クラウドデータベース
クラウドデータベースとは
クラウドデータベースとは、クラウドインフラストラクチャプラットフォーム上に置かれた、データの集まりのことです。クラウドデータベースは、機能的にはオンサイトのデータベースと変わりませんが、置かれている場所が異なります。
組織がクラウドデータベースに移行する理由
クラウドデータベースのデータはさまざまなサーバーや拠点に分散しており、どこからでもアクセス、照会、変更できます。クラウドを活用すると、クラウドアーキテクチャーによってビッグデータ運用のスピードと柔軟性が向上するというメリットが得られます。
クラウドデータベースによるデータアクセスの変化
ユーザーやアプリケーションにとって、情報はオンプレミスまたはローカルにあるデータベースと同一に見えますが、特に今日の企業で使用されているエンタープライズ規模のデータについては、データを使用、照会、書き込みできるスピードが異なることが明らかになっています。
クラウドデータベースに移行するメリット
クラウドデータベースには、従来のオンサイトデータベースにはないメリットがいくつかあります。クラウドデータベースでは、組織がインフラストラクチャを拡張することなく、データ管理ニーズの増大に対応できます。また、データをすぐに処理することも可能で、データを効率的に分割および提供してユーザーの近くに移動できます。また、次のようなメリットにより、クラウドベースは強力なソリューションとなります。
トラフィック速度: モバイルユーザーとリモートデバイスの大規模なネットワークから、膨大なエンゲージメントとアプリケーションデータが生まれています。そのため、中央の「マスター」データベース経由でアップデートする必要がある従来のデータベースでは拡張と可用性の管理が困難になり、時間もかかります。すべてのアクティビティにこのボトルネックを通過させることでパフォーマンスが低下するだけでなく、マスターデータベースと接続できなくなればパフォーマンスが停止する可能性もあります。
アクセスしやすさ: クラウド上の他の資産と同様に、ユーザーは時間や場所を問わず、あらゆるデバイスからデータベースにアクセスできます。シンプルな接続で、一定のオプションを必要とする従来のLANアクセスよりも効率的にデータがクエリに送られます。
柔軟性: データ量が急増したとき、クラウドデータベースは必要な容量を拡張できます。このような拡張性は、社内スタッフによる監視と調整が必要となる従来のデータベースでは得られません。
リカバリ: (機器の故障、停電など) 障害の種類を問わず、クラウドデータベースがホストされた情報をリモートサーバー経由でバックアップします。それによって情報のセキュリティが確保され、ユーザーがインターネットにアクセスできるようになるとすぐに利用可能になります。
対応範囲: クラウドデータベースは、従属ミドルウェアを導入することなく、世界中のあらゆる場所でデータ管理と要求送信が行えます。基本的にハイブリッドクラウドベースのデータベースは、ユーザーの介入なしに、データを収集、複製、提供してエッジに送ります。また、ハイブリッドクラウドデータベースはアプリケーションを直接データベースに接続できます。
セキュリティ: クラウドデータベースでは、厳重に保護されたオフサイトのウェアハウスにクラウドサーバーがあり、内部ユーザーからも外部ユーザーからも隔離されているため、よりセキュアな環境を実現できます。 また、データ自体が暗号化され、犯罪者がハッキングしにくくなっています。
クラウドデータベースのタイプ
最新の市場レポートによると、米国のクラウドデータベースとDBaaSの市場は2026年までに大幅に拡大する見込みです。BFSIや医療などの部門、および米国内にあるセキュアで高度な技術的ITインフラストラクチャにより、自動化されたクラウドデータベース管理のニーズが増大しています。
それでもまだ、独立データベースとDatabase as a serviceの2つのモデルが市場を独占しています。
独立データベース
独立データベースとは、クラウドに置かれている仮想マシンのイメージから、ユーザーが直接実行できるデータベースのことです。これは、基盤となるインフラストラクチャ、データ整合性、セキュリティを維持するのに十分なITスタッフと帯域幅を持つ組織に人気のあるモデルです。独自のクラウドデータベースを運用することで、データ管理の完全な制御を維持しつつ、運用コストを削減できます。
DBaaS
一方、DBaaSは、すべての管理、メンテナンス、およびセキュリティ作業を行うサードパーティプロバイダーによって運用されます。データベースに同時にアクセスするユーザーの拡張と可用性の管理もサービスに含まれます。
DBaaSでは、迅速かつ安定したパフォーマンスを求めるアプリケーション開発者、データサイエンティスト、ITアーキテクト、アナリストのデータ主体のニーズにプロバイダーが対応します。また、ユーザーはエンドツーエンドの暗号化とアクセス制御の作業をプロバイダーに委託しつつ、GDPRなどの規制対応のプライバシー要件を遵守できます。
クラウドデータベースソリューション
