2021年3月19日
交通整理から「デジタルイルカ」まで: 優れたスマートシティプロジェクト6選
スマートシティの素晴らしさについてはこれまでも語られてきましたが、驚くほどインテリジェントな都市が実際に誕生しています。以下にいくつかの例をご紹介します。
人々がスマートシティについて語る場合、そこには膨大な種類のテクノロジーやアプリケーションが登場します。例えばエネルギー効率に優れ、大気汚染レベルも測定できる街灯や、銃声を検知し、犯罪が発生している可能性がある現場に警察官を向かわせるマイクなどがあります。
しかし、都市が本当にスマートであるかどうかは、どのようにテクノロジーを活用して市民に優れたサービスを提供できるかで決まります。世界中のさまざまな都市で住民の生活を向上させている、実用的ながらも革新的なテクノロジーの例を6つご紹介します。
1. ビッグアップルのビッグデータ
都市を動かしているのは、電気と住民たちのエネルギーだけではありません。データも重要です。ニューヨーク市で最も騒音の多い地域は? 最もネズミに関する苦情が多い地域は? 道路工事によって通行止めになっている道路は? BoardStatは311番への通報からデータを収集し、数百通りに絞り込みが可能な検索ダッシュボードでそのデータを提供しています。実質的に、BoardStatで見つけられない情報といえば、街で一番おいしいピザ屋さんくらいです。
2. 交通渋滞解消
道路の自動車の数を減らしたいならば、駐車場を見つけやすくすればよいのです。混雑の激しいシンガポールの道路をノロノロ運転で進むドライバーは、最も近い駐車可能スペースを見つけ、自動的に料金を徴収してくれるアプリケーションを使用できます。シンガポールの公共と民間のハイブリッドなシャトルサービスであるBeelineでは、乗客がクラウドソーシングによって新しいルートを決めることができます。さらに、街の西側では自動運転バスが運行されています。シンガポールが「世界一のスマートシティ」と呼ばれるのは、そのスマートモビリティソリューションが大きな理由です。
3. 「デジタルイルカ」がお助け
毎年14万隻もの船がオランダのロッテルダム港を通過します。中には、全長がサッカーコート4つ分以上に達するものもあります。積荷の運搬をより円滑にするために、同港では「デジタルイルカ」と呼ばれるテクノロジーを導入しました。これはセンサーを搭載したブイで、天候と湾の状況を測定し、停泊する最適なタイミングと場所を船に知らせます。ヨーロッパで最大の港であるロッテルダム港では、IoTと人工知能の活用によって、2030年までに完全に自動運転の船の入港が可能になる予定です。
4. 指令本部
インドのボーパールでは、街灯、交通監視カメラ、緊急車両、廃棄物処理施設などにセンサーが組み込まれていて、中央の指揮管制センターにデータが送られます。指揮管制センターから、指令係が街の中のどのゴミ容器が満杯に近いかを特定し、トラックを最初にそこに送り出してゴミを収集できます。また、トラフィックデータを確認し、混雑を回避して救急車を走らせることで患者の命を救うことができます。さらに、ボーパールでは指揮管制センターを利用してCOVID-19の感染拡大に関する情報を集め、分析によってクラスターの発生場所を予測しています。
5. きれいな空気
世界保健機構 (WHO) によれば、都市部に住む人の80パーセントが汚れた空気を吸っています。そこで登場するのがCityTreeです。これは高さ約4メートルの空気清浄機であり、有害物質を吸い込んで、コケによってろ過します。CityTreeによる粒子状物質の吸収力は、成樹275本分と同程度です。太陽エネルギーで動作するCityTree 1 台で、半径約50メートルの空気を浄化できます。CityTreesは、すでにベルリン、香港、ロンドン、オスロをはじめとする世界中の多くの都市に設置され、住人の呼吸をいくらか楽にしています。
6. 地球上で一番幸せな街?
空飛ぶ車やロボコップこそ (まだ) 存在しないものの、ドバイは地球で最も技術的に進歩した街かもしれません。ドバイでは2021年までに、すべての免許更新、公共料金の支払い、その他60種類の行政サービスを、ブロックチェーンによってデジタルに行えるようにすることを計画しています。これにより1億枚の紙の書類を節約できます。ドバイは独自の幸福指数を作り、スマートシティのプロジェクトが市民に与える影響を測定しています。さらに、市民の表情を分析するAI駆動のカメラを導入し、幸せそうに見えない人には市の職員が支援に向かえるようにしました。ご自分の街でもそのような取り組みが行われることを想像してみてください。
この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

Dan Tynan
寄稿者、Improbable Venturesのコンサルタント、10件の記事
Steve Ballmer氏に髪の毛があった頃からテクノロジーに関する著書を執筆しているDan Tynan氏は、自身を含む誰もがその大部分を思い出せないほど数多くの記事を発表してきました (同氏の記事については、Googleを調べてみてください)。同氏は最近まで、David Pogue氏が指揮を執るテクノロジーニュースサイトであるYahoo Techの編集長を務めていました。またそれ以前は、Family Circle誌の寄稿編集者として、育児とテクノロジーの接点に関する記事を執筆していました。さらに同氏は、PC WorldとInfoWorldで寄稿編集者を務めるとともに、ITworldで多くの読者から支持された「Thank You For Not Sharing」というプライバシーに関するブログを執筆したり、幅広い出版物やWebサイトで教育と行政に関する記事や印象的な風刺記事を書いたりしてきました。
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