続くのが、Microsoft Exchange、SharePoint、およびその他のさまざまなビジネスアプリケーションです。仮想デスクトップインフラストラクチャ (VDI) の順位はそれらのアプリケーションよりも下になります。また大多数とまではいかなくても、多くのお客様が、これらのアプリケーションの複数を同一ハードウェア上で運用しています」。こうしたアプリケーションおよびその使用パターンを考慮することが大切です。

お客様からVDIを導入したいと言われた場合は、お客様が真に求めているものは何かを探る必要があります。一般的なインフォメーションワーカー用のアプリケーションを実行する場合と、GPU負荷の高いワークロード (ビデオレンダリング、アーキテクチャー/エンジニアリング設計など) を実行する場合とでは要件がまったく異なります。別の潜在的なユースケースとして、業務時間外にコンピューティング負荷の高いワークロードを実行するために、リソースの再構成が必要とされる場合も考えられます。

仮想化は今日使用されている大多数のアプリケーションに対応できますが、ベアメタルすなわち単一ホストオペレーションが必要とされるケースも依然として存在しています。ハイパーコンバージドは仮想化に大きく依存しており、通常はベアメタルアプリケーションの運用には適しません。このタイプの要件には、コンピューティングリソースプールと個々のワークロードの割り当て機能を備えたアーキテクチャーの方が適しています。

 

拡大するソフトウェア・デファインド方式

今日では「ソフトウェア・デファインド」を謳う製品が市場にあふれています。この用語は、当初は主としてネットワーク分野で使用され、Open Networking Foundation (ONF) が提案したOpenFlowプロトコルと密接に関連していました。ONFのWebサイトによると、ソフトウェア・デファインド・ネットワークとは、「ネットワークの制御機能と転送機能を分離することで、ネットワーク制御の直接的なプログラミングを可能にし、アプリケーションやネットワークサービスに対して、基盤となるインフラストラクチャを抽象化する」アーキテクチャーです。

ソフトウェア・デファインド・ストレージは、2014年にドラフト版として初めてリリースされたStorage Networking Industry Association (SNIA) のホワイトペーパーで説明されている用語です。従来、多くのエンタープライズ環境におけるストレージ要件は、大規模かつ高価なストレージエリアネットワーク (SAN) またはネットワーク接続ストレージ (NAS) によって満たされてきました。この2つの方式の抜本的な違いは、データへのアクセス方法にあります。通常SANは、iSCSIまたはファイバーチャネルを介してアクセス可能なブロックの形でストレージを提供します。一方NASストレージは、より従来型のファイル指向のプロトコル (SMBやNFSなど) を使用してデータを提供します。

SANストレージの主なメリットとしては、ストレージトラフィックだけを伝送する専用ネットワークの存在に加えて、オペレーティングシステムに依存しないスナップショットやバックアップを可能にする豊富な機能が挙げられます。これらのメリットの一部はNASシステムでも提供されますが、ネットワークの側面では大きな違いがあり、通常NASの場合は、接続されているすべてのシステムと同じEthernet回線およびスイッチが使用されます。いずれにせよ、このような独立したストレージシステムは高コストで、また維持管理のための追加のスタッフも必要です。

一般的にハイパーコンバージドシステムの場合は、SANやNASのような独立したストレージシステムの代わりに、各ホスト上のDASが使用されます。そのため、ストレージ管理者に専用の管理インターフェイス上で操作してもらう必要なしに、ストレージを動的に割り当てることが可能です。このアプローチはネットワークフットプリントの削減にもつながり、またストレージをコンピューティングリソースの近くに配置することによる効率性の向上も期待されます。

一方、現時点でハイパーコンバージド製品には、さまざまな課題も残されています。まず第1に、全体的な容量に関してはSAN/NAS製品の方が依然として大きく勝っています。ただし個々のストレージデバイスの密度が上昇し続けているため、ビッグデータを取り扱うような場合を除き、この問題は将来的には解消されると思われます。もう1つの潜在的な問題は、主としてアプリケーションによるもので、あるアーキテクチャーから別のアーキテクチャーへの移行に伴ってソフトウェアの変更が必要になる可能性があります。 

 

ハイパーコンバージドハードウェアとソフトウェア

Gartner社が発行している統合システムに関するマジッククアドラントは、いわばハイパーコンバージド・ベンダーのリストです。このマジッククアドラントの右上の象限には、有名な7つの企業 (Cisco、EMC、HPE、NetApp、Nutanix、Oracle、およびHPE SimpliVity) が配置されています。このうち、HPEは実行能力の高さで他社をリードしており、一方EMC社とNutanix社はビジョンの完全性で勝っています。なおDell社とEMC社を包含する複数企業の合併と買収に伴い、次のリリースではこのチャートが大きく変動することが予想されます。

