2020年6月5日

コンテナが2020年代の変革を推進する理由

コンテナとマイクロサービスにより、企業は迅速に実装を進めるとともに特定のアプリケーションに基づいてプラットフォームを選択し、環境を最適化して成功を実現できます。

約10年ごとに新しいITインフラストラクチャモデルが登場し、組織におけるテクノロジーの使用方法に変化をもたらしています。クライアント/サーバーアーキテクチャーは、1990年代に演算リソースをバックルームに追いやって分散させ、仮想マシン (VM) は、2000年代に1つのコンピューターのリソースを別のコンピューターでエミュレートする機能を生み出しました。また2010年代に登場したクラウドは、よりアジャイルなコストを重視する組織の実現に貢献しています。

そして次の新しい10年が始まった今、どのようなモデルが話題の中心となるのでしょうか。現在の動向とエキスパートの予測から、2020年代はコンテナとマイクロサービスによって特徴づけられることは明らかです。

もちろん、コンテナはまったく新しいものではなく、このテクノロジーを1960年代にまで遡ったVMパーティショニングの別名と言う人もいます。Google社は、2003年にコンテナクラスター管理システムを発表し、Docker社は、2013年にオーケストレーションプラットフォームを発表してコンテナの概念を普及させました。そしてGartner社は、すべての企業の半数が2020年までに何らかのコンテナテクノロジーを使用するようになると予測しています。

しかし、今の時点ですでに多くの組織がこのテクノロジーを組織全体の変革プロセスで重要な役割を果たすものと位置付けて重要視するようになりつつあります。私たちが取引する企業はさまざまな取り組みを始めており、パブリッククラウドやハイブリッドクラウド環境に移行する企業もあれば、ハイブリッドITを取り入れている企業もあります。
こうした企業は、それぞれが個別の目標やスケジュールを定めていますが、ITプロセスを合理化するうえでコンテナとマイクロサービスがもたらす価値について共通の認識を持っています。

トランスフォーメーション ジャーニーを成功させるには、コンテナを正しく理解することが非常に重要です。そして健全なコンテナ戦略を策定するには多くの重要なポイントがあり、その過程で疑問も生じてきます。実際のところ、コンテナはどのように機能するのでしょうか。データは全体的なコンテナの計画にどのように適合するのでしょうか。外部の脅威からコンテナを守るにはどうすればいいのでしょうか。コンテナ戦略の最終目標は何なのでしょうか。「優れている」とはどのような状態を指すのでしょうか。

こうした質問の多くについては今後の記事で詳しく考察しますが、今回はこのテクノロジーが次の10年でもたらすであろう効果を前提に、コンテナがどのようなものであり、なぜこれほど普及しつつあるのかを詳しく見ていきます。

エンタープライズITに携わる人なら、誰でも少なからずコンテナの知識を持っています。物理的なテクノロジーと同じように、これらの仮想オペレーティングシステム構成には、将来使用するアイテムがパッケージ化されており、ITチームが単一のHTTPエンドポイントから給与計算プログラムなどの大規模なアプリケーションに至るまでのあらゆるものを実行するのに必要なすべての実行可能ファイルが含まれています。それぞれのコンテナには、独自のバイナリコード、ライブラリ、および構成ファイルが含まれていますが、オペレーティングシステムイメージは含まれていないため、従来のハードウェアまたはVM環境のアプリケーションより軽量で簡単に移送できます。

コンテナにはさまざまなメリットがあり、主なものとしては、スピード、豊富な選択肢、状況に基づく最適化機能などが挙げられます。

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スピードに対するニーズ

今日のITの世界でスピードが非常に重要なのは言うまでもなく、さまざまな段階を経てソフトウェアを開発することで効率と生産性が向上し、テストや品質管理に費やせる時間が増えます。そしてプロセスが高速化されると、企業は市場投入までの期間を短縮し、より頻繁にアップデートを行えるようになりますが、それが何より重要なポイントです。

コンテナを使用することにより、チームは2つの点でデリバリを迅速化できます。まず、VMにはオペレーティングシステム全体が含まれているため、使用するたびに起動に時間がかかりますが、コンテナは起動する必要がなく、すでにオペレーティングシステムが稼働しています。

次に、コンテナを使用するチームは従来のウォーターフォール型のプロセスより小さいセグメントでソフトウェアをリリースできます。コンテナを使用すれば、実行されるアプリケーションと目の前のタスクを実行する実際のハードウェアの間にあるこのようなソフトウェアが不要になるため、アプリケーションに最適な専用のハードウェアを稼働させるだけで済むようになります。たとえば、AIアプリケーションを所有しており、グラフィックスプロセッシングユニット (GPU) を使用したい場合は、そのGPUをできる限り効率的に使用する必要がありますが、GPUとオーケストレーション機能間のソフトウェアが増えると効率が低下します。一方、不必要なソフトウェアを削除すれば、コンピューターあたりのコンテナの密度が高くなってシステムの使用率が向上するため、特定のユースケースを迅速に処理できるようになります。

 

柔軟な選択が可能

標準化されたコンテナ構造があり、全員がその標準をサポートすることに同意すれば、特定のアプリケーションに使用するプラットフォームを選択できます。これは、マルチクラウドまたはハイブリッドクラウド戦略にとって重要なポイントであり、データプライバシーやデータの保存場所などの問題に対処しているのであれば選択肢は重要です。また、エッジデバイスの近くでアプリケーションを実行しなければならない場合は、アプリケーションを配置できる場所についての選択肢も必要です。

コンテナ戦略を策定すれば、一連のコンテナプラットフォームAPIをサポートする人員を柔軟に配置できます。Kubernetesは、業界で広く導入されている最適なプラットフォームであるように思われますが、このプラットフォームなら、すぐにユーザーに選択肢を提供するそのようなAPIを実行することが可能です。今から3年後には別のプラットフォームを選択しているかもしれませんが、Kubernetesはオープンソースであるため、市場で提供されているどのディストリビューションが役に立つのかを判断できます。

 

環境の最適化

コンテナとVMを併用するのかVMの代わりにコンテナを使用するのかについては、多くの議論が交わされていますが、組織はそれらを個別に実行することで軽量な機能のすべてを活用して環境を最適化し、成功を実現できると私たちは考えています。VMの代わりにコンテナを使用すれば、ホストコンピューターで実行できるアプリケーションが増えますが、VM内でコンテナを実行するのは、車の前に馬をつなごうとするようなものです。何のためにスピードが最も速いテクノロジーを捨てて古いテクノロジーを選択し、VM内でコンテナを実行するのでしょうか。

コンテナ戦略は、パブリックとプライベート両方の領域を橋渡しするものでなければなりません。コンテナを使用すれば、仮想マシンにつきもののテクノロジースタックの解消や不必要な負担の軽減で一歩前進することができます。

 

今こそ行動すべきとき

コンテナ戦略を策定しなければ、いずれかのベンダーにすべての問題の解決を委ねることになります。そしていずれその策定方法が変わって変化に適応する能力が制限されるというリスクを負うことになります。

これからはコンテナの時代です。コンテナは、ソフトウェアのデリバリにおけるスピード、豊富な選択肢、および柔軟性を求めている組織に多くのメリットをもたらします。新たな10年が近づいている今こそ、データセンターやクラウドの新しいエコシステムの構想を立て始めるべきときであり、その包括的な戦略には、コアインフラストラクチャに不可欠な要素としてコンテナを含める必要があります。

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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