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ハイブリッドITへの備え

クラウドサービスを追加し始めた時点で、その企業はすでにハイブリッドITプロバイダーへと移行しています。このような変化は知らないうちに起きるため、準備を整えておく必要があります。この記事では、常に念頭に置くべきいくつかのポイントを紹介します。

 

長く厳しい道のりを歩んできたIT部門は、最新の標準に対応するためにすべてのハードウェアとソフトウェアを更新したり、それらにパッチを適用したり、新しい事業部門のIT関連の作業をサポートしたり、自社のシャドーITを制御したりといったことに絶えず苦心してきましたが、ついにそのすべてを掌握できるようになりました。そしてストレージ、アプリケーション、および開発にクラウドを使用し始めた、連携の取れていない開発者やビジネスユーザーも聞く耳を持つようになり、現在のIT部門は、社内でどのような取り組みが進められているのかを把握しています。
また、自覚があるのかどうかはわかりませんが、IT部門は現在、ハイブリッドITのビジネスコンピューティングモデルに全力を傾けています。
新たな標準であるハイブリッドITは、現在ハイブリッドIT環境を運用しているのか、クラウドサービスを使用してシャドーITを制御しようとしているのか、または次世代のデータセンターの構築を進めているのかどうかにかかわらず、非常に重要な役割を果たします。そしてデータセンターに対する投資の価値を最大限に引き出すには、多くの役割でハイブリッドIT環境をサポートすることが基本であり、そうしたモデルがデータセンターの設計と展開の成功を評価する基準となります。
これは何を意味するのでしょうか。結局のところ、データセンターを構築するうえでの基本は何も変わっておらず、データセンターがITワークロードをサポートする電力/冷却機能を備えた建物であることに違いはありません。またハイブリッドITは構築するものではなく、効果的かつ効率的にワークロードの展開と投資を行ってIT関連の作業から最大限の価値を引き出すための戦略であると考えている人も多いと思いますが、その考えに間違いはありません。では、ハイブリッドITは、次世代のデータセンターの構築や既存のファシリティのアップグレード計画の策定にどのように影響するのでしょうか。
IT部門の意思決定者が、ハイブリッドITモデルを運用する中で得たテクノロジー、課題、およびメリットについての有益な情報を提供します。

 

IT部門の役割の変化

データセンターモデルを考察する際に考えなければならない最初の問題は、ビジネス環境におけるIT部門の役割です。従来の中央のIT部門の考え方が過去のものになりつつあると言うのはやや言い過ぎですが、IT部門はもはや、事業部門が完了までに数か月から数年を要するリクエストを送信する、ブラックボックスのような存在ではありません。ITのアジリティは、もはや目標ではなく要件となっており、企業のIT部門は、自社のIT環境の方向性を定めるうえで重要な役割を果たしています。各事業部門がプロセスに従わずに手当たり次第にITサービスを購入したことで、最終的にIT環境を管理できない状態に陥るような事態を回避するために、企業のIT部門は事業部門のニーズに迅速に対応しなければなりません。
将来を見据えた次世代のデータセンターでは、以下をサポートする必要があります。

  • 迅速なプロビジョニング
  • オンデマンドのサービス
  • オンデマンドの消費
  • 柔軟な容量
  • 管理と監視
  • ITセキュリティ

もちろん、これらの多くはすでに現在のインフラストラクチャで利用でき、さまざまな形で提供されているかもしれませんが、こうした機能の分散が進むと、運用の管理、維持、およびセキュリティの確保が難しくなります。すべての機能を物理的なデータセンターの中に収容する必要があるわけではありませんが、これらの要件に対応するデータセンターを構築すれば、より柔軟かつ積極的にビジネスを拡大できるのは間違いありません。

 

