三菱電機 鎌倉製作所が大規模リアルタイムシステム向けソフトウェア開発の高速化を推進



三菱電機 鎌倉製作所 様

 

HPE PointnextがRed Hat OpenShiftと各種OSSによるCI/CDパイプライン構築とテスト工程の自動化を支援

 

三菱電機 鎌倉製作所が、大規模リアルタイムシステム・組込システム向けソフトウェア開発の高速化・高品質化を目指してテスト工程の自動化を進めている。近年、これらのシステムが担う役割はいっそう高度化しており、ソフトウェアの大規模化・複雑化が急速に進んでいることが背景にある。三菱電機鎌倉製作所は、HPE Pointnextの支援を受けて、OpenShiftとOSSを適材適所で採用したCI/CDパイプラインを構築。自動化によりテストにかかる工程を最大で50%短縮させた。

業界

製造

 

目的

大規模リアルタイムシステム・組込システム向けソフトウェア開発の高度化への対応。テスト工程の自動化を起点に、ソフトウェア開発プロセス全体の高速化と高品質化を目指す。

 

アプローチ

コンテナ技術を全面的に採用し、可搬性と再現性に優れたソフトウェア開発・テスト環境を構築。OpenShiftとOSSを適材適所で活用したCI/CDパイプラインを実現する。

 

ITの効果

・OpenShift Kubernetes Engineによるコンテナオーケストレーションを適用しテストを高速化

・自動化プロセスの構築でJenkinsとGitLabを柔軟に使い分け

・ビルドしたアプリケーションのデプロイから結合テストにかかる工程を最大で50%短縮

・コンテナイメージの活用によりテスト環境の移設や再現が迅速かつ同一品質で可能に

・OpenShiftからGPUリソースを利用するプロセスの制御を可能に

 

ビジネスの効果

・テスト工程の自動化によりソフトウェアの開発生産性を向上させエンジニアの業務負荷を低減

・エキスパート以外のエンジニアでも複雑なテスト環境を構築可能になりチーム全体の生産性が向上

・テスト回数を増やすことでソフトウェア品質の向上に寄与

・ソフトウェア技術部で開発したCI/CDパイプラインの他部門への展開を計画

チャレンジ

大規模リアルタイムシステム向けソフトウェア開発の高度化

 

三菱電機 鎌倉製作所は、官公庁向け大規模リアルタイムシステムや組込システムを開発する重要拠点である。また、1976年に日本初の電離層観測衛星の打ち上げに成功して以来、40年以上にわたって我が国の宇宙開発・宇宙システム分野をリードしてきており、2020年2月には国内最大級となる「新衛星生産棟」が竣工して人工衛星の生産能力を大幅に拡大させた。

「ソフトウェア技術部の主要なミッションは、人工衛星や地上に設置される管制センターをはじめとする大規模リアルタイムシステム、組込システムで使用されるソフトウェアの開発です。これらのソフトウェアは、近年急速に大規模化・複雑化が進み、開発リードタイムも短くなっています」とソフトウェア技術部 管理課長の三好暁氏は話す。

ソフトウェア技術部では、多岐にわたるソフトウェア群の開発プロセスを磨き上げ、精緻化・体系化を進めてきた。現在の開発ニーズには十分に応えることができているが、将来の開発の更なる高速化と大規模化を見据えた開発プロセスの変革に取り組んでいる。

「まず部門内で新しいソフトウェア開発の技術醸成を行い、そのノウハウを実際の製品にも適用していく流れをつくる考えです」と三好氏は話す。

ソフトウェア技術部の変革へのチャレンジを支援したのは、HPE Pointnextのアドバイザリ&プロフェッショナルサービスである。

三菱電機株式会社 鎌倉製作所

ソフトウェア技術部
管理課長
三好 暁 氏

三菱電機株式会社 鎌倉製作所

ソフトウェア技術部
技術第二課
チームリーダー
久保田 博之 氏

三菱電機株式会社 鎌倉製作所

ソフトウェア技術部
技術第二課
海野 智義 氏

ソリューション

チームや組織全体としてのソフトウェア開発の高速化・高品質化

 

