コンピュートプラットフォーム

コンピュートプラットフォームとは

コンピュートプラットフォームとは、ソフトウェアの実装が行われるデータ環境のことです。このプラットフォームは、ソフトウェアの実行が行われるコンピューターの、オペレーティングシステム (OS) フレームワークまたは物理特性ハードウェアアーキテクチャーのいずれかで構成されます。

コンピュートプラットフォームのさまざまなタイプ

今日のコンピュート環境では、最新と従来の両方のさまざまなコンピュートプラットフォームが利用されており、ハードウェアプラットフォームからクラウドプラットフォーム、そしてPlatform as a serviceまで、あらゆる環境およびあらゆるアプリケーション向けのコンピュートプラットフォームがあります。

  • ハードウェアプラットフォームは、互換性のある多数のハードウェアコンポーネントから成るデータアーキテクチャー内で動作し、従来型のコンピュートシステムで多く見られます。通常は、企業のデータアーキテクチャーの寿命にわたって互換性を遡ることができます。
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  • クラウドプラットフォームは、ソフトウェアとサービスのどちらであるかにかかわらず、クラウド環境でのアプリケーションの作成および展開に利用されています。
  • Platform as a service (PaaS) は、クラウドベースのサービスの開発および展開のための完全なパッケージで構成されています。組織が自社のアプリケーションをホスティングしソフトウェアを実行するために必要とされる完全なアーキテクチャーが提供されるため、Platform as a serviceはコンピュート環境サービスとして急速に普及しています。
  • クライアント/サーバープラットフォームは、物理Webサーバー上でコンピュートインフラストラクチャと容量を提供します。オンサイトで利用されるため、アクセスする必要がある場合やセキュリティ上の理由で、ハードウェアには即座にアクセスできます。

コンピュートプラットフォームの仕組み

コンピュートプラットフォームの主要な目的は、ソフトウェアとアプリケーションの展開や管理に必要とされるアーキテクチャーを提供することです。このシステムでは、プログラムやアプリケーションを実行するためのハードウェア (デバイスなど) とOSの両方が必要です。プログラムやアプリケーションを実行するには、それをホスティングするためのプラットフォームが必要であり、そうした状況で役に立つのがコンピュートプラットフォームです。

コンピュートプラットフォームはいくつかのコンポーネントを通じて機能します。その時点でのタスクを達成するには、各コンポーネントがさまざまな環境で必要とされます。さまざまな環境で必要とされるプラットフォームコンポーネントの例を以下に示します。

· ハードウェアはコンピュートプロセスに欠かせない要素であり、組み込みシステムを通じてのみアクセスできます。このコンピュートプロセスは多くの場合「ベアメタルの実行」と表現されます。

· ブラウザーはWebベースのソフトウェアを実行するために不可欠な要素として機能し、具体的にはブラウザー自体内でソフトウェアをホスティングします。これには、OS上で実行されるブラウザーのプロセスは含まれません。

· フレームワークは、コンピュートを行うために必要とされる実際のインフラストラクチャを提供します。すぐに使用できるフレームワークや制約があるフレームワークもありますが、非常に特殊な要件を伴うコンピュート環境に含めるには適切な要素です。

· 仮想化コンピュートプラットフォームには、特定のプログラムが通常の境界外で実行されるようにするハードウェア、OS、ソフトウェア、およびストレージが含まれています。たとえば、仮想化バージョンでは、MacネイティブのアプリケーションをWindows PC上で実行するための構造が提供されることがあります。