ここで、各ハイパーコンバージドソリューションを構成するハードウェアコンポーネントとソフトウェアコンポーネントの違いを明らかにしておきましょう。Microsoft Windows Server 2016には、コモディティハードウェア上にハイパーコンバージドシステムを構築するために必要なあらゆる要素が組み込まれています。一方VMware社の場合は基本的に、同社のvSphereプラットフォーム上で動作するvSAN製品と同じ要素が提供されます。VMware社の構成にNSXを追加すれば、完全なソフトウェア・デファインド・データセンターの構築に必要なコンポーネント一式が揃います。なおソフトウェア・デファインド・データセンターは、VMware社によって提唱された新しい用語です。

Microsoft社とVMware社のアプローチを比較すると、ソフトウェアが担っている役割が浮かび上がってきます。Microsoft社は、ストレージの耐障害性と冗長性を向上させる手段として、独自の記憶域スペース/記憶域スペースダイレクトテクノロジーを基盤とするソフトウェアアプローチを採用しています。これらの機能はいずれもソフトウェアを使用して、異なる物理デバイス間に (ローカルに、またはネットワークを介して) 個々のストレージチャンクを複製します。一方VMware社はより従来型の手法を採用しており、RAID 5または6とイレージャーコーディングを使用することで、複数ノードにわたるデータ保護を実現しています。 

 

コンポーザブルインフラストラクチャ

今日では大手サーバーベンダーの大多数が、製品ポートフォリオの一部として何らかのブレードシステムを提供しています。Cisco社が以前にリリースしたUnified Computing Systemは、UCS製品群に含まれるハードウェアおよび管理ソフトウェアで構成されています。一方、Dell社、HPE、Lenovo社、およびSuper Micro社はいずれも、市販のコンピュート、ネットワーク、およびストレージと組み合わせることが可能なブレード製品を提供しています。

HPE Synergy製品ラインは、HPEのブレードシステムから進化した新しいインフラストラクチャカテゴリで、HPE Synergy Composer/Image Streamerアプライアンスを基盤とする先進的な機能を提供します。この2つのコンポーネントは、事前に定義されたテンプレートを使用して、複雑なシステムアーキテクチャーを迅速に構成することを可能にします。個々のHPE Synergyフレーム (単一の10Uエンクロージャー) 内には、コンピュートノードに加えて、ストレージおよびネットワークが搭載されています。追加のHPE Synergy 12000フレームへの接続は、10GBフレームリンクモジュールを介して提供されます。

管理ソフトウェアとアプリケーションプログラミングインターフェイス (API) は、包括的なソフトウェア・デファインド・ソリューションに欠かせない構成要素です。Cisco UCSがXMLベースのAPIを提供しているのに対して、HPE SynergyはRESTベースのAPIを提供することで、固有の管理ソフトウェアとの対話を実現しています。システム管理にDevOpsアプローチを導入しようとしている組織にとって、こうした機能は最適なエントリーポイントになります。さらにCisco UCSおよびHPE OneViewには、管理および監視のための従来型のユーザーインターフェイスも搭載されています。現時点では、HPE製品に搭載されたOneViewの方がより総合的なツールであり、より広範なリソースを管理することが可能です。

コンポーザブルアーキテクチャーを使用する最大の利点の1つとして、要件の変化に応じて、システムをわずか数分で再構成できることが挙げられます。従来のIT環境では、こうした再構成には数か月を要します。またプログラマビリティを備えているため、人間が介入することなく、特定の時刻にシステムを完全に再構成するようにスケジュールすることも可能です。さらにベアメタルシステムのプロビジョニングもより迅速かつ容易になります。

 

結論

ハイパーコンバージドアーキテクチャーとコンポーザブルアーキテクチャーは、必ずしも二者択一の選択肢ではありません。多くのシナリオにおいて両者は相補的な働きをし、機能と柔軟性の最適な組み合わせを可能にします。どのような組み合わせが最適であるかは、各組織のニーズに大きく依存します。選択にあたっては、個々のアプリケーションを具体的なユースケースと併せて考慮する必要があり、またパフォーマンスおよび容量の要件も忘れてはなりません。

要件を明確化することで、ニーズに最適なソリューションの選択が可能になります。大多数のベンダーは、顧客の設計を検証するための概念実証システムのセットアップを喜んで支援してくれるはずです。また通常は、まずは小規模な環境から始めて段階的に成長させていくことが可能です。

 

ハイパーコンバージドインフラストラクチャとコンポーザブルインフラストラクチャの比較: リーダーへの教訓

  • 運用しているすべてのアプリケーションを詳細に把握する必要があります。
  • 二者択一の選択は必要ありません。多くのケースでこの2つのテクノロジーは相補的な働きをします。

 

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもHewlett Packard Enterprise Companyの見解を反映しているとは限りません。

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