アプリケーションのモダナイゼーション
アプリケーションのモダナイゼーションとは
アプリケーションのモダナイゼーションとは、レガシーソフトウェアを新しい言語、フレームワーク、インフラストラクチャプラットフォームなどの新しいコンピューティングアプローチに合わせて、アップデートするプラクティスです。このプラクティス、すなわちソフトウェア開発は、効率性と安全性および構造的完全性の向上を目的とする古い住宅の改築に似ています。レガシーモダナイゼーションでは、既存のシステムを廃棄したり、大規模な置き換えをすることなく、組織のアプリケーションの寿命を延ばすと同時に、技術革新も取り入れることができます。
企業がレガシーアプリケーションをモダナイズすべき理由
(1) 現在使用するアプリケーションの寿命を延ばす、(2) コンピューティングテクノロジーのイノベーションを活用できる、(3) レガシーアプリケーションの価値を高める、という理由から、レガシーアプリケーションのモダナイゼーションは、企業のIT運用面において賢明な選択と言えます。
企業は多くの場合、現在のテクノロジーフレームワークに多大な資金を投資しており、コアサービスとインフラストラクチャを根本から再構築するには膨大なコストがかかるため、アプリケーションのモダナイゼーションは企業の財務面において適切な選択と言えます。アプリケーションのモダナイゼーションにより、企業はコンピューティングテクノロジーを更新、復元、再生させることができます。これは、住宅をリフォームするときに、その「骨組み」を維持しながらモダナイズできる部分を改装することと似ています。
最新のアプリケーションコンピューティングアーキテクチャは、より速く、効率的で、高性能であるため、アプリケーションのモダナイゼーションはワークフローの改善において適切な選択と言えます。組織では、コンピューティングと処理の時間が短縮されることで生産性の向上が見込めます。また、クラウド型コンピューティングに切り替えることで、従業員のワークフローがより効率的になり、迅速な対応が可能になることが期待されます。
レガシーアプリケーションをモダナイズする方法とは
企業は、複数の方法でレガシーアプリケーションをモダナイズすることができます。
完全な置き換え
完全な置き換えは、最も時間がかかり、リスクが高く、コストのかかる選択肢で、モノリシックなアプリケーションとコンピューティングアーキテクチャをすべて最新のテクノロジーに置き換える必要があります。コストがかかるだけでなく、規模が大きくなると移行プロセスにおけるダウンタイムがほぼ確実となります。移行中はクリティカルなインフラストラクチャが存在せず、多くの社内プロセスや消費者向けプロセスは停止してしまいます。
マイクロサービス
もうひとつの選択肢は、モノリシックなサービスを、コンピューティングの責任範囲を特定できる最新のマイクロサービスに置き換えることです。マイクロサービスでは、アプリケーションコンポーネントが分割され、再度統合されることがなく、よりシンプルでコスト効率の高い選択肢と言えます。
コンテナおよびKubernetes
組織によっては、Kubernetesとコンテナによるアプリケーションのモダナイゼーションを選択する場合があります。拡張性と柔軟性に優れたこの方法は、レガシーアプリケーションを最新のテクノロジーのメリットを備えた最新のコンピュート環境で実行できるため、魅力的な選択肢と言えます。
クラウドネイティブコンピューティング
組織は、一部またはすべてのワークロードをオンプレミスの物理サーバーからクラウドベースのコンピュートソリューションに移行することもできます。クラウドアーキテクチャーに完全移行する準備ができていない場合でも、コンピューティングのワークロードの一部をクラウド側で処理することで、ローカルの古い物理ハードウェアの負荷を軽減することができます。
リフトアンドシフト
リフトアンドシフトは、再ホスティングとも呼ばれ、アプリケーションを「現状のまま」でレガシー環境からパブリッククラウドプラットフォームなどの新しいインフラストラクチャに完全に移行する方法です。これは最も手間のかからない方法ですが、アプリケーションによっては最適な方法ではない可能性があります。
リファクタリング
リファクタリングとは、レガシーアプリケーションが、クラウドインフラストラクチャなどの新しい環境で順調に動作するように、基礎となるコードの大部分を書き換えることです。この方法は、通常、アプリケーションがマイクロサービスと呼ばれる複数のサービスに分割されている場合に使用されます。
リプラットフォーム