クラウドでデータベースを管理するソリューションには、Structured Query Language (SQL)「リレーショナル」モデルとNoSQL「非リレーショナル」モデルの2種類があり、それぞれ異なるメリットがあります。
SQLモデル は、データベースに迅速にアクセス、照会、書き込みできることから、開発者や管理者に選ばれています。ほぼすべての機能 (送受信、データベース処理など) がSQAプログラミング言語で実行できます。さらに、SQLモデルはビジネスインテリジェンスツールとしてもデータ処理にメリットをもたらします。
一方、 NoSQL非リレーショナルモデル には、構造化データと非構造化データの両方を保存できます。NoSQLデータベースは大量のデータを高速で処理でき、クラウドの構造を最大限に活用してダウンタイムをほぼゼロに抑えます。このソリューションは、スケーラブルで管理者が簡単に使用できるものを目標に構築されます。
データベースをクラウドに移行する方法
すべてのクラウド移行と同様に、データベースをクラウドに移行し、事前に効率的かつ反復的なプランニングを行うことで、最も成功に近づくことができます。現在のデータ環境、そのリスクと課題、移行の妨げとなるものを評価します。また、セキュリティやコンプライアンス上、オンプレミスで保持しなければならないデータベースは移行しないようにします。概念実証の作成は、移行プロセスに取り組む際に潜在的な課題やリスクを明らかにするのに役立ちます。
チームで利用できるETL (抽出、変換、ロード) ツールにより、移行プロセスのペースダウンにつながる冗長な作業を自動化できます。また、データがクラウド環境にロードされる際に、個人情報を削除してエラーを検知することも可能です。クラウドに読み込む前にデータのレビューとクレンジングを行うことで、白紙の状態から作業できるようになります。新しい環境に転送されるとすべてのデータが社内のITガバナンスに準拠した状態になるため、時間はかかるものの重要なプロセスです。
組織のデータベースのボリュームとサイズにより、クラウドへの最初のロードが完了するまで数日かかることがあります。その後改めて、有効性、正確性、完全性を確認する必要があります。最後のプロセスの1つが、権限とセキュリティ設定の移行です。クラウドプロバイダーが環境のセキュリティに責任を負い、組織が環境内のデータの整合性に責任を負います。
クラウド移行は時間がかかり、時に困難なプロセスです。しかし、効率的なプランニング、準備、途中の頻繁なチェックを行えば、データと組織の整合性を維持することは難しいことではありません。
HPEのクラウドデータベースソリューション
多くの企業では、従来型インフラストラクチャがハイパフォーマンスデータベースの基盤となっています。しかし、サイロ化されたデータセンター運用が、ITチームのデータベース管理において大きな課題となっています。分離されたワークロードの管理は、煩わしい手動のプロセス、高額のメンテナンスコスト、データベースのスプロール化、セキュリティリスクの増大につながります。 HPE GreenLake Edge-to-Cloudプラットフォーム は、こうした問題を軽減するオプションを複数用意しています。
HPE GreenLake with Nutanix Era for databases はオンプレミスのデータベース運用を簡素化し、データベースの展開と管理をワンクリックで行えるようにします。選択したHPEのリファレンステクノロジーに基づいて、わずか数分のうちにデータベースのプロビジョニング、クローニング、パッチ適用、更新、およびバックアップが行える、単一のシンプルな管理プラットフォームに分離されたワークロードを統合できます。
HPE GreenLake for SAP HANA は、ワークロード、パフォーマンス、可用性の目標を達成するように構成 (アプライアンスまたはTDI、オペレーティングシステム、含まれるサービス) を選択できる、SAP®認定インフラストラクチャを提供します。HPE GreenLakeプラットフォームで提供されるSAP HANA Enterprise Cloudカスタマーエディションを使用すれば、SAP環境をオンプレミスで維持しながらクラウド機能を活用して、SAP S/4HANA®への移行を促進できます。
HPE GreenLakeでは、EDB Postgresを搭載したオープンソースのデータベースプラットフォームによってエクスペリエンスを簡素化し、総所有コスト (TCO) を大幅に削減することも可能です。 EDB Postgres プラットフォームは、構造化および非構造化マルチモデルデータの管理、既存システムとの接続、複数環境への迅速な展開に必要な機能を提供します。構造化データと非構造化データの管理に必要となるすべてのコンポーネントが統合モデルに組み込まれた、業界初の統合型オープンソースベース運用データ管理プラットフォームです。
HPE GreenLake for Microsoft SQL Server は、オンプレミスでターンキーのクラウドエクスペリエンスを提供することで価値実現時間を短縮する、ワークロードに最適化されたPlatform as a serviceソリューションです。事前サイジング済みの構成で、さまざまなニーズに応じた可用性、パフォーマンス、機能性、コストを実現する設計となっています。