2019年10月11日

テクノロジーイノベーターが知っておくべき
ゲーム統計データ

何らかのデジタルトランスフォーメーションを検討している企業にとって、過去のテクノロジートレンド、市場の変化、競争環境などを調査することは重要ですが、なかでもお勧めなのがコンピューターゲーム業界の分析です。
ゲーム業界について考察するのは、一消費者の観点からも興味深いものです。米国人の65%が少なくとも時折はコンピューターゲームを楽しんでいるという統計もあり、このテーマに個人的関心がある人も多いでしょう。
実のところゲームの利用状況を検証することは、ビジネスの観点からも有意義です。
コンピューターが発明されて以来、ゲーム開発者らはプログラミングの限界に挑み続けており、人気のゲームをプレイするには、最速のデスクトップコンピューターと高解像度のモニターが必要なケースが少なくありません。事実、スプレッドシート内の数値を高速処理する目的で販売された多くのPCが、ゲーマーたちによって (自費で) 戦闘能力を高めるためにアップグレードされてきました。
こうしたことから、ゲームのトレンドは、デジタルトランスフォーメーションの観点からも興味深いものがあります。企業は売上やブランディングの向上を目的として、どの領域に資金を投入すべきかについて経営陣で議論を重ねたうえで、テクノロジーに投資します。その点、ゲーマーの支出についての意思決定プロセスは遥かにシンプルで、「敵を倒すには何が必要か」が焦点になります。
しかしながら、ビジネスとしてのゲームはそれほど単純ではありません。巨大なコンピューターゲーム業界には数多くの (ときには文字通りの) 可変要素が存在し、気まぐれで移り気な顧客ベースを維持するためには継続的なトランスフォーメーションが不可欠です。ゲームの人気は、屋台で買うソフトクリームほどしか長続きしませんが、ときには定番になることもあります。ゲーマーたちはそれぞれ、お気に入りのジャンル (シューティング、パズルなど)、プラットフォーム (デスクトップ、ゲーム専用機、スマートフォンなど)、およびプレイ方法 (単独、マルチプレーヤーダンジョンなど) を見出します。彼らの選択は社会に影響を及ぼすことがあり、少なくともゲームを提供する企業に倫理上の諸問題を投げかけています。
さまざまな段階的シフトや急速なシフトは、テクノロジーの変化について理解を深めるのに役立ち、少なくとも興味深い考察事項です。
例えば有能なIT部門は、社内のアプリケーションにモバイルデバイスからアクセスする内部ユーザーに注目しています。スマートフォンやタブレットが広く普及している今日、自分のニーズ (例えば敵を倒すこと) のためにモバイルデバイスを購入する人々の行動を検証することは、意味のある取り組みです。同様にゲーム業界に関する統計データも、優れたユーザーエクスペリエンスによってユーザーコミュニティにアピールする方法 (ちなみにゲーミフィケーションもその1つです) を模索するうえで有益な情報源となります。
エンターテインメントソフトウェア協会 (ESA) のレポート「コンピューター/ビデオゲーム業界に関する2019年の重要な事実」では、「米国におけるビデオゲームプレーヤーの実像を把握し、彼らを突き動かしているものが何であるかを理解することが、これまで以上に重要になっている」と指摘されています。幸いなことに、このテーマについては多くの情報が存在しています。


誰もがゲームを楽しんでいる

コンピューターゲームは巨大な市場です。調査会社NPD Groupによると、2018年に米国のビデオゲームの売上は434億ドルに到達しました。「米国では1億6,400万人以上の成人がビデオゲームを楽しんでおり、米国人の4分の3は家庭に1人以上のゲーマーがいる」と同レポートでは報告されています。
実際のところ、ゲームを一切しない成人はむしろ少数派です。前述のとおり、米国では成人の65%がビデオゲームを楽しんでおり、ゲーマーの平均年齢は33歳、平均プレイ年数は14年に及んでいます。
ただしゲームを楽しむ人が多いとはいえ、人々の娯楽はゲームだけではありません。「多くの米国人は、音楽、ビデオゲーム、あるいはその他のエンターテインメントよりも、映画やテレビを好む傾向にある」とNPD Groupは指摘しています。同調査会社によると、2018年には全エンターテインメント時間の27%がテレビや映画の視聴に費やされており、それに続くのが音楽鑑賞の19%、ビデオゲームの16%でした。


