読了所要時間: 11分50秒 | 公開日: 2025年7月

クラウドガバナンス
クラウドガバナンスとは

クラウドガバナンスとは、クラウドリソース (ハイブリッド/マルチクラウド環境で使用されるものを含む) の効果的で安全な管理を実現するポリシー、プロセス、制御のフレームワークです。クラウドの展開、監視、メンテナンスに関する明確なルールを提供することで、企業がリスクを回避してコストを最適化しながら、クラウド運用とビジネス目標の整合性を確保できるようにします。企業は、クラウドガバナンスによってクラウドのインフラストラクチャ、アプリケーション、データにおける可視性、制御、アカウンタビリティを確保することで、イノベーションと運用規律のバランスを取ることができます。 

オフィスの職場でコンピューターを使用しているITプログラマーのポートレート。
  • クラウドガバナンスのコンポーネントとは
  • クラウドガバナンスのメリットとは
  • クラウドガバナンスフレームワークとは
  • クラウドガバナンスの課題とは
  • クラウドガバナンスの今後の動向とは
  • HPE Morpheus、ゼロトラスト、OpsRampとクラウドガバナンスの関連性
クラウドガバナンスのコンポーネントとは

クラウドガバナンスのコンポーネントとは

クラウドガバナンスは、クラウドの効率、セキュリティ、コンプライアンスを向上させる、さまざまな相互関連コンポーネントで構成されています。

  1. セキュリティとコンプライアンスは、脆弱性、内部脅威、外部からの攻撃などのリスクをプロアクティブに軽減します。ロールベースのアクセス制御、規制遵守、強力なデータセキュリティ対策によって機密データを保護し、監査証跡を通じてアカウンタビリティを確保します。
  2. コストの最適化には、クラウドの支出と財務計画を最適化するためのリアルタイム監視、透明化、効率化の取り組み (リソースサイズの適正化、自動スケーリング、MSPとの連携など) が含まれます。
  3. データ管理には、作成から削除までのセキュアなデータ管理、プライバシー要件の遵守、データ品質の維持、暗号化とアクセス制限の適用による機密情報の保護が含まれます。
  4. 運用管理では、クラウドリソースを自動化、オーケストレーション、監視することでアプリケーションのパフォーマンスを確保し、素早いインシデント対応によって運用の中断を最小限に抑えます。
  5. 資産および構成管理は、クラウドシステムにおける変更を監視、標準化、制御して一貫性と信頼性を確保するために不可欠です。
  6. パフォーマンス管理では、予測分析とアプリケーション監視を活用して、ワークロードのニーズに合わせてクラウドリソースを動的に拡張することで、運用を最適化してボトルネックを解消します。
  7. リアルタイムダッシュボード、監査証跡、主要業績評価指標により、企業はコンプライアンス、コスト効率、セキュリティ体制を監視し、データ主導の意思決定を行うことができます。これらのコンポーネントにより、企業目標を安全かつ効率的に達成するクラウド管理の強固なフレームワークが構築されます。
クラウドガバナンスのメリットとは

クラウドガバナンスのメリットとは

クラウドガバナンスのメリット

 クラウドガバナンスは、クラウドシステムを管理し、運用効率、セキュリティ、コンプライアンス、コストを改善するための強固な基盤となります。 明確なルール、ツール、プロセスは、企業がクラウドリソースを活用し、リスクを管理し、クラウド運用とビジネス目標の整合性を確保するうえで役立ちます。 主なメリットは次のとおりです。

 

 1. リソースとコストの最適化

  • リソース利用率の向上: クラウドガバナンスは、クラウドリソースを最適化することで非効率性や無駄を排除します。 それにより、計算、ストレージ、ネットワークの効率が向上します。
  • コストに関する有益な情報: クラウドガバナンステクノロジーは、リアルタイムのクラウド支出に関する有益な情報を示す正確なコストダッシュボードを提供し、環境全体にわたる支出の追跡と分析を改善します。
  • 予算計画: クラウドガバナンスが提供するリソース消費とコストのパターンにより、正確な予算予測、財務予測、戦略的プランニングが可能になります。
  • シャドーITの削減: クラウドガバナンスは、規制および監視ツールを導入し、セキュリティを強化してコストを削減することで、シャドーITを削減します。
  • コスト最適化: ガバナンスフレームワークでは、通常、リソースサイズの適正化、活用されていない資産の特定、予約済みインスタンスの使用などのコスト最適化策が自動化されます。

