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2020年10月9日

ITインフラストラクチャをリモートで管理

サポート契約の内容を最近読み返したことがありますか。しばらく目を通していない場合、リモートチームのサポートに役立つ機能が大きく向上している可能性があります。

今日の世界は、人々の健康に関わる脅威から、頻度と激しさを増す嵐、さらには想定外の危機に至るまで、事業継続性を脅かすさまざまなリスクに満ちています。危機的な状況下でもあらゆる活動を継続するうえでカギとなるのが、企業のデジタルインフラストラクチャです。

従来こうした試練に直面した場合、企業は創意工夫や直感を頼りに、場当たり的な手法で問題を乗り越えてきました。しかしながら危機が常態化しつつある今日、こうした手法はもはや通用しません。いかなる事態に直面しようともITが事業活動を支え続けるためには、より体系的な手法と新たなツールセットが必要です。

そこで注目されるのが、オフィスから離れた場所、たとえば自宅などからでも、デジタルインフラストラクチャをリモートで管理可能な新しいITサポート機能です。こうした機能は作業を効率化し、限られた人員でより多くを管理することを可能にします。さらに問題の把握に役立つインテリジェンスが組み込まれた最新のデバイスを使用すれば、より迅速な診断が可能になり、また問題の発生を未然に防止できます。

 

見落とされているメリット

災害発生時などに役立つリモートITサポート機能について、すでに料金を払っていながら、その存在に気付いていない、あるいはまだ利用していない可能性があります。この機会にサービス契約の内容を読み返し、利用可能なすべての機能とそのメリットを確認することをお勧めします。特に以下のような機能に注目してください。

  • サポートツール: 多数のデバイスを一元管理可能なサポートツールがあれば、IT部門はサービスおよび各種デバイスを広範囲にわたってリモートで管理できます。こうしたツールには、世界中のどこからでもサーバーを効率的に管理し、問題を迅速に解決し、事業継続性を維持するうえで役立つ機能が搭載されています。
  • 分析ツール: AIと機械学習をベースとする分析ツールからは、インフラストラクチャの管理とサポートに役立つ知見が提供されます。こうしたツールは、インフラストラクチャスタック全体にわたる問題の予測と予防、アプリケーションパフォーマンスやリソースプランニングの最適化などの機能により、IT運用を抜本的に簡素化します。
  • リアルタイムのテレプレゼンスツール: このタイプのツールは、リアルタイムのビジュアルガイド付きコラボレーションにより、遠隔地や孤立したサイト向けのサポートを提供するもので、主として遠隔地の専門家が「副操縦士」として高度な支援を提供するために使用されます。

 

多数のデバイスを一元管理

このカテゴリに属するツールを使用すると、場所に制約されることなく、多数のデバイスをリモートで一元管理できます。リモートコンソールを介してインフラストラクチャを離れた場所から管理し、分析を通じて高精度の情報を得ることで、問題のより迅速な解決が可能になります。

こうしたツールが提供する機能は、基本的なサーバー管理のレベルを大きく超えるもので、ファームウェアとソフトウェアの一括更新の管理や実行が可能なため、IT管理者の負担が大きく軽減され、また標準化された運用環境を通じて問題の拡散を阻止できます。その他にも、仮想ブートメディアやリカバリイメージに加えて、権限を持った担当者しかサーバー上のソフトウェアをリモートで制御またはインストールできないように、セキュリティレイヤーも提供されます。さらに電力/冷却を監視して、エアフローの問題点や冷却機能の故障をリモートで検出することも可能です。

こうしたツールに欠かせないのが、サーバーの使用状況やパフォーマンスを分析し、個々のワークロードに合わせてサーバーリソースを動的に調整可能な機能です。またリモートダッシュボードも不可欠で、システムの健全性、電源のオン/オフ状態、診断情報、セキュリティリスクに直面した場合の修復設定など、各サーバーの重要情報を一目で確認できます。さらに強力なセキュリティ認証機能を備え、企業のサービスや監査証跡とリンクされている必要があります。

次に、この種のリモートツールが災害発生時のインフラストラクチャ管理にどのように役立つのか、一例をご紹介しましょう。

マイアミに拠点を置くあるサービスプロバイダーは、米国および中南米の航空会社に、ITインフラストラクチャの可用性と保護に関するサポートを提供しています。記録的な2017年のハリケーンシーズンに、ハリケーン「イルマ」がフロリダに向かって進むなか、このサービスプロバイダーは、嵐による被害が生じる前に不要なサーバーをシャットダウンするよう顧客各社に助言しました。顧客からの同意を得たうえで、同社は嵐が上陸する前に、リモート管理ツールを使用して顧客サイトにアクセスし、サーバーをシャットダウンしました。この対応によって同社は顧客のデータを守り、ハードウェアの損傷を未然に防いで、迅速な復旧につなげることができました。

嵐が去った後、インターネットアクセスが失われている状況であったにもかかわらず、同社はモバイルホットスポット経由でサービスを利用して顧客のサーバーにログインし、オンライン状態に復旧させることに成功しました。そのため時間を無駄にすることなく、また高額な交通費をかけることなく、さまざまな障害を迅速に解消できました。