今日のITインフラストラクチャにおけるコンピュートプラットフォームの拡張性の重要性とは

コンピュートプラットフォームは、今日のITインフラストラクチャにおいて重要な役割を果たしており、組織が自社のデジタルサービス、アプリケーション、データ処理システムを構築および実行する基盤となっています。コンピュートプラットフォームが重要である理由のいくつかを以下に示します。
  • パフォーマンスと拡張性: コンピュートプラットフォームにより複雑なアクティビティの効率的な実行に必要な処理能力とリソースが提供されるため、企業は運用を拡大し、ハイパフォーマンスコンピューティングを実現できるようになります。
  • 柔軟性とアジリティ: クラウドベースのコンピュートプラットフォームにおり、リソースがオンデマンドで割り当てられるため、迅速なアプリケーション配備、容易な拡張性、変化するビジネスニーズに適応する能力を実現できます。
  • コスト最適化: コンピュートプラットフォームでは、ハードウェアへの先行投資がなくなり、従量制課金などの柔軟な課金モデルが提供されることで、コスト節減のメリットがもたらされるため、全体的なコストの削減につながります。
  • アクセシビリティとコラボレーション: クラウドベースのコンピュートプラットフォームでは、リモートアクセスや地理的に分散した複数のチーム間でのコラボレーションが可能になるため、効率的なワークフローやリアルタイムでのプロジェクトコラボレーションが推進されます。
  • 信頼性とディザスタリカバリ: コンピュートプラットフォームには冗長性やディザスタリカバリメカニズムなどの機能が組み込まれているため、データとクリティカルシステムが保護され、ダウンタイムが最小限に抑えられ、事業継続性が確保されます。
  • イノベーションと実験: コンピュートプラットフォームでは、創造性をかき立て、新たなアプリケーションやサービスの迅速な開発や立ち上げを可能にするツール、フレームワーク、およびサービスが提供されます。

つまり、コンピュートプラットフォームは、組織がデジタル環境や相互接続環境の要求に応えることを可能にするため、今日のITインフラストラクチャにおいて不可欠です。

従来型のコンピュートプラットフォームとは

従来型のコンピュートプラットフォームとは、組織が自社の物理的なデータセンター内で配備および管理するオンプレミスのインフラストラクチャを指します。従来型のコンピュートプラットフォームの2例を以下に示します。

  • ベアメタルサーバー: ベアメタルサーバーはハードウェアリソースへの直接アクセスを提供し、ハイパフォーマンスを提供し、最大限の制御、セキュリティ、および特定のワークロードに対するカスタマイズが可能です。
  • 仮想化テクノロジー: ハイパーバイザーによって、単一のサーバー上で複数のオペレーティングシステムとアプリケーションを実行できるため、リソース使用率が最適化され、ハードウェアの抽象化による柔軟性が提供されます。

従来型のコンピュートプラットフォームでは、組織は自社のインフラストラクチャを完全に制御できますが、高いコストとメンテナンスという課題に直面します。クラウドベースのソリューションに移行することで、拡張性、コスト効率、マネージドサービスが提供されるため、組織でのクラウドコンピューティングの活用が促進され、アジリティが向上し、支出が削減されます。

クラウドコンピュートプラットフォームとは

クラウドコンピュートプラットフォームとは、組織が自社のアプリケーションやプロセスをクラウドベースの環境で実行されるようにするために、クラウドサービスプロバイダーによって提供されるインフラストラクチャとサービスを指します。クラウドコンピュートプラットフォームの3つのタイプの概要を以下に示します。

    - 仮想マシン: IaaSプラットフォームでは、組織が仮想マシンを作成および管理でき、オペレーティングシステムとソフトウェアスタックを制御できます。

    - ストレージ: スケーラブルなストレージソリューションがIaaSプラットフォームによって提供されるため、データの格納と取得を効率的に行うことができます。

    - ネットワーキング: IaaSでは仮想ネットワーク、ロードバランサー、ファイアウォールが提供されまるため、セキュアな接続を確立し、ネットワークトラフィックを管理することができます。

    - アプリケーション配備: PaaSプラットフォームでは、事前構成済みの環境と自動化されたプロセスにより、アプリケーション配備が簡素化されます。

    - 開発ツールとフレームワーク: PaaSでは、アプリケーション開発のためのさまざまなプログラミング言語、ライブラリ、およびツールが提供されます。

    - 拡張性とロードバランシング: PaaSでは、増大したトラフィックやワークロードを収容できるように、アプリケーションの自動スケーリングとロードバランシングが処理されます。

    - メリット: PaaSでは、迅速な開発サイクル、簡素化された配備、自動拡張、およびインフラストラクチャ管理の削減が提供されます。

  • Function as a service (FaaS)

