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2021年3月26日

カスタマーエクスペリエンスの変革により、企業の潜在能力を最大限に引き出す

他社に先駆けて、既存のビジネスモデルを変革しようとしている企業に役立つ、実用的な情報を提供します。

他の人が自分よりも楽しんでいるように見えて、少し不安に思ったことがある人は、FOMO (取り残されることへの不安) に苛まれているのかもしれません。

これと同じような症状が、世界中の企業の役員室でも確認されています。ブロックチェーンを利用すべきでしょうか。誰もがブロックチェーンについて話しているようです。AIについてはどうでしょうか。市場での地位を高めるために、人工知能のビジネス機会を検討してみませんか。IoTに対応する製品を増やすにはどうすればいいですか。IoTは大人気です。

これはデジタルトランスフォーメーションに対するアプローチとして誤っており、よく陥りがちなものです。ITのトレンドから取り残されることを心配したところで、企業のリーダーが新たな収益源となる可能性のあるテクノロジーを見極める助けにはなりません。不安に思うのではなく、ビジネス戦略やビジネス目標を策定するところから始める必要があります。企業が既存のビジネスモデルを変革しようとする場合、まずは顧客の問題を特定したうえで、そのソリューションを構築するのに最も適したテクノロジーを特定しなければなりません。

顧客の問題に対するソリューションを再検討する際に、既存の能力や専門知識に固執してしまう場合があります。この段階で最新のデジタルテクノロジーを利用すれば、顧客にとって新しく、他社にはない有意義な方法で問題を解決することができます。しかしまずは、提案される製品やソリューションではなく、デジタルテクノロジーの新しいコンセプトや可能性を取り入れることから始めていきます。

デジタルテクノロジーをビジネスのコアとなるバリュープロポジションに活用することで、これまでにない最先端の顧客サービスを実現できます。テクノロジーが、短期的なコスト削減の手段であるだけでなく、新たな価値に対する長期的な投資になると考えることも必要です。デジタルトランスフォーメーションを通じたビジネスモデルの変革に取り組もうとしている経営陣に役立つ、実用的な情報を紹介します。

変革者となるには

デジタルネイティブではない従来型の企業の多くは気付いていませんが、こうした企業がお払い箱となるようなイノベーションを実現したスタートアップが、その市場に参入しつつあります。これらの企業は、自己変革が急務であることを理解していません。直接競合する企業の動向にばかり目が行き、真のディスラプションが到来していることにも気付いていません。また、デジタルトランスフォーメーションに取り組むことを決断した場合でも、通常は、最も効果的な方法ではなく、最も簡単な方法を選択しています。

デジタル時代を迎えた今、価格と製品を抜いて主要な差別化要因となっているのが、カスタマーエクスペリエンスです。企業は、「カスタマーエクスペリエンスを見直し、まったく新しい顧客サービスを創出して他社との差別化を図るにはどうすればよいか」という重要な問いに答える必要があります。Bain社のレポートによると、80%の企業は「卓越したエクスペリエンス」を提供していると考えていますが、それに同意する顧客は8%に過ぎません。

顧客と従業員への共感

「インサイトの時代」を迎えた今、私たちは人工知能をデータに適用することで、過去を把握して未来を予測するというアイデアを実現しつつあります。しかしAIは、やはり人工的なものです。新しいアイデアやエクスペリエンスの創出には、顧客のニーズを見て、感じて、理解するという顧客への共感が必要です。各種データソースをベースとするAIと人間の共感が結び付いたとき、つまりデータの有益な情報と情緒的で知的かつ社会的な共感を組み合わせて活用できたときに、革新的なエクスペリエンスが生まれることになります。それによって競争力が向上し、真の顧客中心のビジネスを実現できます。

顧客中心の企業になることは文化的なプロセスの1つであり、B2C企業だけでなく、B2B企業にとっても同じように重要です。法人顧客との関係はさらに複雑になる場合が多く、バイヤー側への期待も大きくなります。顧客に共感しやすいことも多く、法人顧客との関係では、そうした共感が非常に大きな効果を発揮する場合があります。いずれにしても、顧客の満たされないニーズを特定し、それに対するソリューションを構築する必要があります。

また、デジタルトランスフォーメーションを進める際に、従業員や同僚に共感を示すことも重要です。デジタルという考え方を取り入れるには、従来のサイロ環境を打ち破り、部門の枠を超えて協力する必要があります。これに対する万能のアプローチは存在しません。必要なプロセスは、企業によって大きく異なります。

独自のデジタルトランスフォーメーション シナリオを作成

デジタルトランスフォーメーションを始めるにあたり、多くの企業がまず、簡単に達成できる目標に取り組もうとするのも無理はありません。リスクの少ない、社内プロセスの自動化から始める場合がほとんどですが、これは決して無駄な取り組みではありません。自動化とデジタルツールにより、企業のあらゆる領域をより迅速で強力、かつ柔軟なものに変えることができます。ただし、業務効率の向上を図るだけでは、デジタルトランスフォーメーションは実現できません。

