ソリューション概要
ハイブリッド環境を企業の成長エンジンへ。ビジネスを加速させる「認証統合」の実践法
企業のITシステムはクラウドとオンプレミスが混在するハイブリッド構成が当たり前になりつつあります。さらに、システムやアプリも増え、それぞれの認証がバラバラになっているとユーザーのログインが煩雑になるだけでなく、IT部門にとっても運用の負荷が増大してしまいます。本コラムではバラバラな認証の問題点を整理し、解決策として注目される「統合認証基盤」の役割とメリットについて紹介します。
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気がつけば業務を圧迫している。ハイブリッド環境での認証の問題
DXの進展に伴い、企業のIT環境は急速に多様化しています。SaaSの利用も広がり、さらにパブリッククラウドを活用した新しいアプリケーション(以下、アプリ)も増える一方で、社内のオンプレミスで稼働するレガシーアプリも残り続けています。こうしたクラウドとオンプレミスが混在し、それらが横断的に利用される「ハイブリッド環境」は、いまや多くの企業で一般的になりました。
こうしたハイブリッド環境は企業のITシステムの最適化に大きく寄与するものの、その裏側では、「認証がバラバラになり、利用するための手間が煩雑になる」という重大な問題が生まれています。本来であれば、ユーザーはどのアプリにも同じようにスムーズにアクセスできることが理想です。しかし現実には、アプリごとに求められるログインの手順が異なり、日々の生産性を損ねているケースが少なくありません。たとえば、
- SaaS: IDとパスワードに加えてワンタイムパスワード
- 業務アプリ: IDとパスワードのみ
- レガシーアプリ: 独自のログイン方法
利用するアプリごとにログインの手順が異なると、ユーザーは混乱しやすくなります。パスワード忘れによる再設定や問い合わせも増え、こうした日常的な負担が、ユーザーの生産性低下につながります。
一方で、IT部門でのシステム運用においても大きな負担を生じさせます。SaaS、パブリッククラウド上の業務アプリ、オンプレミスのレガシーアプリそれぞれで認証の仕組みが異なるため、設定の変更や証明書の管理、障害対応といった作業がシステムごとに個別に発生します。その結果、トラブルシューティングは煩雑になり、常に認証関連のメンテナンスに追われがちになります。
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ハイブリッド環境で認証の問題が複雑化する4つの理由
前述したユーザーの生産性低下やIT部門の負荷の増大といった問題は、ハイブリッド環境だからこそ複雑化してしまう必然的な理由が存在します。ここでは、その代表的な4つの点に整理します。
① アプリごとに認証方式が異なる構造的な問題
ハイブリッド環境では、SaaSはOIDC、業務アプリはIDとパスワード、レガシーアプリは独自方式というように、アプリの違いだけでなくクラウド/オンプレミスの動作環境の違いによっても認証方式が異なることがあります。この認証方式の多様性そのものが、複雑化の要因の一つです。
② セキュリティポリシーを統一的に適用できない
SaaSやアプリ側のそれぞれの仕様が制約となり、ITシステム全体で多要素認証やパスキーなど最新の認証方式の導入が難しく、セキュリティポリシーを統一することができません。重要度に応じた認証強度の設定も実現しづらく、企業全体のガバナンス維持が困難になります。
③ 認証の追加・変更にはアプリの改修が必要
認証はアプリの中核機能として深く組み込まれているため、認証方式の変更や新しい機能の追加には、開発、テスト、デプロイといった重い工程が必要です。特にレガシーシステムでは改修自体が不可能な場合もあり、時代に合わせたセキュリティの強化を阻む大きな壁となります。
④ 認証に関する運用の負荷が年々増える
分散した認証方式それぞれに対して、証明書の更新や脆弱性対策のアップデート対応が個別に発生します。これが積み重なり、IT部門での運用コストを増大させる主要因となります。
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ハイブリッド環境での認証の問題を解決する統合認証基盤
ここまで見てきたように、ハイブリッド環境で生じる認証の問題は、単に「ログインが不便」というだけでなく、企業全体の生産性、セキュリティ、そしてIT部門での運用に深く関わります。これを個々のアプリ側で解消するのは現実的ではなく、認証を「基盤として統合する」統合認証基盤の導入が有効な解決策となります。企業が導入を検討すべき統合認証基盤に必要なポイントは、大きく以下の3つに整理できます。
① アプリごとの認証方式の違いを吸収し、一元的に管理できること
アプリごとに異なる認証方式を、統合認証基盤側でまとめて扱えることが重要です。SAML、OIDC、ID・パスワード、独自方式などが混在する環境においても、認証を統合認証基盤側に集約することで、アプリ側の実装に依存せず、認証に関わる設定変更や管理を一元化できます。これにより、アプリごとの個別対応が不要となり、システム運用の負荷を軽減できます。
一方で、認証方式を統合認証基盤側で統一することは、ユーザーの利便性向上にも直結します。アプリごとに異なるログイン方法を意識する必要がなくなり、一貫したログイン体験を提供できるようになります。
さらに、パスキーなどの新しい認証方式を導入する場合でも、統合認証基盤側で対応すれば全てのアプリに展開できるため、コストを抑えかつ迅速に対応できます。
② アプリの重要度に応じて認証強度をコントロールできること
統合認証基盤を導入することで、企業全体のセキュリティポリシーを、アプリ側の制約に左右されず適切に適用できます。具体的には、以下のような制御が可能になります。
- 重要な業務システムは、多要素認証が必須
- 参照系のアプリは、 IDとパスワードのみ
- 社外からのアクセス時は、追加の認証を要求(リスクベース認証)
こうした状況に応じた制御は、個別のアプリ単位では実現が難しい「全体最適されたセキュリティ」を実現するために欠かせない要素であり、企業のガバナンスの強化に直結します。