    - イベント駆動型アーキテクチャー: サーバーレスプラットフォームでの機能は、HTTPリクエストやデータベース更新などのイベントによってトリガーされます。

    - 自動拡張: サーバーレスプラットフォームでは、需要に基づいて機能が自動的にスケーリングされ、リソース使用率が最適化されます。

    - 従量制課金: 実際の実行時間と機能の実行によって消費されたリソースに対してのみ組織に課金されます。

    - メリット: サーバーレスプラットフォームでは、運用の複雑さが軽減され、コストが最適化され、自動拡張が提供され、迅速な開発と配備が可能になります。

    - 留意事項: コールドスタートの遅延および機能の実行時間とリソースの使用量に関する制限事項の可能性を考慮する必要があります。

クラウドコンピュートプラットフォームでは、アプリケーションをクラウドで構築、配備、拡張するために必要となる柔軟性、拡張性、コスト効率が提供されます。

コンテナコンピュートプラットフォームとは

コンテナコンピュートプラットフォームは、コンテナ化テクノロジーとコンテナオーケストレーションプラットフォームを中心として展開されています。それらについてもう少し詳しく説明します。

  • コンテナ化テクノロジー (Dockerなど):

    - 隔離: コンテナではプロセスレベルの隔離が提供されるため、干渉されることなく独立してアプリケーションを実行できます。

    - ポータビリティ: コンテナは、コンテナ化テクノロジーがサポートされているどのシステムにでも展開できるため、一貫性のある動作を確保できます。

    - リソース効率: コンテナは軽量であり、ホストシステムのカーネルを共有し、効率的なパフォーマンスになるようにリソース使用率を最適化さします。

  • コンテナオーケストレーションプラットフォーム:

    - Kubernetes: コンテナの展開、スケーリング、および管理を自動化するオープンソースのプラットフォームであり、サービスディスカバリー、ロードバランシング、ローリングアップデート、自己修復などの機能を提供します。

    - Docker Swarm: Dockerにバンドルされているコンテナオーケストレーションプラットフォームであり、クラスター化、サービスディスカバリー、スケーリング、ローリングアップデートの機能により、複数のノードにわたってコンテナ化アプリケーションの展開と管理を簡素化します。

   - その他のコンテナオーケストレーションソリューションでも同様の機能を提供し、クラウド特有の機能や統合が追加されています。

コンテナコンピュートプラットフォームを使用すると、スケーラブルで一貫性がある方法でアプリケーションを構築および配備でき、コンテナ化とオーケストレーションテクノロジーのメリットを活用できます。

 

量子コンピュートプラットフォームとは

  • 量子コンピューティングの概要:

量子コンピューティングでは、複数の状態で同時に存在できる量子ビットを利用して複雑な計算が従来のコンピューターよりも効率的に行われるため、計算量的に困難な問題を解決できる可能性がもたらされます。

  • 量子コンピューティングに関する課題:

量子コンピューティングはまだ開発の初期段階であり、次のような克服すべき課題があります。

    - 量子ビットの安定性: 量子ビットの安定性を維持することと誤りを低減することは、ノイズと環境外乱により困難です。

    - 拡張性: 量子システムを、実用的なアプリケーションで従来のコンピューターを上回るレベルまでスケーリングすることは、重要な課題のままです。

    - 誤り訂正: 効果的な誤り訂正コードとフォールトトレラントなシステムを開発することは、量子計算の精度を維持するために極めて重要です。

    - 限定された用途: 暗号処理、最適化、および量子シミュレーション以外の実用的なアプリケーションを特定して開発することは継続的課題です。

ハイブリッドコンピュートプラットフォームとは

  • ハイブリッドクラウドコンピューティング

ハイブリッドクラウドコンピューティングは、オンプレミス インフラストラクチャをパブリック/プライベートクラウドと統合し、拡張性および柔軟性をデータ制御と結び付けます。ワークロードはオンプレミスとクラウドの間で分散されて、ハイブリッドコンピュートプラットフォームが提供されます。

  • オンプレミスとクラウドプラットフォームの統合:

ハイブリッドコンピュートプラットフォームでは、オンプレミス インフラストラクチャとクラウドプラットフォームを統合して一貫性のあるコンピューティング環境を作り出すことを伴います。その統合には次のようなさまざまな形態があります。