2. セキュリティ対策、コンプライアンス

  • セキュリティの強化: クラウドガバナンスは、暗号化、アクセス制御、監視によって機密データを保護します。
  • コンプライアンス: GDPR、HIPAA、PCI-DSS、ISOを確実に遵守することで、罰金を軽減し、利用者の信頼を維持します。
  • セキュリティリスクの軽減: クラウドガバナンスは、脆弱性をプロアクティブに検出して予防措置を講じることで、データ侵害、サイバー攻撃、内部脅威のリスクを軽減します。
  • アクセス制御: ロールベースのアクセス制御の基準を明確にして、許可されたユーザーのみが重要なリソースにアクセスできるようにすることで、セキュリティとアカウンタビリティが向上します。
  • 責任共有管理: クラウドガバナンスでは、クラウドサービスプロバイダーとクライアント間の責任共有パラダイムを定義し、双方にセキュリティ対策を適用させます。

3. 運用効率

  • 管理オーバーヘッドの削減: クラウドガバナンスでは、プロビジョニング、コンプライアンスチェック、監視などの反復的な手順を自動化することでITチームのストレスを軽減し、リソースを解放して戦略的イニシアチブに割り当てます。
  • ポリシー適用の効率化: ポリシーの定義と適用を一元化し、クラウドリソース管理と企業目標の整合性を確保します。
  • 可視性の向上: クラウドガバナンスソリューションは、企業がクラウドの使用パターンから非効率性や改善すべき領域を特定するのに役立つダッシュボードとレポートツールを提供します。
  • スケーラビリティ: ガバナンスフレームワークにより、制御、コンプライアンス、リソースの最適化を維持しながら、スムーズなクラウドの拡張が可能になります。
  • ビジネス継続性の向上: 事業部門および環境全体のクラウドガバナンスに関する有益な情報により、プロアクティブなディザスタリカバリとダウンタイムの削減が実現します。

4. その他のメリット

  • データ管理: クラウドガバナンスでは、データライフサイクルポリシー、バックアップ手法、データ整合性評価による、安全で信頼性の高いデータストレージが実現します。
  • ディザスタリカバリ: ガバナンスフレームワークによってクラウドベースのディザスタリカバリソリューションが実現し、障害、中断、その他の大災害からの迅速な復旧が可能になります。
  • イノベーションの実現: クラウドガバナンスは、通常運用を自動化して運用上の非効率性を削減することでイノベーションを加速させ、企業が戦略的なプロジェクトや高い競争力につながる成長に集中できるようにします。
  • 部門間のコラボレーション: ガバナンスによってポリシーとツールが共有され、部門間のコミュニケーションとクラウドの意思決定が強化されます。
  • ベンダーロックイン: プロバイダー間の運用を標準化するクラウドガバナンスにより、ベンダーロックインを回避し、マルチクラウドプランを最適化することが容易になります。
  • 環境の持続可能性: クラウドガバナンスは、リソースの使用と廃棄物の削減を最大化することで、エネルギー消費量を削減してグリーンITを促進します。
クラウドガバナンスフレームワークとは

クラウドガバナンスフレームワークとは

クラウドガバナンスの主要フレームワーク

COBIT (Control Objectives for Information and Related Technologies) COBITは、クラウド環境を含むIT運用をビジネス戦略と整合させることに重点を置く、世界的に認められたフレームワークです。リスク管理、コンプライアンス、パフォーマンスの最適化などの領域に対応する40のガバナンスおよび管理プロセスで構成されます。COBITが提供するベストプラクティス、評価基準、ガイダンスを利用することで、組織はITおよびクラウドの取り組みとビジネス目標の整合性を確保できます。COBITは、専門知識を確認してコンプライアンスの達成を支援するCOBIT 2019 Foundationなどの認定資格も用意しています。COBITは、特に、戦略目標を達成しながら運用効率とセキュリティを確保し、クラウド環境にまで拡張できる包括的なITガバナンスフレームワークを求める組織に適しています。

ITIL (ITインフラストラクチャライブラリ): ITILは、高品質なサービスを提供するためのベストプラクティスを活用したITサービス管理を重視するフレームワークとして広く使用されています。戦略、設計、運用、継続的改善など、サービスライフサイクルの管理に重点を置いています。インシデント管理や変更管理などのITILプラクティスをクラウド環境に適応させることで、信頼性とスケーラビリティを高めることができます。ITILの認定資格は、サービス管理とコンプライアンスの実践に関する専門知識を有することを証明します。このフレームワークは、ビジネスニーズと運用効率の整合性を確保しながら、クラウドサービスをより広範なITポートフォリオの一部として扱いたいと考えている組織に最適です。

