SAP HANAの本番環境までを、高信頼のクラウドサービスとして提供する
株式会社インターネットイニシアティブ 様
所在地:東京都千代田区富士見2-10-2 飯田橋グラン・ブルーム
URL:http://www.iij.ad.jp/index.html
SAP HANAに最適化されたHPE Converged System 500 for SAP HANAと定評のある高可用技術、安心のサポート力により、オールHPEのインフラが完成
"SAP HANAをクラウドで提供することは、我々にとって初めてのチャレンジ。国内で対応しているクラウド事業者もまだありませんでした。基幹システムの本番環境は、止まることなど許されません。HPE製サーバーはすでに社内で稼働実績を積み重ねてきており、その高い可用性、信頼性は十分に認識していました。しかも、経験のないインメモリー環境の可用性向上に関して、HPEはそのための手段や安心できる保守サポートを具体的に、しかも迅速に提案。それが採用の決め手になりました。"
―株式会社インターネットイニシアティブ ソリューション本部 エンタープライズソリューション部 SAP推進課 シニアマネジャー 五十嵐 直樹 氏
日本におけるインターネットのビジネス活用をリードしてきたインターネットイニシアティブ(IIJ)は、近年、クラウドビジネスを事業の重要な柱の一つとして育てるために積極的な投資を行っている。2009年からスタートした同社のクラウドサービス「IIJ GIO(ジオ)」はすでに国内トップシェアを誇るが、2013年にはそのメニューにSAPのクラウドサービスを用意。基幹システムのクラウド適用にも乗り出した。2014年7月にはこの取り組みを一歩進め、リアルタイム性に寄与するインメモリー技術を採用したデータベース「SAP HANA®」の導入前検証を行うためのトライアル環境として「IIJ GIO for SAPソリューション PoC for SAP HANA」の提供を開始。そのインフラをHPE ConvergedSystem 500 for SAP HANAが支える。
業界
通信・メディア
目的
SAP HANAをクラウドサービスとして提供するための高可用性インフラの構築
アプローチ
・基幹システムを安定して稼働させるために高可用性を追求
・リアルタイム性を重視した高速処理のために、高性能な最新のインテル® Xeon® プロセッサー E7 v2ファミリー搭載サーバーを選択
・構築や運用の経験のないSAP HANAであることを勘案し、豊富な構築ノウハウと充実した保守サポート体制を提供できるベンダーを選択
・ハードウェアにはSAP HANAに最適化された統合アプライアンス、HPE ConvergedSystem 500 for SAP HANAを採用
ITの効果
・止まることが許されない基幹システムために、万全の冗長化とバックアップ環境を実現
・万が一の障害発生時にも、短時間でインフラを復旧できる体制が確立
ビジネスの効果
・SAP HANAの本番環境が提供可能に
・基幹システムのクラウド化により、ユーザー企業のコスト削減に貢献
・システム構築の上流にあるコンサルティングビジネスが視野に
国内のクラウドビジネスを先頭に立って引っ張るIIJ
1992年、日本初の商用インターネットサービスプロバイダーとしてスタートしたインターネットイニシアティブ(IIJ)。以来、IPネットワーク領域での高い技術力を背景に、日本におけるインターネットのビジネス活用をリードするとともに、アウトソーシングサービスやシステムインテグレーションなどへも事業領域を拡大してきた。
同社は近年、さらなる成長へのエンジンの一つとして、クラウドビジネスを強力に推進している。その中核となるのが、企業向けクラウドサービス「IIJ GIO(ジオ)」だ。2009年にスタートした同サービスは、IIJの持つ国内最大級のインターネットバックボーンと多拠点のデータセンターを基盤として、IaaS(Infrastructure as a Service)やSaaS(Software as a Service)から配信、運用・監視まで豊富なメニューを用意している。
クラウドサービスおよびホスティングサービスに関し、独SAP社からのサービス品質の認定資格である「SAP Certified in Cloud Services」を取得した。
これを契機に、2013年7月、代表的な基幹業務アプリケーションであるSAPをクラウドサービスとして提供する「IIJ GIO for SAPソリューション」を開始。基幹システムの分野でもクラウド利用を可能にした。その結果、IIJ GIOは利用企業1,160社、2,100システムの導入実績(2014年3月末現在)を誇り、2011年度・2012年度連続で国内パブリッククラウド市場シェアNo.1を獲得している(富士キメラ総研調べ)。