それでは、企業は変革の取り組みをどのように始めたらよいでしょうか。イノベーションに投資する前に、説得力のあるニーズを練り上げる必要があります。たとえば、顧客に対するバリュープロポジションはどのようなものでしょうか。また、顧客の問題に対して予想外の解決策を提示するにはどうすればよいでしょうか。これを行ってから、顧客の反応を確認するために好意的な顧客でアイデアを検証し、作成した有益なストーリーを通じて、そのアイデアを支持するように関係者を説得します。

経営陣の合意を取り付け、組織全体について検討します。現実的でありながら確実な一歩を踏み出し、徐々に小さな成功を積み重ねていきます。恒常的な原則を確立して周知し、それに従って行動します。バランスが鍵となる場合もあります。イノベーションのパイプラインを構築して、新たな収益源への投資機会を確保しつつ、現在の収益源から利益を得られるようにする必要があります。このように組織がどちらのシナリオにも対応できるようにすることは、変革の機会を捉えて継続的に取り入れる手段の1つであり、デジタルトランスフォーメーションのみならず、あらゆる状況で役立ちます。

デジタルエコシステムの構築

世界経済フォーラムは、今後10年間の経済で生み出される新たな価値の70%が、デジタル対応のプラットフォームビジネスモデルをベースとしたものになると予測しています。ここで 「自分の会社と競争する会社を立ち上げるとしたらどうするか」を自身に問いかけてみてください。

最初に取り組むのは、オープンエコシステムを構築することです。1社だけでは、顧客の問題を解決できない場合があります。カスタマージャーニーに沿って、他社が価値を提供できる関係性とシステムを構築します。たとえば、Appleは大規模な開発者コミュニティを形成し、コラボレーションとイノベーションによって同社の顧客に無数のソリューションを提供しています。

また、デジタルエコシステムでは、一般社員にも起業家精神が求められます。つまり、テクノロジーの変革と同じ程度に、文化の変革も必要となります。従業員は、「これを自動化または改善するにはどうすればよいか」を、常に自問していく必要があります。

またデジタルエコシステムにおいてはデータが何よりも重要になります。適切なデータなしにカスタマーエクスペリエンスを刷新することはできません。組織全体がデータを中心とする体制に移行して、社内外のデータをカスタマーエクスペリエンスの再定義や競合企業との差別化に活用する必要があります。

フェイルファストで成功を収める

「フェイルファスト」という言葉はすでに使い古されていますが、多くの組織は、この考え方を実践している組織は1つもないと主張しています。ファイルファストに求められるのは、文化の変革です。従業員が役割の枠を超えるには、心理的な安全性が必要となります。またリーダーは、周囲の手本となる必要があります。反復的に作業しながら、実用最小限の製品 (MVP) を構築する機会を模索します。これにより、短いサイクルでイノベーションをリリースできるだけでなく、新しい製品や機能を顧客で検証する機会が得られるため、早期に成功を収めることができます。また、顧客が新たなイノベーションによい反応を示さない場合は、膨大な時間とコストを使わずに済みます。

包括的に考えることや、あらゆるイノベーション領域の管理技法を活用することも役立ちます。アジャイルな製品管理はこうした技法の1つであり、MVPに重点を置いています。ただし、適切なデータがなければ、革新的なMVPを構築することはできません。アイデアを具体化するうえで重要なのが、最初にデザイン思考技法を取り入れ、次にデザインスプリントを取り入れることです。継続的な展開パイプラインによって、リリースサイクルの短縮が可能になります。

企業がアジャイル環境を導入する際に共通して見られる問題の1つが、アジャイルには適さない場合でも、あらゆるプロジェクトにこの方法を適用しようとすることです。その場合は、ハイブリッドアプローチを試してみます。一定かつ一貫した方法で、あらゆるワークロードを同時に実行できるため、従業員によるイノベーションが可能になります。最も重要なのは、ビジネスモデルの変革が、一夜にして成し遂げられるものではないことを認識することです。

今後の展望

数年もすれば、デジタルトランスフォーメーションという用語が時代遅れになり、誰も口にしなくなる可能性があります。デジタル化されていない企業は、もはや生き残っていないでしょう。

話題となっているテクノロジーから取り残されることを心配したところで、デジタルトランスフォーメーションを推進する助けにはなりません。イノベーションと効率を融合させることで、ビジネスモデルを変革することができます。既存の収益源を強化しつつ、新たな収益源を確保する必要があります。デジタルテクノロジーによって実現される革新的な方法で、現在だけでなく将来にわたって顧客のニーズに対応することが重要です。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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