ISO/IEC規格 (38500および27017): ISO/IEC規格は、セキュリティとコンプライアンスに重点を置いた、ITおよびクラウドガバナンスに関する国際的に認められたガイドラインを提供します。ISO/IEC 38500は、アカウンタビリティ、戦略、パフォーマンス評価に重点を置いたガバナンス原則を提供し、ITおよびクラウドの取り組みがより広範なビジネス目標に適合することを確認します。一方、ISO/IEC 27017は、データ侵害、不正アクセス、構成ミスなどのリスクに対処するためのクラウド固有のセキュリティ対策の実装に関するガイダンスを提供します。これらの規格は、クラウドガバナンスの実践においてコンプライアンス、セキュリティ、アカウンタビリティを重視する組織にとっては特に重要です。
 

検討すべき追加のフレームワーク

NIST Cloud Computing Framework: 米国立標準技術研究所によって開発されたこのフレームワークは、クラウドコンピューティングの標準、セキュリティ、および運用のベストプラクティスに関する詳細なガイダンスを提供します。独自の運用ニーズとコンプライアンスニーズに合わせてカスタマイズされた堅牢なクラウドガバナンスを必要とする公共部門や政府機関には特に有用です。

CIS (Center for Internet Security) Controls: このフレームワークは、クラウド環境をサイバー脅威から保護するための、優先順位付けされた一連のセキュリティベストプラクティスを提供します。CISベンチマークは、クラウドの構成やサービスの保護に広く採用されており、クラウドにおけるセキュリティポスチャの強化を目指す組織にとって貴重なリソースとなっています。

TOGAF (The Open Group Architecture Framework): TOGAFは、組織の全体的なIT戦略の一部としてのクラウドガバナンスを含む、エンタープライズフレームワークガバナンスに重点を置いています。組織がビジネス目標との整合性を維持しながら、クラウドソリューションを自社のより広範なテクノロジー環境に統合するための体系的なアプローチを確立するのに役立ちます。

FinOpsフレームワーク: FinOpsフレームワークは、クラウド環境内での財務業務の管理に特化しています。組織は、コストの可視性を向上させ、支出を最適化し、クラウド投資とビジネス成果の整合性を確保することができます。このフレームワークは、クラウド戦略において運用効率と財務責任のバランスを取りたいと考えている組織にとって特に有益です。

つまり、これらのフレームワークは、組織の特定の目標、業界の要件、運用の複雑さに応じて、クラウド環境を効果的に管理するためのさまざまなツールと手法を包括的に提供します。

クラウドガバナンスの課題とは

クラウドガバナンスの課題とは

クラウドガバナンスの課題

クラウドガバナンスでは、複数のクラウド環境の管理、コンプライアンスとセキュリティの維持、コストの削減、スキルギャップの解消が求められます。急速に技術革新が進み、ガバナンスフレームワークをビジネスオペレーションにシームレスに組み込むことが必要になったことで、こうした問題がさらに深刻化しています。主な問題の詳しい説明は次のとおりです。

 

1. 複雑なクラウド環境:

  • マルチクラウドの複雑さ: 組織は通常、多くのクラウドプロバイダーを利用しています。この多様性により、プラットフォームのガバナンスが一貫性に欠け、一元的な管理と監督が困難になります。
  • 急速に変化するテクノロジー: 頻繁に新しいクラウドサービス、アーキテクチャー、ツールが登場します。新しいテクノロジーに合わせてガバナンスポリシーを常に更新していると、古いフレームワークに負担がかかる可能性があります。
  • 統合に伴う問題: 従来のガバナンス手順を最新のクラウドアプリケーションに統合した場合、コンプライアンスやセキュリティの問題が残る可能性があります。統合には入念な準備と柔軟性が必要です。
  • シャドーIT: 承認や追跡なしでクラウドリソースを使用しているチームや部門があると、ガバナンスの盲点が生まれ、セキュリティの脅威が高まり、コスト管理が複雑になります。
  • ハイブリッド環境: ガバナンスポリシーはオンプレミスとクラウドのインフラストラクチャ両方のニーズに対応する必要があり、複雑さが増します。

2. コンプライアンスとセキュリティ:

  • コンプライアンス要件: 組織は、GDPR、HIPAA、SOC 2など、増え続ける規制基準に対応する必要があります。適用される規制が異なる多くの地域でビジネスを行っている場合、クラウドソリューションがこれらの基準を満たしていることを確認するのは困難です。
  • セキュリティリスク: 動的でネットワーク化されたクラウドインフラストラクチャでは、データ侵害、構成ミス、不正アクセス、インサイダー攻撃が発生しやすくなります。ガバナンスでは、厳格なセキュリティによってこれらのリスクが軽減されるようにする必要があります。
  • 専門知識の不足: クラウドガバナンス、セキュリティ、コンプライアンスの人材が不足すると、組織のガバナンスが妨げられる可能性があります。
  • データセキュリティ: 機密データをクラウドに保存する場合、漏洩防止のために強力な暗号化、アクセス制御、監視機能が必要となります。
  • 共有責任モデル: クラウドプロバイダーはインフラストラクチャを保護し、顧客はデータとアプリケーションを保護します。こうした共有義務を無視したり誤解したりすると、ガバナンスの不備が生じる可能性があります。

3. コスト管理:

  • 予期しない支出: クラウドの利用では、消費パターンに基づいた変動費用が発生します。オーバープロビジョニング、十分に活用されていないリソース、予算管理に伴う予期しない支出を避けるには、コスト管理が不可欠です。
  • 可視性の低さ: 適切なツールを使用しなければ、企業がリソースの消費量やコストを把握することが困難になり、非効率性や予算超過につながる可能性があります。
  • 最適化の課題: パフォーマンス、スケーラビリティ、コスト効率のバランスを取るための継続的な監視と微調整には多くのリソースが必要となります。

4. その他の問題:

  • 変化への抵抗: 混乱を恐れる関係者やメリットを理解していない関係者は、新しいガバナンスのポリシーやフレームワークに抵抗することが少なくありません。
  • 標準の欠如: クラウドガバナンスの標準がなければ、企業は独自のフレームワークを作成する必要があり、矛盾や非効率が生じる可能性があります。
  • ヒューマンエラー: 構成ミス、ポリシーの実装、またはユーザーの意思決定により、セキュリティの脆弱性や運用の非効率性が生じる可能性があります。
  • ベンダーロックイン: 単一のクラウドプロバイダーに依存していると柔軟性が制限され、独自テクノロジーへの依存度が高まり、監視が困難になります。
  • スケーラビリティ: クラウド運用が拡大すると、ガバナンスフレームワークが複雑さとボリュームが増した環境に適応するのが困難になり、継続的な改良が必要となる場合があります。
  • 監視と自動化: コンプライアンス、セキュリティ、効率の拡張には、リアルタイムの監視とガバナンスプロセスの自動化が必要になりますが、実現は簡単ではありません。
クラウドガバナンスの今後の動向とは

クラウドガバナンスの今後の動向とは

クラウドガバナンスの今後の動向

クラウドコンピューティングの使用が増加するにつれて、クラウド環境はますます複雑化し、セキュリティ、コンプライアンス、コストの最適化、運用の有効性が課題となります。こうした懸念を解消するため、新しいテクノロジー、方法、規制によってクラウドガバナンスが定義されます。クラウドガバナンスの今後の動向は次のとおりです。

 

1. AIを活用したガバナンスと自動化: AIとMLにより、より適切で自動化された、プロアクティブなクラウドガバナンスが可能になります。

  • AI主導の脅威検出および対応: AIとMLは、攻撃をリアルタイムで予測、検出、無効化し、手動の介入を排除することで、クラウドセキュリティを向上させます。
  • 自動化されたコンプライアンスとポリシーの適用: AIシステムは、クラウドリソースがルールやポリシーに準拠しているかどうかを監視し、違反があった場合は是正措置を促します。
  • インテリジェントなリソース最適化: AIアルゴリズムがクラウドの消費傾向を評価し、コスト効率が高く、高性能でスケーラブルなリソース割り当て手法を提案します。
  • 自己修復インフラストラクチャ: AI主導のシステムが、クラウド環境における障害を検知して対処し、ダウンタイムを最小限に抑えて耐障害性を向上させます。

2. セキュリティとコンプライアンスの強化: クラウドセキュリティのリスクと規制要件が変化するなかで、クラウドガバナンスでは強力なセキュリティとコンプライアンスのフレームワークが優先されるようになります。

