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2021年9月28日

2026年の通信テクノロジーを展望

通信事業者のネットワークがコンピューターネットワークにますます似てきており、最終的にはその区別がなくなる可能性があります。
アレクサンダー・グラハム・ベルが電話の特許を取ったのは1876年でした。そのときベルは、電気を音に変えるという概念を基にした自分の発明が、社会の構造を変えるどころか、今日見られるような無数の通信技術を生み出すことになるとは想像もしていなかったでしょう。

ベルの特許取得から150周年を迎えようとしていますが、過去を振り返るのではなく将来に目を向けてみましょう。通信とネットワークテクノロジーは今後5年間でどのように変わっていくのでしょうか。2026年になっても、スマートフォン中心の生活であることは間違いありませんが、私たちがインタビューしたエキスパートたちは、消費者にも企業にも影響を与えるような進歩を予測しています。

世界中がデジタルノマドのオフィスに

通信業界は、コロナ禍の影響を大きく受けました。毎日通勤していた何百万人もの人たちが自宅で仕事するようになり、実質的に夜通し働けるようになったからです。この1年間で、在宅勤務イコールどこででも働けることという認識が強まり、デジタルノマドと呼ばれる人たちが明らかに増えています。デジタルノマドはどこででも働きます。山小屋、ルート66を走るRV、アゾレス諸島に向かうヨットでさえオフィスにしたいと考え、世界規模の高速接続を求めています。それを実現してくれそうなのが登場したばかりの5Gネットワークです。

HPE通信・メディアソリューションズグループのCTO、Jeff Edlundはこう話します。「どの従業員もデジタルノマドという言葉を使うようになるでしょう。5Gを利用すれば、働く環境を自分で自由に整えられるようになります。この技術が成熟し、新しい機能がオンラインで利用できるようになると、柔軟な働き方を積極的に取り入れる企業が優秀な人材を引きつけることになります」。前例のないコンピューティングを可能にし、1Tbpsのピークスループットを目指している6Gは、2028年に実現すると予想されています。

リモートユーザーに不可欠な通信手段

誰もがアラスカのユルト (移動式テント) でのんびりしながらスプレッドシートを完成させたいわけではありません。多くの人にとって自宅で働く方が快適です。ただし、それに見合うインターネットサービスを利用できればの話です。2019年の調査では、地方に住む約6,000万人のアメリカ人のうち、ブロードバンドインターネットにアクセスできると回答したのは、その63%のみでした。高速アクセスが可能になったばかりの頃から、こうした格差が続いています。

実際に選択肢のない時代によりよいサービスを求める前述のような顧客がいて、通信事業者がその魅力的な市場を利用しようとすれば、状況は変わります。新たな技術が普及して、地方やリモートからのアクセスが大幅に向上するのです。たとえば、低コストの5G固定アクセスネットワークや、Elon Musk氏のStarlinkのような通信衛星による技術などが現れます。「もうすぐ、非常に高速で低レイテンシのリンクを実現できる予定です。これは、誰もがどこからでも利用できます。キリマンジャロにいようが私の隣にいようがアクセス可能です」。ミズーリ州の地方に住むEdlundはそのように話し、こう続けました。「将来の働き方が、いい意味で根本から変わることになるでしょう」

今日の大手テクノロジー企業は、アイデアの土台となっているネットワークに縛られています。5Gと6Gなら、今よりも自由な発想ができるようになるでしょう。
HPEコミュニケーションテクノロジーグループ、バイスプレジデント、PHIL MOTTRAM

エッジで最大となるコンピューティング性能

6Gの基本的な概念の1つは、ワイヤレス帯域幅を確保して通信速度を高め、ユーザーが自分のデバイスのプロセッサー速度とコンピューティング性能を気にしなくても済むようにすることです。ユーザーのデバイスではなく、クラウドのサーバーがすべての処理を行い、ユーザーのデバイスで処理するよりも早く結果を得られるようにします。まだこの段階ではないため、消費者からは、ハンドセットなどのモバイルデバイスで可能なあらゆることが、短期、中期的に求められるでしょう。

