対話型AIとチャットボットの増加

対話型AIの定義、それが広く普及した理由、導入の障害、そして今後の展望を知っておくことは重要です。

テレビでニュースを見たり、診療所の本棚にある雑誌を読んだり、ソーシャルメディアをチェックしたりすると、必ずと言っていいほど人工知能 (AI) の話題を目にします。書き手や語り手が、ロボットのもたらす差し迫った脅威を非難している場合でも、ディープラーニングが救いになるということを称賛している場合でも、大部分のメディアでは、共通してAIの定義が明確に示されていませんが、AIとは基本的に、人間の知能を模倣するソフトウェアにすぎません。

現在インターネットでは、その大部分がチャットボットとして利用されている、対話型AIという特定の種類のAIが増えつつあり、最近では、Googleアシスタントと呼ばれるAIが150回もチューリングテストをパスした、というGoogle社の発表が大きな注目を集めました。チューリングテストとは、人間のコミュニケーションと区別できないかどうかを基準に人間の知能を模倣するマシンの能力を評価するものです。

私たちがすでに、毎日のようにこの種のAI (スマートフォンのデジタルアシスタント、マッピングソフトウェア、私たちが使用しているWebサイトのヘルプボットなど) とやり取りしている事実を踏まえると、対話型AIの定義、それが広く普及した理由、導入の障害、そして今後の展望を知っておくことは重要です。

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今、AIチャットボットが増加している理由

このようなマシン (対話型のAIボット) が増加している理由の1つに、ボットの高度化と高速化が進んでいるという点が挙げられます。そして多くの人が、チャットボットを使用してビジネスを行いたいと考えています。

今後は、AI駆動型のチャットボットがプラットフォームに依存しない方法で人々の注目を集めるようになることが期待されます。バックエンドとデータベースは、従来のWebサイトを使用しているかのようなものであり続ける一方、インターフェイスは、オンラインヘルプサイトからFacebookに至るまでのあらゆる場所で利用できるようになると思われます。

ただし、特定の種類のAIを使用できる段階にまでテクノロジーが進化していなければ、そのどれもが可能にはならなかったでしょう。インターネットが広く使用されるようになってソーシャルメディアが人々を魅了し、その両方を活用できるネットワークが作られたことで、チャットボットの普及につながるエコシステムが生まれました。また、(テキストメッセージ、Skype、AppleTalk、Googleチャット、独自仕様のメッセージングシステムなどの) ダイレクトメッセージが生活のあらゆる場面に浸透し、私たちはスクリーンの枠の中で気軽にコミュニケーションを取れるようになりました。

このような前提条件がチャットボットの導入と普及を後押しし、多くの企業が対話型AIを使用するようになりました。よく知られているボットとしては、Watson (IBM社のスーパーコンピューターでは、ボットを作成して使用できます)、Amazon社のLex、Instalocate (Facebookでフライトを追跡するボット)、National Geographic社のTina the T-Rex (恐竜のボット)、認知症患者の孤独感を和らげるEndurance社のボット、そしてヒューレット・パッカード エンタープライズ初のAIボットであるHugoなどがあります。

 

時宜を得たアイデアほど力強いものはない

HPEは、メディア企業のQuartz社と共同でHugoを開発しました。当初のお客様側のアイデアは、Machines With Brainsと呼ばれるQuartz社のコンテンツシリーズの読者が、さまざまな問題やシリーズで取り上げるテクノロジーとHPEのテクノロジーとの関係を明らかにすることに重点を置いた記事の内容をより深く理解できるようにする、というものでした。

Hugoは、対話型のエクスペリエンスに関するHPEの初期のパイロットプログラムであり、バージョン3.0までリリースされるほどの成功を収めています。この領域の機会に関する初期のアセスメントによると、2019年末までに、現在の同社のオンラインヘルプサイトに送られてくるお客様の問い合わせのうち、最大50%がHugoで処理されるようになると見られています。

これについて、HPEのワールドワイドデジタル機能担当マネージャーであるPete Metrulasは、次のように述べています。「私たちは、ハイブリッドITのような重要なイニシアチブに関するHPEのコンテンツを増やしていく予定です。今年の夏には、Hugoを使用して、テクノロジー業界のニュースや情報、そしてホワイトペーパーや記事などのHPEに固有のコンテンツの両方を入手できるようになります」。

HPE ProLiantサーバーで動作するHugoは、自然言語処理を使用して、その週の最も関連性の高いテクノロジーのトレンドや事例を明らかにします。この完全なボットスタックには、フロントエンド用のReact、バックエンド用のNode、およびデータベース用のMongoがあり、機械学習と自然言語処理にはPythonが使用されています。

 

プライバシーと人間性の課題

FacebookにおけるCambridge Analytica社のスキャンダルをきっかけに、AIとユーザー情報の収集について語るうえで、非常に現実的なプライバシーとデータセキュリティの問題を避けて通ることはできなくなりました。

HPEでは、ユーザーの信頼を確保して維持するための戦略として、欧州連合の一般データ保護規則 (GDPR) を遵守しています。このプロセスでは、あらゆる企業に業種と顧客の種類に基づいてプライバシーのニーズを評価する方法を示すことができます。