リプラットフォームでは、大幅なコード変更は必要ありませんが、バックエンドデータベースの変更などの補完的なアップデートを行うことで、アプリケーションを最新のクラウドプラットフォームで利用できるようにします。
企業にアプリケーションのモダナイゼーションが必要な理由
アプリケーションのモダナイゼーションは、中小規模企業にとって重要な課題ですが、大企業にとってはさらに重要な課題となります。一般的に、アプリケーションのモダナイゼーションは、企業の将来を保証する手法の1つであり、市場の混乱やテクノロジーの変革など、コンピューティングの方向性を変えざるを得ない状況に備えるものです。こういった適応性は、企業の長期的な存続に不可欠です。
具体的には、企業は次のような理由でアプリケーションのモダナイゼーションを必要としています。
クラウドアーキテクチャーへの移行
企業は、アプリケーションのモダナイゼーションをきっかけに、クラウドへの移行を進めることができます。この移行により、オンデマンドのリソース割り当て、セルフサービスのプロビジョニング、グローバルな展開、使用量に基づく価格設定など、クラウド型コンピューティングの多くのメリットを得られます。
開発/生産スケージュール
ビジネスのスピードが増すにつれ、企業は、オンデマンド対応を当然のものと考える顧客ベースに製品やソリューションを提供するにあたって、迅速な対応が必要になります。
レガシー/モノリシックコンピューティングへの投資の保護と最大化
モダナイゼーションによって企業は、レガシーアプリケーションを置き換えるのではなく、初期投資の保護および最大化を実現できます。さらに、収益を確保し、株主に自社の健全性を伝えることができます。
セキュリティとコンプライアンス
データの価値が高まるにつれ、そのデータの保護、およびデータ保護と保存に対するコンプライアンスの維持の価値も高まっています。アプリケーションをモダナイズした企業は、リスクを軽減し、世界中の株主や顧客との信頼関係を危うくするような侵害を回避できるため、より有利な立場に立つことができます。
HPEがサポートするアプリケーションのモダナイゼーション
企業のIT組織は、ビジネスのニーズに基づいてコンテナを導入し、統合しています。しかし、導入の決定は組織がコンテナテクノロジーに精通しているかどうかに基づいています。企業がコンテナ化のどの段階にあるかを問わず、HPEはその取り組みを支援します。
業界初のエンタープライズグレード コンテナ オーケストレーション プラットフォームであるHPE Ezmeral Runtime Enterpriseは、永続データを使用する最新アプリケーション (クラウドネイティブ、ノンクラウドネイティブの両方) の実行に対応する設計となっています。HPE Ezmeral Runtime Enterpriseは、オーケストレーションのための100%オープンソースのKubernetesを展開するとともに、永続コンテナストレージ向けの最先端のファイルシステムとデータファブリックを提供します。また、クラウドネイティブではないAIおよび分析ワークロードをコンテナに展開する機能を企業に提供します。
HPEがサポートするデータファーストのモダナイゼーションでは、インフラストラクャ中心の変革からデータ主体の価値創出へと焦点を移し、これを組織の最優先の指針へと設定します。
データファーストのモダナイゼーションのアプローチの背景には、組織内のすべての部門 (ITおよびその他の部門) が、データの場所を問わずアクセスを確保し、データサイロを排除するよう事前に対応できるようにするという意向があります。この考え方により、企業は、データを企業の原動力として最大限に活用できるようになり、優れたエクスペリエンスを実現し、意思決定までの時間を短縮し、イノベーションを継続的に推進することでビジネスを加速させることができます。
HPE GreenLake Edge-to-Cloudプラットフォームは、データファーストのモダナイゼーションを推進し、エッジからデータセンター、クラウドまでのデジタルトランスフォーメーションを加速させます。HPEは、あらゆる場所のアプリケーションとデータに統合型のクラウドエクスペリエンスを提供することで、複数世代にわたるIT間のデータサイロを解消し、データの場所を問わずアクセスを確保し、データを企業の原動力として最大限に活用できるようにします。これにより企業は、優れたエクスペリエンスを実現し、意思決定までの時間を短縮し、イノベーションを継続的に推進することでビジネスを加速させることができます。