2019年10月4日

5GについてCIOが知っておくべきこと

5Gについて、今まで特に気に留めていなかったのであれば、今すぐ関心を持つべきです。導入の調整にはまだ早いとしても、今が5Gの計画に着手するタイミングであることは間違いありません。
およそ10年間の計画と開発を経て、ついに初の5Gネットワークが実用化されそうです。これには、ワイヤレスの広帯域幅、高可用性、レイテンシのない通信といった大きな利点が期待できます。ネットワークインフラストラクチャが根本から変わるため、CIOとネットワーク設計者も、ワイヤレス戦略を変更せざるを得ません。
5Gが現実となりそうな今、それを組織で活用するには、CIOは何を把握すべきでしょうか。5Gの計画は時期尚早なのか、それとも、もはや手遅れなのでしょうか。
高まる期待に応えるべく、5Gは試験段階を終えようとしており、現在米国の10都市ほどで商用化されています。また、2019年6月時点で9か国、15キャリアが、5Gサービスを提供しています。ワイヤレスキャリアが積極的な展開を計画しているため、こうした動きは急速に進みそうです。業界団体の5G Americasによると、2019年末までに、世界中で62の5Gネットワークが商用化されます。
今日、特に重要であると専門家がおそらく認めるのは、携帯電話事業と企業向けのどちらのワイヤレス技術についても、最新情報を引き続き入手することです。今後数年間で、LANとWANの両方にさまざまな変更が発生するでしょう。しかも、どのように変わるかは簡単には予測できません。
しかし専門家は、CIOが、通信とコンピューティングの両方のインフラストラクチャをはるかに自由に展開できるようになる、とも見ています。


5Gがもたらす大きな利点

5Gでは、主に次の利点が期待されています。

  • 最大毎秒1.5GBの高速通信 (4Gの約100倍)
  • ほとんどゼロに近いレイテンシ
  • 高可用性


こうした機能は、ネットワーク設計者にとって十分に魅力的です。ただ少し厄介なのは、それらが、細かく分かれた周波数帯を使用することです。しかも、すべてのキャリアが、どの市場でも同じ周波数帯を所有するわけではありません。Verizon社は高速通信を強調しています。T-Mobile社は低速通信も採り入れ、可用性を高めようとしています。AT&T社は都市ではギガビットのスピード、都市周辺と地方では低周波数帯でのサービスを提供する予定です。Sprint社 (現在、規制上の審査のためT-Mobile社との合併を保留中) は、3つの周波数帯すべてを申請しています。

そうしたさまざまな利点を引き出す方法は、物理的な現実と向き合うことです。超高速をもたらすミリ波帯ですが、その電波は遠くまで届くことができません。商用化の展開では、接続性が「数十フィート」単位で測定されるのは明らかです。また、壁を通り抜けにくい特性があるため、ネットワークエンジニアは、非常に多くのアンテナを設置する必要があります。長波はカバレッジに優れますが、その代わり速度が得られません。やや地味な利点ですが、CIOにとっては、多数のデバイスに対応できることの方が、桁違いなスピードよりも重要かもしれません。
「5Gで主に重視されているのは、製品の機能とサービスエクスペリエンスにおいて、低レイテンシと非常に広い帯域幅を強く求める消費者に応えることなので、5Gは簡単な技術のように聞こえるかもしれません」と、カリフォルニア州アーバイン市でモバイルアプリケーションを開発するJoe Tuan氏は言います。「しかし実際のところ、キャリアは、ワイヤレスチャンネルの数を大幅に増やし、電波技術によって短い距離の送信を行えるようにするほか、小規模のセルサイトを設けてカバレッジマップを拡大する必要があります。CIOは5Gを、高速化の技術というよりも、膨大な数のデバイスに一度に対応可能なネットワークを実現する技術と見なすべきです」
しかし、そうした不確かな要因があるからといって、5GをITプロジェクトで後回しにする必要はありません。
「5G標準の導入は、繰り返し進められ、その一部は時間をかけて展開されます」と、ヒューレット・パッカード エンタープライズの通信とメディアソリューションビジネスでCTOを務めるJeff Edlundは言います。「5Gのパブリックネットワーク全体で普及が進み、可用性が確保されるまでには、しばらく時間がかかります」
ただし、課題に目を向けなくてもよいわけではありません。「CIOにとっては今が大きなチャンスです。これを機にネットワークインフラストラクチャを監査して、ハードウェアまたはソフトウェアの体系的なアップグレードや交換を計画し、5Gへの道を切り開くのです」とTuan氏は言います。「それらを行う理由としては、この技術への適応に相当な費用がかかるということもあります」
以上のような事情から、ユーザーは成り行きを見守っているようです。「私が重視するのは使用事例です」と、ノースカロライナ州アシュビル市のCIO、Jonathan Feldman氏は言います。「常に考えるのは、使用事例です。どのような対応が必要になるか、誰が利用するのか、なぜあえて導入するのかなどに注目します。多くの事例を見ても、5Gには興味が湧きません。ほとんどの用途で、重要なのは速度よりも周波数帯だからです」
Feldman氏からは、市の水道システムの管理についても話を伺いました。同氏が処理しなければならないデータ量は膨大ではありませんが、貯水池は非常に離れた場所にあり、5Gネットワークの構築には費用がかかります。今のところ、4G LTEで十分な速度が得られており、周波数帯も5Gよりも優れています。
5Gの事例を作った人が誰もいないと言っても、それを達成する人が現れないわけではありません。「あるレベルでは5Gネットワークの構築が必要になるので、使用事例ができることを期待しています。絶えず創意工夫を続ける私たち人間なら、それを達成できるでしょう」とFeldman氏は言います。「私の見通しはと言うと、一般的な予測と変わりません。私の部門のレベルでは、さほど多くの期待は持てないのが現状です」