拡大するモバイル市場

コンピューターゲームは、デスクトップコンピューター、ゲーム専用機、オンラインコミュニティ、モバイルデバイスなど、さまざまなプラットフォーム上でプレイできます。言うまでもなく、これらのプラットフォーム間のバランスは変化しています。
今日ではゲームのモバイル化が進行しており、NPD Groupのレポートによると、「米国およびカナダのモバイルユーザー2億8,310万人のうち、2億1,090万人がモバイルゲーマーであり、その数は対2017年比で5%増加しています」。またGlobal Web Indexのレポート「ゲーム業界: 知っておきたい2019年のトレンド」の統計によると、全世界のスマートフォン所有率は2015年第3四半期から15%ポイント増加しており、16~64歳のインターネットユーザーのスマートフォン所有率は95%に達しています。
ただし、モバイルユーザーが他のプラットフォームをまったく利用しないわけではありません。ESAのレポートによると、ゲームはスマートフォン (62%) だけでなく、PC (50%) やゲーム専用機 (49%) でもプレイされています。

スマートフォンゲーマーの多くは、スマートフォンで毎日ゲームをしています。「モバイルゲーマーは、スマートフォンから1日あたり推定3時間44分ネットにアクセスしており、中南米では5時間近くに達します」とGlobal Web Indexレポートでは報告されています。「スマートフォンの処理能力と画面解像度の急速な進化に加えて、場所を問わずに利用できるというモバイルならではの強みを考えると、このゲームデバイスが大きな可能性を秘めていることは疑いありません」。
他のテクノロジーの導入状況と同様に、米国は必ずしも世界の中心ではありません。最も熱心なモバイルゲーマーは、急成長市場のインターネットユーザーです。「アジア太平洋および中東/アフリカではインターネットユーザーの10人中7人以上がスマートフォンでゲームをしています」とGlobal Web Indexレポートでは報告されています。「これらの地域は、インターネット普及率が世界的に最も低く、オンライン人口が急増しているため、大きな成長の余地があります。」

ビジネスに関連する注目ポイント: あらゆる分野でモバイル化が進行しています。しかしながら、このことは人々が他のプラットフォームの使用をやめることを意味するものではありません。


どのゲームに注目すべきか

「史上最も人気の高いコンピューターゲーム」について確かな数字を得ようとすると、迷路に入り込む可能性があります。情報を求めてインターネットをさまようのも悪くありませんが、確かな答えを得るのは困難です。実を言えば、私自身もこうした調査に時間を費やした経験があり、未だ答えを得られていません。
2016年のある記事には、史上最も人気の高いゲームとして、テトリス、マインクラフト、およびWii Sportsが挙げられていました。しかしながら、最近の成功事例など、この結果とは異なる統計も存在しています。前述の人気調査には、5,000万本を売り上げた「プレイヤーアンノウンズ バトルグラウンズ」や2,000万本を売り上げた「ディアブロIII」は含まれていません。
また各業界団体の報告には、その団体に所属する企業のゲームに関する数字しか含まれていません。

とは言え、1億7千万本もの売上を記録したテトリスの人気が非常に高かったことには、とりわけテトリスがリリースされた時代を考えると、誰しも異論はないでしょう。テトリスが発表された1984年当時はホームコンピューターがまだ普及しておらず、またこの数値にはPC-DOSゲームがチャートから外れる前の多くの類似ゲームは含まれていません。「史上最高」タイプの順位表では、時間も考慮する必要があります。マインクラフトが1億7,600万人のユーザーを獲得するには10年を要しましたが、そのユーザー数は現在ではテトリスを上回っています。しかしながら、こうした厳密な比較にこだわる必要もないでしょう。

