ブロックストレージ

ブロックストレージとは

ブロックストレージは、データストレージの最も簡単な形式であり、主にストレージエリアネットワーク (SAN) やクラウドストレージ環境で使用されます。固定サイズのブロックとして保存されており、ファイルに簡単にアクセスしてすぐに (または頻繁に) 編集できます。 通常よりも複雑でコストがかかりますが、こうしたシステムに保存されたデータには、OSのパフォーマンスに影響を与えることなく簡単にアクセスできます。

ブロックとは

データの塊をブロックと呼びます。各ブロックは、一定の長さでデータを区切ることで作成されます。SANはこれらのブロックに、検索プロセスを支援する際の目印となる一意の識別子を与えます。データのブロックごとに識別子が付けられるため、データはSAN内のあらゆる場所に配置できます。そのためSANは任意の場所にデータを保存できますが、通常は最も効率的な場所に保存します。

 

SANとは

ストレージエリアネットワーク (SAN) では、ブロックレベルの形式で保存されているデータにアクセスできます。SANは、ブロックを異なる階層に分割し、オールフラッシュストレージとしてパーティショニングとフォーマットを行うことで、高スループットと低レイテンシを実現します。また、障害が発生した場合は分離することでデータを保護し、システム全体の効率を維持します。

ブロックストレージの活用

ブロックストレージシステムは、遅延を最小限に抑える必要がある、ネットワークベースのタスクやワークロードの最適化に使用されます。データブロックを構成してボリュームを作成すると、各ボリュームがハードドライブとして機能します。ボリュームはストレージ管理者によって管理され、タスクや分析を実行するために使用されます。 仮想マシン、ファイリングシステム、クリティカルなアプリケーション、データベースはいずれも、ブロックストレージの代表的なユースケースです。

 

ブロックストレージのメリットとデメリット

ブロックストレージには、効率化ハイパフォーマンス機能などのメリットがあり、多くのエンタープライズ環境にとって最適な選択肢となります。ブロックストレージは拡張性に優れており、組織がパフォーマンスを犠牲にすることなくストレージを追加する必要があるときに、スムーズに拡張できます。

この保存形式では、ファイルの更新や修正が効率的に行えます。ファイルの変更が必要になると、システムは、ファイル全体を書き換えることなく、そのブロックだけを変更できます。他のデータストレージシステムには、この選択肢はありません。またブロックストレージは、ブロック構造内の一意の識別子により、低レイテンシで動作します。

一方で、ブロックストレージシステムは特定の単一サーバーに接続されているため、他のサーバーに同時に接続する機能は著しく制限されています。こうした接続を確立するには追加ソフトウェアが必要となりますが、それによって全体のパフォーマンスが低下します。このデメリットがあるために、マルチレベルの接続を必要とする組織の多くがブロックストレージを利用していません。

組織は、従来のブロックストレージシステムを利用するにあたって十分な予算を確保する必要があります。これは、システムメンテナンスのために専門の管理者を雇用する費用だけでなく、最初の構築に必要な投資など、多額のコストが発生するためです。一方、サービスとして提供される最新のブロックストレージなら、企業は前払いで設備投資をしたり、専門のITスタッフを雇用したりすることなく、ブロックストレージの機能を柔軟に活用できます。

ファイルストレージ、ブロックストレージ、オブジェクトストレージの違い

ファイルストレージ

ファイルストレージは段階的なシステムを利用しており、通常はブロックストレージよりも簡単に使用できます。ファイルストレージシステムでファイルを検索するプロセスは簡単で、ユーザーインターフェイスにアクセスし、ファイル名、URL、またはフォルダー内の保存場所で検索するだけです。ブロックストレージでSANがファイルを検索するには、データのブロックを組み合わせる必要があります。 

 

ブロックストレージ

ブロックストレージは柔軟性とパフォーマンスに優れています。この点がファイルストレージシステムとは異なります。ただし、ブロックストレージは最もコストが高く、ワークロードが多いストレージシステムです。

オブジェクトストレージ

オブジェクトストレージ は、最もスケーラブルで低コストのストレージオプションです。また、3つのデータストレージタイプの中で最も信頼性と効率が高くなります。ただし、オブジェクトストレージシステムではファイルを編集できません。変更が必要になった場合は、ファイルを完全に書き換える必要があるのに対し、ファイルストレージではいつでも編集や更新が可能です。