  • ゼロトラスト アーキテクチャー: クラウドガバナンスは「決して信頼せず、常に検証する」原則を優先して、ユーザーの所在地に関係なく、すべてのアクセス要求に対して常にIDを確認することを義務付けています。
  • 機密コンピューティング: TEEが普及し、機密性の高いワークロードをハードウェアベースのセキュアエンクレーブに分離して、信頼できない環境でも安全に処理できるようになります。
  • 耐量子暗号化: 量子コンピューティングに取り組む組織は、量子ベースの攻撃を防ぐために、格子ベースやハッシュベースの暗号化などの暗号化手法を実装する必要があります。
  • データ主権とローカリゼーション: GDPR、CCPAなどの各地域の法令に準拠するために、ガバナンスフレームワークによって特定の国でのデータレジデンシーが確保されます。

3. マルチクラウド/ハイブリッドクラウド ガバナンス: 企業がマルチクラウド/ハイブリッドクラウド戦略を導入すると、異なる環境を一貫して管理できるようにガバナンスフレームワークが変更されます。

  • 統合ガバナンスフレームワーク: オンプレミス インフラストラクチャと各種クラウドプロバイダー間で統一されたポリシーと制御を提供することで、複雑なクラウドアーキテクチャーを簡素化します。
  • 可視性と制御の一元化: ガバナンスの効果は、マルチクラウド/ハイブリッド環境全体の資産、セキュリティポスチャ、コンプライアンスの状況、コストの統合ビューを提供するツールに依存します。
  • 相互運用性と標準化: 統一されたプラットフォーム管理を促進することで、クラウドサービス間の相互運用性を向上させる取り組みにより、ベンダーロックインが軽減され、ガバナンス手順が合理化されます。

4. FinOpsの統合: 企業がクラウドの支出とビジネス価値を最適化していくと、FinOpsがクラウドガバナンスの基本要素になります。

  • コスト最適化: ガバナンスフレームワークに、財務責任、過剰支出の回避、クラウド投資の最適化のためのコスト管理策が組み込まれます。
  • コストの可視性と割り当て: 高度なツールにより、チーム、プロジェクト、事業部門全体にクラウドのコストを正確かつ詳細に割り当てることが可能になります。
  • コスト管理と予算編成の自動化: 支出制限を課し、アラートを発行し、コスト削減策を実行して財務効率を高めます。

5. 持続可能性とグリーンクラウドの取り組み: 企業が自社のクラウド運用が環境に与える影響を軽減しようとすると、クラウドガバナンスに環境の持続可能性が含まれるようになります。

  • ガバナンスの1要素としての環境への影響: 組織は、ガバナンスフレームワークの持続可能性対策を通じて環境に配慮したプロセスを推進し、二酸化炭素排出量を削減します。
  • エネルギー効率と再生可能資源: グリーンクラウドの取り組みをサポートするため、クラウドプロバイダーがデータセンターにエネルギー効率の高いテクノロジーと再生可能なエネルギー源を提供します。
  • 炭素会計と報告: 透明性の高い炭素会計システムにより、企業がクラウドコンピューティングに関連する排出量を監視および開示できるようにすることで、持続可能性とアカウンタビリティが向上します。

6. クラウドネイティブガバナンス: クラウドネイティブアーキテクチャーの標準化に伴い、最新の開発プロセスと展開プロセスに合わせてガバナンスフレームワークが変更されます。

  • DevOpsパイプラインにガバナンスを統合: 開発ライフサイクルの初期段階でセキュリティとコンプライアンスが確保されるように、ガバナンスポリシーが DevSecOpsパイプラインに組み込まれます。
  • Policy as Code: ガバナンスルールを自動化し、バージョン管理をサポートし、開発、テスト、展開における一貫性を確保します。
  • Kubernetesとコンテナセキュリティ: コンテナ化アプリケーションとオーケストレーションの運用上およびセキュリティ上の問題を解決できるようにガバナンスフレームワークが変更されます。

7. 高度な分析と予測ガバナンス: 予測分析におけるプロアクティブな意思決定と戦略的プランニングにより、クラウドガバナンスが変わります。

  • 予測リスク管理: 高度な分析を活用して、コンプライアンスやセキュリティに関する懸念を予測して回避します。
  • 使用傾向の予測: 予測手法によって使用傾向を評価し、リソースの需要を予測してキャパシティプランニングを最適化します。
  • ガバナンスのKPIと評価基準: 改善されたダッシュボードとレポートにより、コンプライアンス、コスト効率、セキュリティに関する実用的なインサイトが得られ、継続的な開発が可能になります。
HPE Morpheus、ゼロトラスト、OpsRampとクラウドガバナンスの関連性

