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2021年12月17日

ポストコロナの世界がITワーカーにもたらす大きなチャンス

コロナ禍以前からIT人材市場は活況を呈していました。今日ではとりわけ特定のスキルについて、需要がより一層高まっています。
多くの企業がポストコロナにおけるワークプレイスの活性化を目指している中、ITプロフェッショナルにとって、キャリアアップやフレキシブルな勤務形態など、これまでにないチャンスが到来しています。しかしながら活況を呈するIT人材市場にも注意点があり、今日のITワーカーは、適切なビジネススキルとテクノロジースキルに加えて、リモートコラボレーション能力の向上も求められています。

コロナ禍があらゆる業界を揺るがし、サプライチェーンを分断し、特定の職種に大打撃を与えたにもかかわらず、テクノロジーセクターは好調に推移しており、米国労働統計局によると、医療を除くあらゆる業界の中で最も低い失業率を記録しています。コロナ禍以前から問題となっていたIT人材の不足は、企業がコロナ禍の間も競争力と収益性を維持するために、リモートワークやe-コマース事業をごく短期間で実現しつつデジタルトランスフォーメーションの取り組みを加速させていることで、より一層深刻化しています。

こうした社会情勢の動きはITプロフェッショナルに、新たな雇用機会を見出したり、新たなキャリアパスを開拓したりする好機をもたらしています。LinkedIn社の調査による、2021年の最近の人気職種トップ15では、そのうち6つのカテゴリが、専門性の高いエンジニア、ユーザーエクスペリエンスのプロフェッショナル、データサイエンスのスペシャリスト、AIプラクティショナーなどのデジタル領域で、さらにビジネス開発やデジタルマーケティングなどテクノロジーと関連する職種も含まれています。一般的にこれらの職種の給与は8万ドル以上です。LinkedIn社は、親会社であるMicrosoft社を通じて、データサイエンス向けPython、プロジェクト管理、データ分析、製品管理など、需要が高まっているデジタルコンピテンシーの獲得を支援するために、低コストの認定資格やジョブトレーニングコンテンツを提供しています。

「現在、技術系プロフェッショナルはほぼ完全雇用の状態にあり、雇用プロセスは迅速化しています」
ROBERT HALF社、地域プレジデント、MEGAN SLABINSKI氏

激しさを増す人材獲得競争

「現在、技術系プロフェッショナルはほぼ完全雇用の状態にあり、雇用プロセスは迅速化しています」と人材派遣および人事コンサルティングを主事業とするRobert Half社の地域プレジデントを務めるMegan Slabinski氏は述べています。「その結果、デジタルトランスフォーメーションの取り組みによって牽引される人材獲得競争が激化しており、とりわけe-コマースの領域では、従来の実店舗型企業がオンライン事業に力を入れ始めていることで、その傾向がより一層顕著です」。

Robert Half社が2,800人以上のテクノロジーリーダーを対象に実施した調査によると、54%の企業が2021年に新規職種の追加を計画していました。またほぼすべての回答者 (95%) が熟練したITプロフェッショナルの獲得に困難を感じており、91%が今年中に優秀なIT人材が流出することを懸念していました。この調査では、即時採用される見込みが特に高い技術的スキルとして、サイバーセキュリティ、クラウド、データ/データベース管理、ネットワーク管理、Web開発/設計などが挙げられています。

点と点を結ぶ

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HPEの場合、ニーズがとりわけ高いITコンピテンシーとして、ソフトウェアエンジニアリング、データと分析、AI、および機械学習に関する専門知識が挙げられます。ただしHPEの広範なアジェンダや新たな勤務形態に対応するうえで、必要とされる能力は特定の技術的スキルだけにとどまりません。社員の大半は自宅で勤務していますが、コラボレーションのために必要な場合は出社することも可能です。こうした新しい働き方に伴って、社員はリモートでのコラボレーションやコミュニケーションに順応することを強く求められるようになっている、とHPEのシニアバイスプレジデント兼CIOであるRashmi Kumarは指摘します。

「最低ラインとして、社員はバーチャルな環境の中で、さまざまツールや変化に対応しつつ、前進し続けることができなければなりません」と同氏は述べています。「オフィスからハイブリッド会議、さらには完全にバーチャルな会議へと、提供されるテクノロジーにシームレスに適応できるスキルが必要です」。

デジタルコマース事業の展開を進めるなかで、多くの企業が、デジタル製品ポートフォリオを拡充し、多様なプラットフォームや顧客タッチポイントにわたるシームレスなエクスペリエンスを実現するために、新しい種類のスキルを求め始めています。HPEでは、グローバルなIT組織を支えるために必要な人材として、デジタルファーストの考え方が身に付いており、従来のサイロにとらわれることなく、顧客重視のマインドセットで、多様なデータポイントを結び付けることができる人材を特に重視している、とKumarは述べています。

「私たちが求めているのは、点と点を結び付け、広い視野で全体を俯瞰できる「ドットコネクター」と呼ばれる人材です」と同氏は説明します。「具体的には、必要なリスクを取ることができる人、失敗してもそこからすぐに学べる人、質問をし、さまざまなことを試し、イノベーションの導入に前向きな人、特定の問題を解決するにあたって複数の選択肢やトレードオフを考察できる人などです」。