 

ブロックストレージのユースケース

サービス業界では利益が縮小し続けており、サービスプロバイダーはイノベーションを推進してワークフローと利益の効率を高める必要があります。この目標を達成する方法の1つが、ストレージの容量と要件を最適化することです。ブロックストレージを使用すれば、ファイル編集機能を必要とする組織がデータに迅速かつ確実にアクセスできるようになります。

SAPやOracleなどの大多数のミッションクリティカルなアプリケーション、または取引、e-コマース、顧客関係管理 (CRM)、マーケティング自動化を含むワークロードを実行するには、組織のインフラストラクチャ内でブロックストレージシステムを利用する必要があります。そうしたミッションクリティカルなアプリケーションの実行では、迅速な応答が求められます。こうした状況で、企業にこのタイプのストレージソリューションが好まれるのは、高効率、ハイパフォーマンス機能、低レイテンシといった特徴があるからです。

一部の組織は、ブロックストレージをオブジェクト/ファイルストレージの基盤として利用し、迅速な拡張やデータストレージニーズの変化に対応しています。オブジェクト/ファイルストレージと組み合わせて使用する場合、ブロックストレージがストレージソリューションの基盤となり、データ構造を簡素化して、タスクごとにワークロードを必要なシステムに自動的に割り当てます。

一部のアプリケーションではサーバー側の処理が必要となり、その処理要求において、ユーザー認証と内部ページナビゲーションが求められますが、ブロックストレージシステムだけがそれに対応できます。たとえば、Javaなどのアプリケーションを実行する際にこのシステムが必要となります。それによって組織内のセキュリティを強化できます。

ハイパーバイザーが仮想マシン (VM) 内でブロックストレージを利用するのは、その構造上、複数のマシンに分散できるためです。組織が仮想マシンでハイパーバイザーとブロックストレージシステムを利用する場合、VMは高速かつ低レイテンシを実現して処理能力を向上させることができます。

 

HPEとブロックストレージ

HPEは、エッジからクラウドまでのデータおよびデータインフラストラクチャのシームレスなクラウドエクスペリエンスにより、場所を問わずデータを最大限活用できるようにサポートする、高度なブロックストレージソリューションを提供しています。

HPE GreenLake for Block Storageは、セルフサービスのアジリティを提供するとともに、ミッションクリティカルなアプリケーションで100%の可用性を保証する、業界初のサービスとしてのブロックストレージです。このソリューションでは、事業部門やアプリケーションの管理者が、専門知識がなくても属性に基づいてすぐに見積もりを作成して短時間で発注し、自らストレージをプロビジョニングできます。また業界をリードするインフラストラクチャ向けのAIOpsであるHPE InfoSightにより、アプリケーションの常時稼働と常時高速が実現します。

HPE Alletraは、HPE GreenLake Edge-to-Cloudプラットフォームを基盤とするクラウドネイティブなデータインフラストラクチャです。データの場所を問わず、クラウド運用/利用のエクスペリエンスを提供します。従来型から最新型までのあらゆるアプリケーションに対応するHPE Alletraでは、ワークロードに最適化されたシステムによって従来型ストレージ管理の複雑性を排除し、柔軟な設計が可能になります。また、クラウド全体でのデータ移動も可能になり、ハイブリッドクラウドの可能性を最大限に引き出します。

HPE GreenLake Edge-to-Cloudプラットフォームでは、クラウド運用のエクスペリエンスによって複雑さやサイロが解消され、エッジからクラウドまでのデータ主導のモダナイゼーションを推進できます。また企業は、クラウド運用のアジリティ、従量制のデータサービス、妥協せずにあらゆるアプリケーションを実行できる柔軟性を兼ね備えた、シームレスなクラウドエクスペリエンスを活用できます。HPEのソリューションは、コスト最適化型、バランス型、パフォーマンス型から選択できる、モジュール式のストレージ構成となっており、お客様はインフラストラクチャの管理から解放され、SLAに合わせて必要なインフラストラクチャをサービスとして利用できます。