HPE Morpheus、ゼロトラスト、OpsRampとクラウドガバナンスの関連性

HPE Morpheus、Zero Trust、OpsRampは相互に関連するアイデアであり、特にハイブリッド/マルチクラウドのコンテキストにおいて、現在のクラウドガバナンス手法に影響を与えます。相互関連の仕組みは次のとおりです。

 

1. HPE Morpheusとクラウドガバナンス

  • 統合ハイブリッドクラウド管理: HPE Morpheusは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、コンテナプラットフォーム (Kubernetes) などのさまざまなITインフラストラクチャに対して単一のコントロールプレーンを提供する、ハイブリッドクラウド管理プラットフォームです。効果的なクラウドガバナンスには、一元的な可視性と制御が必要です。
  • ポリシーの適用とガードレール: Morpheusにより、企業はハイブリッドクラウドエコシステム内のコスト管理、セキュリティ、コンプライアンス、リソースプロビジョニングに関するガバナンスポリシーを確立して実装できます。クォータとアクセス制限の設定、承認済みテンプレートの使用を一貫して行います。
  • ガバナンスの自動化: Morpheusは、プロビジョニング、ワークロードの展開、ライフサイクル管理を自動化することで、手動操作なしに一貫したガバナンスポリシーを確立し、ミスやポリシー違反を排除します。
  • コスト管理と最適化: Morpheusは、企業がクラウド支出を管理し、効率化の機会を評価し、財務ガバナンスに予算規制を適用するためのコストを分析します。
  • ガバナンスを備えたセルフサービス: Morpheusは、IT、セキュリティ、財務パラメータを維持しながら開発者がインフラストラクチャにアクセスできるようにすることで、アジリティと制御のバランスを取ります。

2. ゼロトラスト、クラウドガバナンス:

  • ガバナンスのセキュリティ基盤:ゼロトラストは、「決して信頼せず、常に検証する」原則に基づいています。場所に関係なく、ユーザー、デバイス、ネットワークの通信はすべて信頼できないものとみなします。これは、安全で法令に準拠したリソースアクセスに関するクラウドガバナンスの原則に従って行われます。
  • きめ細かいアクセス制御: 最小権限アクセスなど、ゼロトラストの考え方では、ユーザーとアプリケーションに必要な権限のみを付与することでセキュリティ侵害を防ぎ、クラウドガバナンスを合理化します。
  • 継続的な監視と検証: ゼロトラストでは、アクセスパターンとセキュリティの脆弱性をリアルタイムで可視化できるため、クラウドガバナンスにおけるプロアクティブなアクションが可能になります。
  • IDとデバイスのガバナンス: ゼロトラストは、クラウドガバナンスのために強力なID検証とデバイス認証を要求し、承認された組織のみがリソースにアクセスできるようにします。
  • マイクロセグメンテーション: ゼロトラストの重要な要素であるマイクロセグメンテーションを実装すれば、クラウド内のワークロードとリソースを分離し、攻撃者の横方向の移動を制限し、各セグメントに適切なセキュリティ標準を課すことで、ガバナンスを実現することができます。

3. OpsRampとクラウドガバナンス:

  • OpsRamp: 可視性、監視、自動化機能を備えた、ハイブリッド/マルチクラウド環境でIT運用を管理するためのプラットフォームです。目に見えないものは規制できないため、効果的なクラウドガバナンスには広範な可視性が求められます。
  • 監視とアラートの統合: OpsRampは、クラウドプロバイダーとオンプレミスシステムによる監視と通知を統合し、運用状況とガバナンスの懸念事項を一元的に把握できるようにします。
  • AIOpsによるプロアクティブなガバナンス: OpsRampは、AIと機械学習を使用して異常を検出し、問題を予測し、修復を自動化し、クラウドリソースがガバナンス要件に準拠していることを確認します。
  • コンプライアンスとセキュリティインサイト: OpsRampは、クラウドリソースのセキュリティとコンプライアンスに関するインサイトを提供することで、規制や企業ルールの遵守を支援します。
  • 運用効率とガバナンスの自動化: OpsRampの自動化機能は、ベストプラクティスを適用して通常のプロセスを自動化し、一貫性を確保し、ガバナンス要件の遵守を保証します。

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