5GとWi-Fi 6

5Gを計画中のCIOは、Wi-Fi 6 (802.11axと呼ぶ方が一般的かもしれません) の影響についても、考える必要があります。Wi-Fi 6では、現世代の802.11acデバイスよりも高速に通信でき、一般的に、5Gネットワーク以上のスピードを得られます。しかし、5GとWi-Fi 6のネットワークは、いくつかの興味深い方法で連携しています。その2つの間でトラフィックを伝送することができるのです。つまり、ワイヤレスキャリアの5Gネットワークで開始された通信のセッションを、Wi-Fi 6ネットワークにシームレスに引き継ぐことができます。その逆方向のセッションに対しても同様です。
「Wi-Fi 6ネットワークでは、以前は不可能だったレベルでのリソースの粒度、制御、管理が実現します」とStuart Stricklandは言います。Stuartは、HPEの上級テクノロジストを務めており、標準化団体とともにWi-Fiと5Gの調整に取り組んでいます。Stuartによると、Wi-Fiと携帯電話の標準化とその調整は数年間続いています。「一方で進歩した多くの技術が、もう一方に採り入れられています。たとえば携帯電話は、免許不要周波数帯で運用できるようになりました」。Wi-Fi 6は、より効率的な変調方式と決定論式スケジューリングを採用しました。これらは以前は、携帯電話ネットワーク独自の技術でした。「Wi-Fi 6ネットワークでは、これまでよりも数多くのクライアントに対応できます。これが、あらゆるIoTアプリケーションの開発と音声通話の品質向上につながります」
5GとWi-Fi 6を緊密に連携させ、これら2つの技術のスピードがほぼ同じになれば、CIOは、どちらのネットワークをどの分野で活用するかを判断するという選択肢を得られます (選択肢とともに複雑な問題も生じます)。


5Gとエッジ

大いに期待できる5Gですが、導入時にはネットワークトポロジを考慮する必要があります。なぜなら、その広帯域幅と高可用性が、ストレージと処理能力をネットワークのどこに配置すべきかという課題に影響を与えるからです。

「さまざまな無線技術をまたぐネットワークはきわめて複雑になる可能性がありますが、CIOは、調整されたそうしたネットワークを開発する機会を得られます」とStuart Stricklandは言います。「しかし、私たちが解決しようとしている最も分かりやすい課題は、おそらくCIOに身近なものです。つまり、高密度のWi-Fiローカルカバレッジによる非常に恵まれたスポット間でのモビリティと、周辺ネットワークの優れたモビリティです。また、5GネットワークとWi-Fi 6ネットワーク間の可視性が大幅に向上し、そうした可視性の管理に特有のスキルを、CIOの希望どおりに取得できます」
しかしStuartは、企業のCIOは、コアとなる電話網の運用方法について把握する必要がないと強調します。ネットワーク機器のベンダーやサードパーティのサービスプロバイダーが、さまざまな統合に関わる可能性があるからです。
ネットワークエンジニアも、5Gによってワイヤレスキャリアが、ネットワークサービスをきわめて俊敏に提供できるようになるという概念を理解しなければなりません。「俊敏な電話会社」は1世紀以上もの間、矛盾した表現とされてきましたが、それは今でも続いているようです。Jeff Edlundは、5Gであれば、電話会社が新しいサービスとアプリケーションを、通例となっている18か月サイクルではなく、数週間足らずで展開できると示唆しています。
「5Gを単なる新しいネットワークと考えるのは非常に簡単です」とJeff Edlundは言います。「5Gは、私たちの仕事や生活のさまざまな面に関わることになります。4Gが登場し、私たちはあらゆる人とつながることができました。5Gでは、それに加えてあらゆるモノとつながることができます。企業は、コンピューティング、ストレージ、ネットワークそれぞれの戦略について考える必要があります。なぜなら、5Gの導入では必然的に、ネットワークが水平に展開され、これによりコンピューティングとストレージが、ネットワークエッジに可能な限り近い場所に配置されるからです。こうした点を、将来に向けた戦略で検討しなければなりません」


5Gの今後: リーダーのためのアドバイス

  • 5G技術は変革をもたらす新しい技術ですが、少なくとも来年までは、可用性が非常に制限されます。
  • 5G携帯電話ネットワークとWi-Fi 6企業ネットワークは、興味深い方法で連携します。CIOはその仕組みを理解する必要があります。
  • 現時点では、ネットワークを監査し、5GとWi-Fi 6が組織にとって適切な技術となったときに、それらをすぐに導入できるようにしておきます。

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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