    - データ統合: オンプレミスシステムとクラウドの間でデータをシームレスに統合し、データを安全に転送して同期させます。

    - アプリケーション配備: オンプレミス インフラストラクチャとクラウドにまたがってアプリケーションを配備し、それをオンプレミスでホスティングしながら、クラウドコンポーネントを利用して拡張性とアクセシビリティを向上させます。

    - リソースバースト: 需要のピーク時に追加のクラウドリソースを利用し、インフラストラクチャを動的にスケーリングして、通常の運用はオンプレミス インフラストラクチャで行います。

  • ハイブリッドコンピュート環境の管理とオーケストレーション:

ハイブリッドコンピュート環境の管理とオーケストレーションには効果的なツールと戦略が必要です。主要な側面を以下に示します。

    - クラウド管理プラットフォーム (CMP): オンプレミスとクラウドのリソースを一元的に管理および制御し、単一のインターフェイスでそれらのプロビジョニング、監視、管理を行います。

    - 接続とネットワーキング: VPN、専用回線、SDNなどのテクノロジーを使用して、オンプレミスインフラストラクチャとクラウドプロバイダーの間で信頼性が高くセキュアなネットワーク接続を確保します。

    - オーケストレーションと自動化: Kubernetesなどのオーケストレーションツールを使用して、ハイブリッド環境にまたがってコンテナ化されたワークロードを管理し、アプリケーション配備とスケーリングを自動化します。

    - セキュリティとコンプライアンス: アクセス制御、データ暗号化、ID管理、コンプライアンスフレームワークなど、オンプレミスとクラウドの両方のコンポーネントに対するセキュリティとコンプライアンスの要件に対処します。

ハイブリッドコンピュート環境の効果的な管理/オーケストレーションによって、オンプレミスとクラウドの両方のインフラストラクチャにわたってシームレスな統合、リソースの最適化、セキュリティ、および法令遵守を確実に行うことで、両者のメリットを最大限に活用できます。

コンピュートプラットフォーム選択時の留意事項の列挙

コンピュートプラットフォームを選ぶ際に検討すべき3つの主な要因を以下に示します。

  • パフォーマンスと拡張性の要件:

パフォーマンスと拡張性のニーズを評価して、コンピュートプラットフォームがワークロードの需要を満たすことができるようにします。以下の要因を検討します。

    - 処理能力: 代替構成を評価して、プラットフォームのCPU、RAM、およびストレージの選択肢がパフォーマンスの要件を満たしていることを確認します。

    - 拡張性: ワークロードでの変化に応じて拡張できるプラットフォームのキャパシティ、自動スケーリング機能、増大したトラフィックやワークロードのニーズを管理できることなどを検討します。

    - ネットワークのパフォーマンス: 効果的な通信速度を保証するために、プラットフォームのネットワーク接続、帯域幅、レイテンシを評価します。

  • コストと課金モデル:

コンピュートプラットフォームと関連付けられているコスト構造と課金モデルを理解します。以下の点について検討します。

    - 課金モデル: 従量制課金やサブスクリプションベースのプランなど、使用方法に合った課金モデルがプラットフォームで提供されているかどうかを評価します。

    - コスト最適化: 長期的なTCO、初期費用、運用コスト、拡張性やリソース最適化によって可能性がある節減などを検討します。

    - コストの透明性: コンピュートリソース、ストレージ、データ転送、および追加サービスのコストが明確に示されていて、価格構成の透明性が保たれていることを確認します。

  • セキュリティとコンプライアンスに関する留意事項:

コンピュートプラットフォームがセキュリティとコンプライアンスの要件を満たしていることを確認します。以下の点について検討します。

    - データセキュリティ: プラットフォームの暗号化、アクセス制御、データ保護を確保するためのセキュリティ基準への準拠を評価します。

    - コンプライアンス要件: プラットフォームが業界特有の規制やデータ処理要件に適合しているかどうかを判断します。

    - 監査と監視: セキュリティインシデントやコンプライアンス違反を検出および対応するための、プラットフォームのログ機能と監視機能を評価します。

HPEとコンピュートプラットフォーム

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