IDC社のヨーロッパ地域インフラストラクチャ/セキュリティ担当アソシエイトバイスプレジデントであるDuncan Brown氏によると、GDPRの有効性の重要なポイントは、その拘束力だけでなく、企業の価値の範囲内でプライバシーに関する懸念の状況を明らかにする方法にあります。

これについて、Brown氏は次のように述べています。「GDPRでは、リスクが最も重要です。すべての企業は、どこでリスクに直面することになるのかを見極める必要があります。リスクへの対応に関して、いいかげんな企業もあれば、保守的な企業もありますが、リスクと優れたプラクティスを活用する機会のバランスが取れているなら、リスクを明確にできています」。Facebookの例が示すように、GDPRは、企業の今後の位置付け (繁栄するのか低迷するのか) を決める規制の基準となります。

これについて、スウェーデンにあるヨーテボリ大学の計算言語学博士候補者であり、以前リスボン大学で研究助手を務めていたVlad Maraev氏は、次のように述べています。「データセキュリティが、実際に会話型AIの普及を阻む問題になるという確信はありません。まさにこの種のAIにはインテリジェントであるというイメージがあるため、人はそれらを信用する傾向にあります」。そして同氏が言うように、私たちはこれによってAIに内部状態を投影し、私たちが信頼するのに必要と感じる人間性を持たせることができます。

テクノロジーと人間が交わる場所、特に人間がマシンより優れているポイントでの本当の課題は明らかであり、同氏は次のように述べています。

「ここでの主な課題は、人間の対話にあります。人間が優れているのは、意思疎通と順序交代の部分 (実際の会話に欠かせない言語要素と行動要素) ですが、多くの開発者は、その部分にそれほど注目していません」。

同氏は、この領域で行われていた取り組みについての研究を始めたとき、その「範囲がかなり狭い」ことを知って非常に驚きました。そして同氏は、効果的なチャットボットの開発を目指す企業へのアドバイスとして、マシンに適用できる、この対話と言語学に関する研究に注目すべきであると述べています。

また同氏は、「実際に対話型AIの開発を次のレベルへと引き上げるために、開発者は、数値化するのがそれほど容易ではない、イントネーションのような対話のプロセスの要素に重点を置かなければならない」と語っています。

この意見には、Digitas社のバイスプレジデント兼グループコンテンツディレクターであるSean Mahoney氏も同意しています。

Hugoの開発に協力した同氏は、次のように述べています。「主な目的の1つは、大きなカーブを曲がり切ることにあります。言語には非常に微妙なニュアンスがあり、私たちは一生をかけてそれを習得するわけですが、私たちが知性のレベルをさらに高め、現在のキーワードアシスタントが真の知能を持って動作できるようになるまでには、まだしばらく時間がかかるでしょう」。

適切なイントネーションをマシンが処理できるコードに変換することは確かに可能ですが、それは容易ではなく、もっと簡単な別の方法をとりたいと思うことは日常茶飯事です。しかし、この領域で突破口を開く開発者は、対話型AIを大きく進化させ、私たちが内部状態をマシンに投影することで生み出す信頼性を飛躍的に高められるようにしなければなりません。

 

今後の展望

対話型AIの領域には、今後何年にもわたって、さらに応答性と関連性の高いユーザーとのリアルタイムのインタラクションを優先することに重点を置く、新しい企業の参入が続くものと思われます。

これについて、Quartz社のクリエイティブディレクターであるMichael Dolan氏は、「対話型AIは、今後さらに広い領域で使用されるようになると思われるため、目新しいものを見分けてユーザーに真の価値をもたらすことが、より一層重要になる」と述べています。

そしておそらく、私たちが重きを置くそれらの人間的要素が、プログラミングの優先事項としての地位を確立することになります。

Mahoney氏は、私たちが「礼儀正しく」開発を進めていくことを期待するとともに、「(特に音声アシスタントが命令を聞いてその通りに動作することを期待しながら成長していく子供たちの) 人間同士のやり取りに、AlexaやGoogle Homeのような音声起動型のデバイスに大声で命令を出す現在の習慣が根差してしまうのではないか」という懸念を持っています。知能が向上していくAIを実現するには、礼儀正しさを守るためのプロトコルが必要かもしれません。

そうこうしているうちに、AIボットは成長を続けてさらに賢くなり、ユーザーが知りたいと思っていることをユーザーが求めている方法で提供できる存在に近づいていくでしょう。

私の言うことを信じるのではなく、Hugoに聞いてみてください。

 

AIボット: リーダーのためのアドバイス

  • AIは未来のものではなく、今すでに活用されています。私たちは毎日のようにAIとやり取りしており、最も一般的には、チャットボットと呼ばれることが多い対話型AIと「会話」をしています。
  • 対話型AIは、これまでのWebサイトの利用者の減少を食い止める現実的な解決策になる可能性があります。

チャットボットの開発で次に大きく飛躍すると思われるのは、数値化するのが難しいイントネーションや意思の領域であり、このステップでAIテクノロジーが広く導入されるようになる可能性があります。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもHewlett Packard Enterprise Companyの見解を反映しているとは限りません。

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