③ 長期の運用と拡張性に耐えうるアーキテクチャであること
ハイブリッド環境では、アプリの追加、刷新、クラウド環境への移行が常に起こり得ます。この変化を吸収し、「どんな環境でどんなアプリが増えても、認証は同じルールで動かせる」状態を作れることが重要です。統合認証基盤が様々なアプリとの接続に対応できるインターフェースを提供していることで、次のようなメリットが生まれます。
- 新しいSaaS導入時の接続が容易になり、導入期間を短縮できる。
- 既存アプリの認証刷新を統合認証基盤側だけで対応でき、開発負荷を軽減できる。
- 認証に関する運用コストが長期的にも削減される。
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HPE IceWallが提供する統合認証の価値
これまで見てきた統合認証基盤に求められる要件を満たし、ハイブリッド環境の構造的な課題を解決するソリューションの一つが「HPE IceWall」です。IceWallは、特に国内企業の複雑なハイブリッド環境と厳格なセキュリティ要件を前提に設計された統合認証基盤であり、金融、公共といった高度な認証要件を持つ組織にも長年にわたり採用され続けています。
① 多様な認証方式を統合認証基盤側で一元的に扱える
レガシーなシステムも含め、さまざまな認証方式をIceWallが統合・吸収します。 アプリへの改修を最小限に抑えつつ、認証方式を統一・アップデートすることが可能となり、レガシーアプリの認証における運用の負担も解消します。
② アプリ単位で認証強度を柔軟に設定可能
業務の重要度やアクセス状況に応じて、認証強度を柔軟にコントロールできます。「重要アプリは多要素認証が必須」など、アプリ側の制約に左右されず、企業が求めるセキュリティポリシーを適用し、ガバナンスを強化します。
③ オンプレミスとクラウドを横断したシングルサインオン
一度のログインで、オンプレミスからクラウドまで、すべてのアプリへのアクセスが可能になります。 ログインプロセスをひとつの入り口に集約することで、ユーザーのストレスを軽減し、日々の業務効率を向上させます。
④ 長期運用に適したアーキテクチャ
アプリのクラウドへの移行やSaaSの追加、アプリ刷新といった変化に柔軟に対応できる設計です。 認証方式の追加や更新は統合認証基盤側で完結するため、アプリ側の制約がボトルネックになることはありません。認証に関する運用コストを長期的に抑え、将来にわたって持続可能な統合認証基盤として機能します。
| (図版)Cap:IceWall 導入による Before/After | |
| Before | After |
| アプリごとに認証方式が異なり、ログインが分断されている | IceWallが認証方式を統合し、シングルサインオン(SSO)で一度のログインに集約 |
| アプリごとに多要素認証(MFA)への対応状況が異なり、セキュリティポリシーが揃わない | IceWall側でアプリ単位に認証強度を設定できる |
| 認証方式の追加や更新でアプリの改修が必須になる | 認証方式の追加・更新はIceWall側だけで完結 |
| 認証がアプリごとに分散し、運用コストが増加する | 認証はIceWallで一元化し、運用コストを削減 |
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ハイブリッド環境での認証の問題を「統合認証基盤」で乗り越える
ハイブリッド環境ではバラバラの認証が運用の負荷とセキュリティリスクを増大させます。解決には統合認証基盤の導入が有効です。HPE IceWallは、アプリ改修不要で認証方式を統合、アプリごとの認証強度の設定、長期運用性を備え、企業のITガバナンスとセキュリティの実現に貢献します。
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よくある質問
| Q1: 企業のハイブリッド環境において、認証が複雑化することで生じる最大の問題は何ですか? 認証方式が分散することで、ユーザーのログインが煩雑化し生産性が低下します。さらに、アプリごとに認証の仕組みが独立しているため、運用コストが増大し、企業全体でのセキュリティポリシーの統一した適用が困難になります。 |
| Q2: アプリごとに認証が分散してしまう、構造的な理由は何ですか? 主に「歴史的な経緯」と「技術的な制約」の2点です。従来からあるレガシーシステム、近年利用が拡大しているSaaSまで、背景が異なるアプリが混在することで認証方式が多様化しています。 |
| Q3: 認証を統合するための、統合認証基盤に求められる主な要件は何ですか? 以下の3つの軸が求められます。
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| Q4: HPE IceWallを採用することで、レガシーアプリを含むハイブリッド環境で得られる具体的なメリットは何ですか? レガシーアプリの改修を最小限に抑えつつ認証を統合できます。また、オンプレミスとクラウドを横断したシングルサインオンを実現し、ユーザーのストレスを大幅に軽減します。 |
| Q5: アプリに改修を加えずに認証統合を実現できるのはなぜですか? HPE IceWallが、Federation方式(SAML/OIDC)、フォーム認証、ベーシック認証など、アプリが保持する多様な認証方式を統合認証基盤側で統合・吸収するためです。これにより、アプリの内部ロジックに手を加えることなく、IceWall側で認証方式の統一が完結します。 |
| Q6: 統合認証基盤の導入は、セキュリティガバナンスと運用コストにどのような影響を与えますか? セキュリティガバナンスについては、アプリ側の制約に左右されず、業務の重要度に応じた認証強度を統一的に適用可能となり、全体最適されたセキュリティを実現します。運用コストについては、認証方式の変更や更新が統合認証基盤側だけで完結するため、アプリごとの個別対応が不要になり、運用コストの長期的な削減に貢献します 。 |
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