Forrester Research社のシニアアナリストで、従業員のテクノロジーエクスペリエンス、デジタルワークプレイス、およびリモートワークを専門とするAndrew Hewitt氏によると、多くのIT組織が、経営幹部だけでなく中間管理職や現場のITプロフェッショナルに対しても、分析スキルや顧客中心の視点に加えて、ソフトスキルやビジネス感覚をより求めるようになっています。ITがバックオフィス機能中心から、ビジネスとデジタルトランスフォーメーションを支える重要な要素へと成熟する中で、多くの技術系職種において、ユーザーエクスペリエンス設計の理解、ユーザー調査やジャーニーマッピングセッションの指揮、変更管理問題の解決などが欠かせない能力となっています。

とりわけCIOは、優れた対人スキルを有しビジネス言語に精通したIT人材を切望しているとHewitt氏は述べています。「求められているのは、ビジネス全体にわたって人間関係を構築でき、ビジネスニーズを理解したうえで、そのニーズの解決にテクノロジーを適切に活用できる人材です」と同氏は説明します。「今日のサイロ化した技術者の多くは、ビジネス言語を使えず、人間関係の築き方や、技術的な専門用語をビジネスユーザーにとって意味のある言葉に置き換える方法を知りません」。

成功に必要な改革

最新のスキルボックスにチェックマークを入れられる求職者、さらにはそれ以外の求職者にとっても、今日の情勢はキャリアアップを目指す好機です。Robert Half社の調査によると多くの人が準備をすでに始めており、調査対象となった技術系プロフェッショナルの3分の1以上 (35%) が、数か月以内に転職を予定していると回答しました。その理由としては、現在の雇用主が成長機会を与えてくれない (33%)、給与アップを求めて (30%) などが挙げられています。

Robert Half社のSlabinski氏は、ITワーカーは比較的小さいステップを積み重ねることで、大きなチャンスをつかむことができると述べています。その主なものを以下に紹介します。

  • LinkedInのプロフィールを利用したり、自分のスキルや実績を紹介する個人のWebサイトを作成したりすることで、デジタルプレゼンスを高めます。多くの人がオンラインで人材を探しています。
  • 専門的資格や特殊スキルの取得を目指します。多くの雇用主が実務経験をより重視する傾向にあるとはいえ、こうした追加のトレーニングは、自身の意欲をアピールして市場価値を高める効果があります。
  • 自分の居住地域以外にも検索の範囲を広げます。「バーチャル環境やリモート環境の普及が進む現状を認識し、より広範囲に人材を探すことに前向きな経営者が増えています」とSlabinski氏は述べています。「次の理想的なキャリアパスや仕事が、現在の居住地域以外に存在する可能性がある場合は、新たなチャンスを獲得するために検索範囲を拡大することが大切です」。
  • ボランティア活動、主要なプロジェクト、イノベーション委員会、ハッカソンなどの機会を捉えて、組織の戦略的なイニシアチブに参加します。「機会を常に模索するとともに、自分のスキルを高めるために何ができるかを上司に相談してみてください」とSlabinski氏は述べています。

一方、優秀なIT人材の獲得に力を入れたいと考えている雇用主の側でも、いくつかの改革に取り組む必要があります。Robert Half社の調査によると、人材確保に関する最も差し迫った課題は、熟練した専門家の正規または暫定的な雇用 (24%)、従業員の生産性向上 (21%)、および完全なリモート雇用プラクティスへの適応 (16%) です。さらに従業員の士気の醸成と維持、雇用予算の確保、優秀な人材の流出防止も大きな課題となっています。

リモートの求職者に目を向けることは、厳しさを増す市場において、企業が優秀な人材を獲得するための非常に効果的な方法の1つです。さらにSlabinski氏はITリーダーに対して、人事部門と協力して内部の雇用プロセスを見直し、応募にあたっての障壁がないかどうかを確認するようアドバイスしています。「企業が優秀な人材をすばやく獲得するためには、面接回数を減らし、関与する人数を絞り込むことで、採用プロセスを迅速化することも検討する必要があります」と同氏は指摘します。

そのためHPEでは先頃、雇用に関する手続きを改善しました。HPEは、エントリーレベルのパイプラインを強化するためにアーリーキャリア向けのイニシアチブを立ち上げる一方で、ヒューストン大学と提携して、HPE Data Science Instituteへの資金提供など、さまざまなキャリアプログラムを展開しています。またFacebookやLinkedInなどのソーシャルメディアプラットフォームに加えて、インド国内の各種フォーラム上に求人広告を出すなど、雇用活動の範囲を拡大しているとKumar氏は述べています。HPEでは、さまざまな文化的背景や民族的出自を持つ人々だけでなく、多様な経験を持つ人物や異なる業界の出身者など、ダイバーシティな雇用に全社レベルで力を入れています。

「現在はテクノロジー業界に職を求める好機です」とKumar氏は述べています。「解決すべき課題の全体像を捉え、それに関わる人々や企業を理解するための感情的知性を持っている人は、リーダーとなる素質を備えています。自身のキャリアアップを図り、他の人々を適切に導けるかどうかは、本人の努力次第です」。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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