ハイブリッドITのコンポーネントとしてのデータセンター

私たちは、データセンターをITワークロードの処理に必要な機器が置かれた物理的な構造物であると考えることに慣れていますが、今日のコンピューティングの世界では、データセンターをビジネスの成功に不可欠なサービスを提供する仮想的な建築物と考えた方が良いかもしれません。
仮想化はすでに、物理サーバーに取って代わることができる仮想マシンを展開して管理するだけのものではなくなりました。また、ソフトウェア・デファインド・ネットワーク、ソフトウェア・デファインド・ストレージ、およびソフトウェア・デファインド・データセンターは、コンピューティングインフラストラクチャの新たな定義となっています。データセンターの最新化や置き換えが進められる中、データセンターでは、その多くがすでに展開されている、このような将来のビジョンをサポートする必要があります。
ハイブリッドインフラストラクチャのメリットに目を向けると、従来のデータセンターモデルが、ハイブリッドインフラストラクチャのオンプレミスの部分に姿を変えたことがわかります。オフプレミスのサービスを既存のデータセンターやITサポートに追加する場合、そのほぼすべてが既存のモデルのアドオンになっていたため、誰かが一歩下がって、(多くの場合に差し迫ったビジネスの問題を解決する) これらのサービスを追加することにより、IT環境全体にどのような影響が及ぶのかを考えることはほとんどありませんでした。そして事業部門は、求めているサービスを受けられることを喜び、従来のIT部門に対する裏切られることが多いという感情を持つことなく、短期間のうちに実装を進めました。
データセンターがもはや単一の物理的な構造物でないというのは周知の事実です。エッジデータセンター、マイクロデータセンター、バックアップデータセンターといった、特定の役割を念頭に設計されたデータセンターは、いずれも既存のデータセンター環境に含まれますが、柔軟性が重要なポイントとなっており、オンデマンドサービス環境がハイブリッドITの未来を形作っています。

 

3分の2の企業の環境は、意図的にではなく偶然ハイブリッドになっており、基礎から包括的なハイブリッドIT戦略を策定している企業はわずか33%にすぎません

FORRESTER CONSULTING社HYBRID IT STRATEGY INSIGHTS (ハイブリッドIT戦略に関する有益な情報)


適切に設計されたハイブリッドインフラストラクチャでは、データセンターの役割が減るのではなく増え、オンプレミスインフラストラクチャから提供できるサービスは、クラウドベースの環境に対するセキュリティとコスト管理の面でメリットがあります。企業のデータセンターからは、必要に応じて (展開の容易さ、拡張性、オンデマンドサービスといった) ビジネスユーザーをクラウドに引き付けたメリットのすべてを提供できますが、データセンター自体ではなく、管理の行き届いたインフラストラクチャの範囲内では、必要に応じて魅力的なクラウドベースのサービスを実装することが可能です。
データセンターモダナイゼーションのプロセスでは、これを実現するために将来のビジネスのニーズに対応するテクノロジーを活用できます。ハイパーコンバージェンスやコンポーザビリティなどの概念とテクノロジーにより、どのような規模の企業でも迅速なプロビジョニングからオンデマンドのサービスや容量に至るまでのあらゆるものを提供することが可能なITインフラストラクチャを展開できるようになりますが、これは、そのようなサービスを提供するのに必要な機器をサポートする機能を備えたファシリティを構築するか、既存のファシリティにそうした機能を持たせることを意味します。
またそれは、スケーラブルなインフラストラクチャを展開するためにハードウェアで求められる電力および機器密度をサポートできるようデータセンターをプロビジョニングする必要があることを意味しますが、オンデマンドの消費モデルを利用したとしても、多くの機能がアップグレードをサポートしてビジネスニーズの増大に対応するデータセンターインフラストラクチャの能力の制限を受けることになります。
データセンターはこのような制限の原因にはならず、クラウドで提供されるサービスにより重点を置くことができると考えられがちですが、今のところ、クラウドサービスはもはやコスト効率に優れたものではなく、マルチクラウド環境の管理やセキュリティなどの問題を軽減するのが非常に難しくなっているのが実情です。

 

