Linux技術情報

Intel Rapid Storage Technology(RST)/SATA

Intel Rapid Storage Technology(RST)/SATA

 本ページに記載してある内容は限られた評価環境に於ける検証結果に基づいたものです。本ページの情報を利用する前に予め技術情報、ディストリビュータが提供する WEBサイト等をご覧ください。

動作確認済みハードウェア

 

 本機をサポートしているサーバー

  • ProLiant ML10 Gen9


 Intel RSTの詳細はIntel社サイトをご覧ください。本ページは ProLiant ML10 Gen9に特化した部分を主に補足する内容となります。

対応するドライバー

 

 本機が利用するドライバはディストリビューション標準付属の ahci.koドライバを利用します。

 

本機の仕組みについて

 

 本機は ProLiant ML10 Gen9のチップセットに内蔵された AHCIコントローラを拡張利用する形式の fake-RAIDとして動作します。RAIDのパリティ計算等は ProLiant本体の CPUパワーを利用する形態となります。

 Intel RSTが利用する RAID構成に関する情報を記録するメタデータを Linuxの RAIDツールである DM RAIDと MD RAIDは直接扱う事が可能です。このため Linuxのインストーラがソフトウェア RAIDとしてインストール時から利用可能となっています。

本機からのシステム起動に関して

 

 ProLiant ML10 Gen9の BIOSモード、UEFIモードのどちらでも利用可能です。但し、ディストリビューションによっては起動に関する制限が発生する場合があります。詳細は後述の `インストーラによる認識状況と起動対応`をご覧ください。

 Intel RSTは DM RAID, MD RAIDを補助するものです。BIOSモード時に起動するために利用する MBR等の保護は行われません。MBR, efibootmgr等でのシステムの起動に関する保護は Intel RSTではなく DM RAID, MD RAIDを利用する際の手法を利用する必要があります。

 作成した論理ドライブが利用するメタデータは BIOSモード、UEFIモードで共通ですので、両モードで共用可能です。但し、システムを起動する場合には、Intel RSTの利用には関係なく、ディスクラベルが MBRと GPTで異なる事。Legacy(BIOS)利用時には 2.2TB制限がある事。Linuxの起動形態(/boot/efi等)の違いから再インストールが必要となります。

サポートする RAIDレベル、論理ドライブ数について

 

 DM RAIDで RAIDレベル 0, 1, 10をサポートします。MD RAIDで RAIDレベル 0, 1, 5, 10をサポートします。

 RAIDレベル Recovery(ノートPC用ドッキングステーション等との同期処理用)はサポートされません

スペア設定について

 

 POST時に利用する OROM(option ROM)ではスペア設定は行えません。DM RAIDもしくは MD RAID側で isw(コンテナ)デバイスに追加する事で OROM上でスペアデバイスとして認識されます。

 Intel RSTの RAID設定を行う OROM(option ROM)からはスペアディスクの設定は出来ません。スペアの設定は Linux上で dmraidもしくは mdadm経由で指定を行います。この際、DM RAID, MD RAID単体のソフトウェア RAIDとは異なり、スペアとなる HDDは DM RAIDの場合には #dmraid -f isw -S -M /dev/sdX等として iswフォーマット指定で行います。MD RAIDの場合には #mdadm --manage /dev/md127 --add /dev/sdX等として iswメタデータコンテナに対してスペアディスクを追加指定します。Linux上でスペアを設定した後に POST上の OROM(option ROM)上ではスペア設定した HDDが SPAREとして認識されている事が確認可能です。

インストーラによる認識状況と起動対応

 

 下記の認識結果は、本機と各ディストリビューションでの対応状況です。本機を搭載する ProLiantと組み合わせた場合にサポートされる要件(errata kernelや HPE提供ドライバのバージョン等)が別途存在する場合には、両方の要件を満たす必要があります。

BIOS環境
〇   Red Hat Enterprise Linux 6.7以降
〇   Red Hat Enterprise Linux 7.2以降
〇   SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4(MD RAID)
▽   SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4(DM RAID) *nombr
〇   SUSE Linux Enterprise Server 12/SP1以降

UEFI環境
▽   Red Hat Enterprise Linux 6.7以降 *noboot
〇   Red Hat Enterprise Linux 7.2以降
〇   SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4(MD RAID)
▽   SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4(DM RAID) *nombr
▽   SUSE Linux Enterprise Server 12/SP1 *noefi
〇   SUSE Linux Enterprise Server 12/SP2

*noboot

 UEFI環境では /boot/efiを MD RAID配下に設置できませんので起動デバイスとしては利用できません。

*nombr

 [Rescan Device]を実行すると MD RAIDが DM RAIDデバイスに変更されるが、インストーラの bootloaderが DM RAIDに配慮していないため。
 HDD#2から起動しない等の問題が発生するため、起動デバイスの保護が行われていない。

*noefi

 /boot/efiの Partition Roleに EFI Boot Partitionがリストされない。FATを指定しても /var/log/YaST2y2logに多数のエラーが記録されている。HDD#2からの起動も可能だが SP2の利用を推奨する。

本機の機能と特徴

Intel Rapid Storage Technology(RST)/SATA

コントローラ

オンボード AHCIコントローラ

RAID

0, 1, 10(DM RAID)
0, 1, 5, 10(MD RAID)

Matrix RAID

HDDグループ毎に 2ヶ迄の論理ドライブ作成可
HDD本数に応じた別 RAIDレベル可

リンク

6Gbsデバイスサポート

デバイス数

6台まで

キャッシュ

なし

ホットプラグ

不可

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2015年11月1日付でHewlett-Packard CompanyをHewlett Packard Enterprise Company とHP Inc.に分社する以前に販売された製品については、現在のモデルと異なる、古い製品名およびモデル番号である場合があります。