IIJでは2014年7月、基幹システムのクラウド利用をさらに促す取り組みの一環として、SAP社自身がERP用データベースとして戦略的に位置づける「SAP HANA®」に関し、その導入前検証を行うためのトライアル環境をクラウドで提供する「IIJ GIO for SAPソリューション PoC for SAP HANA」をリリースした。そのサービスプラットフォームとしてIIJが選択したのは、高性能なインテル® Xeon® プロセッサー E7 v2ファミリーを搭載したHPE ProLiant DL580 Gen8を核として、SAP HANAの稼働に最適化された統合型アプライアンス製品、HPE ConvergedSystem 500 for SAP HANAだった。
SAP社との連携の下でSAP HANAのクラウド提供を目指す
「SAP HANAをクラウドで利用したいというニーズは、『IIJ GIO for SAPソリューション』の提供を始めた当初から聞いていました。企業活動の根幹を支えるSAPをオンプレミスで稼働させているお客様にとって、その本番環境をクラウドへ移行させることは、リスクを伴う極めて重要な判断。いったんクラウドへの移行を決断したのであれば、SAP社が推奨するデータベース環境であるSAP HANAもクラウドで利用したいと考えるのは自然なことでしょう」。同社ソリューション本部エンタープライズソリューション部長の染谷 直氏は、 HANAのクラウドサービスをIIJGIOのメニューに加えることにした背景の一端をこう解説する。
これに加え、SAP社の推進する戦略と密接に連携を図るべく、SAP HANAに関するクラウドサービスをいち早く用意しておきたいという、SAPのソリューションベンダーとしての立場も理由の一つとなった。というのも、IIJは2014年1月、SAP社と戦略的パートナーシップを結び、協調してクラウドビジネスに取り組んでいくという発表を行っていたからだ。「SAP社と戦略を共有していくからには、SAP HANAのサービス提供は不可欠。すでにSAPをクラウドで提供してきたという責任からも、自ら積極的にサービス化すべきと考えていました」(染谷氏)。
株式会社インターネットイニシアティブ
ソリューション本部
エンタープライズソリューション部長
染谷 直 氏
インメモリー技術によるSAP HANAをHPE Serviceguardで冗長化
SAP HANAは基幹システムのデータ処理を高速化するために、データベースをメモリー上に展開しておく「インメモリー」技術を採用している。IIJではこの最新テクノロジーをクラウドサービス化するにあたり、「IIJ GIO for SAPソリューション」同様、開発環境や検証環境はもとより、本番環境も提供するという構想を持っている。
「SAP HANAをクラウドで提供することは、我々にとって初めてのチャレンジ。もちろん、国内を見渡しても対応しているクラウド事業者もまだありませんでした。基幹システムの本番環境は、当然、止まることなど許されませんから、プラットフォームには高い可用性、信頼性が必要です。HPE製サーバーは『IIJ GIO for SAPソリューション』のプラットフォームとしてすでに社内で稼働実績を積み重ねてきており、その高い可用性、信頼性は十分に認識していました。しかも、我々に経験のないインメモリー環境の可用性向上に関して、HPEはそのための手段や安心できる保守サポートを具体的に、しかも迅速に提案してくれたのです。こうした対応ぶりが、HPEのハードウェア採用の決め手となりました」。染谷氏とともにサービスの内容や仕様の策定にあたった同部ERP推進のシニアマネジャー、五十嵐直樹氏はこう振り返る。
「可用性向上のための具体的手段として、HPEからHPE Serviceguard for SAP HANAの提案がありました」と続けるのは、プラットフォームの機種選定を担当した同部基盤ソリューション開発課の高橋洋一氏。「HPE Serviceguardは市場で豊富な採用実績があり、特にミッションクリティカルな性能が求められる金融業界でも多く利用されている定評ある冗長化ソフトウェア。しかも、フェイルオーバーの操作を自動化するスクリプトが用意されており、確実に、そして短時間でフェイルオーバーを実行できます。これは非常に魅力でした」(高橋氏)。
単一の対応窓口とGne8標準の自動化機能で迅速に保守サポート
長年にわたり、SAP社とグローバルな規模でパートナーシップを築き上げてきたHPEからの保守サポート提案も、プロジェクトメンバーたちを多いに勇気づけたという。