すべてを保護する

現在の脅威環境では、建物を物理的に保護したり、サーバーやアプライアンスにファームウェアレベルからセキュリティを実装したりするなど、データセンターとそのIT機器に最初からセキュリティを組み込む必要があります。最新のセキュリティパッチやオペレーティングシステムの修正プログラムでサーバーを最新の状態に保つことは、引き続きIT部門が担当する基本的なタスクであり、アプリケーションを維持する責任をクラウドベースのサービスに押し付けても、オフプレミスのソリューションを確実かつ適切に保護するというIT部門の責任がなくなるわけではありません。ユーザーのBYOD機器からデータセンター、オフプレミスのソリューションに至るまでの全社的なセキュリティに責任を負うセキュリティ管理チームは最近、絶え間なく発生して明らかとなる攻撃ベクトルの意味を理解しています。

 

今後の展望

一方では、今後コロケーションの利用が増える可能性があり、実際のところ、ハイブリッドIT/ハイブリッドクラウド環境への移行に伴って、専用のデータセンターを構築することで得られるコスト効果は低下しつつあります。コロケーションファシリティに移行するとファシリティの部分は合理化されますが、ITワークロードをプロビジョニングするときに企業で必要となる手段が変わることはありません。
規模に重点を置いたデータセンターハードウェアへの投資は、新しい基本モデルとしてハイブリッドデータセンターに配備する、オールフラッシュアレイを主体としたコンピュート機能および高度なストレージシステム用のハイパーコンバージド インフラストラクチャとコンポーザブル・インフラストラクチャを中心に行われるようになります。
企業がオンプレミスとオフプレミスのプロバイダーから取得可能なサービスの組み合わせを決定すると、あらゆるものを管理しなければならないという問題が生じます。使用可能なすべてのサービスと機能を確認するコンソールが設置されたオペレーションセンターのイメージは共通していますが、将来のデータセンター管理のスキームはManagement as a Serviceへと向かうものと思われます。(ビジネスおよびサービスに応じたユーザー向けのコンソールを簡単に展開できる、特定の役割とタスクにアクセスが制限された) 企業の単一の包括的なビューにより、企業は適切に管理することが可能な範囲を超えることなく成長を実現できます。
包括的な管理機能はビジネスの成長を促します。IT部門は誰がどのようにサービスを利用しているのかを示すレポートを活用し、物理インフラストラクチャとクラウドサービスの両方に対して賢明な投資を行うことができます。また、実際の使用量に基づいて各部門に費用を請求し、運用を効率化する方法を模索することが可能です。
クラウドサービスの利用を拡大する方法は明確に定義されている可能性があり、実際のところ正確かつ効果的に管理が行われていれば容易に拡大できますが、物理的なファシリティの拡張はそれほど容易ではありません。ただし、ハイパーコンバージド インフラストラクチャとコンポーザブル・インフラストラクチャには、データセンター環境向けのオンデマンドの消費モデルにもメリットをもたらす、ビジネスニーズの変化に合わせてラックマウント型のハードウェアを追加 (または削除) できるという強みもあります。

 

将来何が起きるのか

Mark Twain氏の言葉を借りると、データセンターの訃報 (データセンターの時代は終わったという話) は大いなる誇張であり、企業におけるデータセンターの役割は進化し続けるでしょう。また、企業の中でハイブリッドITが標準となるのに伴って、オンプレミスソリューションの役割も進化し続けると思われます。セキュリティ脅威が増加の一途をたどる中、今後企業はさらに慎重を期すようになり、ハイブリッドソリューションは大企業にとってこれまで以上に魅力的な存在になります。そしてデータセンターは、今後も企業のIT環境の重要なコンポーネントであり続けるでしょう。
ハイブリッドITがデータセンターモデルにもたらす影響: リーダーのためのアドバイス

  • ハイブリッドITはビジネスコンピューティングの新たな標準であり、次世代のデータセンターで中心的な役割を果たすようになります。
  • 将来のデータセンターは、エッジコンピューティングやバックアップなどの特定の役割を念頭に設計され、柔軟なオンデマンドのプロビジョニング、消費、容量、およびセキュリティをサポートするようになります。
  • あらゆるものを連携させるため、多くの企業が管理の行き届いたセキュアなITインフラストラクチャで成長を実現できるアプローチであるData Center Management as a Serviceに目を向けるようになります。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもHewlett Packard Enterpriseの見解を反映しているとは限りません。

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