これからの数年間も、エッジに位置するそのようなデバイスにコンピューティング性能が送り込まれます。ウェアラブルヘルスモニターから自動運転車に至る最新テクノロジーの多くは、こうした性能なしには実現しません。HPEコミュニケーションテクノロジーグループのバイスプレジデント、Phil Mottramによると、エッジ付近で利用されるコンピューティング性能が向上するにつれ、「市場での地位を維持したいクラウドプラットフォームでは、いわば、ユーザーにアプリケーションを「貸し出す」方法を見つける必要があります」

一方で、5Gの役割は、そのようなデバイスを支えることです。5Gは、高速で安定したクラウド接続に不可欠な通信手段となり、ハンドセットなどのモバイルデバイスは負荷のかかる大部分の処理を行うようになります。Mottramはこう指摘します。「今日の大手テクノロジー企業は、アイデアの土台となっているネットワークに縛られています。5Gと6Gなら、今よりも自由な発想ができるようになるでしょう」

パーソナルネットワーク

モバイルデバイスと言えば、その数が急増してきた今、さまざまなものを期待できるようになりました。スマートウォッチを身に付けた人が出始めた頃は、ほんの初期の段階だったと言えます。Google Glassが普及に失敗して10年近くが経ちましたが、拡張現実を利用するスマートグラスがついに復活できる状況にあります。スマートフォンは、バッテリ技術とストレージ密度が向上して、柔軟性が高まるでしょう。フォームファクターに根本的な変化はないものの、パーソナルテクノロジーエコシステムの中でさらに大きな役割を果たす可能性があります。

Edlundによると、「スマートフォンは電話機というよりもサーバーとして機能するようになります」。スマートフォンが複数のウェアラブルデバイスに接続してそれらの動作を調整するというのです。「バッグやポケットに常に入れたままでよく、取り出す必要はありません」

Edlundは、スマートウォッチはこの機能を得られる原始的なものだが、画面が小さいので、全体として使いにくくなっていると語っています。投影型のデバイスであれ、スマートグラスであれ、機器同士の新たな通信方法を実現できるかどうかが次の課題となるでしょう。Mottramによると、「そのような相互接続の機能が人々の生活を面白くするのです」

注意が必要なのは、時間を問わず働ける生活になったことで、燃え尽き症候群になるリスクが高まったことです。携帯電話依存症は、特に若者に多く見られ、メンタルヘルスの問題としてすでに認識されています。モバイルデバイスが急増する今後5年間は、この問題がますます深刻になるでしょう。

拡張現実と仮想現実がついに主流に

ARとVRは主流になりそうでならない、というのが長年の識者の見方でした。しかし、テクノロジーの新たな進歩と、コロナ禍がもたらした変化によって、そうした見方がついに覆されそうです。とりわけ、対面での会議が行われなくなった職場では、社員が共通認識を持つための実行可能な解決策としてAR/VRが利用されるようになります。

Edlundは「ARとVRはもはやゲーマーだけのものではありません」と語り、あるデベロッパーが仮想ワークスペースで認識合わせのチームミーティングを始めたという実例を挙げました。これによって、チームの結束力が世界規模で高まり、コードの品質も向上しました。Edlundによると、この会社では、VRのワークスペースを導入した後に、生産性が70%向上しました。Edlundは、AR/VRの市場展開が進むにつれ、小売、医療、運輸、観光などの業界でもこのメリットを得られるようになると見ています。

リーダーへのアドバイス

  • 企業に優れた接続環境を提供すると言う点で、通信事業者のネットワークは優位に立っていますが、ハイパースケーラーにもそれが当てはまります。
  • 高速インターネットとエッジコンピューティングの普及により、新たなビジネスチャンスが生まれます。
  • 通信事業者にとって、コアとエッジでのコンピューティング性能が非常に重要になりました。ただし、これは、通信そのものに限ったことではありません。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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