ビジネスに関連する注目ポイント: データソースやデータ収集方法の信頼性が低い状況下では分析は困難です。


台頭するeスポーツ

ゲームプラットフォームの変化は、コンピューターデバイスのシフトを象徴しており、またそうした観点から考察する必要があります。観客に見せることを前提としたゲームやライブストリーミングの増加が、エンタープライズコンピューティングのプラットフォームに直接影響を及ぼすとまで言うつもりはありません。しかしながら、とりわけインターネットアクセス環境が米国とは異なる地域で台頭する新たな市場や製品について考察するのは、決して無駄ではありません。またエンタープライズクラウドサービスの課金方法などよりも、ビデオゲームの収益化といったテーマの方が、考察するのに遥かに楽しいテーマであることは言うまでもないでしょう。
「ゲームアクティビティがオンラインに移行するにつれて、コントローラーを手に自身でゲームをプレイすることはない人々も取り込んで、ゲームの楽しみ方が多様化しています」と「ゲーム業界: 知っておきたい2019年のトレンド」レポートでは報告されています。「事実、「ゲーム」エンターテインメントの概念は進化および拡大しており、お気に入りのゲームを他人がプレイするのを観戦するという楽しみ方も増えています」。
市場調査会社のNewZoo社は、オンラインでのeスポーツのマルチプレーヤーマッチの売上が、2019年には11億ドル (前年比26%以上増) に達すると予測しています。「全世界のeスポーツ観戦者は今年4億5,380万人に達する見込みで、そのうち2億120万人がeスポーツのコアなファン層、残る2億5,260万人がライトなファン層です。現在の勢いが続けば、eスポーツ市場は2022年には18億ドル規模に達すると予想されます」と同レポートは結論付けています。この状況は、典型的な「ホッケースティック型成長曲線」を示しており、2015年時点では全世界のeスポーツ観戦者は1億1,500万人でした。
「ゲーム業界: 知っておきたい2019年のトレンド」レポートによると、ゲーマーの3分の1以上が過去1ヶ月間にライブゲームストリームを視聴しており、また4分の1以上がeスポーツトーナメントを観戦しています。こうした傾向は米国以外の地域で特に顕著で、「フィリピンでは先月10人中4人以上がライブゲームストリームを視聴しています。これに対してスイスにおける視聴率は8%でした。」と同レポートでは報告されています。
ただし、革新的なアイデアがすべて成功しているわけではありません。ゲーム用ギア (ゲーム用のキーボードやマウスから、スピーカー、モニター、さらにはゲーム用チェアに至るまで) のアドオン市場は堅調に推移していますが、鳴り物入りで登場した「バーチャルリアリティヘッドセット」の売れ行きは伸び悩んでいます。