 

AIと機械学習をベースとする分析ツール

AIと機械学習をベースとする分析ツールは、サーバーおよびその他のハードウェアから収集した膨大なデータを活用することで、遠隔地からの迅速な診断と問題解決を飛躍的に向上させます。今日のインフラストラクチャは非常に複雑化しており、エンジニアが現地に赴く方法では解決できる問題の数は限られます。しかしながら、こうした新しいリモート分析ツールを利用すれば、社内に専門家がいなくても高度な専門知識を得ることができます。

これらのツールの強みとなっているのが、世界中のリモートセンサーからデータを収集し、得られた情報を組み合わせて、問題の解決に役立てられる点です。これはローカルに収集した情報を統合して、グローバルに活用できることを意味します。

こうしたツールが遠隔地からの迅速な問題解決にどのように役立つのか、一例をご紹介しましょう。ある企業において、ストレージアレイのパフォーマンスが著しく低下したことで、製造に深刻な影響が生じていました。この企業は問題を自力で解決できなかったため、契約しているサポートベンダーに連絡しました。エンジニアによる手動検知に頼る従来型のサポートプロセスでは、この種の問題は解決に時間を要するか、もしくは解決不可能です。

しかしながら、リモートでの分析、デバイスのテレメトリ、高度な診断機能などを使用することで、メモリリークが重要なデータサービスに影響を与えていることが根本原因であるとすぐに判明しました。ストレージアレイのような複雑なシステムでは、システムがメモリを使い果たした場合に、何千ものプロセスやサービスのなかから原因となったものを特定するのは非常に困難です。しかしながらこのケースでは、データサイエンティストがプログラムを使用してログとメモリ割り当てをスキャンすることで、問題を迅速に解決できました。

調査の結果、あるソフトウェアにメモリが解放されないバグがあることが判明しました。次にデータサイエンティストらは判明した条件に基づいて、同じ問題が発生する可能性がある180以上の顧客を特定しました。さらにそれらの顧客がこの問題の影響を実際に受ける日付も予測できました。

従来のサポート手法であれば、この段階ですべての作業が完了です。しかしながら高度な分析を使用する場合は、まだ始まりにすぎません。データサイエンス、AI、予測分析、コネクテッドデバイスなどを活用することで、この問題のフィンガープリントが作成されて、現在では問題が発生した企業全体、およびこのサポートベンダーを利用しているその他の企業でも、この問題が監視されています。このように収集された情報をもとに、多数の企業が計画外のダウンタイムを回避するための対策を展開できます。

 

リアルタイムのテレプレゼンスツール

VR (仮想現実) ウェアラブルデバイスなどのテレプレゼンスツールを使用すれば、大規模な災害や危機が発生している最中でも、ITエキスパートが側にいるかのような支援を得られます。こうしたツールは、遠隔地にいる専門家が「副操縦士」として、現場の作業員とリアルタイムで共同作業を行うために使用されます。ウェアラブルデバイスを使用することで、遠隔地のサポートエンジニアは現場の作業員が見ているものをリアルタイムで視認し、問題解決までの全工程にわたって手順を案内できます。

これらのツールをライブチャットやバーチャルミーティングなどと組み合わせれば、得られるメリットはさらに大きくなります。作業員とサポート専門家は、高品質のパーソナルな音声/ビデオ接続を介してデスクトップを共有し、リアルタイムで対話できます。その結果、より迅速かつ正確なメンテナンスと修理が可能になり、生産性と稼働時間が向上する一方で、運用コストは削減されます。

こうしたツールの典型的な活用例をご紹介しましょう。ある全国規模の大手小売業者が遠隔地に配送センターを保有しており、この配送センターでは計画外の機能停止は許容されません。しかしながら現場のスタッフが技術的に未熟であったため、一部のサーバーのソリッドステートドライブ (SSD) が正しく交換されず、障害が発生しました。そこでサポート専門家がリモートVRデバイスを使用して、交換すべきSSDの特定から実際の交換作業まで、全工程にわたって現場のスタッフを支援しました。さらにサーバーのネットワークポートにケーブルが正しく接続されていないなど、その他の問題点も修復するよう指導しました。

この小売業者は、リモートVRウェアラブルデバイスをその他のさまざまな用途にも活用しており、現場への訪問を98%削減することに成功しています。同社ではウェアラブルデバイスを使用することで、従来の手法に比べて問題の診断にかかる時間が60~75%短縮され、問題を2倍のスピードで解決できるようになりました。

 

高度な支援を常に利用可能

こうしたツールを使用すれば、企業はサポートが必要な場合に心細い思いをすることなく、AI、機械学習、リモートセンサー、VRなどを活用した高度なツールを通じて、遠隔地にいる専門家の手厚い支援を常に受けられます。これらのツールは、ITスタッフやサポートスタッフが、インフラストラクチャの維持管理やトラブルシューティングのために現地に赴くことが難しいような状況下で、とりわけ大きな効果を発揮します。危機の発生を完全に回避することは不可能ですが、あらゆる事態に対応できるように万全の対策を講じることは可能です。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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