「HPEとSAP社が協調してサポート体制を組んでいるため、ハードウェアからOS、SAP HANAまで、一貫して一つの保守サポート窓口で対応するというものでした。しかも、万が一の障害発生時には原因究明のための一次切り分けから担当できるとのこと。SAP HANAの場合、ハードウェアとソフトウェアが非常にセンシティブに連携するシステムであるため、その両方に精通していないと短時間での復旧は見込めないでしょう。ほかのハードウェアベンダーには真似のできない提案だっただけに、強く印象に残っています」(高橋氏)。
また、HPEならではのサービス「HPEプロアクティブケア」の存在もIIJは高く評価した。このサービスのポイントは、HPE IRS(Insight Remote Support)を利用したリアクティブ、プロアクティブメニューにある。システムのログやアラートをHPEに自動で送信。高いスキルを持ったエンジニアから成るHPEアドバンストソリューションセンターがこれらの情報を把握し、障害ならびに障害予兆を検知したらHPE側からお客様に通知する。また、送信された構成情報を基に推奨ファームウェア、パッチ情報を定期的に提供することで潜在的な問題を回避できる。トラブル対応の初動を劇的に短縮でき、運用中も安定稼動できるであろうことは容易に想像できた。
「採用を決めたHPE ConvergedSystem 500 for SAP HANAの優れたパフォーマンスにも、もちろん大いに期待しました。ハードウェア選定を進めていた2014年4月当時、最新のインテル® Xeon® プロセッサー E7 v2ファミリーを搭載したプラットフォームでSAP HANAの認定を取得しており、コスト面の要求にも応えてくれるのは、HPE ConvergedSystem 500 for SAP HANAだけ。SAP社との関係の深さを垣間見せられた気がしました。SAP HANAではリアルタイム性が重要で、非常に高いパフォーマンスが必要とされます。プロセッサーはできるだけ最新のものを、と考えていただけに、性能面でも納得できました」(高橋氏)。
株式会社インターネットイニシアティブ
ソリューション本部
エンタープライズソリューション部
SAP推進課
シニアマネジャー
五十嵐 直樹 氏
株式会社インターネットイニシアティブ
ソリューション本部
エンタープライズソリューション部
基盤ソリューション開発課
高橋 洋一 氏
インテル® Xeon® プロセッサー
E7 v2ファミリー
パートナーとの連携をさらに深め今後はビジネスコンサルに狙い
2014 年5月、HPE ConvergedSystem 500 for SAP HANAはIIJへ搬入された。6月にはHPEのエンジニアの協力の下、急ピッチでサービスプラットフォームの構築が進められ、7月には無事「IIJ GIO for SAPソリューション PoC for SAPHANA」の提供を開始した。そしてこの検証環境に続いて、本番環境を含めた「IIJ GIO上のサービス」のリリースを予定しており、アセットレスでのSAP Business Suite powered by SAP HANAの実現を目指す。
「今回は導入前のトライアル環境として事前検証目的での利用を前提としていますが、本番環境を含むシステムランドスケープで利用することができるクラウドサービスを目指したいと考えています。噂では、100コア超、搭載メモリーも10TB超という巨大スケールアップサーバーをHPEとSAP社が共同で開発しているようですね。こうした次世代への投資は、仮想化インフラでのサービス提供に大きな可能性を開くことになるでしょうから、非常に楽しみです」と、五十嵐氏はHPEの今後の取り組みに期待を込める。
こうしたクラウドサービスのリリースによってSAP関連のクラウドサービスが充実し、基幹システムのデータ処理のリアルタイム性も大幅に強化される。これにより、染谷氏は、IIJとしての今後のビジネスに新たな展望が開けるのではないかと考えている。「基幹システムの処理や分析がスピードアップすれば、在庫管理や生産計画、売上管理などの情報をほぼリアルタイムに把握できるようになるでしょう。そうなると、企業内の業務フローや組織の在り方も自ずと変わらなくてはなりません。こうした経営と深く関わる領域でのコンサルティングビジネスに狙いを定めています。その際には、これまでIIJ GIOとパートナーを組んできたSIer、ソフトウェアやハードウェアのベンダーなどと協力しながら、一緒になってビジネスを育てていきたいと考えています」(染谷氏)。IIJのチャレンジはまだまだ続く。
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