HPE Pointnextは、企業や組織のデジタルトランスフォーメーションをトータルに支援するサービス組織である。世界80カ国、2万2,000人を超えるITプロフェッショナルが、豊富な実績とナレッジに基づくコンサルティング、構築サービス、運用保守サービスをトータルに提供している。OSS製品をはじめ幅広いテクノロジーへの精通が求められるCI/CDパイプライン構築の経験も豊富だ。

ソフトウェア技術部がHPE Pointnextと協議を始めたのは2018年後半だった。ソフトウェア技術部 技術第二課チームリーダーの久保田博之氏は次のように振り返る。

「現状の課題を整理し、あるべき姿を描いた上で、その目標を達成するための手段を検討しました。目指したのは、個人レベルでの改善ではなく、チームや組織全体としてのソフトウェア開発の高速化・高品質化です。私たちは、HPE Pointnextのアドバイスを受けながら、目標とのギャップをいかに埋めていくか議論を重ねていきました」

ソフトウェア技術部が示した課題・要件を整理すると、大きく次の3つに集約できる。

①自動化を推進し、ソフトウェア開発要求の高度化・高速化に対応すること
②プロジェクトごとに異なるパイプラインへの要求に柔軟に対応可能にすること
③インターネットに接続しないセキュアなオンプレミス環境を実現すること

HPE Pointnextは、ソフトウェア技術部の課題やニーズを聞きながら目標に向けたロードマップ策定を支援し、最適なアプローチ、テクノロジー、手順とスケジュールを具体化していった。アドバイザリとしてプロジェクトに参加したHPEPointnextの惣道哲也氏は次のように話す。

「ソフトウェア開発の高速化のカギを握るのはテスト工程の『自動化』であると確信しました。しかし、単にコンテナ技術と自動化ツールを導入するだけでは、ソフトウェア技術部の組織全体として最大の成果は得られません。標準化された開発プロセスの中で、プロジェクトごとに使用するツールや手順に少しずつ違いがあるからです。そこで、共通基盤化できる領域を最大化しながら、固有の要件にも応える『柔軟性』を確保することを提案しました」

さらに、どのプロセスに自動化を適用すべきか、すべてをコンテナ化するか否か、運用やメンテナンスを複雑化させないためにどうするか、コンテナイメージをいかに効率よく管理するか。そして、ソフトウェア技術部全体の開発を新しいステージに引き上げるには何が必要か――徹底的な議論を経て導き出された答えは、「OpenShiftとOSSを適材適所で活用するCI/CDパイプライン」の構築だった。

適材適所の技術を選定し独自のCI/CDパイプラインを構築

 

ソフトウェア技術部が採用したRed Hat OpenShift Kubernetes Engineは、コンテナオーケストレーターの業界標準であるKubernetesをエンタープライズ用途で使いやすいよう商用化したディストリビューションだ。コンテナイメージを効率良く管理するとともに、可搬性・再現性に優れるコンテナの特長を活かすための様々なツールを備えている。

「あるプロジェクトでコンテナ技術の評価を行って有用性を実感したのが、KubernetesやOSSに注目したきっかけだった」と話すソフトウェア技術部 技術第二課の海野智義氏は次のように続ける。

「CI/CDパイプラインを構成する主要製品のひとつとしてOpenShiftを採用しました。Kubernetesの機能に加え、運用環境で使えるツールが充実していることを評価しての選択です。チームや開発要件によって異なるテスト環境のセットアップの迅速化にも威力を発揮すると考えました」

独自のCI/CDパイプラインは、OpenShiftをはじめ、Jenkins(自動化)、GitLab(成果物管理)、RedMine(タスク管理)、Rocket.Chat(コミュニケーション)などのOSSで構成された。HPEPointnextの米倉章良氏は次のように説明する。

「開発者は、作成したソースコードのビルド(コンパイル、静的解析)と、テスト(単体テスト、結合テスト)をJenkinsによって自動的に行えます。OpenShiftは、Jenkinsと連携してコンテナイメージのデプロイと結合テストを実行するプロセスを主に担います。OpenShiftとOSSを適材適所で採用して切れ目なく連携させ、CI/CDパイプラインを構成しているところがポイントです」

