
ブロックストレージ ブロックストレージとは
ブロックストレージは、クラウドコンピューティングやエンタープライズIT環境でよく使用されている、最もシンプルな形態のデータストレージです。「ブロック」と呼ばれる、固定サイズのチャンクにデータを保存します。各ブロックにはそれぞれ一意の識別子があり、それによってストレージシステムがデータに効率的にアクセスして取得できます。

- ブロックストレージのメリット
- ブロックストレージのメリットとデメリット
- ファイルストレージ、ブロックストレージ、オブジェクトストレージの違い
- ブロックストレージの一般的なユースケース
- HPEのブロックストレージ製品
ブロックストレージのメリット
ブロックストレージにはさまざまなメリットがあり、多くの企業が選択しています。
- 最小単位: データは固定サイズ (通常は512バイトまたは4KB) のブロックに分割されるため、ストレージをきめ細かく制御できます。
- パフォーマンス: ブロックストレージは高パフォーマンスと低レイテンシという特徴があり、データベースや仮想マシンファイルシステムなど、高パフォーマンスを必要とするアプリケーションに最適です。
- 柔軟性: ブロックは個別にアクセスして変更できるため、効率的なストレージ管理と最適化が可能になります。
ブロックストレージのメリットとデメリット
ブロックストレージはその効率性と高性能により、多くのエンタープライズ環境にとって最適な選択肢となります。さらに、ブロックストレージは拡張性に優れており、組織がパフォーマンスを犠牲にすることなくストレージを追加する必要があるときに、スムーズに拡張できます。
この保存形式では、ファイルの更新や修正が効率的に行えます。ファイルの変更が必要になると、システムは、ファイル全体を書き換えることなく、そのブロックだけを変更できます。他のデータストレージシステムには、この選択肢はありません。またブロックストレージでは、ブロック構造内の一意の識別子により、低レイテンシでの運用が実現します。
従来のブロックストレージシステムでは、設備投資とシステムのメンテナンスのための専門の管理者の両方が必要となり、多額のコストがかかる可能性があります。一方、サービスとして提供される最新のブロックストレージなら、企業は前払いで設備投資をしたり専門のITスタッフを雇用したりすることなく、ブロックストレージの機能を柔軟に活用できます。
ファイルストレージ、ブロックストレージ、オブジェクトストレージの違い
- ファイルストレージ: 段階的なシステムを利用しており、通常はブロックストレージよりも簡単に使用できます。ファイルストレージシステムでファイルを検索するプロセスは簡単で、ユーザーインターフェイスにアクセスし、ファイル名、URL、またはフォルダー内の保存場所で検索するだけです。ブロックストレージでSANがファイルを検索するには、データのブロックを組み合わせる必要があります。
- ブロックストレージ: 柔軟性とパフォーマンスに優れています。この点がファイルストレージシステムとは異なります。
- オブジェクトストレージ: 最もスケーラブルで低コストのストレージオプションです。また、3つのデータストレージタイプの中で最も信頼性と効率が高くなります。ただし、オブジェクトストレージシステムではファイルを編集できません。変更が必要になった場合は、ファイルを完全に書き換える必要があるのに対し、ファイルストレージではいつでも編集や更新が可能です。
ブロックストレージの一般的なユースケース
ブロックストレージは、さまざまな業界やアプリケーションにおける幅広いユースケースに適したソリューションです。
データベース:
- リレーショナルデータベース: ブロックストレージは、低レイテンシと高IOPS (1秒あたりに読み書きできる回数) という特徴があり、MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Serverなどの高性能リレーショナルデータベースに最適です。
- NoSQLデータベース: ストレージへの安定した高速アクセスを必要とする、MongoDB、Cassandra、Redis などのNoSQLデータベースにも適しています。
仮想マシン (VM):
- ハイパーバイザー: ブロックストレージは、VMware ESXi、Microsoft Hyper-V、KVMなどのハイパーバイザーで仮想マシンディスクイメージの保存にもよく使用されています。
- クラウドインスタンス: クラウドサービスプロバイダーはブロックストレージを使用して、AWS EC2、Google Compute Engine、Azure VMなどの仮想マシンインスタンスに永続ストレージを提供しています。
エンタープライズアプリケーション:
- ERPおよびCRMシステム: SAP、Oracle ERP、Salesforceなどの大規模なエンタープライズアプリケーションは、ブロックストレージのパフォーマンスと信頼性というメリットが得られます。
- コンテンツ管理システム: Drupal、WordPress、SharePointなどのシステムでは、バックエンドデータベースとファイルストレージのニーズに合わせてブロックストレージを利用できます。
ハイパフォーマンスコンピューティング (HPC):
- 科学的シミュレーション: 物理学、気候モデリング、ゲノム解析のシミュレーションなど、大規模なデータセットへの高速アクセスを必要とするHPCアプリケーションは、ブロックストレージの高スループットと低レイテンシというメリットが得られます。
- ビッグデータ分析: Apache HadoopやApache Sparkなどのプラットフォームは、ハイパフォーマンスデータ処理のニーズに合わせてブロックストレージを利用できます。
バックアップとディザスタリカバリ:
- スナップショットとクローン: ブロックストレージシステムの多くは、スナップショットやクローンなどの機能をサポートしています。こうした機能は、バックアップの作成や、データの損失や破損が発生した場合の迅速なリカバリに役立ちます。
- レプリケーション: データをさまざまな場所に複製しておくことで、災害発生時に可用性と継続性を確保できます。
開発とテスト:
- DevOps環境: ブロックストレージを使用すると、開発用とテスト用で分離された環境をセットアップできるため、リソースの迅速なプロビジョニングと解体が可能になります。
- 継続的インテグレーション/継続的デプロイメント (CI/CD): ビルドアーティファクト、テストデータ、その他のリソースをブロックストレージに保存することで、CI/CDパイプラインを合理化できます。
ファイルシステム:
- 高性能ファイルシステム: ブロックストレージは、NTFS、ext4、XFSなどの高性能ファイルシステムのサポートに使用でき、複数のサーバー間で共有されます。
- クラスター化ファイルシステム: GlusterFSやCephなどのファイルシステムは、ブロックストレージを使用して、スケーラブルな分散型ファイルストレージソリューションを提供できます。
トランザクションアプリケーション:
- 電子商取引プラットフォーム: MagentoやShopifyなどの電子商取引プラットフォームのオンライントランザクション処理 (OLTP) システムには、ブロックストレージが提供する優れたパフォーマンスと信頼性が必要となります。
- 金融システム: 取引プラットフォームや銀行システムなどの金融取引を処理するアプリケーションでは、ブロックストレージによって提供される低レイテンシアクセスというメリットが得られます。
ブロックストレージは、要求の厳しいさまざまなアプリケーションやユースケースに求められるパフォーマンス、スケーラビリティ、信頼性を提供します。
HPEのブロックストレージ製品
HPEは、エッジからクラウドまでのデータおよびデータインフラストラクチャのシームレスなクラウドエクスペリエンスにより、場所を問わずデータを最大限活用できるようにサポートする、サービスとして提供される最新のブロックストレージソリューションを提供しています。
HPE GreenLake for Block Storage B10000は、セルフサービスのアジリティを提供するとともに、ミッションクリティカルなアプリケーションで100%の可用性を保証する、業界初のサービスとしてのブロックストレージです。AI主導の直感的なクラウドエクスペリエンスを提供するこのソリューションは、インテリジェントなセルフプロビジョニングと中断のない拡張により、事業部門とアプリケーションの管理者を支援します。また、ハイブリッドクラウド全体のあらゆるSLAに対応し、大規模環境でも常時高速のパフォーマンスと超低レイテンシを実現します。
クラウドネイティブなデータインフラストラクチャであるHPE Alletraは、データの場所を問わず、その運用と利用にクラウドエクスペリエンスをもたらします。HPE GreenLake Edge-to-Cloudプラットフォームを活用し、従来型から最新型までのあらゆるアプリケーションに対応するHPE Alletraでは、従来型ストレージ管理の複雑性を排除し、柔軟な構成が可能になります。
HPE GreenLakeを利用すれば、クラウド運用のエクスペリエンスによって複雑さやサイロが解消され、エッジからクラウドまでのデータ主導のモダナイゼーションを推進できます。また企業は、クラウド運用のアジリティ、従量制のデータサービス、妥協せずにあらゆるアプリケーションを実行できる柔軟性を兼ね備えた、シームレスなクラウドエクスペリエンスを活用できます。インフラストラクチャの管理が不要になり、あらゆるSLAに対応しながらオンデマンドでサービスとしてインフラストラクチャを利用できるようになります。