ビジネスに関連する注目ポイント: 台頭する新市場を見逃してはなりませんが、社運を賭けるべきでもありません。


ゲームが及ぼす社会的影響

ゲームコミュニティは、その構成から、ゲームが暴力性を助長するか否かといった議論に至るまで、さまざまな誤情報に悩まされています。現状を正しく把握するには、統計データを検証するのが一番です。
そもそも私たちはなぜゲームをするのでしょうか。ESAの調査によると、ゲーマーの4分の3以上が、ビデオゲームに精神的刺激を求めている (79%) 一方で、リラックスとストレスの緩和に役立つ (78%) とも答えています。こうした結果を裏付けるデータもあり、2016年にイェール大学が行った調査では、脳トレーニングビデオゲームを4ヶ月間にわたり週3回、1日あたり20分間プレイした学生の読解と数学のテスト成績が向上したことが確認されました。
米国の家庭におけるビデオゲームの役割は変化しつつあります。ESAによると、親の4分の3近く (74%) がビデオゲームは子供の教育に役立つと考えており、親の半数以上 (57%) が少なくとも週に1度は子供とゲームを楽しんでいます。また親の90%が子供が遊んでいるゲームの内容に注意を払っており、77%が「対象年齢、内容、およびインタラクティブ性に関するガイダンス」を網羅したESRBレーティングを利用しています。
かつてゲームは1人で楽しむものでしたが、今日では多くのゲームがマルチプレーヤーオプションを、ライブプレイの形で、あるいはオンラインコミュニティ内 (Facebook上のゲーム「Words with Friends」など) で提供しています。ESAによると、ゲーマーの63%が定期的に (週平均4.8時間) 他のゲーマーとプレイしています。
ゲーマーと言えば、暗い部屋にこもってゲームに没頭している男性、といったステレオタイプな人物像を思い浮かべがちです。しかしながらESAのレポートによると、多くのゲーマーは、ゲームをしない人々と同様に、エクササイズをしたり、海外旅行に出かけたり、アウトドアを楽しんだりしています。コンピューターゲーマーは趣味を持っている率も高く (56%、米国人全体では49%)、楽器の演奏 (32%、非ゲーマーでは27%) や瞑想 (32%、非ゲーマーでは27%) をすると回答した人の割合が高いことが判明しています。
「ゲーム業界: 知っておきたい2019年のトレンド」レポートによると、ゲームをする人の割合が最も高いのは16~24歳の男性 (64%) ですが、45~54歳の男性も4分の1がゲームに関心を持っています。回答者全体が年齢を重ねるにつれて、年齢層による差異は小さくなっていくと思われます。また55~64歳の年齢層では、男性よりも女性の方がゲームを楽しむ人の割合が高いことも判明しています (男性17%に対して女性は19%)。
ゲームは「男性のもの」と一般的に考えられており、そうしたイメージの維持を好むインターネット荒らしによって、ステレオタイプが助長されています。しかしながら実際には、統計が示すとおりゲーマーの46%は女性であり、そうした先入観が誤りであるのは明らかです。ゲーマーの年齢層は女性の方が男性よりも若干高い傾向にあります (男性ゲーマーの平均年齢が32歳であるのに対して、女性は34歳)。また女性の場合は、他の人とプレイする割合が低く、例えばミレニアル世代の女性ではグループでプレイする人の割合は45%です (同世代の男性は66%)。(ゲームコミュニティに見られる「ミソジニー (女性蔑視)」が、単独プレイを好む女性が多い理由の1つであると考えられます。)
性別と年齢層によるその他の差異も存在します。ミレニアル世代 (18~34歳) の男性は、アクションゲーム、シューティングゲーム、スポーツゲームを好むのに対して、同世代の女性は、カジュアルゲームやアクションゲームを好む傾向にあります。またX世代のゲーマー (35~54歳) の間では、スマートフォンでプレイするカジュアルゲームの人気が高く (女性70%、男性62%)、この世代の男性が好むジャンルは、スポーツ、レース、およびシューティングです。一方ベビーブーム世代 (55~64歳) はボードゲームやパズルゲームを好み、単独でプレイする割合が高めです (男性の65%、女性の58%が単独でプレイ)。ゲーマーにはプレイ年数が長い人も多く、ベビーブーム世代の女性ゲーマーの22%、男性の25%が25年以上ゲームを楽しんでいます。(私自身もInfocom社のゲームディスクをまだどこかにしまってあります。)
このように男性と女性がゲームをする割合がほぼ同じであるのに対して、今なおゲームの開発は主に男性が行っています。約4,000人のゲーム開発者を対象として、Game Developers Conferenceのために実施された調査によると、開発者の4分の3 (77%) が男性で、女性は19%に過ぎません。

ビジネスに関連する注目ポイント: テクノロジーに関する意志決定はさまざまな影響を引き起こします。イノベーションの追求にあたり、その社会的影響をどの程度意識していますか。ソリューションは誰が誰のために設計していますか。

ゲームに関する統計に興味を持たれた方は、ビデオゲームに関する統計概要で、その他のデータをご覧いただけます。

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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