結合テスト環境のセットアップは難易度が高く、構築時間の短縮や均質化に加え、スキルの高い人材への依存を軽減することがソフトウェア技術部の重要なテーマとなっていた。

「新環境では、OpenShiftで管理するコンテナイメージをデプロイするだけで、テスト対象のアプリケーションに加え、アプリケーションソフトウェアの結合テストに必要な実行環境のすべてが整います。これにより、デプロイから結合テストにかかる工程を最大で50%短縮することができました。将来的には、本番環境へのデプロイもコンテナベースで可能になると考えています」(久保田氏)

開発環境の拡大・縮小、過去に利用した環境の再現など、コンテナイメージの可搬性・再現性がもたらす好影響は広範に及ぶ。

「新しいサーバーの導入に際しては、OSさえインストールすれば、あとはコンテナ動作基盤に必要なコンテナイメージをデプロイするだけで環境が整います。これにより、1日がかりで行っていた作業が2時間程度に短縮されました。誰が作業しても同じ品質の環境を構築=再現できるメリットはコンテナならではです」(海野氏)

「組織という観点では、スキルの高い人材が環境構築やテストのような定型業務から解放され、より付加価値の高い業務に注力できるようになったことに大きな意義を感じています。あらゆる定型的なプロセスをコンテナイメージ化し、自動化を進めることで、ソフトウェア技術部全体の生産性はさらに向上するはずです」と三好氏は期待を示す。

日本ヒューレット・パッカード株式会社

Pointnext事業統括
テクノロジーアーキテクト部
部長
惣道 哲也 氏

日本ヒューレット・パッカード株式会社

Pointnext事業統括
テクノロジーアーキテクト部
米倉 章良 氏

日本ヒューレット・パッカード株式会社

Pointnext事業統括
製造・流通サービス事業本部
第二サービス本部 第二部
後藤 亮文 氏

日本ヒューレット・パッカード株式会社

インダストリー営業統括本部
第二営業本部 第二営業部
三菱電機営業グループ
アカウントマネージャー
片岡 唯 氏

ベネフィット

自動化で生み出された時間を新しい価値を創造する仕事に

 

ソフトウェア技術部が開発した独自のCI/CDパイプラインは、インターネットに接続しないセキュアなオンプレミス環境であることも特徴的だ。久保田氏は次のように話す。

「HPE Pointnextには、クラウドネイティブのテクノロジーをオンプレミス環境に実装するための様々なノウハウを提供してもらえました。OSSのアップデートをオンプレミスのリポジトリを介して安全に行う仕組みも構築できました。OpenShiftからGPUリソースを使うチャレンジにも成功しています」

プロジェクトは、4か月という短期間で計画通りにCI/CDパイプラインの構築を完了した。PMとして参画したHPE Pointnextの後藤亮文氏は次のように振り返る。

「特定のツールを使う前提でなく、やりたいことや課題を示していただきながら、最適なツール選定の検討を重ねていきましたので、私たちは安心して『目標達成のために何が最適か』を軸に提案を組み立てることができました。引き続き、高速化・高品質化に寄与する改善をご支援させていただく考えです」

HPEインダストリー営業統括本部の片岡唯氏は、「CI/CDによる開発時間の削減効果を、さらに高められるよう、HPEとして具体的な改善策をご提案させていただきます」と続けた。

あらゆる企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいるが、ものづくりの最先端を行く三菱電機も例外ではない。三好氏が次のように語って締めくくった。

「自動化できるところは徹底的に自動化し、新しい価値を生み出す仕事に人材を投入していく――『自動化による生産性向上』は、DX推進における全社共通のテーマのひとつです。私たちが取り組んでいるCI/CDパイプラインによるソフトウェア開発の高度化も、まさにその一環と言えるでしょう。この新しい開発プロセスを磨き上げ、ソフトウェア技術部内の複数のチームでより大きな成果を目指していきます。そして、私たちと同じ課題に直面している部門にも積極的に技術移管していく考えです。HPE Pointnextには引き続き力強い支援を期待しています」

ご導入企業様

三菱電機株式会社 鎌倉製作所 様

 

所在地:神奈川県鎌倉市上町屋325番地

URL:https://www.mitsubishielectric.co.jp/saiyo/graduates/philosophy/place/kamakura/

本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

本ページの導入事例は、PDFで閲覧頂けます。PDF (775KB)

本ページに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。

+ もっと見る